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氷河期と地球温暖化の関係

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(著) (編集)

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Image by DiJay/iStock
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 大都会の摩天楼が連なる風景を想像してみてほしい。次に、その下に3キロもの厚みの氷があるところを想像しよう。

 これが最後の氷河期の全盛期に広がっていた風景だ。

 地球の歴史的な視点から見れば、これは決して珍しい光景ではない。過去260万年(第四紀)において、地球は50回以上も氷河期とその合間に訪れる温暖な間氷期を経験しているのだ。

 だが、このように定期的に氷河期が訪れるのはなぜなのだろうか?

 そこにはいくつもの要因が絡んでおり、研究者は今もなおそのメカニズムの究明に努めている。そして特に昨今では、地球温暖化が、このサイクルを完全に断ち切ってしまったのかどうかに注目が集まっている。

場違いな岩石が示す氷河の痕跡

 過去に氷に閉ざされた時代があったことが知られ始めたのは、ほんの数世紀前のことだ。

 19世紀半ば、地質学者のルイ・アガシーは、場違いなところにある岩やがれきが堆積した地形(モレーン)など、氷河が残した痕跡を記録。こうした調査に基づいて、古代の氷河がそれらを遠くから運んできたのではと考えた。

 そして19世紀末までには、科学者たちは更新世(260万年~1万1700年前)に訪れていた4度の氷河期に気づくようになる。さらにそれから数十年後には、こうした氷河期は想像以上に定期的に繰り返しているのだということを理解しはじめた。

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Image by Roberto/iStock

ミランコビッチ・サイクル

 その解明の大きな契機となったのは1940年代のこと。地球物理学者ミルティン・ミランコビッチが、「ミランコビッチ・サイクル」を明らかにしたことがきっかけとなった。

 それによると、気候が周期的に変動するのは、「公転の離心率」「自転軸の傾き」「自転軸の歳差運動」によって、地球に届く太陽放射(つまり熱)の量が変化することが原因である。

 まず地球の公転軌道は、太陽系の質量の4パーセントを占める木星の強力な重力の影響で、9万6000年の周期でほぼ円から楕円へと変化し、太陽との距離が変化する。 

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ミランコビッチ・サイクルによる地球の公転軌道。実際の離心率とは異なり、楕円であることを強調している

image credit:wikimedia commons public domain
 それから自転軸の傾きは、4万1000年周期で変化する。自転軸に傾きがあるということは、地球の一方は太陽に近く、一方は太陽から遠くなるということだ。

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現在の値は23.4度であるが、22.1度から24.5度の間を変化する。周期は4万1000年

image credit:wikimedia commons public domain
 これが夏と冬を作り出しているのだが、自転軸の傾きの変動はそれぞれの季節をより極端に変化させる。たとえば、傾きが垂直に近づけば、それだけ夏も冬も穏やかになるだろう。

 最後の歳差運動は、回転するコマのてっぺんが円を描くように動いている様子を想像してもらえばいい。そして、これにはおよそ2万年の周期がある。

温室効果ガスが氷河期の到来を最長10万年抑制?

 ミランコビッチは、冷夏を作り出す軌道条件は氷河期の前兆として特に重要であることに気がついた。冬に氷が張るのは当たり前のことだが、氷河期が到来するには、その氷が夏でも解けないまま残っている必要がある。

 じつは氷河期に突入するには、軌道の変動だけでは十分ではない。氷河期を実際に到来させるものは、気候系の本質的なフィードバックというプラスアルファである。

 氷河の形成と融解に影響する環境要因については現在も究明が続けられているが、最近の研究によると、大気に含まれる温室効果ガスが重要な役割を担っているという。

 たとえば、ポツダム気候影響研究所の研究者は、過去に到来した氷河期は、主に二酸化炭素の減少が引き金になっていたことを証明した。

 そして、今起きている二酸化炭素の急増は、次の氷河期の到来を最長10万年は抑制する可能性があると論じている。

References:Why Do Ice Ages Happen? | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 35件

コメントを書く

  1. 氷河期が良いのか、気候の変動も受け止めつつ現状が良いのか。
    どこかに折り合いはあるのか、ないのか。
    とかく「なってみないことには判らない」事が多すぎますね、

    • +6
  2. そろそろなのか、十万年後なのか、どっちなんだい!

    • +3
    1. >>4
      惑星単位で考えれば、十万年後は「そろそろ」の範囲であろう。

      • +13
    2. ※4
      何か「例の紐」をつけた「神様」が言いそうな台詞だな。

      • 評価
    3. >>4
      5万年先に来るはずのものが15万年先になったとかそんな感じ

      • 評価
  3. この自転軸の傾きによって日本の気圧配置が以前より日本海側にずれてるんだよなあ。それによって日本の南側の熱帯化が進んでる。

    • +5
  4. 最後の氷河期の全盛期に、摩天楼とかは建ってなかった・・・はず。

    • -10
    1. ※6
       例え話ですよ。ヴュルム氷期の最盛期にはニューヨーク付近まで氷床が張り出していた、あるいは今氷期になったらニューヨークの摩天楼も氷床の下に隠れる、という意味です。

      • +4
  5. >氷河期と地球温暖化の関係

    どこにも説明されていないのだが?

    • +3
    1. ※7
      確かに温暖化と氷河期の関係がはっきりと書かれてないね。この部分かな。

      >氷河期が到来するには、その氷が夏でも解けないまま残っている必要がある。
      >じつは氷河期に突入するには、軌道の変動だけでは十分ではない。氷河期を実際に到来させるものは、気候系の本質的なフィードバックというプラスアルファである。

      自転軸と公転軌道の関係で、ある時から夏に溶け残った氷が増える→白いので太陽熱を反射→温度が下がる→翌年もっと溶け残る、ってスパイラルで氷河期が始まると言う事。でも温暖化が進んで氷が残らないと、氷河期の最初の一歩が踏み出せない。

      • 評価
  6. 結局人が何やっても地球規模では何も変わってないんだろ

    • +6
  7. 地球を観察していたエイリアン
    「みごとだ!!
    意図的に二酸化炭素を増加させ、氷河期による
    文明の衰退まで10万年もの猶予を得るとは!
    しかも、全地球人が協力し何年も努力した結果なのだ。
    むう、我々は彼らに敵わないかもしれない……。
    侵略をあきらめよう。」

    温暖化が異星人の侵略を防いだことなど
    地球人は知る由もなかった。

    • +1
  8. 陰謀論者ってなんであんなに氷河期大好きなのかな。

    • -4
    1. >>13
      温暖化論者ってなんであんなに二酸化炭素を憎んでいるんでしょうね?

      • 評価
  9. 公転軌道は太陽から離れている間は温度が下がるが近いときはより上がるので相殺される
    影響を受けるほどの軌道でないので関係ない
    地軸の傾きは全然関係ない
    一番怪しいのは発熱源の太陽
    1%でも光量が変化すれば影響は大きい気がする

    • -13
    1. ※14
      ミランコビッチ・サイクルの意味は、地球の固有運動が気候に与える影響だけを説明している。太陽活動の影響は要素として考慮していない。実際に観測結果にその効果の裏付けもある。少しは調べてみなよ。

      本文にもあるが、地球の公転軌道は、約10万年サイクルで、つぶれた楕円軌道と円に近い軌道の変化により、太陽との距離が大きく変化する。それによる気候への影響をとらえている。あなたの言うのはたった1年間の距離の変化のこと。

      ただし、別に太陽活動の周期が全然地球に影響しないなんて言ってないからね。

      • +3
    2. ※14
      そういう単純な一対一対応の話じゃ無くて
      メランコビッチサイクルというのは、地球の公転軌道の離心率と自転軸の傾きの周期的な変化に加えて、自転軸の歳差運動という、数万年から数十万年の周期の運動を組み合わせて出来るサイクルの話で、これが過去の気候変動とよく合致しているというのが分かっているんだ。

      • +2
  10. 映画の「スノーピアサー」みたいな世界は来ないということですね。
    まああの映画は人類が意図的に氷河期にしてたんだけども。

    • 評価
  11. 惑星の画像怖すぎて文をちゃんと読めなかった

    • 評価
  12. ええと、この記事によると氷河期の最盛期には地球上全てが氷で覆われるってこと? それなら温暖化で気温が上がって海面上昇する程度で済む方が、人類を含む全生物に対する被害は小さいよね。温暖化で気候は今よりも荒れるようになるだろうけど、少なくとも生物全てが絶滅する訳じゃないし。

    • 評価
    1. ※21
      スノーボールアースっていう仮説があってだな
      一見すると生物への被害が甚大に思えるけどこの現象が多細胞生物を生み出したと言われている

      • 評価
      1. >>22
        それって現代人にとっても今後ポジティブな効果を与える現象なの?
        ネガティブな効果の方が高くないか?
        だったら温暖化した方がよくね?

        • -2
        1. >>24
          人類は滅ぶけど地球にとっては必要なのかもしれない

          • +2
  13. 個人的に、メランコリックサイクルなら激しく変動してるが

    • +1
  14. 氷河期は日本海が凍り付いてたわけでそれでも人類は生きていた
    周期的にはそろそろ氷河期だから二酸化炭素を出しまくった方が良い事になるな

    まあ、本当に氷河期を失くすなら白亜紀のようにメタンハイドレートを連鎖崩壊させて
    本当の温暖化物質であるメタンの濃度をあげないと無駄だな

    • -1
  15. トランプ大統領「温暖化はフェイクニュース」
    世界「今日も暑かった!」

    • +4
  16. たまたま今年だけじゃねえかなぁ!?

    • 評価
  17. 寒いと待っているのは2つのことだけなんだよ・・・
    温かい冬と熱い夏でいい

    • 評価

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