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メガピラニア、クセナカンサス、キンレア、エウステノプテロンなど、先史時代を生きた10種恐るべき魚たち

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(著) (編集)

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 怖い魚の代名詞と言えば、映画『ジョーズ』に登場する巨大サメだろう。だが、実際に、現代に生きるサメはそこまで攻撃的ではなく、中にはもっとおとなしい仲間だっている。

 その一方、歴史を振り返ってみれば、9メートル近い体で、ほとんどの生き物を真っ二つにしてしまえるヒメハヤがいた。

 あるいは現代のピラニアがただのグッピーにしか見えなくなってしまう古代のピラニアがいた。

 ここで紹介するのは、ホホジロザメやオオメジロザメがかわいくみえてくるかもしれない、先史時代の恐るべき魚たちである。

10. リゾーダス・ヒベルティ(Rhizodus hibberti)

Ancient, Beastly ‘Rhizadont,’ Greatest River Monster of All Time

 シャチほどの大きさで、肉を切り裂く歯がずらりと並んだリゾーダス・ヒベルティ。こいつに比べればサメなどペットのようなものだ。

 淡水で暮らしていながら体長は9メートルに達し、知られているものとしては史上最大の淡水魚である。

 ウバザメやマンタなど、現生の巨大な魚類はほとんどがおとなしいが、こいつの場合はきわめて凶暴。奇襲を得意としており、強靭な筋肉を動かして獲物を急襲する。

 餌食となったのは当時の大型魚類や大型両生類だったが、仮に人間に遭遇していたとしても、あっという間に仕留めたことだろう。

 リゾーダス・ヒベルティの化石は、ヨーロッパや北アメリカの古い湖や川の堆積物のなかで発見されている。

 特に印象的なのは、ずらりと並んだ頑丈かつ鋭い歯だ。個々の歯はアゴ骨にガッチリと固定されており、抜けやすいサメとは対照的である。

9. メガピラニア(Megapiranha)

Megapiranha Bite Simulations at WKU

 ピラニアはカミソリのような歯を持つとはいえ、小さい。が、もしピラニアの獰猛さとサメの大きさが組み合わさったら? まさに悪夢の誕生である。

 そして1000万~800万年前の中新世には体長90センチのピラニアが実在したのだ。こいつを見れば、現代のピラニアがグッピーに見えてしまう。

 面白いことに、ブラック・ピラニアやピラニア・ナッテリー、さらにはメガピラニアも、観賞用熱帯魚としてお馴染みのネオンテトラやカージナルテトラの親戚だ。

 その上顎からは肉食でありつつ、植物も食べたであろうことがうかがえる。現代のピラニアも雑食性であるが、メガピラニアはそれ以上に植物を食べていただろう。

 メガピラニアが最初に見つかったのは1900年のこと。アルゼンチンで発見された。

8. リードシクティス・プロブレマティカス(Leedsichthys problematicus)

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Dmitry Bogdanov / Creative Commons

 ジュラ紀のイワシ缶は15メートルもあったに違いない。中に入っているのは、クジラかと見紛うニシンのような魚だ。

 このリードシクティス・プロブレマティカスは「史上最大の魚類」と呼ばれることがある硬骨魚で、遠目には普通のニシンに思えても、じつのところ多くのクジラや現代最大のサメよりも大きな体をしている。

 化石が発掘されたのはイングランド、ドイツ、フランス、南アメリカ。

 濾過摂食をするために、ギョッとするような巨体にぐわっと大口が開いてはいても、穏やかだ。

 かつて体長27メートルと計測されていたこともあるが、さらなる調査から15メートル程度だろうと修正された。それでも大きいことに変わりはない。

 鰓耙はあまりにも大きく、ほかの種の大型の骨であると勘違いされていたこともある。

7. クセナカンサス(Xenacanthus)

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NobuTamura/Creative Commons

 進化は奇異で満ち溢れている。ユニコーンは架空の生き物だが、かつてはユニコーンのようなサメがいたのである。

 クセナカンサスはデボン紀に出現した原始的な淡水のサメで、2億年前の三畳紀末に絶滅するまで世の中をその幻想的な姿で泳いでいた。

 しかしニッチな存在などではなく、クセナカンサス属の仲間は21種も見つかっている。

 全長は1メートルほど。解剖学的に見ると、現代のサメとはまるで違う。頭からは鋭く目立つ一本角が突き出しているが、一説によるとここにはエイのそれに似た強力な毒があったらしい。

 歯は甲冑魚をかみ砕けるほど強靭で、泳ぐ姿は現代のアナゴを彷彿とさせると言われている。

6. エンコダス・ペトロサス(Enchodus petrosus)

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Dmitry Bogdanov / Creative Commons

 「サーベルの歯を持つニシン」との異名を持つエンコダス・ペトロサスは、後期白亜紀から始新世にかけて生きていた。

 魚屋さんに並ぶニシンやイワシに似ているが、体長1.5メートルと巨大。ギラリと口から覗くサーベルのような歯は5センチを超える。学名のエンコダスは「槍のような歯」という意味だ。

 サケの親戚で、世界中に広く生息していた。先ほどからニシンだのイワシだのと言っているが、実際はサケに近いのだ。

 化石にしてはやたらとたくさんあり、アマチュア古生物学者なら魚というよりは獰猛な哺乳類の骨を発見したのでは? と妄想をたくましくすることだろう。

 仮に泳いでいる人間がこいつに遭遇したとすれば、その俊敏性と強力な顎の力を思う存分体験できるに違いない。

 顎に下向きの角度がついていることから、下方からの襲撃を得意としていただろうことが推測される。

5. キンレア(Chinlea)

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Nobu Tamura / Creative Commons

 生きている化石として有名なのがシーラカンスだ。キンレアはそのシーラカンス目の仲間である。とはいえ、もし一緒に並んだとすれば現生のシーラカンスが可愛く見えてくるだろう。

 1.5メートルという大きな体もすごいが、その頭部はサメのようで、先が細った口に並ぶ大きく鋭い歯は圧巻だ。

 三畳紀に生きた魚で、化石は米アリゾナ州やテキサス州から発見されている。

 総鰭類に属しており、原始的な肺魚や四肢動物上綱(カエルやトリ、そして人間だってここに含まれる)に近いとされる。

 ウロコの頑丈さは注目に値し、尾びれに向かって細まっている体も特徴的。重量は68キロにも達したが、その俊敏な動きと強力な顎から逃れられる獲物はそうは多くなかったはずだ。

4.エウステノプテロン(Eusthenopteron)

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Dr. Gunter Bechly / Creative Commons

 自然はときにまるで兵器のような造形を生み出すことがある。3億7000万年のデボン紀に生きた肉食の総鰭類(そうきるい)、エウステノプテロンがそれだ。

 学名はギリシャ語で「強力に発達したヒレ」の意。非常に攻撃的で、その姿は現代の巡航ミサイルや魚雷を彷彿とさせる。

 化石はカナダのケベック州にあるミグアシャ国立公園で数多く見つかっている。

 体長は1.7メートルと長く、幅広の頭蓋骨に歯がずらりと並ぶ。ついでにアゴも長く、歯は頭の方へ向かってずっと後ろまで続いている。

 尻ビレのちょうど前あたりにある方正中ヒレは、エウステノプテロンの体の中でもとりわけ攻撃的なフィーチャーで、まるで兵器のような見た目と獲物を追跡する加速能力はこれに負うところが大きい。

 合理的な体と異様なほど効率的な筋肉組織を融合することに成功した、当代一の恐るべきハンターだったのである。

3. ハイネリア(Hyneria)

Walking with Monsters – Hyneria hunts down Hynerpeton

 おそるべき総鰭類の捕食者ハイネリアの体長は3.6メートル。この巨体による急襲は、5センチという大きく発達した歯によってトドメとなる。

 頑丈なウロコと信じがたいほど強靭な筋肉によって、その攻撃は水陸の境界すら越えた。浜辺にいるからといって油断するようなうかつな生き物は、腹を空かせたハイネリアの格好の餌食であった。

 最初に発見されたのは米ペンシルベニア州ハイナー村の付近。ハイネリアという名の由来である。

 淡水魚であり、視界の限られた濁った水の中でも狩りをする能力がある。

 両生類や魚類を主な餌としていたが、現代でもなお生きていたとしたら、人にとって危険なことこの上なかっただろう。

2. オフィオドン・オジマンディアス(Ophiodon ozymandias)

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FASTILY / Creative Commons

 先史時代の魚は姿形もバラエティ豊かなのだが、とりわけ興味を掻き立てる奴がいる。それはキンムツの仲間であるオフィオドン・オジマンディアスだ。

 これまで紹介した魚のご多聞にもれず、強靭な筋肉組織と鋭い歯を持つ獰猛な捕食者で、顔はどこか盾を思わせる。

 なんでも飲み込んでしまえそうな大口に噛み付かれたら、容易には逃げ出すことはできない。

 化石が発見されたのは米南カリフォルニアで、それは中新世にまで遡るとされる。

 体長は1.8メートルにまで成長し、自分より大きな捕食者に見つからないようカモフラージュで身を隠しながら、底生生活を送っていた。遺伝的には硬骨魚のアイナメ科に属す。

 進化の歴史を眺めてみると、オフィオドン・オジマンディアスのような大型の種は絶滅し、もっと小さな近縁種が現代まで生き残るというパターンが見受けられる。

1. ピランハメソドン・ピンナトムス(Piranhamesodon pinnatomus)

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M. Ebert / sci-news

 始祖鳥が発見された場所にほど近い、ドイツ南部に形成された石灰岩の堆積層から、硬骨魚の進化の歴史にまつわる驚くべき秘密が明らかになった。

 それは小さいが恐るべき魚で、ピラニアを思わせるその姿と「フィンカッター」と呼ばれる習性にちなんでピランハメソドン・ピンナトムスと命名された。

 もちろん口の中に並ぶのはカミソリのように鋭い歯で、すぐそばからは奇妙な傷のある犠牲者と思わしき化石も発見されている。

 いやらしいことに、ピランハメソドン・ピンナトムスは一種の寄生虫のようところがあったらしい。獲物をすぐには殺さず、ヒレや肉に噛み付いたのだ。

 生息していたのは1億5200万年前のジュラ紀だが、発見されたのは2018年10月とかなり最近のこと。その肉食行動はピラニアとの収束進化の格好の事例として脚光を浴びている。

References:10 Prehistoric Fish That Make Sharks Look Innocent / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 44件

コメントを書く

  1. 彼らにとって幸せだったのは人類と時代が重ならなかったことだ

    • +10
    1. ※2
      ここは弱くとも知恵を持ち集団で狩りをする人間だったらそらもう恰好の飯の種だったろうね。
      特にニシンや鮭に近いのとなると魚卵も危ないw

      • +4
      1. >>7
        15mのイワシ…1.5mのニシン…
        美味しかったら格好の食材だね
        肉食魚は美味しくなさそうだし
        漁網を食い破る上に、うっかり海に落ちた人間を食べそう

        • 評価
        1. >>25
          肉食魚が美味しくない?マグロやカツオやヒラメ全否定になるんですがそれは

          • 評価
      2. ※7
        メートル級の数の子とか、ひと粒が梅干し大のイクラとか、時の彼方に消えた夢の食材があったに違いない。

        • +7
        1. ※30
          メートル級の数の子は重箱におさまらないなw

          • 評価
    2. ※2
      もし重なっていたら、カラパイアの記事も
      美味しい料理法の話になってたでしょうね。

      • +2
      1. >>20
        古代魚がいたらカラパイアは美味しい料理かぁ。それはそれでロマンかも!

        • +4
  2. 全部現存する魚の大型版みたいだね。
    もしこの時代に人間がいたら海には近づけなかっただろうなあw
    逆に餌にされるよね。

    • +2
  3. 15mの魚とかもし出会ったらギョッとしますね

    • +7
  4. そーいや生存が確認されたシーラカンスって今は数増えてるんかな? 水族館でも見られるくらいには数増えてくれるといいなぁ。

    • +4
  5. ここまでのサイズとなると普通にモンハンに出てきても違和感がないな

    • +1
  6. 前々から不思議に
    思ってたんだけど
    なんで古代の生物って

    恐竜にしろ
    魚類にしろ
    植物にしろ

    異常にでかいんだ?
    お互いが天敵だったろうし
    敵がいないから大きくなったとは
    違うと思うんだよな
    何がここまで大きくさせてるんだ?

    • +2
    1. ※9
      基本は酸素濃度の違い

      ・・・やけど一番は人間サマがいないことやろな

      • -1
    2. >>9
      色々な要因があるみたいだけど酸素濃度が高いと大型化するのもあるね、実験でも酸素濃度を上げて飼育すると現代に生きる魚も2倍の大きさになるとか
      あと温度とかねテレビの上に金魚鉢が置いてあった時代の金魚はでかく育った話聞くね

      • 評価
  7. 大型肉食淡水魚の地位は専らワニに取って代わられたが、考えたらワニも総鰭類の子孫だった。鯨類も一時期川辺のハンターを輩出したけど彼らは海に移ってしまった。哺乳類で淡水性の捕食者は今ではカワウソさんくらいか。

    • 評価
  8. まぁ海生爬虫類や哺乳類との縄張り争いの中で弾かれていったんじゃないの?
    巨大種は個体数が少なく大量の獲物を必要とするから環境変化が起きると真っ先に絶滅する種でもあるし。
    結局古代の巨大魚類で生き残ったのは一番原始的な餌のプランクトン食べてるジンベイザメだったってオチだと思う。

    • +3
  9. 彼らの面影残すロマンあふれる巨大肉食魚は結構淡水域に残ってる気がする
    海の超巨大魚類のポジションはクジラにとって代わられてるように思うけど、そういえばなんでクジラは淡水域では栄えなかったんだろう?

    • +2
  10. 結局、人間様にとってはサイズが大きめのご飯にしかならないような気がする。

    • +2
    1. ※16
      縄文人「そらそうよ、沖に出てサメでも鯨でも捕って食うたるわ」

      • +3
  11. 今は存在しない魚たち・・・

    実物を見てみたかったな

    • +2
  12. わい海洋恐怖症、ハイネリア先輩の捕食シーンにちびる

    • +1
  13. リードシクティスの体長は修正されていたのか。残念
    15mだったなら歴代最大の魚類はジンベエザメで、最大の動物はシロナガスクジラか。記事の魚も恐ろしいけど現代も捨てたもんじゃないね。
    自然を守っていかなきゃ

    • +4
  14. 生き残ってない生物ばかりや。タイトル的に、気候環境の変動につよい生物の特徴が知りたかった。

    • 評価
  15. 天敵は巨大甲殻類の ドートンボリ・カニドーラク
    が有名。

    仲間としてフグ科の ヅボラヤ もデカい。

    • +2
  16. ユーステノプテロン という語感が好きだった子供時代

    • +6
  17. メガピラニアっていうからメガロドン並みのサイズがあるかとワクワクしてたら、現生ピラニア最大種の3倍…。

    • 評価
  18. そーいや遥か昔、某英雄のサイトで「エンドリ」っつー
    ヌシ気取りのめんどくさいおっさんがいたなぁ。

    やたらと粘液出して絡みついてくるタイプで迷惑だった

    • 評価
  19. オキアミみたいな海の超優良食物っていつごろから現れたのかね。先史時代のでかい魚って今回紹介されてる、ド級肉食みたいなのばっかりだし。

    • 評価
  20. ヒメハヤってアブラハヤより弱そうじゃん、もっと強そうな名前付けてやれよ。
    アランダユーステノプハヤとかさ。

    • 評価
  21. でかくて強い肉食生物って敵が少なそうでいいなと憧れるけど、種としてが長いことうまくいくかっていうとすごく難しいんだろうな
    どう考えてもトラよりウサギやネズミの方が栄えてるし

    • 評価
  22. 古代魚と言われて
    この記事に出てくるようなのを連想するのが一般人
    現生の魚種が先に出てくるのがアクアリスト
    こないだポリプテルスの化石をお店で見たけど本当に変わらなかった

    • 評価
  23. だいたい絶滅してくれてて良かった!

    • 評価
  24. クシファクティヌスがいない、やり直し

    リードシクティスって、なぜか種小名含めたフルネームで呼ばれること多いよね、何でだろ
    響きがカッコいいからか?ティラノサウルス・レックスみたいに

    • 評価
  25. ドラえもんでのび太が進化退化銃を動物園で乱射したら動物が全部エウステロプテロンになった話があったな

    • 評価
  26. もしタイムマシンで戻れるならリードシクティスとメガロドンとバシロサウルスと古代ダイオウイカは見たいな、見れた瞬間タヒぬかもしれないけどww

    • 評価

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