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アメリカで今も愛され続けているアメリカ最古の絵本『100まんびきのねこ』

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(著) (編集)

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100まんびきのねこ (世界傑作絵本シリーズ)
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 ワンダ・ガアグ(1893年3月11日 – 1946年6月27日)は、アメリカで最も古い児童絵本を作った女性アーティストとして知られている。

 ガアグは、自由な思想をもち、自分の服をデザインしたり、おとぎ話を翻訳したり、イラストを描いたり、リトグラフを作ったりと、多岐にわたって活躍した。

 その絵本は1928年に出版された『100まんびきのねこ』である。

 この絵本はニューベリー賞など、いくつかの賞を受賞し、今も世界で愛され、再販が続けられている。

アーティストの父の遺した最期の言葉

 ワンダ・ガアグが15歳のとき、アーティストだった父親が結核で亡くなり、最期に娘に残した言葉は次のようなものだった。

パパができなかったことを、ワンダならきっと成し遂げられる

 ガアグは確かに、その後も父親の仕事を受け継ぎ、著名なアーティストでイラストレーターになった。

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Kerlan Collection, University of Minnesota/public domain

100まんびきのねこ

 『100まんびきのねこ』は、友人の子どもたちを楽しませるために書いたお話だ。

 文章と絵はガアグ自身が書き、彼女の弟が書いた手書きの文字がそのまま絵本になった。見開き2ページに渡ってイラストが描かれるのは、当時の絵本としては斬新だった。

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 あらすじはこうだ。

とても年をとったおじいさんとおばあさんが、花に囲まれた家に住んでいた。ふたりの生活にひとつ欠けていたものは、かわいい小さなふわっふわの猫。(この猫のモデルは、ガアグの飼っていたヌーピーである)。

そこでおじいさんはかわいらしい猫を探しに遠くへ出かけた。

ところが、1匹どころか、100匹、1000匹、100万匹、10億匹、1兆匹の猫たちがいて、あっちもこっちも猫だらけ。

全部家に連れて帰ると、それは大変なことになった。

しまいにはお互いを食べ始めるように。

最後にたった1匹、一番器量の悪い猫だけが残った。

でもこの子は愛とミルクだけを求め、最後にはかわいらしい猫になった。

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ガアグの編集者のアーネスティン・エヴァンズはこう書いている。

『100まんびきのねこ』は図書館員たちが言うとおり、とても重要な絵本だ。国内外問わず支持されている、

もっとも才能あるアーティストで、アメリカのリトグラファーの元祖であるガアグの絵本ができたということだけでなく、イラストとお話の融合が完璧にバランスがとれているからだ。

そして、心温まるものと道徳面をシンプルに織り込んだ、巧みに練り上げられたストーリー様式が、リズムよく巧妙な文章で語られている。

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今も愛され続けている『100まんびきのねこ』

 この本はすぐにヒットし、アメリカ最古の絵本として、現在でも再販され続けている。当時、アメリカで流通していた絵本のほとんどは、イギリスのものだったのだ。

 この絵本は、1929年にニューベリー賞(アメリカでもっとも優れた児童文学に与えられる賞)を受賞した。絵本が受賞するのはとても珍しいことだった。後に別の絵本『ABC Bunny』でコールデコット賞も受賞したが、『100まんびきのねこ』出版当時はまだ賞が作られていなかった。

 そして現在でも相変わらず、アメリカの児童文学の最高峰に位置づけられている。少なくともお話を覚えている人はもちろんそう思っているだろうが、そうでない人にとっても、再発見する時だ。

 とにかく、この猫たちを見てみて!

 ちょっとシュールだけどすごく面白いんだから!

日本語翻訳版:100まんびきのねこ (世界傑作絵本シリーズ)

References:lithub / ワンダ・ガアグ/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 40件

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  1. イラストもだけど手書きの文字がいい味出てる

    • +8
  2. 写真のガアグさん めっちゃかっこいい

    • +31
    1. ※2
      めっちゃいい顔つきだよね
      関根勤みたいな顔立ちだけど目がすごい力を持ってる

      • +4
  3. 大量の猫が最後には愛しい一匹に収束、
    というのは世の中の猫好きが全ての猫を
    幸せにしたいと願いながらも現実的には
    無理だという事を忘れさせる癒やしなのかな。

    • +15
  4. 童話って国を問わず
    残酷さと慈愛を併せ持ってるよね

    • +32
  5. >1928年に出版された
    1929年に始まった世界大恐慌後の、職を失った人で溢れ返った世相を反映させたのかと思ったら違った。芸術家の鋭い感性がそういう未来を予知したのかな?

    • 評価
  6. 日本には100万回コレキタ猫という名作があってだな・・

    • -11
  7. 実際に可愛くない感じだった野良猫とかでも
    可愛がってると
    見た目的にも可愛くなってきたりするんだよね、
    不思議なことに。

    • +8
  8. あらすじで唐突に共食いしはじめたインパクトが強すぎて他のことが頭に入ってこない・・・

    • +37
  9. 知られていないだけでもっと古いのもありそう。

    • +1
  10. なつかしい
    この本、知ってる人なんているのかと思った、マイナーな思い出

    • 評価
  11. 「自分が可愛い!」って思ってる同士の猫たちが居なくなって、「自分は可愛くないから…」と遠慮していた猫だけが残っちゃうんだよね

    昔、母が読み聞かせてくれたから覚えてた

    • +9
  12. 高校のとき美術部にいた子にそっくりだ
    話し下手でちょっと変わってたけど 絵がすっごく上手だった

    • 評価
  13. 小学校の頃読んだけど、猫が殺し合い始めるところが凄く嫌だった。
    うちにいた猫はとても優しい子だったし。
    今でも龍騎は苦手なんだ。←

    • +3
  14. Wikiに【ディズニー映画版の「つまらなさ、不毛さ、感傷的さ」に対抗する形で「しらゆきひめと七人の小人たち」(Snow White and the Seven Dwarfs)を翻訳し挿絵を描いた】とある なかなか反骨の人らしい

    • +11
  15. お互いを食い始めるってすげえや
    猫好きの私は逆に読めないな…

    • +13
  16. 最後に残ったネコは争いに参加せず物陰に隠れていて助かったんだっけ。
    以前読んだ時に、この話に込められたメッセージは何だろうって悩んだのを思い出した。

    • +12
  17. なんか「蜘蛛の糸」に似てる
    百万匹のカンダタがいるのかな。

    こっちは絵本だから救いを持たせてそうだけど…
    いざとなれば自分も1,000,000匹の中の999,999匹なんだろうと自覚させられるね。

    よさげだ、読んでみる。

    • +6
  18. 愛せる何かはたった一つのしかないって解釈した

    • +3
  19. 単純に気持ち悪いハナシなんだけど、これって支持しないと批難される流れ?

    • -3
    1. ※24
      そういう、他人の意見で自分の意見を左右するような人間にならないように、という教訓がこめられているのが絵本というものさ

      • +8
    2. ※24
      とりあえず、小説でも映画でもそうだけど
      他人が要約したあらすじだけ聞くのと
      実際に見てみた感想とでは全然違うことって往々にあるから、
      気持ち悪いかどうかはまず原作を読んでみては?

      その上でやはり気持ち悪いという感想なら、
      それはそれであなたの立派な感想だ。

      • +13
    3. >>24
      具体的にどう気持ち悪く感じたか、次第じゃね?

      • +1
      1. ※37
        こないだ、埼玉で摘発された猫屋敷で、実際に共食い起きてたんだよねー。
        飼い主が、数が増えすぎてどうにもできなかったので、共食いにホッとしたって自白付。
        それ思い出して気持ち悪い。

        • +2
  20. ああ、思い出した。
    オチの感じがちょっと「青い鳥」に似ていた。
    探し求める究極の理想っていうのは、結局そんなにたいそうなものじゃなく、そこら辺にあるような一見普通のものだったっていう。

    • +5
    1. ※26
      そういう意味では、
      ネタ的に何人かが挙げているけれど
      「100万回生きたねこ」も似たような部分はあると思う。

      古今東西、世界のあらゆる飼い主のもとで
      波瀾万丈な生活を繰り返してもちっとも満足感は得られず、
      あるとき平凡な野良猫で一匹のメス猫とつがいになり
      子供をたくさん育てて老いて死ぬ、
      ただそれだけの人生の中に自分が欲しかった幸せはあった。

      余談だけど、世界で多く読まれている絵本でいうと「はらぺこあおむし」にもちょっとその要素を感じる。日本語の「はらぺこ」だとまだ可愛らしい響きだけど、原題の「very hungry ~」はもっと深刻な飢え感というか渇望のニュアンスまで幅広く使える表現だし、果物に始まりケーキetc.の大量のジャンク菓子まで 食べて食べて食べまくっても一向に飢えは収まらず、しまいには食べすぎで腹痛を起こして泣くハメになり、緑の葉っぱでお腹の具合が治る。甘さも華やかさも無いが、とても美味しかった。そこからは、飢えもなくなり蛹から蝶へと一気に進む。
      葉っぱって、最初に青虫が卵から孵った時そこに在った物。
      母蝶は、ちゃんとそこに卵を産んでいた。

      • +6
  21. 一兆匹とか共食いはあくまで概念なんだよ、実存したのは最初から最後まで一匹の猫だったんだ

    • +6
  22. 共食いのあらすじだけだととても心温まる話には思えないんだが、ここからどうほっこりにもってくのかw
    まあ童話ってのは結構残酷な話も多いけどね

    • +1
  23. 猫の無い人生は、猫ない人生。あれ?
    おもんない。

    • 評価
  24. どうしても想起されるのは『どんぐりと山猫』(1920)における「まるでなっていないようなのがいちばんえらい」と、黄金(きん)のどんぐりが普通のどんぐりになっちまうところ(当作の不戦猫とは逆パターンだが)
    それから第一次大戦後の元祖大量消費社会、アメリカの20年代として。「とても寂し」かった老夫婦が、無尽蔵のカワイイ猫による大混乱に困惑し、思考停止する。というのはそんな時代の空気をうっすらと感じる。と同時に、“何かが止まらなくなる”というのは昔話の普遍的なテーマでもある
    ガアグの、この現代的でもあり普遍的でもある筋立ては上手いなあと思う
    で何が言いたいかというとつまり猫はかわいいということ

    • +2
  25. 絵本だから、絵もアートで「共食い」って部分サラッと流されてるんだろうけど、現実はトラウマレベル。
    埼玉の記事も、ここでは書けない生々しい描写があって、読まなきゃよかったと後悔した。

    • +1
  26. 作者の女性、ジョジョに出てきそうでかっこいいな
    けど共食いを堂々と書いてるのはすごい
    寓話だろうけどハードだね

    • 評価

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