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知ってた?アメリカのエレベーターの「閉」ボタンは押してもほとんど機能しない。その理由とは?

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(著) (編集)

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 エレベーターに乗った時、他に乗ってくる人がいなければ、「閉」ボタンを押して早くドアを閉めようとしたことはないだろうか?

 急いでいるいないにかかわらず、乗ってくる人がいないことが確認できたらつい押してしまいがちな「閉」ボタンだが、アメリカのエレベーターの”閉”ボタンのほとんどは、実際には機能していないという。

 「閉」ボタンはあるものの、押してもすぐに閉まるわけではなのだ。

 ではなぜこんなことになったのだろう?

米国障害者法の規定の為

 ではなぜアメリカの「閉」ボタンは機能しないのだろう?

 1990年、米国障害者法(ADA)が制定されたとき、持ち上げ式ボタンや点字サイン、音声信号を設置するなど、エレベーターの必要条件が定められた。

 このため、エレベーターのドアは少なくとも3秒間は完全に開いた状態にするべしと規定され、それによって”閉”ボタンを押してもその時間は短縮されないようになった。障害をもつ人がエレベーターに乗り込める十分な時間を確保するためだ。

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 エレベーターの寿命はおよそ25年と言われている。障害者法ができてから28年たった現在、稼働しているほとんどのエレベーターは、”閉”ボタンの実質的な機能はないという。

 消防士ならキーを使って手動でドアを強制的に閉めることができる。

 だが、このルールにも例外がある。

 ニューヨークシティのエレベーターは、閉まるのに時間が長くかかったとしても、法律で”閉”ボタンは機能させなければならないとしている。とはいえ実際はとても時間がかかるので、ボタンの有用性が疑問視されている。

機能しない”閉”ボタンでも必要な理由

 アメリカのエレベーター会社には、”閉”ボタンを無効にする十分な理由があるのはわかった。なら”閉”ボタンを取り除いてしまえばいいんじゃ?と思うのだがなぜそのまま機能しない”閉”ボタンがついている。これはなぜだろう?

 実はこれにも理由があるという。

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自分の運命を制御できると思えることでストレスが軽減

 社会に精神衛生をもたらす重要な心理的機能をもつというのだ。ハーバード大学の心理学者エレン・J・ランガー氏によると、「認知制御はとても重要で、閉ボタンがあることで、ストレスを減らし、満足度を高める」という。

 自分の運命を自分で制御できると思えることが重要なのだ。つまり、6階まで早く上がることができると思えれば、心の満足が得られるというわけだ。

 これはエレベーターだけの話ではない。町の横断歩道に設置されているボタンも機能していないことが多いし、多くのオフィスビルのサーモスタットは見せかけなので、実際には温度が調節されていない場合もある。例え数字が変化していってもだ。

それでも人は閉ボタンを押す

 機能しようとしまいと、人は閉まるボタンを押す。それは自分の脳に惑わされている可能性がある。

 作家のデヴィッド・マクラニーはエッセイにこう書いている。

 「もし、なんの機能もない”閉”ボタンを押したタイミングで、たまたますぐにドアが閉まっても、あなたはたぶん気づかないだろう。そう信じ込んでいるものが自分の行動の結果だとわかると、ちょっとした幸福感があなたの脳にどっとあふれてくるからだ。あなたの行為が強く裏づけられたと認識し、これからもボタンを押し続けることになるのだ」

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 ザ・ニューヨーカー誌によると、閉ボタンは、狭い箱の中に足を踏み入れ、ケーブル一本で20階、40階、80階と上がっていく行為から生ずる無意識の不安を軽減するよう設計されているという。

 「エレベーターの設計は、”騙すこと”が根底にある。自分の乗っている箱が数本のロープだけで吊り下げられているという厳然たる事実だけでなく、乗っている人が命令することのできないシステムに束縛されている事実を感じさせないようにするということだ」

アメリカ以外では?

 イギリスではほとんどの”閉”ボタンは完全に機能しているという。エレベーター・エスカレーター業界団体の広報は、すべてのエレベーターに”閉”ボタンがあるわけではないが、あるならそれは機能しているという。またボタンを押してからドアが閉まるまでの時間は、エレベーターによって違うらしい。

 日本の場合はというと、一般的なエレベーターの場合、ドアが開いているのは約4~5秒。閉ボタンは機能し、その間に押せばそれが優先されるそうだ。

 ただし車いすが乗りやすいように配慮されている、車いす専用のボタンがついているエレベーターの場合、車いす専用ボタンが押されると、ドアは約10秒開いた状態になるという。

References:nydailynews / nytimes / mentalfloss/ written by konohazuku / edited by parumo

追記:2018/06/29の記事を再送してお届けします。

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この記事へのコメント 72件

コメントを書く

    1. ※1
      ゾンビ用のエマージェンシーボタンの開発がいそがれるよね!

      • +7
  1. とても興味深い。
    ボタンが機能しない理由もそうだけど、機能しないのにボタンをつけることにちゃんと理由があって。
    たしかにボタン自体がないとストレスになりそうだ。

    • +31
  2. 映画で逃げてるときに押してもすぐに閉まらないのにちゃんとした理由があったとは…

    • +112
    1. ※3
      必ず「カモーン!カモーン!」って焦ってますよねw

      • +26
    2. ※3
      とろいシーケンスのエレベーターだな!って思ってたら
      元々そういう仕様(直ぐに閉まらない)とは
      アメリカでゾンビ災害が起きたら、エレベーターに乗ってはいけない
      一つ賢くなった

      • +2
  3. アメリカには障害者をエレベーターのドアでペチャンコにしようとする人達が居たと言う事か…日本に生まれて良かった。

    • -90
    1. ※4
      そうならない様にという予防という考えはできないだろうか?
      つまり、そうしてない国の方がおかしいんだと

      別にそんな酷い人が多数沸いたからって訳じゃないと思うんだけどね

      • +5
    2. いや一瞬※4と同じ解釈したけどw閉は中の人が操作するわけだから
      確認した上で押すわけでわざとじゃなきゃ危なくないでしょってことで
      でもうっかり押した場合にすぐ閉まると危ないってことなのね

      以前駆け込んできた人がいたから開押そうとして間に合わなかったら
      挟まれた人がずっとこっち睨んでたなあ、スルーしたわけじゃないぞ

      • +1
  4. この横断歩道のボタン押しても変わるの遅いし、放っておいても変わるから役に立ってねえなって思ってたあれやっぱり無意味だったのか。それでも押さないと変わらんのもあるし困ったもんだ

    • +5
    1. ※5
      場所によっては、昼間は機能せずに夜だけ押しボタン式、とかなんか色々バージョンあるんじゃなかった?

      • +6
    2. ※5
      そのへんは交通量とかによって設定されてるんじゃないかな。

      • +1
  5. なるほど
    機能しない”有給”にも当てはまるな。

    多くの会社の有給は見せかけなので、実際にはほとんど取得されていないけれど。
    数日でも取得できれば、自分の運命を制御できると錯覚することで、
    ストレスが軽減されるとは、まさにまさに。

    • +31
  6. まさに普通に暮らしても、ちょっとしたことで控訴が普通に起きる可能性のある社会ならではの理由だな

    • +1
  7. エレベーターに車イスの人が乗り込んでくるのを何度も見てるけど、いつも無関係な誰かが「開」のボタンをそっと押している。そんな社会なら問題ないんだけどね。

    • +28
  8. ATMの通帳記帳時の印字音も待ち時間のストレス回避のためにワザと出してるって聞いたけどマジなん?

    • +11
  9. PS2のクロックタワー2の大学エレベーターが、ハサミ男が目の前に来てるのに、早く閉まらずに「あ、あ、あ”ぁ~」と変な声が出たわ。

    • +5
  10. 似た事例を思い出そうとしてるけどこんなにも思いつかないとは・・・。
    タラちゃんが歩くときに音がなるのは全然違うしなあ

    • +5
  11. 数軒だけの経験だけど、スペインのホテルのエレベーターには閉ボタンがなかった

    • +8
  12. 機能してないなら取ってくれ、馬鹿にしてるのか。

    • -22
  13. 3秒以下では閉まらないって設定にするんじゃダメなん?

    • +2
  14. これは知らなかったーー
    人間の心理とか思い込みってすごいんだね

    • +10
  15. 近所の横断歩道のボタンもこんな感じだよ
    意味ねー

    • +2
    1. ※23
      横断歩道のボタン式のとこは細道から幹線道路に出る要はこっち側からの通行すごく少ないよねってとこにあって押さないと歩行者側青にならなくない?
      横の車道に車が待ってるとセンサーで一定時間後に渡れるようになるけど、歩行者のみでボタン押さずに立ってるといつまでも変わらなかったような気がするんだ。

      • +1
  16. 覚えてる人もいると思うけど、昔どれだったか忘れたけど大ヒットドラマで、「◯階建てのビルのエレベーターで(中略)一番押されたのはどのボタン?」「答えは《閉》」というセリフがあった。

    考えてみると、今は《開》のほうが多く押されてるかもしれない。
    みんなの、ちょっとした心遣い。
    まあほとんどの場合、《開》を押し続けたところで別に大して役にはたってないと思うけど、「お先にどうぞ」のジェスチャー。
    日本人は口で言うのは照れるからね。

    • +11
  17. 急いで乗ってこようとする人がいるから気を利かせて開ボタン押そうとしたら、間違えて閉ボタン押してぺしゃんこにしたことが二回ほどある

    • +27
    1. ※25
      開と閉間違えて押した結果、遅れてきた人をはさんじゃうならまだしも、その遅れてきた人の鼻の先でちょうど閉まるタイミングになって、相手の目を見ながらまるで「ククク、貴様など乗せてやるものか」ってやってるみたいになっちゃったりね

      • 評価
    2. ※25
      「開」「閉」ボタン、ユニバーサルデザインとして問題があるともう何十年か言われてるんだけど、変えられてないのよね。変えようがないのかもしれないが……

      • 評価
  18. おおお~、そういうわけだったのかー!
    ニューヨークで働いてるけど、職場のエレベーターの閉ボタン押しても反応鈍いから、いつも不思議だった。
    押す人もほとんどいない。
    この記事で謎が解けた。

    • +11
  19. 「閉」ボタンは飾りっていうのもあるみたいね
    (ただの壁にシールみたいに貼ってあるだけ)

    • +2
  20. アメリカのエレベーターには
    向かい合った三角形マークのボタンはあっても
    「閉」ボタンは無いぞ。

    と、1人ぐらいは書き込んでるとおもったのにな。

    • -5
  21. どこかのまとめスレで見たんだが、とある米国のエレベーターの場合、
    ”閉”ボタンは貼り付けてあるだけで、全く機能してなかったそうだ。

    • +3
  22. 友達が怪我で入院した病院のエレベーターは閉まるの早かった
    なんといっても健康な人間が乗り込もうとして挟まれたんだから
    あれ松葉杖や車椅子の人は「開」押しておいて貰わないと挟まるぞ…

    • +4
  23. 業務用だと延長があるんだが
    閉押さないとしばらく閉まらないという
    誰もいないのに開きっぱなし
    他階層で呼んでもこないという

    • +2
  24. アメリカの「閉」ボタンが機能しないのは、何かの事故が起きた場合の責任問題になりかねないからだと思った。訴訟大国だから。

    • +10
  25. 物流現場のエレベーターでは開延長を押した後「閉」を押さない馬鹿が居ると大変なことになる

    • +5
  26. イタリアはおっきいホテルでたまーに閉まるボタンあるかも?程度。

    • +3
  27. 日本の場合の障碍者向けパネルだとゆっくりになるのは知ってた。
    たいていの人は知らないらしく、乗り込んできて低く奥の位置にある障碍者向けパネルで目的階を押す人多い。
    なのに手前で障碍者向けパネルの閉を連打してるので、たまに言いたくなる…「そのパネルで操作すると、いつもの倍扉が開くように設定されているし、扉の開け閉めのスピードがゆっくりになるんですよ(機種による)」って。

    • +6
    1. ※38
      お~い、オマエ察する能力が欠けてるぞ。
      ソレは知らないんじゃなくてな、
      日本人は相手を押しのける事をしない性質を善としているんだから、通常ボタンの近くに居るお前が押せよってせっつかれているのに、
      ボケ~っと別の勘違いをしている人間が突っ立っている状況だぞ。

      • -14
      1. ※44
        >障碍者向けパネルで目的階を押す人多い
        >目的階

        これを察する能力持ってたらすごい事だぞ

        • -1
      2. ※44みたいにもしかすると本気で信じてる人がいるかもしれないから書くけど、
        一度障碍者向けパネルを押すと、「ドアを開けておく時間、開閉にかける時間、どれも2倍以上になる」機能は通常パネルのボタンを押しても解除されない。

        だから通常パネルを操作しても無意味。
        閉まるわずかな時間も惜しくて閉ボタンを連打するような人間が障碍者向けパルを押すのは矛盾している。

        • +2
  28. 映画で悪役から逃げるのにエレベーターに入ってボタンを連打している場面があったなあ

    • +3
  29. これもある種のポリコレに当たるんかね
    気を回した結果、意味消失してしまい形骸化。まさに今世界中で行われている事だのう
    町内の公園の遊具とかね

    • -6
  30. 閉所恐怖症気味の人が結構沢山いるのかな?

    • +1
  31. たしかにw
    緊急で必要になるのは「開」ボタンだから
    咄嗟に間違えないためにはいいんだろうな

    • +1
  32. そういえばこちらの閉ボタンは押しても閉まらないけどアメリカだからそんな風に適当にできてるんだと思ってた。
    確かに閉まらない。だから閉ボタン押さなくなったし、他の人も押さない。
    日本へ帰ったときにアメリカと同じような気分でいると、後ろからすごい勢いで閉ボタン押されてびっくりします。

    • +2
  33. この、「精神的安寧のために」取り付けておいたダミーの閉じるボタンがとれちゃった!
    って映像がどこかにあったね。

    • +2
  34. ナイスな機能だけど、もし不審者に追い掛けられてエレベーターで逃げようとした場合追い詰められてアウトかも

    • +3
  35. アメリカにおった頃エレベーターで話しかけられるの面倒だった

    • 評価
  36. まあ日本でもわざわざ閉めるほど急がなくてもいいと思うけどねぇ
    秒単位で急いで生きると疲れるよ

    • -1
  37. おれは上階(下階)で待ってる人たちのためにも、なるだけさっさと「閉」ボタンを押すがね。

    • +3
  38. エレベーターで誰も乗ってこないので閉じるボタンを押してんだけど全然閉まらなかった
    変だなと思いつつ車椅子用のボタンを見たらババアが開くノボタンを何度も押しながら
    「閉まらないわ」ってブツブツ言ってやがったよ…

    • 評価
  39. 周知しないと不測の事態で生存確率が下がるね・・・
    ゾンビはどうかと思うけど、津波で逃げる場合など一秒が重要な場面はあるし
    それがきっと、そのエレベーターの最初で最後の存在意義(たぶん壊れるだろう)にもなる
    そういう意味でエレベーターの地位と名誉のために仕事をさせてあげて欲しい

    • 評価
  40. 人が乗り込み終わったから押すのに
    特に車椅子用のボタンなら車椅子の本人が押したんだろ

    • -2
  41. そこまでやるなら、ついでに階数ボタンもダミーにしておけ、各駅停車でw

    • 評価
  42. シンドラー社のエレベーターは事故が多かったよな

    • +1
  43. 上で書いてる人がいるけど閉まるボタンよりも開くボタンの方をより多く押す暮らしを心掛けたいなと思った。

    • +1
  44. ドイツのエレベーターには閉めるボタンがそもそも存在しなかったわ

    • +1
  45. 開を押して待っていてやろうとすると相当な高確率で押し間違えて慌てて押し直す。
    いったいあれは何故なのか。

    • 評価
  46. そういえば閉ボタンの配線が無いんだっけ

    • 評価
  47. つぎの乗れよと思うくらいどんどん乗り込んできてブザーがなるまで駆け込んでくる
    隣にエレベーターがきてそちらはこちらで誰が降りるかゴタゴタしてる間に上がっていった

    • +1
  48. ホラー映画のパニックシーンにも合理的な理由があったんだな

    けど消防士の強制閉鎖キーって何のためにあるの?エレベータ立抗を火道にさせないため?要救助者を立ち往生させないため?

    • 評価
  49. 1秒間に16連押しできたら閉まるシステムに

    • 評価
  50. 健常者用のボタン押して待ってるとたまに後から来た人が車椅子用のボタン押すことがあるんだけど
    あれもしかして車椅子用押しとけば早く来るとか思ってるんだろうか

    • 評価

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