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現在も地球の軌道を周回する危険な8の物体

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(著) (編集)

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 今日、地球の軌道上には少なくとも50万個(70万個にも達するという試算もある)の物体が漂っている。

 そのうち2万1000個は10センチ以上の大きさであり、宇宙旅行や地上の生命にとって危険極まりない代物となっている。それらの多くは人工衛星同士が衝突して発生した破片だ。

 現在、稼働している人工衛星は約1700ほどあるが、稼働していないものは約2600もある。それらはミッションを完了したか、故障したかでそのまま放置されているものだ。

 また稼働していない人工衛星のうち30機は原子力を利用しており、核廃棄物が漏れ出すリスクもある。以下では地球の軌道を周回している危険な10の物体を見ていこう。

1. SNAP 10-A(原子力宇宙船の実験機)

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References:wikipedia

 1965年、米国が打ち上げたSNAP 10-Aは、これまで米国が打ち上げたものとしては唯一の核分裂式衛星である。原子力宇宙船の実験機であり、500ワットを発電できた。その主な目的は、宇宙空間における核分裂炉の挙動を確かめることだ。

 残念ながら、原子炉は43日間しか稼働しなかった。そして1970年代になると機体は分解を始め、およそ50個のデブリが生じる結果となった。

 この間、放射性物質が宇宙空間に放射された可能性は極めて低い。だが原子炉は現在、地上から約1万3000キロの軌道を漂っている。衝突などがなければ、今後4000年はそのままあり続けると考えられている。

2. コスモス1818(ロシアの原子炉搭載人工衛星)

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References:space

 1987年、ソ連(現ロシア)は原子炉「TOPAZ 1」を搭載するコスモス1818を打ち上げた。海洋偵察衛星として設計されていたが、残念ながら5日だけ稼働した後、機能停止に陥った。

 1978年、類似の人工衛星が大気圏に突入し、カナダ上空で放射性物質を撒き散らしたことがあった。コスモス1818はこうした事故を防ぐために高高度軌道へと打ち上げられたが、それは衝突の可能性が高まることでもあった。

 何かに衝突すれば、汚染物質の地球への降下を加速させるだろう。人工衛星から放出された物体や液体の一部は放射性があり、現在も軌道を漂っていると考えられている。

3. コスモス1867(ロシアの原子炉搭載人工衛星)

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References:enacademic

 こちらも1987年にソ連が打ち上げた人工衛星で、1818の双子の兄弟である。しかし1867の場合は11ヶ月間作動した。

 兄弟と同様に高高度軌道に存在したため、繰り返し照らされる太陽の熱によって壊れてしまった。その結果、原子炉の冷却チューブにひびが入り、液体金属を宇宙空間に放出した。

4. コスモス1900(ロシアの原子炉搭載人工衛星)

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References:csmonitor

 RORSATミッションで用いられた制御式アクティブ衛星(Controlled Active Satellite)である。1987年にソ連によって打ち上げられたが、最初からトラブル続きで、予定していた巡行軌道に達することすらなかった。

 ロケットブーストで軌道を修正しようと試みるも、徐々に高度を失った。1995年、NASAは1900から漏れ出たと考えられる放射性液体物質の雲を特定。この漏出は他の人工衛星と衝突したことが原因である可能性が高いとされている。

5. 人工衛星衝突によるデブリフィールド

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References:aerospace

 人工衛星の衝突によって地球軌道には巨大なデブリフィールドが形成されてしまった。デブリフィールドは複数の破片であり、衝突の確率を高めることから、人工衛星単体より危険な代物だろう。

 いくつかの大型衛星との衝突がすでに記録されており、宇宙のゴミ問題をいっそう深刻にしている。

 2009年、イリジウム33(Iridium 33)とコスモス2251(Kosmos 2251)が、高度800キロという低軌道において時速4万2000キロで衝突した。2機の人工衛星はどちらも破壊され、1000個もの10センチ以上の破片がばら撒かれた。

 うち半数は現在までに燃え尽きたが、いく度か衝突が起きている。この衝突は、2007年の中国政府による意図的な破壊と相まって、軌道上の危険な物体の数を2倍にもしたと推定されている。

6. 国際宇宙ステーション

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References:nasaspaceflight

 国際宇宙ステーション(ISS)は、その大きさゆえに最も危険な物体の一つである。何らかの衝突が生じれば、ケスラーシンドロームが予測する宇宙デブリによる最悪のシナリオが発生しかねない。

 つまりISSが何かと衝突すれば、衝突の連鎖反応によって大量のデブリが発生するかもしれないのだ。デブリがそのまま増え続ければ、やがて我々は宇宙での活動を何世代にもわたって諦めねばならなくなるかもしれない。最近でも、2017年にISSから物体が外れ、ISSに衝突するリスクを生じさせた事例がある。

 ISSはそこで働く宇宙飛行士にとっても危険だ。酸素生成装置、二酸化炭素除去システム、環境制御、中央コンピューター、電気系、ソーラーパネル、アンモニアの漏れなど、いくつかの問題がこれまでも発生してきた。そのいずれかが致命的な事故につながれば、ISSはただちに地球に落下したり、他の人工衛星と衝突したりする深刻なリスクに変わってしまう。

7. ハッブル宇宙望遠鏡

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References:independent

 ISSほどの大きさはないが、やはり最大級に危険な代物だ。万が一、ハッブルが人工衛星やデブリと衝突してしまえば、それによって生じた破片によって宇宙デブリ問題は一気に深刻化する。

 1990年、ハッブルはチャレンジャー号の事故で数年遅れた後に、ようやくディスカバリー号に搭載されて打ち上げられた。現在、それは制御された軌道に乗っておらず、地球へ向かって落下している。

 ハッブルの素材は非常に強く高密度であるために、大気圏で燃え尽きない恐れがある。大気圏に突入すれば制御不能のまま地上に落下するだろう。それは現在から2040年までに起きると推測されている。

8. エンビサット(地球観測衛星)

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References:spacesafetymagazine

 エンビサットは2002年に打ち上げられた地球観測衛星である。当初の計画より5年長く運用されたが、欧州宇宙機関は2012年に人工衛星とのコンタクトを失った。これが今、ケスラーシンドロームの脅威を突きつけている。

 エンビサットは2度ニアミスを起こしている。その重量が8200キロであることを考えれば、衝突が起きようものなら大惨事となり、衝突の連鎖反応によって回収がほぼ不可能なほどの破片が撒き散らされることになるだろう。

 推定ではエンビサットは今後150年は地球を周回し続けると考えられており、それゆえに衝突のリスクも高い。エンビサットを除去する宇宙船の開発が検討されているのもこのためだ。

 これは宇宙開発の最大の皮肉の一つであろう。地球環境の健全性を理解するために作られた人工衛星が、その軌道で最大のリスクを生じさせているのだ。

written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 53件

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  1. そういえば中国の人工衛星は落ちたの?
    つーか、原子力を搭載した人工衛星なんてよく打ち上げる勇気があったもんだな。

    • +10
    1. ※1
      こっそりいつの間にかチリ沖に落ちてたよ。

      • +6
  2. >稼働していないものは約2600もある。それらはミッションを完了したか、故障したかでそのまま放置されているものだ

    ほーん…宇宙の謎シリーズは昔から大好きなんだが、これらも気になるな。

    • +3
  3. デブリの掃除屋をテーマにしたアニメが有ったが、リアルでそういう職業が必要になると思う。しかも国際的なデブリの掃除団体が必要だろうね。JAXA が提唱したワイヤー等を引っ掛けて減速させる方式も興味が有るが、多数のデブリ群には対処し難いと思うので、高出力のレーザービームを当てる手法が良いかも?と個人的には思う。レーザーを当て続ければデブリの軌道を変える事もできると思うし、地球に落下させる手法が取り易くなると思うので

    • +11
    1. ※5
      某ガンダムのようにせいぜい月までの世界で戦争やってたら、戦時中も時々休戦してデブリ除去してたり。
      終戦後捕虜をボロボロのモビルスーツに乗せ、デブリ除去作業のため抑留するという陰気なストーリーが頭に浮かんだ。

      • +4
      1. ※14
        ファーストガンダムに「ジャンク屋」ってのは出てきたろ?
        それがそうだよ。
        宇宙空間に漂う残骸を回収して、色々再利用したりするのがお仕事。
        中には趣味でワーカーをガンダムタイプに組み上げて、ジオン残党に狙われたりする事も。

        • +2
        1. ※20
          …それファーストじゃなく、ZZじゃね…?>ジャンク屋
          まぁ確かに詳しい描写は無かったが、アムロの親父さんは『ジャンク屋の2階』に住んでたが…

          デブリ回収しようにも結局費用とか技術もそうだが、それぞれ飛んでる速度も範囲もメチャクチャだから、尚更難しいらしいな。

          • +1
        2. ※20
          それSEEDアストレイだから。
          ガンダムSEEDの外伝(本編よりも長続きしてしまっているけど)

          • -5
  4. 巨大な網を仕掛けて流れてくるデブリをさらい取れたらいいのになー。鍋のアク取りみたいな感じでさ。

    • +4
    1. ※6
      さらう時にその道具がまた壊れて新しいデブリになる
      ネジ一本が秒速数キロで飛んでる世界よ
      一個一個相対速度を計算して合わせなきゃ危険極まりない

      • 評価
  5. 全然関係ないけど、ハッブル宇宙望遠鏡をフルサイズカメラに付けたらどんな絵が撮れるんやろ?と、考えてみた。
    口径:2.4m
    焦点距離:57.6m
    過焦点距離:F22で約45.3km
    ん~全然イメージ出来ないw

    • +2
  6. えー、ハッブル…落ちてくるの?
    全然知らなかった。

    • +13
    1. ※8
      まだ最短でも10数年は余裕があって、その間にきちんと予算をつけて再加速とかのミッションができればなんとかなるはずなんだが、問題は今のアメリカでその予算がつくのかというところかなあ

      • +5
  7. ゼンカモンのロケットもこのリストに追加されそうだな

    • 評価
  8. 映画「ゼロ・グラビティ」も人工衛星同士の衝突によるデブリで大事になってましたね。
    かといって衝突しても壊れないくらい頑丈な人工衛星を作ると今度は大気圏の再突入でも燃え切れずに…ってなる。

    • +1
  9. 「高高度軌道に存在したため、繰り返し照らされる太陽の熱によって壊れてしまった。」
    イカロスじゃ有るまいし高高度軌道だからってたいして太陽に近くない

    • -9
    1. ※11
      太陽光が当たる面は摂氏300度を越えますよ。

      • +6
  10. 何らかの原因で人類が宇宙へ脱出しようとした時にデブリによって脱出不可能になる未来になりそう

    • +9
  11. もう衛星は凧揚げみたいに紐つけとこう

    • +9
  12. デブりの掃除っつーとプラネテス思い出すな。

    ホント、網みたいので一掃出来れば良いんだがな…そうもいかないところが悩ましい。

    • +11
    1. ※15
      ふと思い付きだけど、衝撃吸収型の強粘性ジェルを1mくらい積み上げる方式の捕獲器を使えば、かなりのデブリでも捕獲できそうな感じがする(プラネテスでも、確かそんな描写が有ったな)。それでも、10cm以下クラスまでかなぁ?それ以上の物は処理に困るだろうね、実際。弾丸並みのスピードで飛んでいるデブリが相手だからね。

      • +6
  13. 衛星は基本打ち上げっ放しだもんなぁ
    今度は既に落ちたものも特集して欲しいな

    • +5
  14. ISSも延長されなければ、2024年にお役ゴメンだからなぁw
    中国とは違って、ちゃんとコントロールしながら落とすんだろうけどねw

    • +1
  15. 前向きに考えると宇宙に加工済みの資材が用意されてるって事だね。
    回収しまくって工場衛星の材料にできるね。

    • +2
    1. ※27
      レーダー衛星作ろう

      機械の性能が悪いから、良く見えないな

      じゃ、低く飛ばせばいいんじゃね?

      太陽電池板の空気抵抗が、意外と大きいな

      じゃ、太陽電池板止めて原子炉使うか。

      • +1
  16. ふと疑問に思ったんだが、これだけバンバン宇宙に打ち上げて大丈夫なの?
    何れも間違いなく地球上の物質から作られてるわけで、打ち上げるほどに地球が軽くなる
    どんどん地球が軽くなったら、そのうち太陽の引力との拮抗が崩れて軌道が変わって大惨事になりそうとか素人考えで思うんですよ

    もう既に遥か宇宙の彼方に飛んでいってしまったり他の惑星に突入して二度と地球に帰ってこられない衛星も沢山あるわけで…心配ですわ

    • -2
    1. ※28
      地球の質量に比べたら微々たるものですし、それ以上に落ちてくる隕石の質量のほうが多いと思いますよ。

      • +3
    2. ※28
      二つの理由で大丈夫だと思われる。
      一つは、地球表面から得られる資源の量なんぞたかが知れてるって理由。
      もう一つはわかりにくいが、ある物体が地球の周回軌道を回ってるってことは、その物体が地球の重力にとらわれてるということなので、地球の重さは変わらないって理由。

      • +4
    3. ※28
      マジレスすると、地球全体の質量から比べると無視できるレベルだと思います。何故なら…隕石などにより地球自体の質量も少しずつ増えて行っているはずですし、地球自身の潮汐力による自転へのブレーキや、月による地球の自転や公転への影響の方が遥かに大きいと思えるからです。実際に数億年前には、地球と月の間の距離は現在の半分くらいだったし、地球の1ヶ月の日数も数日単位で違っていたというのですから、多少の違いは吸収されて問題なし…という事になると思います。安心して大丈夫だと思いますよ。

      • +3
  17. 地球には宇宙からかなりの量のチリなどが毎日落ちてきているので、人工衛星程度を何千機打ち上げても、地球が軽くなりすぎることは心配しなくても良い。

    • +3
  18. 国際条約かなにかで、燃料が0.5%をきったら制御落下させる枠組み(強制力)が必要かもな。
    打ち上げにコストがかかるので、どうしても燃料や太陽電池の耐用年数、あわよくばそれ以上の年数、使い倒したいのが人情なので。

    • 評価
  19. そんなに衛星あるんだ…
    ちっちゃいゴミは地上からレーザーで焼き払えそうだけど
    でかい衛星はホントにぶつからないでって祈りつつ技術の発展を待つしかなさそう

    • +2
  20. 危険な物は自然の隕石よりも人工のゴミの方か・・・地上と変わらないな。

    • +5
    1. ※36
      原子炉と核弾頭はまったく違いますよ
      衛星が落下して核物質がバラ撒かれるのも大きな被害には違いないけれど核爆発とは比較になりません

      • 評価
  21. たしか、宇宙望遠鏡に使っている鏡って、ベリリウム結晶(猛毒)を磨いたものだったような…。

    • +1
    1. ※37
      ハッブル望遠鏡は、普通のガラスの鏡を使ってるよ。

      • +1
  22. ちょうど昨日ゼロ・グラビティを見た俺にはタイムリーすぎる記事

    • 評価
  23. 原子炉打ち上げるのホントやめてほしい…

    • +1
  24. では、クローズ・プランを開始しよう

    • 評価
  25. 子供の頃に見た特撮ヒーロー番組で、不死身のロボット怪人がどうしても倒せないので衛星軌道上まで射出してしまうという手で解決した回があって、その作品の世界ではあの怪人は未だに宇宙を回っているのかなぁとかたまにふと考えてしまう

    • +2
  26. しかし、だ
    宇宙開発で人類が生存圏を作らねばならない時に考えねばならないのは核燃料をはじめとして稀少資源をどの様に確保するかだ
    ウランの様な重元素を宇宙で採掘するのは難しい
    衛星軌道上のデブリを再利用する事はコスト的にも時間的にも節約になるだろう

    • 評価
  27. ジョジョのカーズはこの中に入らない?

    • 評価
  28. 捕獲は難しいよね、1cmのプラスチックの破片で10cm厚のアルミ壁に穴が開くような世界の話だし。
    まとまってる大きなものなら速度合わせて回収出来そうだけど、ぶつかるとデブリ増やす危険もあるから非現実的。
    やはり強力なレーザーとかで細かくして地球に落とすしかないのかな?開発されたらだけど
    衛生軌道上の核のゴミとかどうする気だったんだろう?そして今後どうする気なんだ?後付けでパラシュートつけて落とすとか?

    • 評価
  29. これからの宇宙開発は中国が主導する事が明らかになってるから、際限の無いデブリの発生とか、利己的な開発に対して懸念する科学者も多いよね。
    かと言ってアメリカでもNASAですら予算が無くて、民間企業の開発依存度が高まる一方だから、アポロやスペースシャトルみたいな金食い虫プロジェクトは二度と無いだろうし。

    • 評価
  30. 地球の脅威になるのって
    結局人間じゃん

    • +1
  31. いらないものは地中に埋め、いらないものは宇宙に残し
    人間の浅はかな行動がいつか自分たちに返ってくる

    • +1

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