大きく口を開け、苦悶の表情をする古代エジプトのミイラ。王族の墓に埋葬されていた約3000年前のものとされるこのミイラは「正体不明の男E(Unknown Man E)」もしくは「叫ぶミイラ(screaming mummy)」と呼ばれている。
シープスキンに包まれ、足の爪をヘナで染めあげている叫ぶミイラは、いったい誰なのか?なぜ苦痛に叫びながらミイラとなったのか?
その謎が解明されたようだ。
Screaming Mummy Mystery May Have Finally Been Solved
異様な方法でミイラ化された「叫ぶミイラ」
おぞましい形相の「叫ぶミイラ」は長いこと学者たちを悩ませてきた。このミイラはデル・エル=バハリの王族の墓に再埋葬されたが、他のミイラとは違い、上質の麻の包帯ではなく、シープスキンでくるまれていた。
これは、古代エジプト人から不浄だと思われていた証拠だ。どうやら彼は正式なやり方でミイラにされたのではないようだ。
手足が革紐で縛られていて、樹脂を口の中に流し込まれ、ただ放置されて、ナトロンで乾燥させられたと思われる。
image credit:.wikipedia
叫ぶミイラの正体はラムセス三世の息子、ペンタウアー王子
その後の研究により、「叫ぶミイラ」の正体は第20王朝のラムセス三世の息子、ペンタウアー王子であることがわかったそうだ。「正体不明の男E」のミイラとラムセス三世のミイラの骨からDNAを抽出したところ、父と息子の関係であることが確認できたという。
首のまわりについていた吊るした跡は、ペンタウアーが絞首刑になったことを記す後宮の陰謀に関するパピルス文書の説明と一致する。
ペンタウアー王子は暗殺に加担したため絞首刑に?
ミイラの辱しめられた状態や埋葬方法を考えると、ペンタウアー王子が父王ラムセス三世の暗殺に加担した陰謀者とみなされていた可能性はある。ラムセス三世への反旗は、王の二番目の妃ティイと息子ペンタウアーが企てたという。加担した者の中には、軍の司令官、兵士、宮殿の召使、後宮の女たち、魔術師なども含まれていた。
パピルス文書によると、陰謀者たちは捕えられ、裁判の手続きがとられたが、そこにはラムセス三世が殺されたのかどうかは記されていない。ただ、"王室の船が転覆した"と書いてあり、"偉大なる神"としての王についてふれているだけだ。
ラムセス三世の死の謎
数年前より、「エジプトミイラ・プロジェクト」を開始した著名なエジプト学者のザヒ・ハワスは、プロジェクトの一環としてラムセス三世のミイラが詳しく調査した。ハワスによると、ラムセス三世はアテローム性動脈硬化に苦しんでいて60歳くらいで亡くなったという。首の付近を詳細に調べると、王は先が鋭く尖ったダガーのような武器で首を後ろから刺されていることがわかった。
・古代エジプト王「ラムセス3世」は暗殺者によって殺された?科学技術で3000年の謎が解明される : カラパイア
軟組織の傷の大きさは35ミリ、深さは第五推骨から第七推骨の下まで達していた。傷は食道、気管、血管まで首の構造全体を破壊していた。
CTスキャンで、王のミイラには変わった護符がつけられていたことがわかった。首の傷縁にホルス神の目を表わすウェジャット・アイのお守りが挿入されていた。
このお守は守護と癒しのシンボル。ホルスとセトの戦いで傷を負い、トト神によって奇跡的にしたホルスの目だ。
遺体の処置をした者は、死後の世界で王の傷が治癒するよう、お守りを傷口に入れておいたのだろう。
スキャンによって、ホルスの4人の息子を表わす4つの護符が、胸の包帯の中に入れられていたこともわかっている。ミイラを守ためだろう。
References:english.ahram / thesun / outerplaces/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
おじさんはこの記事を読んだら何か数十年ぶりに
「ピラミッドソーサリアン」を遊びたくなりました
2. 匿名処理班
許されざる者
3.
4. 匿名処理班
前の王であるラムセス2世はいまだヨーロッパの英雄だけど
この後の3世以降無茶苦茶で、もし生きていたら嘆くだろうな
3代で国滅ぶとか言われてるが、この暗殺も国家衰退のひとつに
つながったのだろう
5. 匿名処理班
『叫ぶミイラ』についての話は前半で終わってるんだね
主題がブレててちょっと分かりにくいかも
6. 匿名処理班
「エンダァァァァァァイヤァァァァァァァァ〜」
たまたま熱唱中にミイラになった説を提唱したい
7. 匿名処理班
もっと反り返っておったらイナバウアーやな!
8. インチキおやじ
禁断の刑『ホムダイ』は実在していた!?
…ではなくても、そんな狼藉を働いた人を
なんでミイラにしたんでしょうね?
本文どおり、不浄なる罪人はこうなるという
見せしめなのかな〜
9. 匿名処理班
むしろ反逆罪犯してもミイラにはしてもらえるんだな、と。重罪人は死後の生活も奪うために遺体粉砕されるかもしれないと思ってた。重罪人でもミイラにしたのは彼が王族だから?
10. 匿名処理班
ツタンカーメンの乳母のネフェルティティーも不遇だったらしいねえ…
この前NHKでやってた番組で西島秀俊と松嶋菜々子が言ってた。
11. 匿名処理班
ミライの王様がミイラに!
12. 匿名処理班
それでもミイラにして残すんだな…
罪人でも王子だからなのか見せしめなのかはわからないけど、忌まわしい奴の死体なんか灰も残してたまるか!って方には行かないんだな
13. 匿名処理班
※5
同じことを思った。
結局何故こんな苦悶の表情でミイラ化したのか(されたのか)よくわからないし。
絞首刑でこの表情に固まったとはあまり思えず、
あらっぽいミイラ化の為に(無理やり口を開かせて樹脂を流し込んだ、とか)ならまだ納得だなあとか。
14. 匿名処理班
※13
タイトルによる先入観でそう見えるのかもしれないけど
普通の遺体はこうして勝手に口が開いちゃうものだから
閉じるように処理がしてなければみんなこんな顔になるよ
15. 匿名処理班
※12
古代エジプトの宗教だと火葬などで遺体を破棄した場合, 帰るべき体を失った魂が強力な悪霊となって祟りまくる・・・
となっていたような記憶があります。
16. 匿名処理班
職業・ファラオ
渡航目的・防腐処理のため
パスポート支給
17. 匿名処理班
イ”〜ム”ボ〜デップ
イ”〜ム”ボ〜デップ
18. 匿名処理班
魂は口から出入りするので、口に樹脂を流し込んだのは死者の魂が元の体に戻るのを妨害するため
つまりあの世での死者の居場所を無くすための嫌がらせって何かで聞いたな
19. 匿名処理班
※14
腐っても王族だから悪霊になられたら溜まったものじゃないって観念があったのかね?
日本でも似たようなケースあるな。
20. 匿名処理班
これは多分、「産まれ変わっても貴様を許さない」って呪いなのかも知れないですね。
或いは、産まれ変わる事すら許さない、って。
21. 匿名処理班
苦悶したわけじゃなくて、死後皮膚が乾燥縮小して口が開いてしまっただけだと思うのだがな。
22.
23. 匿名処理班
※12
古代エジプトの法律で
王と王配。その子供ら(王族)は、死後ミイラにして埋葬する ときめられていた。
王族からの追放がされなければ、重犯罪者といえどもミイラ化する必要があった。
ラムセス三世が王族通報礼を出せなかったので、ミイラ化するしか無かった
24. 匿名処理班
(ミイラ出演中)と注記は助かるけどサムネ画像がバッチリ☆ミイラだから意味がないと思うの
思うのぉぉぉぉ(´;ω;`)ぶわっ
25. 匿名処理班
湯殿山麓呪い村
26. 匿名処理班
※6
俺は石化魔法ごっこの最中を推すわw
27. 匿名処理班
※4
ラムセス2世とそれ以降は特に関係はないらしいよ。王朝も違うし。(第19と第20)
28. 匿名処理班
処刑されたから苦痛の顔なのか
29. 匿名処理班
来世でも、辱めを与え続ける、ということか。
30. 匿名処理班
この王子はラムセス三世の息子でない疑惑もあるから廃絶すら生易しい!って
ラムセス派の神官から永久的な罰を与えられたんだろう
死後も神々の支配する黄泉で苦痛に涙します様にって
31. 匿名処理班
母のティィは処刑されてないよね
息子だけ?なんかよくわからない
32. 匿名処理班
※1
わかる、超わかるw
33. 匿名処理班
取りあえず正体不明じゃなくなって良かったね
34. 匿名処理班
タンスの角に足の小指をぶつけて落命したのかと…
35. 匿名処理班
あの頃のありがちな政治的なことで冤罪で殺したけど、処刑を命令したお偉いさんが呪いが怖くて一応はミイラにしちゃいました
みたいな感じかと思った
36. 匿名処理班
※12
「王子だから」(神につながるラーの息子=半神だから)、だと思う。
実際、当時のエジプトの死生観は中世ヨーロッパ(ジャンヌ・ダルクあたり)と同じく、肉体が保存されていることが輪廻の絶対条件だったそうで、火刑(しかもそののち遺灰をばらまいて分散させる)は魂も人格も消滅させる最も残酷な刑だった。
今はネットで「いかに変な情報を残さないようにするか」に躍起だけれども、昔は自分が存在していた証を残すことは難しかったから、みな魂がつながっていくことをとても重要視していたらしい。
だから、数千年前の人にとってはもっとも恐ろしい刑罰だっただろうと思う。
ただ、ミイラ化はさせても「手足を縛って不浄の生き物の皮で包み、来世を謳歌できないよう徹底的に名を消す」というのは仮によみがえってもあれだ、アランポーの「早すぎた埋葬」状態になるようという企図な気が…。
ただ、高齢のラムセス2世にはすでに壮年の皇太子(しかも5番目だかなんだか)がいて、末席の后であるティイとペンタウアーは結局、寿命前に悲惨な死を迎えることは免れなかったと思われる。
ちなみに裁判もかなりぐだぐだで、暗殺に関わらない裁判官も必死な女官に篭絡されたことで極刑を受けていたりする。ファラオ暗殺後のごたごた期にこれらの指揮を執ったのは誰だったんだろう。
37. 匿名処理班
ミイラを作る様を、メリケンゲームくらいのリアスさで音声有りで再現して欲しい
展示会場で
38. 匿名処理班
カノポス壺とか罪人ミイラでもあるのかな?
あったところでアヌビスに心臓喰われるルートだが
39. 匿名処理班
「俺達は死なねぇー!」
「俺達は死なねぇー!」
「俺達は、死なねぇんだぁー!」
40. 匿名処理班
※36
これ偉大な二世じゃなくて名前だけラムセスにあやかった全く別の三世絡みの話だろ?
41. 匿名処理班
不確定名:screaming mummy 確定名:Prince Pentaur
実物って凄まじいね
これは間違いなくエナジードレインしてくる雰囲気
プラス即死ブレスとか使ってきそう
解呪もレジストしそう
そして倒してもパーティは呪いで次々倒れ同じような容姿に変貌、もちろん生還後に町中で
すごいなー