この画像を大きなサイズで見る古くは古代ギリシャ時代にまでさかのぼるほど長い歴史を持つ顔を覆うためのマスク(仮面)。その用途は、主に防護や衛生目的のものから、儀式、美容、懲罰用など様々だ。
ここでは歴史的なマスクのうち、奇妙で奇抜なデザインのものを、その使用目的を踏まえながら見ていくことにしよう。
10. 土食症患者用マスク
この画像を大きなサイズで見る土を食べてしまう異食症の一種、土食症は16~19世紀の奴隷たちの間では比較的一般的な症状だった。多くは西アフリカの習慣に由来しており、そこでは各種の土が取引されるほど広く見られる症状だった。
しかし奴隷の所有者の目には不健康なものに映り、医師もうつ病、胃痛、浮腫、食欲不振などの原因になると考えていた。そこで”財産”である奴隷を守るために、これを禁じるためのマスクが考案された。
ほどほどの土食が有害であるかについて、きちんとした見解の一致はない。奴隷は蒸し暑い危険な環境でも装着を義務付けられたゆえに、このいわるゆる”治療”は拷問以外の何者でもなかった。なお作物を食べさせない意図もあった。
9. ローリー夫人のトイレマスク(美顔用)
この画像を大きなサイズで見るハンニバル・レクターのような外見は、厳然とした不気味さを醸し出しているが、邪悪なマスクではない。
このトイレマスクは美白効果を謳った1890年代の美容製品である。考案者であるローリー夫人はこの発明品の特許まで取得している。
それによると、これを装着したまま眠ると、発汗によって「毛穴が開き、血行もよくなるため、皮膚が柔らかく綺麗」になるらしい。現代人からすると、顔がふやけて湿疹が出そうだ。
8. スプラッターマスク(戦車操縦士用マスク)
この画像を大きなサイズで見る一見すると中世の拷問器具か何かに見えなくもないが、第一次世界大戦中、カンブレーの戦いで戦車の操縦士が保護のために着用したものだ。
当時の戦車はまだ黎明期にあり、現在ほど快適なものではなかった。移動速度は歩兵と変わらず、頻繁に故障し、重火器を喰らえば破壊された。
したがって中にいる操縦士は、砲火の標的となり、それで破壊されなくとも銃撃で生じた破片などにさらされる危険が大きかった。重火器以外の兵器が命中した時でも操縦士の顔目掛けて鉛片が飛んでくることがあった。マスクはそうしたものから顔を守る最後の砦である。
巨大な戦車と不気味なマスクを被った操縦士を目の当たりにしたドイツ軍は、最初は恐れおののいたことだろう。ところが、戦車が鉄くずに過ぎないことが分かると、今度は嘲笑し始めた。ドイツが独自の戦車を開発したのは、戦争もずっと後になってからのことだ。
7. 乳児用ガスマスク
この画像を大きなサイズで見る大人のガスマスクですら不気味だが、赤ちゃん用のものはさらに怖い。両大戦で作られた乳児用ガスマスクはどちらかというとスクーバダイビングか宇宙服のヘルメットのような見た目だった。
快適そうには見えないが実際にその通りだ。マスクを使用するには大人は手動式のポンプで空気を送り続けねばならなかった。緊急事態にはそんな余裕などないだろう。
当時は犬用のマスクもあった。犬でさえ戦場に赴く準備がされたのだ。
この画像を大きなサイズで見る・第二次世界大戦時代の軍用犬とガスマスクの歴史 : カラパイア
6. デスマスク
この画像を大きなサイズで見る死んだ人間の顔を石膏で型取り、死に顔を残すという習慣がかつて存在した。歴史的には非常に一般的なことだったのだ。
デスマスク作りは古代から見られ、20世紀まで続いた。これは彫刻のモデル、法医学的用途、宗教的儀式、単なる記念といった目的で作られた。一般には医師が鋳型作りを担っており、死後、数時間以内(膨張や死後硬直が始まる前)に行われた。
そうした死を扱った医師たちのおかげで、私たちはナポレオン、リンカーン、ベートーベンといった歴史に名を残した人物の死に顔を目にすることができる。
・死後晒しにあう。歴史的著名人17人のデスマスク : カラパイア
だが最も有名なのは「セーヌ川の身元不明少女」かもしれない。
この画像を大きなサイズで見る彼女は1880年代にセーヌ川で見つかった溺死体だが、そのデスマスクはフランスの上流階級でも人気の絵画モチーフとなり、やがては心肺蘇生法を練習するダミー人形のモデルともなった。彼女は命を落としたが、そのおかげで救われた人が大勢いるのかもしれない。
5. アレクサンダー・ペデンのマスク
この画像を大きなサイズで見る1663年、ある長老派教会の牧師が政府に追われる身となった。聖職者が一体何をやらかしたのか? イングランド王チャールズ2世が長老制を廃止した時、彼は説教を止めるのを拒み、主教制教会の司祭は牧師全員を認めるべきだと主張したのだ。
ペデンは法に背き説教を続け、それが当局から治安を乱しているとみなされ、スコットランド最大のお尋ね者の1人となった。
役人から逃れるため、ペダンは一計を案じた。彼の顔はすでに割れていたので、布にヒゲや歯をあしらったマスクで変装することにしたのだ。
驚いたことにこれはしばらく功を奏したのだが、それ以上に驚くのは、人々が奇妙な悪魔的風貌の人物が語る説教を抵抗なく受け入れたことだ。
しかし1673年、ペデンはついにお縄となり、10年余を刑務所で過ごした後、アメリカに追放された。だが結局はスコットランドに帰還し、人目を忍びながら亡くなった。
4. 恥辱のマスク(刑罰用)
この画像を大きなサイズで見る恥辱のマスク(Schandmaske)は、17世紀と18世紀のドイツで行われた一種の刑罰に用いられた。噂話、下品なジョーク、無作法といった社会のルールを破り、このマスクの着用を強制された人を見れば、目撃者はさぞ嫌な気分になったことだろう。
重たい鉄のマスクは体にも堪えただろうが、主な目的は違反者を嘲笑うことだ。それゆえにデザインはひどく滑稽で、罪の内容が連想できるものになった。
この画像を大きなサイズで見る例えば、長い舌は噂好きであること、豚のような鼻は下品であることを表した。息をするたびにピーピー鳴るものもあった。
ついでに晒し場に繋がれて、通行人の嘲笑を浴びることになった。マスクの中には鉄片で着用者の舌を押し付けるようなものもあった。ドイツはイギリスの「叱責のくつわ(scold’s bridle)」から着想を得たようだ。
3. 昔のハロウィンマスク
この画像を大きなサイズで見る最近では可愛らしいものも増えたハロウィンのマスクだが、70~100年前の人たちが想像力を駆使して手作りしたものは不気味感がすごい。
布や紙で作ったマスクはいびつかつ原始的で、最も可愛らしいものでさえ、現代人から見れば不吉なものを感じざるを得ない。しかもそれが写る写真は色あせたモノクロ写真であるために、より一層不気味さが醸し出されている。
・悪夢以外の何物でもない。古い時代の狂気に満ちたハロウィンコスプレ : カラパイア
当時の人たちは、ハロウィンの仮装とは恐ろしいものというお約束をまだ忘れていない。何しろ、その目的は、地上を徘徊するアンデッドを追い払うことなのだ。
2. ヴィザード(Visard)日焼け防止マスク
この画像を大きなサイズで見る16世紀のうら若き女性は、おそろしい黒いマスクをして躊躇いもなく外出した。ベルベット生地のヴィザードは皮膚を日光から守り、ついでに神秘的な雰囲気を演出するためのものだ。
口の部分の裏側には小さな数珠がついており、女性はこれを噛んでずれないよう抑えた。寡黙になるため、一層ミステリアスさが醸し出されただろう。
これを好む一部マニアックな男性もいたことだろうが、当時の作家フィリップ・スタッブズは、仮面の女性に出会えば「怪物か悪魔にでも遭遇したように思うだろう。顔は一切見えず、ガラス付きの2つの穴の向こうに目が見えるだけ」と記している。
この画像を大きなサイズで見る17世紀になると娼婦が連想されるようになり流行も下火となった。
1. イロコイ族の偽顔結社マスク
この画像を大きなサイズで見る大抵の土着文化には宗教や儀式に用いるマスクがあるものだが、部外者の目には、その多くが素晴らしくも恐ろしく見える。
しかしイロコイ族のヒーラー集団である偽顔結社(False Face Society)が着用するものほど威嚇効果のあるものはない。
マスクは単なる木彫りのマスクなどではなく、精霊の生きた化身であると考えられている。したがって”御神体”の世話には厳密に定められた作法がある。例えば、時折油や動物の脂を塗ったり、とうもろこし粥を食べさせたり、タバコで燻したりする。
部外者に公開されることはないが、ヒーラーはマスクを着用し、病人の体に宿った悪魔のパントマイムをすることで、それを祓うのだそうだ。
written by hiroching / edited by parumo
















ドイツはWW Iですでに自国製の戦車を実戦投入してるぞ。イギリスの後追いだけど。
テッセヴー テッセヴー おしゃべり女の舌を抜けー
※2
サイコメトラーEijiネタ呟こうとしたら先に書かれててワロタ
あの舌長面はインパクトが強すぎた……
※2
そっちよりもコータローの方思い浮かべた
ヴィザードはマユリ様ではないですか!
ペスト医師のマスクがあるかと思いきや、なかったでござる
この手の話題ではあまりに定番すぎて殿堂入りかしら
※3
あの謎の鳥はそれだけでインパクト凄いよね
つい先日心肺蘇生法の講習を受けて、セーヌ川の少女のお世話になりました。
興味深かったので「あわせて読みたい」過去の記事も参照したが、まったく同様の記事だった。仮面のセレクトもほぼ同じ…。もっと他にこういうの無いかな
やっぱりエドゲインのマスクが一番不気味だわ
福岡のにわかマスクが
最後のマスク、みうらじゅんのいやげものにありそう
東北の民芸品テイスト
100年後にはスリップノットのマスクも紹介されそう
ヴィザードマスクの外出用マスクとしての可否はさて置いて
歯で噛むのは口元のたるみ防止になるから
美容的効果はあったかもしれない
>>ドイツが独自の戦車を開発したのは、戦争もずっと後になってからのことだ。
ドイツの戦車乗りも同じようなマスクしてたようですよja.m.wikipedia.org/wiki/A7V
ヴェッセンが使ってそう
面白いのが古墳時代でそれまで結構意匠を凝らしたデザインの物が
一気にシンプル過ぎるモノになる。
しかしそこから鎧の面辺りから芸能に移り能面に至るまで再進化を遂げる。
どうも古墳時代の辺りは専用の職人のような物が不足していて
その影響もあるそうだが。
デスマスクと言えば随分昔夏目漱石展で漱石のデスマスク直に見たが、何故かトラウマになった…
他の有名人(?)のはそんなこと無かったんだが…妙な思い出。
ペストがないのは意外だった
流石に「ガイ・フォークス」のマスクは無かったか。
2番のマスク…絵画の方はホントに日焼け防止に使ったとしたら酷い事になりそうだ
偽顔結社とはなんともそそられるネーミング!
仮面を見た外部の人からの呼び名かな
ヴィザードマスクの涅マユリ感
恥辱のマスクがアレフに見える。
※25
アルフだね懐かしい
同じこと思ったわ
そういえば、日本の戦国武将の具足にある仮面のことを、「悪魔のような仮面をつけて」と書き記していた宣教師がいたような。
黒人奴隷のものは土食文化。土食症とはまったく違いますね。当時の白人医師がどう考えていたかは別として。
くだらない駄洒落を言う奴には恥辱のマスクをつけさせよう(提案)
※28
ミネラル補給だよね
恥辱のマスク、装飾がいっぱいでオサレを感じてしまうわ。
鼻フックとかで良かったんじゃなかろうか
全体的に怖いのに最後のは謎の東北っぽさがあって和んだ。
一番最後が、高田純次かちびまる子の親父に見える