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ヒトとチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」は100年前に実験室で本当に作られていた!?高名な科学者の発言に物議

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(著) (編集)

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 1920年代、あるアメリカ人科学者がヒトとチンパンジーを掛け合わせた「ヒューマンジー」を作り出す事に成功したという噂がある。

 1970年代の鏡を使った自己認識実験で知られる著名な進化心理学者、ゴードン・G・ギャラップ博士は、大学の教授から彼が所属していた研究室で問題のハイブリッド(交雑種)が作られたという話を聞いたことがあると発言している。

 フロリダ州オレンジ公園内に設立された米国初の霊長類研究センターで実施された1920年代の試みの中では、最も興味深いものの1つだったという。

メスのチンパンジーが人間の男性の精子で妊娠し出産?

 ギャラップ博士がサン紙のインタビューで語った話によると、メスのチンパンジーを匿名の人物の精子で妊娠させ、それどころかきちんと妊娠期間を経た末に出産まで至ったというのだ。

 このような実験が本当に行われ、成功したと考える理由はないし、むしろそんなものはなかったと考える方が妥当だ。

 しかし著名な研究者がこのような発言をしたおかげで、古い噂が再び取り沙汰されるようになった。

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ゴードン・G・ギャラップ博士 image credit:albany.edu

良心の呵責を感じた科学者らはヒューマンジーを安楽死させた

 現在、ニューヨーク州立大学オルバニー校で教鞭をとるギャラップ博士は、ヒューマンジー実験に関与した科学者たちが良心の呵責を感じるようになるまでそう時間はかからなかったと述べている。

 「ものの数日か数週間のうちに、関係者は道徳や倫理について考え始め、子供は安楽死させられた」とギャラップ博士は語りつつ、彼の指導教授はそれが本当のことだと語っていたと付け加えた。

 「彼は『噂は本当だよ』と言っていた。ちなみにその人は実績ある科学者だよ」

 本当だろうか? ギャラップ博士の主張を反証することはできないが、この話にはいくつも不確かな点があり、それが疑わしさを醸し出している。

果たして本当にヒューマンジーは誕生していたのか?

 まず時系列の問題だ。ギャラップ博士の言う研究所は当時ヤーキーズ全米霊長類研究センター(Yerkies National Primate Research Center)と呼ばれていたが、それが作られたのは1920年代ではなく、30年代のことだ。

 創立者は心理学者・霊長類学者のロバート・ヤーキーズであるが、彼は優生学を支持していたために学会と軋轢のある人物であった。

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ロバート・ヤーキーズ image credit: Wikipedia

 研究所がこの名称で呼ばれるようになる前、そこはイェール霊長類生物学研究所や類人猿繁殖実験ステーションといった呼び方をされていた。ギャラップ博士が言及したのはおそらく後者だろう。

 ギャラップ博士はその教授の名を明かしていないが、過去にも彼から聞いた打ち明け話を語ったことがある。

 それは2009年の某ドキュメンタリーでのことで、彼は教授から出産に立ち会ったことも打ち明けられたと発言している。

 「それがあったとは言っていない。あったという噂が昔からあると言っているんだ」

 これに関する記事はウィキペディアから削除されてしまっているが、いくつかのネットフォーラムに記録が残されている。

大学院生時代にある年配の研究者から彼が実験チームの一員であったことを打ち明けられたとギャラップ博士は主張。ギャラップ博士はさらに、その人物が打ち明け話を心から真実だと思い込んでいると感じたが、博士本人がその真偽を確かめることはできなかった

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1920年代に誕生したとされるヒューマンジーと思われる写真 Photo by: Wikimedia Commons

かつて他国で行われていたヒューマンジー実験

 ことの真偽は定かではないが、嘘だったとしても、科学者によってヒトと猿の掛け合わせを作ることが可能なのかどうか調査されたという報告はこれが唯一のものではない。例えば、ソ連と中国の両国でそうした試みが行われている。

 ロシアの生物学者イリヤ・イワノビッチ・イワノフは1920年代に同様の実験を試みたが、人間の精子でメスのチンパンジーを妊娠させることに失敗した。

 後になって、今度は人間の女性をオランウータンの精子で妊娠させようとしたが、オランウータンが死亡したために中止となった。

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イリヤ・イワノビッチ・イワノフ

 中国では1960年代にその可能性が追求されたが、こちらも失敗に終わった。

最も有名なヒューマンジー「オリバー」は純血のチンパンジー

 さらに世界で最も有名なヒューマンジーの事例はヒューマンジーではないことが明らかになっている。

 それはアフリカから米国に連れてこられたオリバーという名のチンパンジーで、ヒトとチンパンジーの混血の”ミッシングリンク”ではないかと当時は推測されていた。

 容姿が人間のようで、直立歩行が可能だった上、人間と交流することが好きだったからだ。

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オリバー君 image credit: Wikipedia

 しかし1996年の遺伝子検査により、正真正銘のチンパンジーであることが明らかになっている。

 結局のところ、ギャラップ博士の主張は限りなく黒に近いグレーであり、それを真実であると立証することはできない。

 人間と類人猿のハイブリッド。とても興味深い話であるがヒューマンジーを誕生させることでどんなメリットがあるというのか?

 我々は想像力を働かせてSFの世界だけでそのハイブリッドの様子を観察していったほうが良いのかもしれない。交わりあわなくたって異種のままそのままを愛し、受け入れることができるのだから。

※冒頭の画像はイメージであり、「猿の惑星」という映画に登場する進化した猿 References:thesun / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 64件

コメントを書く

    1. ※1
      それだと必殺技がチンパンチになるがええんか…

      • +24
  1. 人間の身体能力にサルの知能になる可能性があるんだよな

    • +17
    1. ※2
      アインシュタインとマリリンモンローの話みたい

      • 評価
    2. ※2
      今の世の中それっぽいのはたくさんおるな

      • +2
  2. そんな大昔の事誰も責めたりしないんだから正直に言っちまえや

    • +2
  3. 「そういえば聞いたことがある・・・」
    「知っているのかゴードン ! 」

    • -2
  4. 100年前じゃ無理だけど、今の技術なら本当に出来てしまうかもしれない

    • +13
  5. もしも科学者が人工的にキメラを作るなどの手法を使用して誕生させるのではなく、本当に自然交配でもし交雑可能だとしたなら、われわれはチンパンジーに人権を与えなければならないだろう。それは、人間という種とチンパンジーという種が同一であるという証左であるからだ。

    • +5
    1. ※7
      ヒトの染色体は46本(23対)、チンパンは48本(24本)。これでは正常な受精・発生が行なわれない。仮に人工授精(別に自然交配させる必要はない)で受精卵が得られたとしても、途中で発生が止まるだろう。もし正常に発生が続いたら、そちらのほうが興味深い。というより驚異だ。フランケンシュタインの誘惑にかられる。

      • +6
      1. ※14
        染色体数が異なっていても交雑種を形成することはあるよ。
        たとえばギースはヤギ(60本)×ヒツジ(54本)だ。
        それどころか、染色体数が異なってもF1以降も繁殖可能(孫世代をつくれる)だと知られている種もある。
        たとえば、家畜ウマ(64本)×モウコノウマ(66本)などがその例だね。
        更にいうなら、同種間でも染色体数が異なるものもいるよ。
        身近なところならニホンジカ。
        基本は68本だけど、65~68本まで多型がある。

        どのような場合で交雑可能かってのは、1つの条件(染色体数が同じかどうか、など)で決められるものではない。
        だから、チンパンジーとヒトで交雑できるかどうかは専門家でも「わからない」としか言えない。
        でもまあ、仲間内では「できるんじゃないかな」「試したやつはいるだろうな」って酒のんで言ってるね。
        酔っ払いの戯言だけど。

        • +22
        1. ※27
          ただ残念なのは人間とチンパンジーはヤギと羊ほどには近くないというか
          (ヤギ・羊は中間のどっち分類にしたらいいのか曖昧な奴すら存在するし)
          相当大昔に枝分かれした存在ってか原猿類の頃に祖先が一緒だったってだけだから
          交配可能な染色体数違う同士の例は参考にならないってことだ
          人間とチンパンジーで交配が可能な場合、まず先にゴリラとチンパンジーで交配ができてないとならない(まだそちらの組み合わせの方が系統的に近いので)
          ってくらい可能性皆無なのが

          • +2
          1. ※55
            ※27です。
            ギープを例に挙げたのは最初に思いついたもので染色体数が2対以上違うものだったからだよ。
            系統の遠さも気にするならウマ(64本)とシマウマ(44、62本)のゾースがいい例になるんじゃないかな。
            ヒトとチンパンジーが500~700万年前、ウマとシマウマは450万年前。
            推定された年代にばらつきがあるけど、変異の頻度は大体同じ。
            だから可能性皆無ではない。
            あやしいなぁ、ってとこ。
            絶対ないとは言えない、あるかもしれないと思わせるこの微妙さがにくいよねぇ。

            • +6
  6. そもそも今の人類自体、一度チンパンジーと交わっている可能性が高いという話を超有名な進化遺伝学者から聞いたことあるんだが、、、、。タブーすぎて発表できないんだと。

    • +7
  7. ラバが存在するくらいだから、科学的~とか難しくしなくても、通常の交尾で実現できそう。
    ジュウシマツと文鳥でも生まれるし。よろしくないこととは思うけれど、好奇心に負ける
    のも解る気がするなあ。

    • +4
  8. ゴリラに胸板がキュンキュン…これくらいなら許す。
    (胸板な胸板)

    • +3
  9. もし妊娠・出産をしても、染色体とかどこかしらが正常でない気がするし、誰が幸せになるの?って疑問しかない。

    • +11
  10. なんかそういえば昭和の頃、オリバー君っつたかな?”人間とチンパンジーのハーフ”とかいう触れ込みの類人猿が話題になってたなあ。
    で、TV番組で日本のイカレた女が混血の子供を産んでみたい!とか言って種付けに出かけていって門前払いを食ってたような・・・?
    結局あれはどうなったのかな?

    • -3
  11. ギャラップ博士の写真がヴェルタースオリジナルの爺さんにしか見えん。
    「ヒューマンジーもまた特別な存在だからです」とか言いそう。

    • +6
  12. なんか映画の「猿の惑星」がリアルで成立しそう。猿の言葉をしゃべれない裸のサルは劣等種として飼育されてる世界。コーネリアスは人間が実験で作り出したんだっけ?

    • -1
  13. チンパンとヒトの祖先が交配していたって話、
    ヒトのY染色体が消えるかもって話をここで耳にしたけれど、それとは関係ないのかな?
    未来今のY染色体の男性が消えて別の染色体を消費し始めるそうだが……。

    • +1
  14. 馬(染色体64本)+ロバ(62本)=ラバ(63本)
    欠陥は、繁殖能力がないってことくらい

    • +5
  15. ヒトクローンは絶対どっかやってると思うけどコレはどうだろうね?
    軍事転用できるまで行くのにかなり壁がありそうだね

    • +4
  16. 受精が可能なのかどうかも解らないけど、受精させる事よりその後(着床して細胞分裂して胎児まで成長出来るか)の方が難しいだろう事は想像出来る
    ボノボとチンパンジーは交雑していたみたいだけど、人間は種としては少し遠い気がするからなあ

    • 評価
  17. 社会に出るとわかると思うが、すでにあいつらかなり人間社会に浸透してるぞ。
    声がデカくて言葉が通じなくて文字が読めなくて縄張り意識が強くてマウンティングが大好きなやつがそれだ。
    主に大企業の部課長クラスとかに多い印象があるな。

    • +10
  18. 白人と黒人、アジア人など人種で差別が止まないのに
    ハイブリッド種なんて生み出してどうすんだ

    • +6
  19. 異種のままそのままを愛し、受け入れることができるなんてすごい
    爬虫類とも交尾しそうだな

    • -1
    1. ※34 そこが生き物のしぶといところ。

      • 評価
  20. 「人間か?猿か?オリバー君」と思ったら出てたw
    今思うとピグミーチンパンジー、後のボノボだよなw

    • 評価
  21. >良心の呵責を感じた科学者ら

    だったら最初から作んなよ

    • +6
  22. 地球人は猿とミミズの有機化合物。

    • 評価
  23. 「サン」て新聞版のムーみたいなもんだから

    • +3
  24. やたらピューと縦笛に執着したりするとか?

    • 評価
  25. 科学者はそんなに人類の天敵を自ら作り出したいのか

    • +2
  26. オリバー君て芸を仕込んだチンパンジーの毛を剃っただけじゃ
    もしかした生まれつき毛の薄い個体だったのかもしれんけど

    • 評価
  27. 人間は他の類人猿のネオテニー(幼形成熟)と聞くし、オオカミやキツネを飼いならすと犬のようなネオテニーになるから
    チンパンジーを代々人間に慣れるように(頭いいから難しいと思うけど)交配させていけば、いずれは人間に近いチンパンジーになるのではなかろうか

    • 評価
  28. SFというよりムーの世界やね
    ちょっと荒唐無稽過ぎて古いネタ

    • -1
  29. できるものならとっくに誰かやってるよ

    • +2
  30. 俺の知ってる人は「アウト」とか「ファール」とか
    叫ぶぞ!「プレイボーイ?」とか自信満々に言うし。

    • 評価
  31. 今の技術なら無理では無いでしょ
    金かけてやるモノ好きが居ないと実現しないだろうが…

    • 評価
  32. 人間側にメリットがあるとは思えない実験だよな。

    • 評価
    1. ※62
      宇宙のランデヴーというSF小説に出てきた雑用をしてくれる作業員としての存在ならそれなりに有益かもしれない

      • 評価
  33. 染色体数がそもそも違うから無理じゃないか?人に最も近いのは豚らしいがそれでも数が違えば交配は出来なかったはず

    • -4
  34. 猫耳の美少女が存在する可能性を俺が見出しました。

    • 評価
  35. もしほんとに作っていたら
    罪悪感を感じたっていうのはわかる気がする。
    人間の特長を持っているのに人間ではないものへの生理的で強烈な違和感というか異物感というのは、なかなか拭えないと思う。

    • 評価
  36. 人間だって様々な原人類が混血し統合されて今に至るんだから「人為的進化論」的な感じ!?
    異種交配は生殖能力を持たない事が多いけれど、事例が極端に少ないからだと思う。

    科学者が「鬼畜」なのは仕方が無い!その横暴さが人類を進化させたのは否めない。
    惜しむらくは「良心の呵責」と言いつつ、生まれた生命を蔑ろにした事だろう。
    「殺す事に良心の呵責を感じろ!」とツッコミたくなったね。

    • +1
  37. 染色体に幅が出る可能性…
    チンパンジーの200kg越えの握力には憧れるかも…筋肉だけ欲しい。体毛は要らん

    • 評価
  38. あれ?中世だか大昔の中国だかで人体実験として奴隷と猿が後尾させられ、それが発端でHIV(エイズ)が広がりだしたうんたらってどっかで読んだ気がするけども

    • 評価
  39. 軍事目的の実用性で考えるなら人間の脳か頭部をチンパンジーに移植したほうが早いし確実だろうな。それなら人の知能でチンパンジーの身体能力を持つことが担保されるからね。

    • 評価
    1. ※74
      だけどチンパンジーの手って、人間を基準にすると恐ろしく不器用なんだぞ
      形状的に親指と人差し指の先で何かをつまむ動作が難しいと聞いた事がある
      それに下肢もああだから、長距離を走るには徹底的に不向き

      • +1
  40. ギャラップ博士、カールゴッチ先生かと思た

    • 評価
  41. これが本当ならエイズのもとになったチンパンとの性行があった風習のところにも何人か祖先にヒューマンジーがいたかもしれないね

    • 評価
  42. ウマとシマウマでも出来ちゃうんだから出来るだろ
    でもほぼ人間と同じ知能を持って生まれたどの種とも違うヒューマンジーの子はどうあがいても幸せになれるとは思わんから絶対やらない方が良い
    創造の内で楽しむに留めておくのが幸せ

    • 評価
  43. 受胎告知のシロテナガザルのニュースを見てこの記事を思い出したので書き込んでみた

    • 評価

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