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古代ローマ人が魔除け・加護に使用していたのは、空飛ぶ息子スティック形状のお守りだった。その歴史を探る。

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 今は昔、まだ現代のような薬がなかった時代、人類はいわゆる神がかったさまざまな方法で病気と戦っていた。

 特に古代ローマ人は、今では考えられないような解決法に重点を置いていた。大きな息子スティック形状の形をしたお守りで、自分と家族を守ってもらうという方法だ。

 病気や邪眼を撃退するための神聖なこのお守りは、風鈴のように吊り下げて使うこともあったという。

お守りだけではなく身分を示すアイテムとしても使用されていた

 さらにこれらは魔除け以上の使い道もあった。古代ローマの少年たちは、”ブラ”と呼ばれたこうした護符を身に着けて、奴隷なのか、自由人なのかという自分の社会的身分を示した。

 一方で少女たち向けにも似たようなお守りがあって、その効力を高めるために、大きな息子スティックそのものの形をしたブラや、指輪のような装飾品に息子スティックが装飾されたものが作られた。

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フランス、ランスのサン=レミ博物館に所蔵されているさまざまなファルス。

息子スティックは繁殖の象徴

 「息子スティックがもつ性的エネルギーというものは、繁殖の力と直接結びついている」というのは、古典学者のアンソニー・フィリップ・コーベイル。子孫を生み出す力をもつ息子スティックの豊かさが、自分たちを守ってくれると考えられていた。

 これは、古代ローマの世界では根本的に重要なことだった。とりわけ子どもは病気に弱い。ローマの子どもたちは半数が5歳になる前に死んでしまったため、母親たちが魔術に頼って子孫を守ろうとしたことは大いに納得できる。

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ロンドン、大英博物館にある翼のついたアミュレット

その加護は子どもだけでなく将軍にまで

 大プリニウスは、自著『博物誌』の中で息子スティックの護符は子ども向けに限ったことではないことに注目している。

幼児は特に守護者である神の護符で庇護されるものだが、それは子どもだけでなく、将軍も同じだった。戦いに勝利した将軍が自分の乗る凱旋車に、こうした護符を取りつけることは、それが随行した医師のように将軍を守り、妬みや邪眼に対抗するという神性イメージの意味があった

 とプリニウスは書いている。

こぶしとの融合、翼とのハイブリッド

 ほかにも、片側が息子スティック、もう一方が握りしめた拳になっている双頭の護符もある。

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 拳を握って、人差し指と中指の間から親指を突き出す形は、フィグ(イチジクの意)またはマノ・フィカと呼ばれ、これは一般的に承認の印とされている。護符として、この両方使うのは、邪気を追い払うのに2倍の効果があることになる。

 また、護符に翼がついたものもある。なぜ、半分生殖器で半分鳥というハイブリッドが生まれたのだろう?

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大英博物館にある1世紀にさかのぼる翼のついた息子スティック

 空中を飛ぶ能力は、相手により脅威を与える効果があり、特に妬みや邪眼などから守ってくれるという。しかしこれは、ローマ人がその文化や宗教的思想を取り込んだ古代ギリシャへの回帰でもあった。この場合は、言語から始まったのかもしれない。

 ”ギリシャ語で翼は、息子スティックの婉曲表現だ”と、米国の作家で古典学者のエリック・シーガルは、研究書『The Death of Comedy』の中で書いている。この語呂合わせは、プラトンの対話篇『パイドロス』の中で出てきた、エロス(性愛)は翼を広げて飛び立たなくてはならないということを意味しているという。

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 こうした効力の結果として、プリニウスは息子スティック崇拝がローマの儀式の一部を形作ったとしている。

 崇拝儀式はウェスタの巫女、つまり女神ウェスタに仕える純潔な尼たちに委ねられた。巨大な息子スティックのしるしを未経験の女性に与えるというのは奇異な感じがするかもしれないが、ウェスタは豊穣の神だ。

未経験の少女は不毛なのではなく、子供を産む力を潜在的に蓄えている仲介者としてみなされていたようだ

 古典学者のメアリー・ビアードは1980年に書いている。

 息子スティックの護符、ファルス(fascina)は、もともとはギリシャ語で息子スティックを意味するが、今日でも英語のfascinate(魅了する)という言葉の中で生きている。もし、何かにうっとり魅せられたなら、それはあなたがそれを息子スティックのようだと思っているからなのかもしれない。

 もし息子スティックのご加護が欲しい人の場合には、海外通販サイトEtsyで似たようなグッズが販売されている。

Romans Used to Ward Off Sickness with Flying Penis Amulets// written konohazuku / edited by parumo

追記(2020/10/25)2017年1月の記事を再送してお届けします。

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この記事へのコメント 85件

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  1. パルモさん、了解です!いつも楽しい記事をありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します(o^^o)

    • +27
  2. でた!息子スティック!
    本年も宜しくお願いしますヽ(。・ω・。)ノ

    • +35
  3. オススメが息子ステックの雨嵐だったのですが、、(記事も相当多いという事!!
    ここまで学術的になると面白いなぁ。

    • +11
  4. やむにやまれず…いやいや、ご冗談をハッハッ

    • +26
  5. 新春息子スティック第一弾
    今年もやります!

    記事は面白かったw
    息子スティックは代替語じゃなく固有のものになりつつ・・・あるか?w
    よろしく頼むよー パルモ

    • +15
  6. 身につけるだけじゃなくて、巨大な息子スティックを
    もつパーン(ファウヌス)の石像を庭に置いて
    悪霊よけにしたりもしますね。
     椅子、テーブルの足のデザインを息子スティック
    状にするなんてこともよくあったようです。
    これらの意匠は19世紀のヨーロッパの学者からは
    甚だ評判が悪く、ローマ人の道徳観念欠如の証拠
    とされてましたw

    • +18
    1. ※7
      それについては19世紀の皆さんのが正しいような気がする
      これって小学生の○んこ大好きメンタルとほぼ一緒だろ……
      いつまでもメインストリームにおいとく何かじゃないぜ

      • -11
  7. テルマエ・ロマエにでてきた
    tintinnabulumですね
    チ○チ○ブラン

    • +42
    1. ※8 テルマエロマエの新刊を予約したら キーホルダーがおまけになってたよ

      • +5
    2. ※8
      あれを漫画で見た時、ローマってやべぇ・・・って思ったけど妊娠・出産事情が今と違うから仕方ないんだよな

      • 評価
  8. 後一枚目の画像向かって左下の羽が生えたのがなんかかわいい
    でもそんな奇妙なアミュレットには親の切なる願いが込められてるのですね
    ところで文章の内容が真面目なだけに時折表記される『息子スティック』とのギャップに思わず吹いてしまうのですが

    • +10
  9. “息子スティック”すげえなオイΣ(゜Д゜)

    • +5
  10. 代替名だとしても息子スティックというワードがカラパイアにマッチングしすぎていてな。もう息子スティックが本名だと思ってるよ。

    • +43
  11. タイトルが卑怯w
    空飛ぶ息子スティックの語呂のよさがヤヴァイ

    • +19
  12. 息子スティックの波状攻撃で内容が頭に入って来ない
    そういやヴィヴィアン・ウェストウッドのアクセサリーで息子スティックの形したのがあったの思い出した

    • +14
  13. 法隆寺の奈良時代の落書きにもあったなあ。息子スティック。

    • +5
  14. 『テルマエ・ロマエ』にも登場した「ティンティナブラム」ですね。

    • +8
  15. ローマの男根信仰が、2000年の時を超えて日本にもあることを誇りに思うよ。

    • +5
  16. 丁度テルマエ・ロマエを読んでいたので、ナイスタイミングな記事でした!
    羽が付いた息子スティック、マスコット的な可愛らしさがあるな~~。

    • +3
  17. ネオアームストロングサイクロンジェットアーストロング砲飛行形態じゃねーか完成度高すぎるぜおい

    • +14
  18. あんたも好きねぇパルモちゃん!
    ところで2000年たっても少しも変わらぬ姿形なのは
    しみじみ驚くね

    • +8
  19. テルマエ・ロマエの単行本買ったらオマケに付いてきたやつだ。
    ストラップにちょうどいい感じだったけど人目が気になって使えなかったな

    • +2
  20. 切実な生活の中で昔の人もこういうの見て笑ってたんだろうな

    • 評価
  21. 息子スティックに息子スティックが生えてる……

    • +17
  22. 翼の生えた息子スティックの息子スティックから鐘が釣り下がってんのがなんかの拷問に思えて仕方ない…

    • +19
  23. 息子スティック シリーズ 最高w
    もはや記事の内容より 息子スティックの数を数えてしまう~ パルモ姐さん今年もよろしくお願いします!

    • +3
  24. >大英博物館にある1世紀にさかのぼる翼のついた息子スティック
    風鈴かと思ったw
    日本の風鈴が、その名残りだったら面白いw
    風鈴の短冊を呪文を書いた魔除けの護符にしてみるか?w
    見えないようにつつましく、風鈴の舌を息子スティック形状にするのは悪ノリかw

    • +2
  25. 新年から飛ばしますなぁ息子スティックなだけにw
    今年も楽しませてもらいます

    • +3
  26. 自前のがあるんでノーセンキュー
    まさに単なるお守りでしかないしな

    • +1
  27. 最後の写真のやつ、マクロスの前進翼の戦闘機みたい

    • +1
  28. 某オンラインゲームのラスボス達が「黒光りする息子スティック」って意味だったとは

    • 評価
  29. 翼のついたアミュレット
    なんか痛そう・・・。

    • +2
  30. 空飛ぶスパゲッティモンスターの存在は古代ローマ時代から確認されていたという証拠

    • -1
  31. 息子スティックネタを新年早々出してくるパルモさん好きです。

    しかし、息子スティック信仰って日本にもあるし世界にもある理由はやっぱり繁栄とかの象徴だからなのかなぁ…その辺り気になる。

    ただ、羽の生えた息子スティックがなんかちょっと可愛いという。

    • +5
  32. 俺の愚息も翼が生えて飛んでいかないか心配

    • +2
  33. 息子スティック型のブラとかもう訳わかんねぇな

    • +8
  34. 「双頭のディルド」ってなんかバロックの名曲っぽい

    • +6
  35. 息子スティックに羽がつくのは分かるわー
    ローマ人の暗なニュアンスがおもしろい。

    人差し指と中指の間から親指を突き出す形もこんな昔から使われたなんて
    言葉がわからなくてもこの形を見せたら「あーそのことね」と通じ合えるとは。

    • +3
  36. 息子スティックがあって娘スリットはないのですか!?

    • -5
  37. あけましておめでとうございます。
    ところで私から一つ提案させていただきたいのですが
    息子スティックだと入力が面倒でしょう。かわりに元気棒などいかがでしょうか
    (新年ジョークです)

    • 評価
  38. フライングディック様のおとおりだ!

    • 評価
  39. 息子スティックから息子スティックが生えてるな。これもうかわんねぇな。

    • +6
  40. ユニコーンの角も男性器を表してるんじゃなかったっけ?
    もっと崇高な生き物なのかと思ってたけど 調べたらなんか違ってて残念に思った昔の記憶

    • +1
  41. 娘フラワーバージョンもお願いします

    • +5
  42. やる気まんまんのオットセイを唐突に思い出したわ…

    • +2
  43. 息子に羽が生えるまではまぁいいとしよう。
    しかし息子に息子が生えてるってのはどうなんだ。
    俺の息子に羽が生えて息子も生えて、でも息子の息子だから俺の息子じゃないわけで、だけど息子には変わりなくて、いや羽は生えて変わってるけど。
    あぁーもう息子が息子で訳が分らん。

    • +4
  44. おおらかだ。
    羽根が生えてると可愛いオブジェになっちゃうんだね。
    Etsy覗いてきたけど欲しいの何個かあった・・・・

    • +2
  45. 日本も明治までは成人するまで生きれるのは30%くらいじゃなかったっけ。
    お守りじゃなく夜這い文化なんかで名残が残ってるけど。

    • +1
  46. マノ・フィカは娘フラワーの暗喩だよ。

    • +5
  47. 古今東西、性器は魔除けになってるよね。日本の神社の鈴や鬼火、初期の穴あき銭はどれも性器をかたどったものっていわれてる。

    • +2
  48. 当時の人間の悪ふざけを曲解しているようにしか見えない

    • -1
  49. 空飛ぶ息子スティック
    字面も絵面もシュールだったww

    • 評価
  50. 「大英博物館にある1世紀にさかのぼる翼のついた息子スティック」
    にぶら下がっている飾り?が、日本の古い鉄製風鈴やお寺の鐘の形状にソックリだね。
    模様なんか特に。

    • +1
  51. 63
    大丈夫だって神聖なイコンだって!安心!

    • 評価
  52. 心が汚れているのは私だけ? ♀×♀の道具に見えたが、誰も書いてない

    • +1
    1. ※84
      その手のお道具は、硬い木や鹿の角や象牙を整形して、磨きあげて造った。
      青銅だと有毒な緑青が出るから、粘膜に触れたらヤバい。

      • +4
      1. ※87
        素材という点に思い至らなかった※84は
        むしろ心が清かったのか

        • +2
  53. ご立派様は昔からご立派だったんだ。さすがだぜ (私は何を言っているんだ?)

    • +1
  54. ヴィヴィアンの服にたくさんボタンとしてついていたのを思い出しました。

    • 評価
  55. 今日のテルマエ放送のあと、「#テルマエ・ロマエ」に貼られてたw
    息子スティックってカラパイアさん?と思って飛んできたらやっぱりそうだったww

    • +1
  56. スティックなのにブラ!そしてブラをブラブラさせるとはこりゃたまげたなぁ

    • +2
  57. 御立派様はもはや世界共通の何かみたいなものか

    • 評価
    1. ※94
      全人類共通で超重要なシンボルなんだから当然
      ただ三大経典宗教が隠すべきものとして忌避し日本も脱亜入欧の過程でその影響を受けてしまっただけ

      • 評価
  58. 俺の彼女に、似たようなのを持たせていたのと似てるなぁー

    時短で逢う前はあらかじめ使うように指示している

    • -7
  59. Σ(^ω^; ありがたいんだかありがたくないんだか…
    とにかく古代ローマにも変態(褒め言葉)がいたと知って安心した。

    • 評価
  60. 日本にも、道祖神やまんま息子ステック飴があるでよ。

    • +1
  61. 実は全然そういうんじゃなくてその時代のローマ人がみたら「え!?こんなん無いよ、何い言ってんの!?!」てなってるのを想像するとちょっと面白い
    実際に一般的にこういう使われ方してたのかもしれないけどね!

    今の文明も千年後にはなにか違った解釈されてるんだろうなあ、とかも考える

    • +1
  62. >病気や邪眼を撃退するための神聖なこのお守り

    厨二病も撃退するのか!? 息子スティックヤベェwww

    • 評価
  63. 貴女の使っているオモチャが2000年後の博物館に飾られているかも

    • 評価
    1. ※103
      冗談でなく、古代の性具(この記事のような物でなく実用的なソレ)は博物館に展示されているので、今使っているものが2000年後に発掘されれば博物館入りするでしょうな

      • 評価
  64. _人人人人人人人人人人人人人人人_
    >   空飛ぶ息子スティック  <
     ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

    • +1

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