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SONYの研究者たちが卓球でプロレベルの人間選手に勝てるロボットを開発

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(著) (編集)

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image credit:SONY AI
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 もう「遅い」だなんて言わせない。一流スポーツ選手と戦うロボットがついに誕生した。SONYの研究部門が披露した、卓球用自律型AIロボットシステム「Ace(エース)」が話題となっている。。

 複雑なスポーツである卓球を極めるAceは、人間と互角、またはそれ以上のハイレベルなプレイをリアルタイムで行う。

 正確でも動作が遅い従来のロボットと違い、Aceはその場で瞬時に判断。エリート選手に絶妙なコントロールで返球し、ラリーの末に勝利するなど、本格的な試合が可能だ。

 ロボット工学分野のブレークスルーと称されるその実力にせまっていこう。

 この研究成果は、『Nature』誌(2026年4月22日付)に掲載された。

卓球用自律型AIロボットシステムAceの圧倒的な”動体視力”

 SONYAIが開発した卓球用自律型AIロボットシステム「Ace(エース)」。その強さを支えるのは、まず圧倒的な“動体視力”だ。

 Aceはなんと、高速カメラでボールの位置だけでなく、これまでロボットが苦手としてきた球の回転(スピン)まで読み取る。

 スピンは球の軌道を大きく変える厄介な要素だが、Ace は、スピンボールの返球成功率75%を誇る。

 むしろ、人間の選手も手が出ないような球を返すなど、非常に安定しているのだ。

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2025年4月、Ace対プロ選手・安藤みなみとの試合/image credit:SONY AI

AIが“その場で判断”、即返球

 Ace の頭脳は深層強化学習のシミュレーションで何千何万というラリーを”経験”。つまり「どう返せばいいか」を自分で学んでいる。

 パターン化された動きではなく、臨機応変に判断して即返すことができる。そこが単なるロボットと大きく違うところだ。

8関節の腕で“人間離れ”のコントロール

 Ace は腕の関節を8つもつことで、スピードと精密さを両立した。特徴は、強打で押すより、コントロールの巧さでポイントを取るところ。”絶妙な球さばき”といったところか。

 元五輪代表で卓球の専門家である仲村錦治郎氏は Ace が繰り出したあるショットを目にしてこう述べている。

人間には不可能なショット。でも、それは人間にもできる可能性があるということ

 ロボットしかできない、ではなく、ロボットができるなら人間だって、という発想。

 つまり斬新なロボットのプレーが、人間選手を触発し、それが新しい技のヒントにもなりうる。

エリート選手に勝ち越し、プロには苦戦

 Ace は性能テストとして、国際卓球連盟のルールに従う形で、卓球のエリート選手とプロ選手、合わせて7人の人間選手と対戦した。

 まず、10年以上の現役プレイヤーで、集中的な練習を続けるエリート選手5人とそれぞれ対戦。試合形式は3ゲームマッチ。11点先取のゲームを最大3回行い、先に2ゲーム取れば勝利というもの。

 結果は、5人のうち3人に勝利。うち1人との試合では、初回から2回連続で11点を先取して勝ち抜けた。総ゲーム数でいえば、合計13ゲームで7勝したことになる。

 次にAceは、プロ選手2名と試合。日本のプロリーグ選手の安藤 みなみ(現在引退)、曽根 翔と対戦した。
 
 試合形式は3ゲーム先取で勝ちの「5ゲームマッチ」。結果は残念ながら、両選手に敗北。総ゲーム数は計7ゲーム。そのうち1ゲームしか勝てなかった。

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image credit:SONY AI

 とはいえ、プロの世界といえば“別次元”。そこでいきなり試合を始めて1ゲーム取れただけでも快挙と言える。

 なお、その後追加実験として行われたAce対エリート選手2人、さらに対プロ選手3人との試合において、Aceはなんとほぼ圧勝。プロ選手1人を除く5人に勝利し、好成績を残している。

 以下の動画は、2026年4月23日SONYAIが公開したAceの様子。2020年の初期実験からプロ選手に勝利するまでの瞬間までがとらえられている。

Project Ace

 その再生数はすでに10万回超。これまでの概念をくつがえすAceの動きに世界が注目している。

人間レベルの競技ができるAIロボット

 SONY AI のチーフサイエンティスト、ピーター・ストーン氏はこう語る。

このブレークスルーは卓球の域をはるかに超える。複雑かつ高速で変化する現実世界で、AIが人間レベルで判断し、行動できることを初めて示したんです

 ロボットに不向きな競技と思いきや、それに参加するだけでなく、人間選手に勝つほどの実力を披露したAce。

 プロジェクトリーダーのピーター・デュル氏はこう語る。

自律ロボットが競技スポーツで勝てることを示した。これは大きな一歩だ

 スピンも読み取る鋭い”目”、何万回ものラリーから即座に判断する”頭脳”、さらに絶妙な球さばきを繰り出す”腕”と、三拍子そろったAceの登場で、いよいよロボットもスポーツ界に進出か。

 テニスを習得したヒューマノイドにも驚いたけど、ロボットオリンピックだけでなく、プロの人間対ロボットの歴史に残る名勝負とか、互いに切磋琢磨してより卓球が面白くなる。そんな時代がやってくるかも。

References: Outplaying elite table tennis players with an autonomous robot / Scientists Built a Robot That Can Beat Elite Human Players at Table Tennis

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この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. リアルタイムにボールを見て返す軌道まで計算してるんだからすごいな
    練習施設なんかに置いたら間違いなく卓球界の実力の底上げになる

    • +6
  2. ロボット技術で負けとらんね

    • +1
  3. 卓球って相手のラケットの動きで回転とか判断するじゃない、そういうことやってるのかな、それとも球の表面の動きで分かるのかな、ちょっと気になる

    • +3
    1.  動画では球の回転を見ているようですね。 今は巨大な XY プロッタの上に腕だけロボットが載っていますが、人型ロボティクスがこのスピードで動ける技術に追い付いてくれば、カットマンとかもできるようになるんじゃないかな。 チェスが人を超えるまでそんなに長くかからなかったけど、ロボットが卓球で人を凌駕するまでどれくらい時間がかかるだろうか。 テーブルテニスの次はテニスか。 ロボット同士の卓球選手権とかあったらメーカー同士の戦いもおもしろいかも

      • 評価
  4. ハングリー精神に乏しいから遊んでばかりかよ

    • -7
    1. 貴方みたいな人が、中国で似たようなものを開発したときにはやたらと持ち上げて「日本はこれすら出来ない!」みたいに吹聴するんでしょうねぇ

      • +4
  5. 産業用ロボット vs ヒューマノイドロボット

    どちらが先に実装され実用的か、数十年後に応えが出る?

    • 評価
  6. >人間には不可能なショット。でも、それは人間にもできる可能性があるということ

    勝負の世界で生きてきた人の視点は違うな。負けてられるか、という気合いを感じる。

    • +1
  7. ラリーって会話みたいだよね。チャットAIじゃなくても、身体でロボット/AIとコミュニケーションしてるみたいでなんかエモい。

    • +1

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