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日本で45年ぶりに新種の鳥類を発見、イイジマムシクイと思われていた鳥は別種だった

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(著)

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新たに新種認定されたトカラムシクイ Image credit:Per Alström
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 日本で45年ぶりに鳥類の新種が確認された。鹿児島県トカラ列島に生息するムシクイは、これまで伊豆諸島の固有種イイジマムシクイと同じ種と考えられていたが、約280万〜320万年前に分岐した別種であることが判明した。

 これは、森林総合研究所やウプサラ大学などの国際チームによるDNA解析やさえずりの比較研究によって明らかになったものだ。

 研究チームはこのトカラ列島の個体群を新種「トカラムシクイ」として記載した。

 日本で新しい学名を伴う鳥類の新種報告は、1981年に記載されたヤンバルクイナ以来となる。

 この研究成果は『PNAS Nexus』(2026年3月17日付)に掲載された。

参考文献:

伊豆諸島とトカラ列島に住むムシクイは同一種なのか?

 日本の山階鳥類研究所、森林総合研究所、スウェーデンのウプサラ大学やヨーテボリ大学、中国科学院動物研究所などの国際共同研究チームは、鹿児島県トカラ列島と伊豆諸島に住むスズメ目ムシクイ科ムシクイ属のイイイジマムシクイ(Phylloscopus ijimae)と分類されていた個体群を対象に、全ゲノム配列とミトコンドリアDNAを解析した。

 イイジマムシクイは体長約12cmの小さなムシクイ科の鳥で、春から夏にかけて伊豆諸島の森で繁殖する。

 木の枝のあいだを活発に動き回り、昆虫などを捕まえて食べる。繁殖期にはよく通る声でさえずり、森の中では比較的目立つ存在である。

 この鳥は1892年、伊豆諸島の三宅島で採取された標本をもとに新種として記載された。

 その後、1988年に鹿児島県トカラ列島の中之島でもよく似たムシクイが繁殖していることが報告され、形態と鳴き声が似ていたため、同じイイジマムシクイとして扱われてきた。

 しかし伊豆諸島とトカラ列島は直線距離で約1000kmも離れており、研究者たちは両個体群の関係を改めて調べる必要があると考えたのだ。

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こちらは伊豆諸島のイイジマムシクイ Image credit:王朝威 commons.wikimedia(CC BY 4.0)

約300万年前に分かれた別系統であることが判明

 解析の結果、両者は約280万〜320万年前に共通の祖先から分かれ、それ以来、遺伝的な交流を持たずに独自に進化してきたことが明らかになった。

 トカラ列島の個体群は新種として分類され、トカラムシクイ(Phylloscopus tokaraensis)として記載されることとなった。

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2017年6月にトカラ列島の中之島で見つかったトカラムシクイ Image credit:Per Alström

 外見は非常によく似ているが、遺伝子的には明確に異なる。

 このように、見た目が酷似しているために見逃されてきた種を、科学用語で「隠蔽種(いんぺいしゅ)」と呼ぶ。

 さらに詳しく調べると、鳴き声(さえずり)にも違いがあることがわかった。

 また、トカラムシクイはイイジマムシクイよりも脚や、くちばしの先から後頭部までの長さがわずかに短いという身体的特徴も確認された。

 300万年という長い歳月を経て、進化の過程で別種へと分化したのだ。

絶滅の危機から救うための保全活動の必要性

 トカラムシクイはトカラ列島のいくつかの島に分布するが、確実に繁殖が確認されているのは中之島だけである。

 生息地が限られているため個体数は多くないと考えられている。

 研究では、伊豆諸島のイイジマムシクイとトカラムシクイの両方で遺伝的多様性が低いことも分かった。

 これは限られた生息地で個体数が少ないことを示しており、環境の変化や病気に対して非常に脆い状態にあることを意味している。

 トカラ列島では、松枯れや野生のヤギによる森林の衰退が進んでいるほか、火山の噴火リスクや外来種の脅威も存在し、生息環境の悪化が懸念されている。

 イイジマムシクイは環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されており、トカラムシクイも同様、あるいはそれ以上に深刻な危機にさらされている可能性がある。

 日本の生物多様性の奥深さを示すこの「45年ぶりの新種」を絶滅から守るため、早急な保全活動が求められている。

References: Academic.oup.com / UU

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この記事へのコメント 7件

コメントを書く

  1. イイジ・マムシクイか、マムシを食べる鳥がいるとは。

    • -4
    1. イヌワシ クマタカ オオタカ 「はい?」

      • +2
  2. 静岡県からフィリピンまで分布しているそうだけど
    台湾やフィリピンの種も別なのかもね
    渡りをするみたいだけど、正確な移動経路がわかっていないみたいだよ

    • +6
  3. ヤンバルクイナが発見された時は話題になったなぁ
    ラジオで初めて名前を聞いたとき、「え、ヤン?なんて?」ってなったのを覚えてる

    • +5
  4. ムシクイって詳しい人でも識別難解だって聞くわ
    実際素人の自分が見たムシクイも結局どれかわからなくて「もうこれ個体差じゃね?」って結論に達した

    • +8
  5. たまにウグイスと違うやついたけど気のせいじゃなかったのか

    • +4
  6. 吾輩は、ハジロオーストラリアムシクイをこのむ(誰かゆるキャラ可して)

    • +4

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