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水の流れも時間すら止まってしまった非現実世界、アメリカ・ソルトン湖

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(著)

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 米国カリフォルニア州南東部に広がるソルトン湖は、かつては独特の美しさをたたえた湖だった。ところがその一方で大量の魚や鳥が死に追いやられ存亡の危機に瀕しているという。

 数百万年前の鮮新世、現在ソルトン湖がある一帯は塩水に覆われ、カリフォルニア湾の北端を形成していた。やがてクモの巣のように地下を走る断層が、引きあったり離れたりすることによって、地面が南北に裂けてできたソルトンシンクにコロラド川によって運ばれた何トンもの沈泥がカリフォルニア湾を埋めながら沖積平野を形成すると、湾の北端はつまみとられるように取り残され、この場所に淡水湖が生まれた。

ソース:mental_floss magazine – Where Knowledge Junkies Get Their Fix
特集:ソルトン湖 NATIONAL GEOGRAPHIC.JP

 長い年月の間に、コロラド川の水路は幾度も移動し、沖積平野を南へ流れてまっすぐカリフォルニア湾にたどり着くこともあれば、北へ向かってソルトン・シンクに淡水を注ぎ込むこともあった。シンクの水位は、高くなると現在のソルトン湖の湖面より13メートル上まで達した。カウィーア湖と呼ばれるこの湖の水位線は、今もソルトン湖周辺の岩に残っている。それでもたいていは流れ込む水の量より蒸発する方が多かったため、一帯は乾燥していた。

 20世紀初頭、自然の営みに人間が干渉し始める。コロラド川の水をインペリアル渓谷の農業用水として引き、農地から出る水をソルトン湖へ流したのだ。その後まもなく用水路は氾濫し、これをきっかけとしてソルトン湖は現在の姿に変貌した。絶えず流れ込む農業排水のため、ソルトン湖が干上がることはなくなった。

The Accidental Sea

 ソルトン湖が出来た後、この一帯は数十年の間リゾート地として賑わい、レジャーとして釣りが盛んに行われた。しかし、塩分の増加と 汚染(農業排水、都市流出水、排水、雨水流入)の拡大により、ほとんどの魚類が死に絶え、ブームも去った。残ったのは、荒廃し廃墟となった現実とかけ離れた奇妙な土地だけとなった。

 今カリフォルニア州は、湖の自然環境に予算を投じて保全するだけの価値があるかどうか、見定める岐路に立っている。

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この記事へのコメント 31件

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  1. すごくショッキングで印象的な世界だ。

    • +1
  2. 3枚目の船の下の極彩色、なんなの!?
    船の塗料??

    • 評価
  3. 写真の色合いがきれいだなあ。特に青が。これはポラロイド系の発色なのかな?

    • 評価
    1. 米3
      Canon 5DmkII EF24mmL にNDとPL 動画も写真も。
      kissで撮っても同じになる。

      • 評価
  4. アメリカは公害の深刻さと叙情性のスケールが違うな

    • +1
  5. あーあ、こんなにしちゃって
    ロスに近いし、環境に配慮してればリゾート地にもしつづけられたんじゃないの

    • 評価
  6. 日本で今年、貯水量の限界を超えて水害になる分の水を何年分注げば、元の水量になるのかな?  アクアリストたちが湖の魚を一通り飼育もとい避難させてても、こりゃあとうてい復活できそうにないな

    • 評価
  7. 放射能汚染地域とココとどっちが早く回復させられるのだろう・・・

    • -1
  8. 『キングサイズの特大プリン★』の商品説明文がパルモねぇさんぽくてワロタ

    • 評価
  9. 例のごとくスクロールバーを上下させて遊んでやった。

    • +1
  10. ここ一度行ったことある。
    悲惨なのは実際の湖よりも周囲の町。
    超貧困層がここから出ることもできないまま細々と暮らしてる。
    老人たちの中には再びここがリゾート地として復興することを夢見てる人もいるって聞いたけど、無理だよ。
    夏は気温が50℃にもなるところ。
    交通の便も悪いし、こんなところに行くならすでに高級リゾート地として確立されているPalm Springsに誰もが行くでしょ。
    野鳥がたくさん来るからそれ見に行く人はいまでもいるみたいだけど、カリフォルニアは破産寸前だし、こんなところにかける金があるわけない。

    • +1
  11. 何れ中国内陸部がこうなる可能性が大な訳か。

    • +1
  12. 荒野と廃墟と汚染水か・・・ハーフライフ2の世界だな。

    • 評価
  13. 現状はこんな感じ。
    http://www.flickr.com/photos/osamusuzuki/
    工業汚染というよりも生活排水汚染という感じかな。
    鳥とか魚とか生き物はもの凄くいます。ただ大量に死んでます。岸辺は魚の死体でというか
    干物で埋まってます。その為、蠅と臭いがもの凄い。
    現状の解決策としては地下水道を太平洋までつなげるとか。。。
    ここを再度干上がらせると、今度は細かな粉塵が舞い上がりLAまで粉塵被害が
    及ぶのでそれも出来ず、打つ手無しという感じです。

    • +1
  14. チェルノブイリ周辺より世紀末っぽく汚染されてそうな風景だ・・・。どっちのほうが人住めるかな・・?。

    • +4
  15. 環境においても、いかにも使い捨てという感じだな…

    • +2
  16. やっぱり人間は地球にとって害でしかないね
    100害あって一利なし。タバコ以上に。

    • +1
  17. まあ、いかなる生物も地球の為に生きてる訳じゃないしな
    というか環境がどれだけ変わったとしても星は困らんだろう

    • -3
    1. >>27は、
      疑似エコロジー思想(宗教に近い)が、「異常なほどの嫌煙」などの健康志向と結びついていることを示す好例だな。まぁどちらもヒッピー文化とも関連しているしな。
      >>28の言う通り。

      • +2
  18. 6枚目の写真に写ってるオレンジ色のノースリーブの女性結構タイプ w

    • 評価
  19. >2
    動画の方に、何十年もかけて
    洞窟を極彩色に塗りたくってるご老人が出てた。
    いわゆるアウトサイダー・アート。
    その人の仕事かも。

    • +1

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