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何かを無理やり考えないようにするのは無理。脳の奥深くに隠れた思考が潜んでいる(オーストラリア研究)

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(著) (編集)

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考えていないつもりでも、隠された思考が潜んでいる/iStock
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 例えば禁酒中の人がいる。飲みたくなるからお酒のことは絶対に考えないにしているという。だがそれは無駄な努力だろう。頑張ってみても、結局はそればかり考えてしまうのがオチだ。

 そもそも人は自分の思考をどのくらい制御できているのか? これを知るために、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学の研究グループは、人が思考を抑制しようとしているときの脳の様子をスキャンした。

 その結果明らかになったのは、隠れた思考の存在である。考えるなと言われて考えなかった人であっても、本人も気づかぬ思考が脳内に形成されていたのだ。

 「このことは、精神的なイメージを抑えようとしても形成されるということを示唆しています」と、認知神経科学が専門のジョエル・ピアソン教授は説明する。

想像するなと言われても本人が知らない間に思考が形成

 その研究では、参加者15人に指定された視覚イメージ(緑のブロッコリーか赤いリンゴ)を一定時間想像しないよう試みてもらうという実験を行った。

 このときの脳の活動をfMRIで測定して、思考を抑制しようとした脳内で何が起きているのかを明らかにするのだ。

 なお参加者は前もって視覚イメージと思考を抑制する練習をしており、本番中は指定されたイメージを別のイメージで置き換えないというルールに従っていた。

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Pixabay

 何らかの思考が発生するとき、脳内では神経細胞が発火し、血液の酸素が取り込まれている。こうした酸素の流れをfMRIで測定すれば、特定の空間パターンを描き出すことができる。

 研究グループは、こうした空間パターンを「マルチボクセル・パターン解析(MVPA)」という機械学習型アルゴリズムを用いて解読。

 こうすることで、それが脳内にある野菜(果物)のイメージによって形成されたのか、それとも別の思考によって形成されたのか区別できるようにした。

 実験終了後、8人がイメージを想像しなかったことに自信たっぷりだったそうだが、fMRIによるスキャンは別の真実を明らかにしていたという。

 想像しなかったと確信を抱く人の脳を客観的に観察してみると、視覚に関連する領域にそのイメージが存在していたのだ。「脳内のイメージを司る視覚野は、本人が知らない間に思考を生み出していたようです」と、ピアソン教授は説明する。

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iStock

無理やり何かを考えないようにするのは無駄な努力

 この結果は、無理やり何かを考えないようにしてもほとんど無駄である理由とも関係しているそうだ。

 ゆえに「禁酒しようとお酒のことを考えないよう務めるのは、ひどい下策」になるという。

 思考のコントロールは、心の健やかさにつながる大切な技術だ。これがうまくできず、不愉快で、心をかき乱すことばかりを考えて苦しむ人たちが大勢いる。

 今回の機能的脳マッピングは、そうした侵入思考の治療の研究を進める手助けになるだろうとのことだ。

この研究は、『Journal of Cognitive Neuroscience』(8月7日付)に掲載された。

Decoding Nonconscious Thought Representations during Successful Thought Suppression | Journal of Cognitive Neuroscience | MIT Press Journals
https://www.mitpressjournals.org/doi/abs/10.1162/jocn_a_01617

References:newsroom/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. 何かの思考を振り払えない、しかし振り払いたい時は、考えないようにするよりは徹底的に考えた方が良い。
    消化不良は心を壊す。

    • +3
    1. >>1
      気になる事を考えるのを止めるのは難しい。別の事を考えて気を逸らそうとしても気になってる事は忘れられないし、別の事で誤魔化そうとしても、斑に別の事と混じりながら考えてしまう。気になる事はそっちに集中して突き詰めて考えると落ち込んだりする。解決策のない解決策を取れない事情があると考えるのも行き詰まってしまうし・・・

      • +2
      1. ※3
        逆にこれからも毎日10分このことを考えて嫌な気持ちになる習慣にしようって思うだけでめんどくさくなってやめられるって言うのも見たよ。

        • +3
  2. 若いと呑んでも悩んだが
    老年は呑んだら寝ちまう。
      (/・ω・)/ ワスレター

    • +5
  3. 腕の力を抜くには、腹に力を入れるのよ。
    赤いリンゴや緑のブロッコリーを思い浮かべない為には、紫のナスを思うのさ。

    • +5
    1. ※4
      もうすこし言うと、人間の思考はネットワーク状になってて、近いものを思い浮かべると勝手に連想してリンゴやブロッコリーにたどり着いちゃうので、もっと遠い方が良い。
      せめて紫のバラの人くらい。

      • +3
    2. ※4
      >指定されたイメージを別のイメージで置き換えないというルールに従っていた。

      この指示の意味するところが今いち分かりにくいけど、
      たぶん紫ナスで思考の集中を代替するその方式は
      NGなんじゃない…?

      • +1
  4. 座禅の時に、お和尚様から言われたのは
    「無の心にするとは、何も思わないのではなく、湧き上がってくる思考に捕らわれず、動揺もしない『無振の心』です。」
    でした。
    座禅中は夢見る如く、雑多なイメージがポカポカと湧いてくるそうだが、座禅後は起床した如く、何をイメージしかも忘れて、ただ自分が居るだけになるそうです。

    全く何もイメージも出ない状況には人間なりえないんだなぁと、思いました。

    • +22
  5. 全然関係ない話かもしれないけど、記事を読んで三つ子の魂百までという言葉が浮かんでしまったよ
    コントロール出来ず逃れられない苦しみになる事もある
    思考から逃れられないって、ものすごく恐怖だね

    • +4
  6. このサイトを出入りしているような方々の多くは考えることをやめられないようですが、ほんとに何も考えない人がいるんですよ。この研究に携わった方々はご存知ないようですが、バカほどものを考えないんです。一般に賢いといわれる人たちはいつも何か考えてます。私はバカ寄りなので、結構何も考えてない時間は多いですw
    そして、下手の考え休むに似たりというのも真実です。だって思考停止してるもんw考えてるつもりなんだけど、いつの間にかボケっとしてるの。だからそういう被験者を見つけられれば考えない人のパターンもわかるんじゃないかな

    • -2
    1. >>13
      イメージが浮かぶのは、10000分の1秒ぐらいと聞いている。そして連発している。普通では捉えきれない。そして忘れる。

      ただ、意図的に逃げるイメージを捉えて、記憶に残すのか得意な脳ミソ、そう訓練された脳ミソがある。そう言う人は睡眠中の夢を覚えている人たちが多い。
      (だからあえて止めようと、座禅や瞑想をするんだそうな。)

      だから、正確には「潜在的な記憶力に劣る人たち」で、無になっているのとは違うと思う。

      • +2
    2. ※13
      自分が「理解してる」考え事と、「脳が記憶」した考え事は違うのでは?

      • +1
    3. ※13
      単に視点が違うだけの可能性もある
      何かを考え続けてもそれが実を結ばなければあなたの考え方で見られる
      考え続ける人間が馬鹿ではないとはならない
      それこそ思考停止
      というか凄い自虐の文章だね

      • 評価
  7. 消費生活に飽きて
    世界平和を望んでしまう無意識ってのはあると思う

    • 評価
  8. 隠れてるのが分かったら
    追い出す方法も思いつきませんかね?

    • 評価
  9. 基本的には「考えないようにする必要はない」と思うんだよね。何事も訓練で処理能力は向上するから、考える量を増やして許容量を拡大すれば無理と感じる水準も上がるし。悩みがいつの間にか何ともなくなるのも、こういうメカニズムじゃないかなと思う。悩みは言えば脳の筋肉痛かな。もちろん誰かに強いられてすることじゃないけど。

    ただトラウマとか心の傷はそうは言えないよね。

    • +1
  10. 禁酒なんて簡単さ!もう十回ぐらいやってる

    • +1
  11. それはその手の知能があるからだろうな
    今まで見たこともないわけのわからないものとかだと理解不能すぎて全くそうならないから

    • 評価
  12. 何かを「考えた」とき「口に出した」とき、それはもうそれが
    無自覚な意識の中に発現したときとは別のものになっている。
    これを差延という。人間は永遠に自分の自身の「意識の起こり」
    に追いつくことができず、その痕跡を紡いでつなぎ合わせること
    によってしか何かを語れない。それはとても孤独で寂しいことだ…。

    • +2
  13. 意識を意識出来る時にはもう脳が勝手に思考した後だからな。映画を見てるのと変わらん

    • +2
  14. 学校の授業で(先生の話がわからない・教科書を読んでもわからない・わからない・・・・・)と心の中で呟き続け、テストでは(こんなの聞いてない・教科書に無かった・わからない・わからない・・・・・)と呟き続けていたとある友人。
    社会人になっても上司の話がわからない・こんな仕事聞いてない・知らない・わからないをくり返して「仕事辞めたいよ~~」と騒いでいたから、「心の中で喋るの止めたら?仕事中は作業のことだけ考えてたら?」
    当たり前のアドバイスだと思ったら、スゴい驚いていたなぁ。

    思考停止とはこう言う事を言うんだと思います。決して無ではないですね。

    • +3
    1. ※30
      本人にしてみたら、思いもよらぬアドバイスだったんでしょうね。心の中で「分からない分からない」と喋り続けている状態というのを想像するととてもしんどそう。

      • 評価
      1. >>31
        お返事ありがとうございます。しんどいです。だから脳が疲労してボーッとするんです。その間は考え続けようとする力が働いているから、疲労の為に緊急停止してるのであって、無とは違います。
        何人かに、誰しも大なり小なり心で声を上げているもので、成功者はコントロールする努力した人だよとアドバイスしているのですが、劇的に成績アップした人本当にいました。
        一方で、コントロールに失敗して、心の声がわからないのループに移行した人、『いや、無だから』と言う人、心の声を手放すのを恐れて拒否する人、様々。
        【私は〇〇〇だから】と特別扱いと言うか、鎧と言うか……その意識が強い人からは絶縁されるぐらい激怒されました。

        • 評価
  15. >>実験終了後、8人がイメージを想像しなかったことに自信たっぷりだった

    自信たっぷりの時点でめちゃくちゃ意識しまくりじゃないかな?

    本当に忘れることのできた被験者は、今が実験中であることも忘れてしまいぼやあああと死んだ魚のような目で帰宅してしまってデータに残らなかったんじゃないかな

    • 評価
  16. 10月末の北アルプスで、岩肌に霧氷がついたナイフリッジを渡ったときと、10mくらいの崖をロープなしで攀じったときは、命を拾うことで精一杯、目の前のいまこの瞬間で精一杯だったから、脳の存在を完全に忘れてた、いっときだったけれど脳の休養になった感じがあった

    • +1
  17. 真冬の大菩薩峠から下山する時にホワイトアウトに陥った。
    ビバークの用意をしていたら目の前に真っ白なオコジョが。
    そのすぐ向こうに民家が見えて行ってみたら休業中の民宿
    が引き上げる前夜のことで命拾いした。
    まぼろし~!

    • 評価
  18. 「ピンクの象のことを考えないで下さい」と言われると逆にピンクの象を想像してしまうというやつか。
    嫌なことを考え続けるのをやめたいときは、黙々と手や体を動かす必要がある作業をするのがいいと思う。

    • +1
    1. >>39
      私は邪魔な雑念が浮かんだら、ソイツに歌を歌わせている。
      ご陽気で良いぞよ。

      • 評価
  19. しろくまのことだけ絶対に考えないでください

    • 評価
  20. 目をつぶったまま
    暗闇の中で眼球を上にギューってやると
    なにも考えられなくなります。

    • 評価

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