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イギリスでバイキング時代の兜が初めて発見される

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イギリスでバイキングの兜が発見される image by:Durham University
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 イギリス北東部の町、ヤームから出土した古い兜を詳しく調べたところ、バイキング(アングロ・スカンジナビア人)最古の遺物であることがわかった。

 この発見はブリテン島では初めてのことで、ほぼ完全な形で残っているバイキング時代の兜はこれを含め、これまで2点しかない。

 最新研究によって、バイキング時代 (紀元793~1066年)と中世初期の兜の発展の様子がよくわかるという。

20世紀にイギリスで発見された兜

 ヤームの兜は、1950年代にストックトン=オン=ティーズという町の作業員が発見した。所蔵しているプレストン・パーク博物館によると、この兜は鉄でできた帯とプレートでしっかり留められていて、トップにシンプルな突起がついている。

 兜につけられたハンマーのマークは、鍛冶屋が作ったことを示している。展示用ではなく実用目的で作られた職人気質が感じられる。

 円錐状の兜の厚みは1インチ(2.5センチ)ほどで、剣の一撃を受けても、その衝撃を吸収することができただろう。

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2012年からプレストン・パーク博物館に展示されているヤームの兜。ダラム大学
の研究者たちが、X線を使って、アングロ・スカンジナビアのこの兜の金属特性を調べ、ほかの遺物と比較してみた

image credit:Durham University
 所々の金属は失われ、腐食しているが、歴史的に非常に重要なものであることは確かだ。数十年の間、この兜はヤームの町議会からプレストン・パーク博物館に貸し出されていた。

 重要な遺物なのに、専門家による系統立った調査は行われておらず、その起源についてはさまざまなが憶測ばかりが飛び交っていた。

イギリスに侵攻したバイキングの兜であることが判明

 近年になって、ダラム大学のクリス・カプル教授らが、この兜を詳しく調査した。ほかの考古学遺物と比較し、金属の特性を分析した結果、10世紀にイングランド北部で作られた、アングロ・スカンジナビア人の兜であると断定された。これまで考えられていた年代よりもかなり前のものだ。

 アングロ・スカンジナビア人とは、バイキング時代、イギリスに侵攻し、移住した北欧のバイキングとして知られるスカンジナビア人のことである。

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バイキングの獰猛な襲撃は怖れられていた。1901年のフェルディナンド・リークの絵には、バイキングの戦士が防護のために被っていた特徴的な兜が描かれている

image credit:public domain/wikimedia
 カプル博士は言う。「鉄は腐食が進みやすく、常に乾燥状態を保っておかなくてはならないので、難しいプロジェクトでした」

 この兜は水が淀んだじめじめした環境で発見されたため、どうして、これまで原型を留めていたのかが謎だった。腐食が始まったのは後年になってからのことなので、発見されたのは幸運だった。さもなければ、そのまま朽ち果てていただろう。この兜は穴のような場所に埋もれていたという。

「イギリスで初めて発見されたアングロ・スカンジナビア(バイキング)の兜なのです」カペル博士は言う。

 つまり、おそらくはブリテン島に定住したバイキングによって、イギリス国内で作られたものなのだろう。バイキングの兜は、戦場で戦士にとって有利になる機能的なデザインになっている。

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1943年、ノルウェー南部のGjermundbyで発見されたバイキング時代の兜。非常に保存状態が良く、ほぼ無傷。修復可能なバイキングの兜の破片は、デンマークのTjele、スウェーデンのゴドランド、ウクライナのキエフでも見つかっている

image credit:NTNU Vitenskapsmuseet / CC BY-2.0

バイキングの兜の特徴

 バイキングの兜は、戦士の体を守ることを究極の目的としていて、豪奢に飾り立て、ステータスシンボルを表わす敵の兜とは違う。

 バイキングが兜のデザインを根本から変えたため、イギリスやほかの国の軍隊でも、防護のための兜が一般的になった。その証拠は、フランス、バイユーのタペストリーにも描かれている。

 状態のいいバイキングの兜はほかにも、ノルウェー南部のGjermundbyでも見つかっている。10世紀頃のもので、やはり穴の中から見つかったので、これまで誰も気がつかなかったようだ。

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バイキングというと、角や翼のついた兜を被って描かれることが多い。ノルウェー、スタヴァンガーにある考古学博物館が所蔵するこの絵は19世紀に描かれたものだが、ヤームで見つかったものとよく似た兜だが角はついていない。

image credit:Wolfmann / CC BY SA 4.0

ブリテン島を襲うバイキング

 バイキングが初めてイギリスを襲撃しにやってきたとき、たびたび教会や修道院を略奪した。彼らはのちにおもにイギリス北部に定住し始め、10世紀ごろに兜を作り始めた。

 多くは、イギリス王に従い、キリスト教徒になったが、10世紀末には、デンマーク王国からのバイキングの来襲が増え、イギリス王に多大な貢物を納めさせ、イギリス襲撃をやめた。

Vikings never wore horned helmets. Here’s why people thought they did.

 ヤームの議会は、兜の研究結果に興奮した。議員のジム・ベアルは、イギリスで初めて見つかったバイキングの稀有な兜が、地元の博物館に所蔵されているのは大変名誉なことだと語る。この兜のおかげで、博物館の来館者数がうなぎ登りなのだ。

この研究結果の完全版は、『Medieval Archaeology』誌に掲載されている。

The Yarm Helmet: Medieval Archaeology: Vol 64, No 1

References:ancient-origins / smithsonianmag / dur.ac./ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 12件

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  1. >>円錐状の兜の厚みは1インチ(2.5センチ)ほどで、

    写真を見ても1インチの厚みがあるようには思えないけど、
    2.5mmの誤訳? それに、厚さ1インチもあったら首で
    支えられないw

    面白いのはローマ時代から現代(金属製のヘルメットを
    使ってた1960年代くらい)に至るまで、金属を打ち出
    した兜の厚みは世界中でほぼ一貫して2~3mmだったこ
    と。おそらく人間の首が無理なく支えられる重さが、こ
    んなもんだったんでしょう。

    • +14
    1. ※1
      元記事だとこう。これ自体誤植ってことかも
      The helmet cone is about 1 inch thick and would
      have been able to absorb a blow from a sword.

      • +7
    2. ※1
      2.5mmだろうね。
      2.5cm厚さの鉄板でヘルメットなんて鋳造でないと無理だろうし重さどんだけになることやら・・・

      • +5
    3. ※1
      元論文の概要の追記にも2-2.5mmという記述があるので、ancient-originsが記事に起こした際に間違えた可能性が高いですね。

      • +4
    1. ※5
      ビッケ、新しくCGアニメの映画作ったみたいだよ。

      • +2
  2. てことはドラマのヴァイキングスって実話にある程度忠実だったの?

    • 評価
  3. クヌート大王からオーラヴ聖王誕生前夜の時代のヴァイキングだな
    イギリスに侵攻したデンマークやノルウェーのヴァイキング

    • +2
  4. 映画の指輪物語三部作に出てくるローハンの騎士たちの兜はこっち方面よりのデザインだったな
    彼らを“陸のバイキング”と位置付けたとコメンタリーとかで言ってたっけ

    • 評価
  5. 一発食らっちゃったような跡がほんのりと…

    • 評価

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