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新型の豚インフルエンザが中国で発見。人間へ感染する可能性がありパンデミックの懸念

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(著) (編集)

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新型豚インフルエンザウイルス発見 / Pixabay
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 中国で、新型の豚インフルエンザウイルスが確認された。このウイルスは、人間に感染する高い適応能力を示すあらゆる特性を備えているという。

 『PNAS』(6月29日付)に掲載された研究によると、「G4 EA H1N1」と名付けられた新型の豚インフルエンザウイルスは、次のパンデミックを引き起こす可能性があるため、動物の間での蔓延を防ぎ、人間に感染してしまうようなことがないよう直ちに防止策を講じるべきだと警鐘を鳴らしている。

豚の体内で遺伝子交換され、変異するインフルエンザ

 豚には、仲間同士や鳥、あるいは人間からもらったインフルエンザA型ウイルスの感染が広まりやすい。このことは豚がパンデミックにつながる恐れがあるインフルエンザウイルスの重要な宿主になるということだ。

 たとえば1頭の豚が、ヒトインフルエンザや豚インフルエンザといった複数のウイルスに同時に感染したとする。するとウイルスは「遺伝子の再集合」というプロセスを通じて遺伝子を交換する。この時、ウイルスに変異が起き、ときおり人間が免疫を持たず、ワクチンも存在しない新しい株が誕生してしまうことがある。

 実際、2009年にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザウイルス「H1N1(pdm09)」は、人間と豚と鳥のインフルエンザウイルスに由来する遺伝子を持っていた。豚の体内で遺伝子の再集合が起きた結果、ヒトからヒトへと感染していったのだ。

 今回発見されたのはH1N1の変異種で、ヒトに感染する特徴を持っており、注意深く監視していく必要があるという。

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H1N1インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真 image by:public domain/wikimedia

新たに確認された豚インフルエンザ「G4 EA H1N1」

 中国農業大学をはじめとする研究チームは、感染性のある豚インフルエンザウイルス研究の為、2011年から2018年にかけて中国国内10州の養豚場で飼育されている豚の鼻からサンプルを収集。くわえて動物病院で呼吸器系の症状を示す豚からもサンプルを採取した。

 その結果、豚インフルエンザ179種中、165種までが「EA H1N1」という亜型であることが判明したという。つまり中国国内の豚に感染しているインフルエンザウイルスは、ほとんどがこの亜型ウイルスであるということだ。

 これをさらに解析したところ、「遺伝子型4(G4)」株が優占的であることが明らかになった。中国国内で豚インフルエンザウイルス「G4 EA H1N1」が優占的になったのは2016年からであるそうだ。

ヒト細胞に感染し、子孫ウイルスを作る

 「G4 EA H1N1」の感染力を調べるために、研究チームはヒト細胞とフェレットに感染させる実験を実施。

 その結果、2009年の「H1N1(pdm09)」と同じように、ヒト型受容体に結合し、ヒト気道上皮細胞に数多くの子孫ウイルスを作り出すこと、ならびにフェレットでは強い感染力を持ち、飛沫感染することが明らかになったという。

 また養豚場15ヶ所で働く作業者300人を検査したところ、およそ10%からG4 EA H1N1の抗体が発見されたとのこと。さらに、これまでのところ5名の人間でG4 EA H1N1に起因する症状が確認されており、うち2名の近所には養豚場の関係者が暮らしていた。

 こうしたことからもG4 EA H1N1が豚から人間へ感染するであろうことが窺え、「G4 EA H1N1には、人間に感染する高い適応能力に必要なあらゆる特徴が備わっている」と論文では述べられている。

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iStock

新たなるパンデミックはあるのか?

 コロナウイルスのパンデミックすら終わっていないというのに、もう次のパンデミックの危険が迫っているというのだから嫌になってしまう。

 だが今のところまだ、ヒトからヒトへの感染は確認されていない。確かにすぐに対応することは大切だが、事態はコロナほど切迫したものではないという。

 動物疫学者のメリンダ・ロスタル氏は「Inverse」誌に対して、第三者の立場で解説している。

今のところ、人間から人間へ感染するという証拠はありません。なので、またも人々に爆発的に感染が広まるような事態がすぐそこに迫っているわけではありません。

ただし、養豚場や販売業者のような豚の供給網の従事者が、これ以上豚から人へ感染しないよう対策を講じることが重要です

 なおロスタル氏によれば、人から人に感染した事例が報告されていない以上、現時点では新型株が世界的に流行する潜在的可能性を評価することは難しいという。だが今後はきっちりと、動物や人間における感染の状況を監視する体制を支援する必要があるとのことだ。

Prevalent Eurasian avian-like H1N1 swine influenza virus with 2009 pandemic viral genes facilitating human infection | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/23/1921186117

References:inverse / sciencealert / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. 本来なら今頃、オリンピックの熱狂で日本の夏を迎えてる筈だったんだよな

    • +16
  2. なんで中国由来がこんなに多い?
    豚インフルは怖いけど、タミフルとかアビガンとか効くって言ってる人がいたが、実際どうなんだろう

    とにかく、感染者が少ない国は、いち早く情報を掴んで適切に対応してるよね
    もうこんなのたくさんだ。頼むから、コロナと同じ轍は踏まないでくれ

    • +25
    1. >>6
      あれだけ広大な土地があり、ロシアと違って温かいので様々なウイルスが中国発祥でもおかしくはない。でも、中国だけに、衛生面とか、それこそホルモン剤とか変な薬を使ってそれが影響している可能性もある。

      • +6
    2. ※6
      変なもの食うのが好き
      おなじ市場に変なもの狭い店でまとめて売ってる
      人が異常に多い 
      田舎に行くと良い水がない
      基本みんな不潔

      • +5
    3. >>6
      ほんと、きな臭いネタには事欠かない国だな…w

      • +2
    4. >>6
      家畜と一緒に住んじゃうから
      特に冬場

      • 評価
    5. ※6
      原因の一つは中国は食肉用の生き物を生きた状態で市場で購入して家でさばいて食べる習慣があるから
      その市場もお世辞にも清潔とは言えない状態のものが多い
      とにかく中国はまず国を上げて食の衛生管理を優先して徹底させないと
      この先ずっと新型ウィルス発祥の国に君臨し続けることになるんだけど
      しっかりして欲しい

      • +3
  3. この豚インフルが何故か日本の猪が感染して、猪から猪だけでなく各地の養豚場に…
    今でも豚熱の謎の感染で問題になっているしね
    怖いパターンにならないことを願う

    • +14
    1. >>7
      たぶん経路としては、新型インフルエンザで死んだ豚が市場に豚肉として売られて、そこから…

      • +1
  4. 「公衆衛生」の概念が如何に大事か、日本ではスペイン風邪流行時からマスクをするように、身綺麗にすることを啓蒙し続けて今がある。

    • +9
    1. >>9
      アメリカでマスクをする様に議会で法制化しようとしているところでの、市民からの意見表明とかすごいぞ
      マスクをすることは、神への冒涜とか言い出してる身なりの綺麗な老婦人とかいるからね

      公衆衛生よりも、神を冒涜するからマスクをするのを反対するとかいいだしてる

      • +1
      1. ※15
        必要なのは神よりキチンと科学と考証に基づく教育だなぁ、とマジで思います、あ、コメ9です。

        • +9
      2. >>15
        相変わらず狭量だな。欧州の神は。

        • +4
        1. >>26
          そもそも日本の神の場合、神職が息を吹き掛けて失礼を起こさぬよう、神事の際にはマスクをする。
          神様がそう言ったと言うより、日本人が自主的にそうした奥ゆかしさなんだろうけど、飛鳥時代の昔から日本の神はマスクを許している。

          • +4
  5. 人が増えすぎて結果的に人に感染するようになったのでは?
    実際には昔からいたけど、数が少ないから目立たなかっただけではないのか?と思う所がある。

    • +7
  6. > 2種類のウイルスは同時に感染しないという基本原則がある。

    病原体の世界は一党独裁主義です

    インフルエンザウイルスとノロウイルスの同時感染は理論的にはあり得ますが、同時に発症する可能性はほとんどありません。

    医学的にはウイルスと細菌は別の生き物として判別されていますので、ウイルスと細菌が共に繁殖することはあります。でも、インフルエンザもノロもウイルスという同じ要素を持ち合わせた「バイキン」ですので、同時にウイルスが体内に侵入しても両者が同時に繁殖をし続けて病状を表すことは基本的にはありません。

    このようにウイルス界では一党独裁政権になることを「ウイルスの干渉現象」と呼んでいます。
    (五本木クリニック より)

    • +8
  7. >人間から人間へ感染するという証拠はありません
    それ前にも言うてたやろ!

    • +20
  8. コロナ、洪水、豚インフルエンザって、
    どれ一つとってもやっかないなのに。
    今年の中国は災害のトリプル役満ですか。

    それに、今年もまだ半分折り返した
    ところだしなぁ……。

    • +9
    1. >>13
      三峡ダムの崩壊寸前があるとか。アレも日本がとばっちりくうらしいし。

      • +3
  9. この前の2020年前半のパニック映画風まとめ動画の記事を思い出した。
    後編で更なる恐怖と混乱が…とかもうやめてほしい。

    • +3
  10. 中国の豚インフルってコロナ前からあったじゃん~~とよくよく思い返したら、あれは豚コレラだったわ。

    • +2
  11. ウイルスは生きた細胞の中でしか生きられない。

    • +2
    1. >>23
      増殖するには生きた細胞が必要だけど、感染するまでは、必要ないよ
      つい最近もカラパイアの記事になってたけど、「氷河の中から未知の古代ウイルスが発見される(チベット)」という記事の中に「永久凍土で発見された3万年前のウイルスを復活させ、まだ感染力があることを確認している。」と書かれている

      君は、読んでなかったのかな?

      • 評価
  12. 手洗い、うがいをしっかりしましょう。お出かけの時はマスクを忘れずに。時期がきたらインフルエンザの予防接種をうけるべし。
    これで10年ほどインフルエンザにはかかっていません。基本が大事です。あとは美味しいもの食べて寝る!おやすみなさい

    • +4
    1. ※24
      新型豚インフルは新型なので、既存のワクチンを接種しても効く可能性は
      「あるかもしれない」程度らしいです。
      うがい手洗い、規則正しい生活、バランスの取れた食生活に優る対策はないのかもしれないですね。

      • 評価
  13. 豚コレラって今日本でもワクチン打ってるんじゃなかった?
    豚インフルとはまた別か

    • +3
  14. これの処理も失敗して世界中に迷惑かけたら戦争になるんじゃないの

    • +3
  15. 私はとにかく飛行機乗って沖縄旅行がしたいんですよ!o(`ω´ )o

    • -2
  16. >人間から人間へ感染するという証拠はありません

    コロナの時もそう言ってませんでしたか?

    • +4
  17. そういえばハンタウィルスどうなった?

    • +1
  18. 隠蔽からの対策不備はもう勘弁ですよ中国ちゃん

    • +2
  19. 中国は以前から死んだブタを川に廃棄するなどしていた、それが洪水で広まったのではないか

    • +1
  20. 流石に中国発祥が続くとバイオ兵器を疑ってしまうな。そうでなくても極秘に研究してたとか。

    • +2
  21. 現在入国制限だが中国からは日本人も入国禁止にして中国を入国禁止にしてない国も入国禁止にすぐにしないと拡散されるのは容易に想像できるのにしないよね、コロナの教訓なんてもう忘れてる

    • +2

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