Gerd Altmann from Pixabay
今からおよそ79万年前、ある隕石が地球に衝突した。そのときのエネルギーは、爆発で飛散した破片で日光が10パーセントも遮られるほど凄まじいもので、痕跡はインドシナ半島から南極東部、インド洋から太平洋西部にかけて散らばっている岩石が溶けてできた天然ガラスに見ることができる。
ところがその直接的な証拠であるクレーターは見つかっておらず、これまで1世紀以上もの間探し求められてきた。
だが、ついにそれが発見されたそうだ。それはラオスに広がる溶岩の下に隠されていた。
深さ100メートルの巨大クレーターはどこに?
『PNAS』(12月30日付)に掲載された研究によると、衝突のエネルギーによって、100メートルを超える縁(クレーターリム)が作られた。そのときの膨大な熱によってできた「テクタイト」という天然ガラスがもっとも大量に見られ、かつ大きさも最大であるのは、インドシナ半島中部の東側においてだ。
テクタイト Brocken Inaglory / wikimedia commons
またテクタイトがかなり広い範囲に分布していることから、クレーターのサイズは15〜300キロと推定されていた。今回の研究では、中国南部、カンボジア北部、ラオス中部に点在する有望なクレーター候補が初めて調査された。
しかし、いずれも探し求めるクレーターよりずっと古く、結局は中生代(2億5200万年〜6600万年前)に起きた岩石の浸食であることが明らかになった。
溶岩地帯の地下で重力異常が検出される
ではクレーターはどこにあったのか? それはラオス南部のボーラウェン高原だ。
ここで古いクレーターを隠してしまったと疑われる5000平方キロの溶岩地帯が発見された。この一帯の溶岩は5万1000〜78万年前のもので、時間的にも矛盾しない。
400ヶ所以上で重力を計測し、溶岩の下を調べてみたところ、周囲に比べて密度が低いことを示す重力異常が発見された。測定結果からは、深さ100メートル、幅13キロ、長さ17キロの楕円形クレーターの存在が窺われるという。
こうした手がかりを勘案した結果、「火山岩が分厚く積み重なり、まさに衝突があった場所を埋めてしまった」と研究は結論づけている。
References:livescience/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
隕石の衝突がプレートにダメージを与えて噴火活動を誘発したとかかな?
2. 匿名処理班
地下100mって地下25〜30階で自由の女神がまるまる埋まっちゃう
そんなレベルだと隕石周辺は衝撃と圧力でトン単位のダイヤの平原と化してるかもしれない
これは夢が広がるぞ
3. 匿名処理班
>>2
鉱床見つかったら見つかったでダイヤの価値が下がりそう…ロシア辺りでそんな事があったような気がする
4. 匿名処理班
唐突なかりんとう感
5. 匿名処理班
重力の違いで発見できるというのか?
なにげに観測技術すげえな?
6. 匿名処理班
テクタイトを探知する技師を訪ねよう
7. 匿名処理班
ちょっと体重量りに行って来る!
8. 匿名処理班
宇宙戦艦の装甲板に使われてるやつ
9. 匿名処理班
天文学的には70万年前は今 0.01秒前とか
10. 匿名処理班
クレーターの溶岩全部抜く
11. 匿名処理班
のちのネルフ本部である
12. 匿名処理班
チバニアン関連グッズ、ツアーの香り
13. 匿名処理班
溶岩地帯の下って、かさぶたみたいなものなのかな
14. 匿名処理班
※1
確かにこのあたりはほとんど火山はないので、数10キロサイズの隕石なら「プレートにダメージ→噴火」というのはあるかもしれませんね。
15. 匿名処理班
※4
うん…
16. 匿名処理班
天然石オタとしては、その隕石ガラスが天然石ショップで売られるのが楽しみだ
産出量多そうだし期待出来そう
17. 匿名処理班
テクタイトと聞くと銃夢LOで出てきたテガタイトを思い出す……。
18. 匿名処理班
79万年前だから大絶滅は起きなかったのね
小さいのかな
19. 匿名処理班
※18
78万年以上前に地球の地磁気が逆転してチバニアンになるけど、この隕石の影響だった可能性もあるんじゃないかね。
それまで南半球に分布していたピテカントロプス(ホモ・エレクトス)が、70万年〜50万年前とされる北京原人だけ北半球で見つかってる辺り、隕石の衝突による影響で南半球・東南アジア付近が住みにくい環境にあったのかも知れない。
彼らと入れ替わって繁栄するネアンデルタール人もヨーロッパ中心に分布してるしね。
20. 匿名処理班
>>1
あってもおかしくないな