メインコンテンツにスキップ

目に見えないインクを使ったタトゥで予防接種を受けた子供を識別(米研究)

記事の本文にスキップ

35件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Mikhail Spaskov/iStock
Advertisement

 途上国で予防接種プログラムに携わる人たちにとって、誰が、いつ、どのワクチンを接種したのか把握するのは厄介な仕事だ。

 しかしMITの科学者が開発した目に見えない不思議なインクによって、その問題が解決できるかもしれない。そのインクで肌につけられた予防接種済みのタトゥは、普段は見えないが、スマホのカメラを通せばはっきりと確認することができるのだ。

記録が紛失する心配のない情報管理

 この目に見えないインクのタトゥを使うことで、書類などで予防接種の記録を間接的に管理するのではなく、本人に直接書くことができる。

 「紙のワクチンカードがすぐに失くなってしまったり、そもそもそんなものがないような地域、あるいは電子記録なんて聞いたこともないといった地域であっても、子供全員がきちんと予防接種を受けられるよう、記録を迅速かつ匿名で検出できる技術です」と研究グループのケビン・マックヒュー氏は述べている。

ビル・ゲイツが開発を要請した安全で耐久性のあるインク

 この研究開発は、ポリオや麻疹の撲滅に取り組んでいるビル・ゲイツ氏から直々に要請されたものだそうで、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から助成を受けている。

 開発にあたって難しかったのは、人体に安全で耐久性のあるインクを開発することだったという。人体に無害な染料があっても、日光にさらされているうちに色あせて見えなくなってしまう。

 また子供のプライバシーにも配慮する必要があった。大切な個人情報である予防接種の記録を肌に直接書き込もうというのだから、簡単に他人から覗かれてしまうようなものではダメだ。

 そこで採用されたのが、もともとは細胞をラベリングするために開発された「量子ドット」という技術だ。これは裸眼では見えないが、赤外線を照射すると光る小さな半導体クリスタルでできている。

 量子ドットを特定のパターンで肌に埋め込んだら、スマホのアプリで赤外線を照射しつつ、その反射を検知してやる。こうすることで、その子が受けた予防接種の種類や時期を把握することができる。

この画像を大きなサイズで見る
McHugh et al., Science Translational Medicine, 2019

マイクロニードルで注射針の恐怖から子供を開放

 量子ドットは、ポリマーと糖類から作られた分解性のマイクロニードルを使って、ワクチンと一緒に接種される。

 マイクロニードルはバンドエイドのようなパッチに仕込まれており、ぺたっと肌に貼り付けるだけでいい。

この画像を大きなサイズで見る
McHugh et al., Science Translational Medicine, 2019

 子供は針を刺される恐怖に怯える必要がないし、注射のように特別な技術がなくても誰でも使用できるところもポイントだ。

 現時点では概念実証の段階でしかないが、ラットを使った実験では、接種から9ヶ月後もきちんと検出できた。また人間の皮膚モデルでも、太陽5年分に相当する照射に耐えたとのことだ。

 この研究は『Science Translational Medicine』(12月18日付)に掲載された。

References:scientificamerican / futurism.など/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 35件

コメントを書く

  1. >太陽5年分に相当する照射に耐えたとのことだ。
    短すぎる…

    • +2
    1. ※1
      今後の展開で耐久性を上げることはできると思う
      むしろ逆に、免疫がなくなっているのにこのタトゥーが残っているために必要な予防接種を受けないなんてことが起こる可能性もある
      抗体は一生保持されるとは限らないからね

      • +13
    2. >>1
      たぶん幼児期に摂取して終わりだろうから5年で十分なのでは?予防接種って小学生の頃しかしなかったろ?12才で一律チェックすればもう消えていいんだよ。
      ビルゲイツが絡んでると聞くときっと他の何かや個体識別とか埋め込まれてそう。賛成はしない。

      • +1
    3. ※1
      太陽5年分がどういう換算かわからんけど5年間毎日日の出から日没まで日光浴したら相当な長時間だろうに
      漁師でもそんなに浴びないと思う

      • +1
  2. 見えない認識番号を体に刻まれ管理されるSF映画の様な社会がすぐそこに。

    • +19
    1. >>3
      黙示録の獣の数字のことですな
      確かに西洋人は新薬とかアフリカで実験良くやるらしいしこれも何かの実験かもと勘ぐる感覚は間違いじゃない

      • +2
  3. 税制上やってるとはいえビル・ゲイツやZOZO前社長の前澤氏
    お金の使い方が生きていてすげえと思うぜ

    • -3
  4. うーむ、疑問点がいくつか
    ・健康被害はないのか
    ・怪我や手術をしても大丈夫なのか
    ・これって消せるのか

    • +9
    1. >>5
      記事からは健康被害はほとんどなさそうだが、リスクゼロにはなり得ないからな。治療でもない、予防ですらないこのような処置なんかで健康被害出たらたまったもんじゃないよな

      • 評価
  5. 途上国支援では画期的な開発で必要な技術なのかもしれないけど、
    正直嫌悪感が湧く
    人間が人間を家畜と同様の発想で管理しているようにしか思えない
    刺青に対する意識の差もあるのかも

    • +2
  6. これ使うって事は今は痕残らないって事なんでしょ?
    一生残る摂取痕より良いんじゃないかな

    • +8
  7. 始まった。
    國民背番号が悪いと思わないが、それは自分から提示するから許されるもので、
    開示するしないは自由意思だ。
    これはカメラに映れば情報はだだ漏れだ。
    これには賛成できない。

    ワクチンは接種して期間が経てば効果を失うのだし、有効かどうかは抗体検査をしないとわからない。
    そんなもののために黥をいれるという発想がゲットーへの道のりと同じことだと考える人も多いだろう。
    重ねて言う、賛成できない。

    • -10
      1. >>12
        こういう何か言ってるようで何も言ってないコメント、なんの意味もない。

        • +5
        1. ※21
          君はもっと監視社会の素晴らしさを理解した方がいい

          • -8
      2. >>12
        大半の人間にとってはディストピア的に管理された世界の方が安全で幸せで気楽だろうからね
        7割以上の人類にとって、与えられるだけに感じられる世界は心地いいはず
        強制的にやってしまえば、どうせもとに戻りたがらないよ

        • -5
    1. ※9
      悪用されればそうなるけど、ディストピアは極端に走った例であって、管理そのものが悪いことじゃないのに。
      もちろん人間がすることだから悪い方向にエスカレートする懸念も常に考える必要はあるけど、あなたの考えは0か100の極端な悲観主義で、助けられる命を見捨てろとも聞こえる。

      • +2
      1. ※18
        ディストピア云々は僕は書いてないよ。

        ※18の書き込みに影響されたようだね。

        僕はむしろ管理社会の恩恵にあずかりたいほうだし。
        貴方の聞き込みの前半はどうにも…ねー。

        • -5
  8. マイクロチップ埋め込みじゃダメなの?
    書き換えとか上書きも出来るだろうし、これより耐用年数は長そうだし
    確か、何処かの国で何かしらの理由でマイクロチップ埋め込みが始まってたよな

    • -4
    1. ※10
      マイクロチップの耐用年数は30年程度
      犬猫には十分だが人間や鳥類・爬虫類には短い

      • 評価
      1. ※16
        30年ももてば十分じゃない?
        生後まもなくで30年だから、30歳頃まで
        発展途上国に対する予防接種は子供の死亡率を下げる為に行われてる訳だから、それだけもてば十分。後は取り出せば良いだけの話だし。

        というか、なんかトンチンカンな人権意識を振りかざしてる人達が居るけど、助けようとしている子供が死んでしまったら人権もへったくれも無いからな、書類で管理出来れば良いけど現場で実際に援助や医療行為に携わってる人達から出た話だから、そうでもしないと話にならないって所から出て来た話だろ。

        • +2
  9. 識字率という問題もあるけど、記録を残すという概念すらない地域もあるわけで。

    ポリオとかの予防接種の記録だから、数年程度持てば十分。
    実際には皮膚の新陳代謝で、もうちょっと早く排出されそうではある。

    • +5
  10. かつての予防接種では痕跡が残ることが有無の判別にもなったが、残らない方法(ぱっと見わからない)を見出す必要があった…という説明が支援プログラムでの接種の難しさのひとつなのでしょうね
    医療行為そのものへの嫌悪に敵視
    医療行為を受けた者への嫌悪、憎悪、差別、狩られる、トロフィー・呪物・薬にされてしまうなど剣呑なことは起こり得るでしょうし

    まあデバイスでスキャンされてあなたはこっちキミはそちらへと振り分けられる「理解できない魔術的で許しがたい光景」ってのも十分に運用注意なのではありましょうが…
    ケロイド体質への対策も気になる部分

    • +1
  11. そりゃあ、こんな管理をしないにこしたことはないよ
    でも、それで救われる命がある

    BCGの烙印を許容した世代もいるしなあ
    (ちょっと意味合いは変わるがね)

    • +10
  12. 判子注射世代、3×3世代、「ふーん・・・・」

    • +8
  13. 接種記録をカードに書いても誰も読めないのはまだいいほう。記録が村ごと焼かれて出てこない、あるいは家族の離散・死別、はたまた注射針の使い回しが原因で逆に感染症が蔓延……。

    ありとあらゆる悪条件のもとでも、一人でも多くの子供たちが成人まで生き延びられるように、という開発者の願いが伝わってくる。本当は、もう少しの平和があればいいのだけれど。

    • +6
  14. うわ あちらの人権意識って、進んでいるようでどうも雑なんだよなあ!

    • -6
  15. 龍星座の聖闘士みたいな本気になると浮かび上がる奴が出来る日も近い?

    • +1
  16. リスクやデメリットもありそうだけれどそれで生き残れる確率が上がるのであれば、アフリカの子供達やその家族にとってはデメリットを上回るメリットがあると言えるってことかな。

    アフリカのワクチン接種歴の問題は、根本的には教育や政治的安定に係る問題だろうけど、そっちの解決はどうしても時間がかかるからこういうアプローチも必要だと思う。

    • +9
  17. ブラックライトで光るタトゥーあったら
    楽しそう

    • +1
  18. えーこれいいじゃん。
    2回目の麻疹予防接種受けてるか自信なくてやりに行った時、病院めんどくさいし金かかるし無駄打ちだったら癪だわー注射全部腕見てわかるようになってたらよかったのにとか思ったよ。
    自分のはただのズボラ視点だけどw
    支援資金を無駄なく運用するためにも必要だよね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。