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人が触っているものを自分の体で感じ取ってしまう「ミラータッチ共感覚」とは?

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(著) (編集)

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Image by Moha El-Jaw/iStock
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 共感覚は、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる特殊な知覚現象のことだ。主に音や文字、数字から色を感じ取ったり、形に味を感じたりするという

 しかし、脳のこの変則的な交錯は、さらに驚くべき状況を作り出すこともある。

 他者が触っているのに自分自身が触っているように感じたり、他者が触られているのに、自分自身が触られたりするように感じる共感覚だ。

 これはミラータッチ共感覚と呼ばれる触覚の共感覚だ。

共感とは別次元のミラータッチ共感覚

 これは、他者と感情を共有する「共感」と同じようなものと思うかもしれないが、ミラータッチ共感覚の場合は、それを遥かに越えた状態をいう。

 『 journal Cortex』に掲載された論文によると、世界で100人中およそ2人の人が、ミラータッチ共感覚をもっているという。これは視覚と触覚が混ざったときに発生する。

 こうした共感覚は、個人個人が持つ知覚経験は多様であり、人によって様々で独特であるということを示しているという。

映像を見ただけで俳優の身体的感覚を自分のもののように感じる

 この研究の為、アメリカ・デラウェア大学の神経科学者たちは、2351人の学生を対象に調査を行った。

 被験者たちは、テーブルの上に手のひらを伏せ、あるいは上に向けて座り、俳優が手のさまざまな個所を触られる映像を見せられる。

 その後、学生たちはなにかを感じるかどうか訊かれ、感じるのなら、どの箇所に、どれくらいの強さでということを詳細に回答する。次に彼らの言っていることを確認するために反応時間のテストを行った。

 その結果、45人の学生にミラータッチ共感覚があることが判明した。彼らは映像の中の俳優と同じように感じ、手の位置が同じとき、まったく同じ箇所に刺激を感じていた。

 映画の中の登場人物が体験している、触覚や痛み、その他の肉体的刺激を、見ているだけの人が同じように感じる。これはまるで映画を見ているその人が映画の一部になっているようなものだ。

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cm_dasilva from Pixabay

手のひらを上に向けると共感覚が生じやすくなる

 ほとんどの場合、こうした感覚は、自身の手の位置に関係しているという。手のひらを上に向けている場合の方が、下に向けているときにくらべてより共感覚を感じやすいのだそうだ。

 このときの脳は、共感覚者自身の肉体をその人が見ているものになぞらえている。共感覚者の体験は、自身の体と他人の体の同一視に基づいて調整されているのだ。

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Gerd Altmann from Pixabay

なぜミラータッチ共感覚が起こるのか?

 ミラータッチ共感覚者たちが、他人とは違う方法で触覚情報を処理しているのはわかっているが、そのやり方ははっきりしていない。

 一説では、他人が触られているのを見たときに活動する体性感覚分野が過剰に反応しているのではないかとも言われている。

 人間は誰でも、多かれ少なかれ”代理触覚処理”を体験している。誰かが触られているのを見ると、自分の触覚システムが同じように活動することはある。でもたいていは、それで自分が触られたとは感じない。

 だが、ミラータッチ共感覚者は、目で見た触覚が、まるで自分の体に起こったことにように感じる、過剰な代理触覚システムをもっているのかもしれない。

 ミラータッチ共感覚は、心地よい映像を見ると自分も心地よくなれるという点ではよさそうだが、殴られたり叩かれたりする映像も自分の身に起こったことのように感じてしまうという点では、ちょっと気の毒な気もする。

References:eurekalert / betterhelp/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 27件

コメントを書く

  1. とりあえず下品な事しか思い浮かばなくてすまん

    • +5
  2. ふむふむ、つまりおっぽおが揉まれている映像で

    • -1
  3. >殴られたり叩かれたりする映像も

    何となくだけど、痛みでいうなら
    殴る蹴るの類よりも、
    手の平に針を刺すとか
    外科手術のように皮膚をスパッとメスで切る
    といった鋭利な痛みのほうが、共感覚が起きやすそうな気がする。

    普通の人でも、手の爪と肉の間に
    別の人が爪を差し込むような映像を見せられたら、
    指先がムズムズして「いてててて…やめて~!>_<」
    みたいになる人は結構いると思う。
    あるいは、手の甲をムカデが這う映像とか。

    • +4
  4. 黒板引っかかれると音より自分の爪があのキィィって感じにムズかゆくなるけどこれもそれかな

    • +5
  5. VR機器の体験もこれに近いのかなぁ。
    ゲームの登場人物の視点でなにかされると、本当に「感じる」時がある。
    バイオ7で殺されたときとか・・・。分かる人いないかなぁ。

    • +2
    1. >>12
      それはまさにバーチャル(見なす)状態では?

      色々とそもそも人間の感覚は外部のリアルからのみで作られているか?
      って疑問をもつ現象が多すぎて書ききれないけど

      ひとつ選ぶなら、冷たいものを熱く感じる感覚ってのが近そう
      ある映画で「ほーら熱すぎて冷たく感じるだろう?」って良いながら目隠しした相手にアイスキャンディ押し付ける場面あったけど

      結局ひとつの情報でなく複数あるいは状況から
      脳ミソちゃん「こうゆう状態だよ!」
      って作られた説明を受けてるのが普通だから多かれ少なかれ「不確かだけどこう思っとこう、きりがないし」って脳ミソちゃんが哲学にも似た分析を切り上げてる
      ってのが我々の日常なんじゃないだろうか

      • +1
  6. 飼ってるうさぎが毛繕いしてるのを見ると、ふかふかが手に伝わってくるのはこういうことか…

    • +3
  7. ミラーニューロンだろうな
    マッサージ動画を見ていると気持ちよくなってくる

    • +1
  8. 聞いた限りでは「映像を真剣に観ているかどうか」なだけな気がするな。

    つまらない映画だと全く感想出ないけど、
    良作映画だと泣けたり恐怖を感じたりするし。
    感情移入と同じ現象じゃ?

    • 評価
    1. >>15
      同意。
      一つの映画に対してだけでは、ちょっとサンプルが足りないと思う。

      • 評価
  9. 顔を見るだけでどこを触られているとか、死体が何されたのかとか、動物の感情がわかるとか(・・?)

    • 評価
  10. 例えば、サムネの段ボールの手触りを自分の指先の感覚とし想像できる人はたくさんいるように思うけど、ミラータッチはこの程度じゃないってことかな。
    それとも、そういう想像できる人って案外、限られてるってこと??

    • +2
  11. 他人が殴られた場所と同じところにアザができたら凄いと思う。

    • 評価
  12. 音はどうなのかな。
    例えば、横の人の咳を聞いて、自分まで気管支が痛いような気がするとか、咳払いを聞いて、自分の喉がゴロゴロしてるような不快感を味わうとか…。
    みんなもそう?

    • +2
    1. ※20
      電車で隣に息をしずらそうな呼吸音させてる人がいると、つられてマジで苦しくなるよ!
      以前よく遭遇して、悪いけど通勤車両変えたよ…

      • +1
  13. VRに活かせる研究になるかもしれませんね

    • 評価
  14. 通称VR 感覚って言われてるやつ思い出した

    • 評価
  15. これってたぶん体験が染み付いてる感覚ほど起こりやすいやつだよね
    梅干し見ただけで唾が出るのは梅干しを食べた事がある人だけ、みたいなやつ
    だとしたらここで何かを閃いてる人たちは残念ながら…

    • +4
  16. 個人的には小脳も関係してると思っている。他人の感情を理解するために必要な感覚だし誰でも持ってる、機能不全がアスペで<サイコパス<健常者<優しい人<ニュータイプ的な人だと予想。

    • 評価
  17. 体験したことのある感覚であれば、誰でも、多少は理解できるのではないかなぁ?

    • 評価
  18. イヤーンな妄想をするとき瞑想に近い集中状態で肉体感覚を得る

    っていう似たようなことしてたけど

    >>手のひらを上に向けると共感覚が生じやすくなる

    いいこと聞いたぜ

    • +1
  19. ところでみんなが言ってる軽度の共感はエヴァにも出たA-10神経
    いわゆるミラーニューロンで起こる普通のことで
    これとは違うのでは?

    • 評価

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