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楽しいと感じる音楽には予測性と意外なサプライズがあることが判明(イギリス・カナダ共同研究)

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(著) (編集)

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Image by Gerd Altmann from Pixabay
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 かのチャールズ・ダーウィンは音楽が人類にとって重要なものであることを理解していた。

 だがダーウィンといえども、食事や友達付き合いのように明確な適応上のメリットがないはずの音楽が、なぜかくも心地よい感覚を与えるのかまではわからなかった。

 『Journal of Neuroscience』(10月21日付)に掲載された研究では、その答えが述べられている。

 それによると、楽しい音楽とは「中程度の複雑さ」があるもの――つまり、意外な展開と予測できる展開のバランスが取れた楽曲なのだそうだ。

学習意欲とドーパミンの関係

 イギリス、ロンドン大学クイーン・メアリーとカナダ、マギル大学の研究グループは、音楽が楽しいのは、人間の脳に本能的に備わっている学習意欲を刺激してくれるからだと論じている。

 学習プロセスには、正しく予測できたものを確認し、正しくなかった予測を修正するという作業が含まれる。そして、そのようにして学習を進めるプロセスの中で、脳は脳内麻薬ドーパミンを放出し、学習意欲を奮い立たさせる。

 楽しい音楽には「中程度の予測性」があり、そのために脳は注意を引きつけられ、好奇心をくすぐられる。

 音楽のメロディやリズムはかなり予測できるだろう。すると脳はご褒美にドーパミンを放出していい気分にさせる。人間は物事を正しく行えたときに報酬が与えられるよう進化しているからだ。

 実際にこれまでの研究から、音楽を聴いている人は報酬系の中枢である「側坐核」が活性化することがわかっている。

 一方、完璧に予測できてしまうようでは新しい情報が得られないために、いつまでも興味を保ち続けることができない。予測できると同時に、予想外の展開も必要なのである。

 これらのバランスがうまく取れていると、音楽は楽しいものになる。

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Image by Bernd Everding from Pixabay

予測性とサプライズのバランス

 この仮説を検証するために、研究グループは参加者にフォーク音楽とクラシック音楽を聴いてもらい、どのくらい楽しかったのか評価してもらうという実験を行った。

 また同時に「音楽情報ダイナミクス(IDyOM)」という統計モデリング・アルゴリズムによって、各楽曲の予測のしやすさを評価し、参加者による評価と予測性との関係を調べた。

 その結果、人が音楽を楽しいと思うのは、楽曲の展開が予測できつつも、ほどよく裏切られるサプライズがある場合であることがわかった。

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Image by Gerd Altmann from Pixabay

音楽は学習意欲をくすぐる

 この発見は、従来の仮説で述べられているように、音楽の楽しさがヴント曲線(不快と快感の境界線を表す曲線)と呼ばれる複雑さと知っていることのバランスによって生じていることを裏付けている。

 また、その楽しさが人間が持つ新しい情報や学習の欲求と関係していることも明らかにしている。

 音楽とは芸術だ。ならばそれを心から楽しむためには感性こそが大事だと思うかもしれない。だが意外にも、人間の知性と結びついた知的な芸術だったのかもしれない。

References:The songs our brains love most follow a science-backed recipe / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 21件

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  1. 繰り返しがないタイプの現代音楽が流行らなかったのも無理ないな

    • +1
    1. ※1
      確かに一般的には流行らなかったが、普通の音楽では予測できてしまい「中程度の予測性」の快楽を持てなくなった音楽的に高学歴な人にとっては、現代音楽やノイズやハードコアが「中程度」なのかもしれない。

      • +4
  2. 短調から転調する曲で、ミックスボイスからファルセットになるやつが好き。うん。

    • 評価
  3. ケーデンスとかドミナントとか音楽ちょっと勉強すると「安心感」「意外性」がコード進行ののキモって覚えるんだけど
    既知の要素だけどこれはそれが学術的に定まりましたってことなのかな?

    • 評価
    1. ※3
      とは言っても、じゃあ「なぜ定型的なカデンツが安定感をもたらすのか?」とか「コードの調和」とかの好まれる理由についてはやっぱり良くわからんよね。
      コードの調和といっても、なら、数学的に破綻のないものばかりか?っていうとそんなこともないし(でなきゃ、テンションなんて気持ち悪いだけになっちゃう)。
      「美」なんて結局は流行や個人の感性ってことになるのだろうけど、それでも時代を超えて一定の普遍性が厳然とある・・・ってのはなんなんだろう?

      • 評価
  4. AKB系の曲で、初めて聞くのに聞いたことある気がする現象は一体なんなのだろうか

    • 評価
  5. これって多くのことにも当てはまると思う
    順当な流れと意外性のある流れは物語にもみられるね

    • +9
  6. まさしくジョン:ウィリアムスさんのことだ!

    • +2
  7. これは興味深いねCD買い漁ってた時期は意外性とメロディセンスに重点を置いて試聴してた
    不思議とジャケ写がありきたりだと中身も平凡でつまらなかったりすることが多い

    • +1
  8. これは音楽以外の娯楽コンテンツにも当てはまる事じゃないかなぁ

    • +7
  9. プログレを好む人は知能指数が高いというのも納得出来る記事です。

    • 評価
  10. コントラスト、ゆらぎ、緩急
    全ての創作に通じる
    ただわかっていてもそれを表現するのは難しい

    • +6
  11. 日本での音楽のメインストリームは『曲』じゃなくて『歌』だからね
    意外性ってのも日本だと誌の内容とか、歌い方とかが多い気がするね
    楽器がどういうフレーズかとか、どう鳴ってるかは余り興味を持たれない

    • 評価
  12. 『風立ちぬ』でユーミンのひこうき雲を初めて聴いた時、

    「空にあこがれてー」→ふむふむ
    「空を駆けてゆくー」→まさかそんなメロディーラインが来るとは!

    って驚いたことを思い出した

    • +3
  13. むかしバンドで曲書いてた俺に言わせれば、そんなものは大昔から誰でもやってる(意識せずにそれをやるやつは才能)。
    その他「わざと軽いストレスを感じさせ続けて、一気に解放する」とか作曲はマインドコントロールなんだよ。

    • +2
  14. ジャズのインプロビゼーションとかコール&レスポンスの楽しさは、知性を刺激していたんだな。

    • 評価
  15. この音楽に対する「気持ちよさ」ってその楽曲の複雑さその物よりも、パート単位で音楽を聴けるタイプの人なんかはもっともっと多くの興奮を得ることが出来るよ。
    音楽を聴いたら頭の中が即座にミキシングコントローラーになって8トラックとか16トラックになっちゃうような人。

    • 評価
    1. ※17
      パート単位で音楽を聴けるレベルまで学ぶと、逆に予測出来てしまい
      新たな感動よりマンネリが出て来る可能性も有り、一概に上下を付けられないかも
      「何だか知らんがワクワクする」と言う子供が最高に感動してるのかも

      • +1
  16. ある種の人達は、耳からの情報を処理するのが苦手なので、
    「この曲を聞いて心地よくならないなんておかしい」などと言われると
    それはそれでやっかいなことが増える

    • 評価
  17. 漫画とアニメで例えて悪いけど、Dr.ストーンがこれに当てはまると思う。

    小学生ぐらいだと科学・化学・心理学の知識欲が満たされていく、とても物凄く面白い漫画。

    大人になるにつれてだいたい知識欲が満たされているからソコソコで良く構成が練られている漫画かな。という感想。

    アニメ化になり動きと声優と効果音とBGMが付くことでこの記事の様な効果で、大人でも「楽しい!」に変わったような気がする。

    • 評価

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