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大腸菌にマジックマッシュルームのDNAを組み込み、幻覚性大腸菌を作り出すことに成功。うつ病の治療に期待(米研究)

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(著) (著)

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 世界中に広く自生し、200種類以上もあるとされるマジックマッシュルーム。サイケな幻覚作用を作り出すことで知られているが、それを引き起こすのはシロシビンという化学物質だ。

 シロシビンは、依存症・うつ・不安神経症・PTSDといった症状の治療効果が期待されている。今回、アメリカの研究グループは、私たちのお腹の中にいる細菌の細胞にマジックマッシュルームのDNAを組み込んで、キノコと同じくらいシロシビンを作り出してしまう「幻覚性大腸菌」を誕生させたのだという。

 幻覚性大腸菌がうつ病などの治療に役立つことが期待されている。

うつや不安神経症の治療効果に期待がかかるシロシビン

 マジックマッシュルームは幻覚作用で神秘体験を生じさせるため、一部の地域では宗教的な儀式にも用いられてきたことで有名だ。

 その一方でそこに含まれるシロシビンは、依存症・うつ・不安神経症・PTSDといった症状の治療効果が期待されてもいる。もし治療効果がきちんと確認されれば、今度はこれを安定して大量に供給するための手段が必要になる。

 今回、シロシビンを大量に生産することができる細菌の作成が試みられたのはつまりそういう理由からだ。

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高濃度で副作用の少ないシロシビンの大量生産に向けた研究

 米マイアミ大学の研究グループは、大腸菌の代謝機能を操作することで、シロシビンを生産させることに成功したとのこと。

 化学・生物エンジニアリングの専門家アンドリュー・ジョーンズ教授は

マジックマッシュルームからシロシビン生産能力がコードされたDNAを抽出し、これを大腸菌に組み込んでいる

と声明の中でコメントしている。

 開発された幻覚性大腸菌にはテストが行われ、温度・栄養・培地など、高濃度かつ副作用の少ないシロシビンを作り出すために最適な条件が探られた。

 そして最終的に「pPsilo16」という株を選び出してバイオリアクターの中で大量生産へ向けて培養した、と『Metabolic Engineering』(9月21日掲載)で紹介されている。

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凄まじい生産速度のため医療用シロシビンの供給も可能に

 ジョーンズ教授によると凄いのはその生産速度だそうで、18ヶ月の研究期間で500倍にも生産量を激増させることに成功したそうだ。

 大腸菌以外の細菌にもマジックマッシュルームのDNAが組み込まれたが、これまでのところ生産量という点では大腸菌がピカイチだとのこと。

 シロシビンが実際に医療に使われるようになったとしても、きちんと供給できるという確かな証拠であると研究グループは主張している。

 ちなみにこうした発想は新しいものではなく、インスリンをはじめとするいくつかの治療薬はすでに遺伝的に改変された細菌の助けを借りて作り出されている。

References:Metabolic Engineering / Live science / Geek.comなど / written by hiroching / edited by usagi

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この記事へのコメント 62件

コメントを書く

  1. 不思議な力が腹の底から湧いてきたぜぇぇ~~ッッ ! !

    • +14
  2. 依存症の治療にってあるけどコレの依存症は大丈夫なんだろうか
    副作用に依存性は含まれないんだろうか
    原材料のイメージの所為かちょっと気に成る

    • +12
    1. ※3
      身体依存はありません。
      精神的依存はコーヒー以下です。

      • +3
  3. 腸内フローラが性格づけの一端を担っているらしいし、大腸菌やりますな。

    • +10
    1. ※4 ※17
      糖尿病の方が注射しているインスリンも大腸菌で作っているようですよ。
      他にもインターフェロンとか、登場時にむちゃくちゃ高価だった医薬品が大腸菌を使って大量に安価に製造できることによって、救われる命が多くなったハズです。
      精神作用を持つ薬も作れるってことですね。ウツで失われる命が減りますように・・・

      • +4
  4. タイトル読んで、てっきり大腸などの細菌叢として、大腸菌を投入するのかと思いました。
    ずっとラリっちゃうの~?とね。
    記事よむ大切。
    製造に 50 回投与分で、 1500 万円もかかるってんなら、大腸菌での製造に期待がかかりますね。

    • +14
  5. この菌を腸内にぶち込んで一生ハッピー!っていうイカれた話かと思った

    • +30
  6. 並んでいる言葉を見ているだけで怖いのだけど
    大丈夫ですよね?
    耐性付の蚊みたくなりませんよね?

    • +1
  7. 不安神経症持ちだけど大腸菌にマジックマッシュルームのコンボはハードルが高すぎるっす

    • 評価
  8. 抗鬱成分じゃなくて幻覚成分なのがなー。
    確かに多幸感はあると思うよ。
    でも何かが違う。

    • +4
  9. 全然関係ないけど、アンドリュー・ジョーンズ教授で草。
    AJ, そんなことやっとったんかい!(別人)

    • 評価
  10. というと、「精神的に健康」な人の腸にも、シロシビン的働きをする菌が?

    • +1
  11. シロシンビンは依存性のない幻覚剤で、使用して神秘体験をするとその後しばらく幸福感や満足感を感じやすくなるのでうつ病の治療に役立つらしい
    ただ幻覚剤であることに違いはなく、日本では規制されているので我々が恩恵を受けることはないだろう

    • +3
    1. ※18
      向精神薬売れなくなると困るのかな。
      鬱で毎日だるくて仕方ない。
      波があるけど。

      • 評価
  12. マフィアがこの手法で密造して、雑な扱いで、大腸菌が自然界に漏れ・・。

    • +6
    1. >>20
      依存性なくたって、自分の意志でなく、摂取され続けるんだぞ。
      依存性について論ずるのは、意味無いんじゃなかろうか。

      • -4
  13. ヒャッハーな大腸菌を作るんじゃなくて、大腸菌にヒャッハーな成分作るDNA組み換えて殖やすって事か

    • +5
  14. まあこういうのに使う大腸菌は実験室で使う特殊な培地以外では生きられないようにあらかじめ細工されているので、ヒャッハーな大腸菌が流出してそこら中で増える恐れはまずないが…技術的には幻覚効果のある乳酸菌入りヨーグルトとか、作れちゃうんだろうねえ。

    • 評価
  15. ち、ちがう
    これはただの大腸菌じゃ・・・

    • +4
  16. この大腸菌がさらに進化して接触感染レベルの生命力を持ったら・・・
    パンデミックで人類vsラリゾンビ

    • +1
    1. ※33
      表現としては原生ラリVS養殖ラリなのでは?

      • 評価
  17. シロビシンとやらが今は合法でも将来違法になったらどうなんの?
    所持してる訳ではなく体内で作ってるからセーフなのか?

    • -3
    1. >>35
      いや取り扱う人は専門の資格持ってるに決まってるだろ…それに生産はバイオリアクターで行うって書いてるし

      • +2
  18. シロシビンに依存性は無い
    むしろ今主流の抗精神薬()は断薬するとまた悪くなるからこっちの方がよっぽどタチ悪い

    • +1
    1. >>39
      こういうのよく言われてるけど、断薬とは薬を突然辞めることで、医師の指導のもとならそんなことはさせずに「減薬」になります。もちろん患者の様子を見ながら。
      薬を飲むことによって体調を調整してたものを勝手に「断薬」したら、そりゃ悪くもなりますよね。ってだけのこと。向精神薬(or抗精神病薬)に罪はないかと。

      • +3
      1. >>48
        でもその減薬も大変だからシロシビンに依存性がないなら期待しちゃうなぁ

        • 評価
        1. >>59
          市販の風邪薬じゃあるまいし、重い病気を治す薬に副作用がないのを期待するの?(もちろん風邪薬にも副作用はあります)
          もう魔女の薬でも飲むしかないのでは?(それにはキノコってうってつけで良いですよね)

          • +1
          1. ※62 そもそもが鬱を治す?ために使われる抗不安薬や向精神薬自体が麻薬と同カテゴリで
            副作用というより依存性がすごく高いんですよ
            減薬の知識がない医者が、気軽に処方するので、やめたくても離脱反応で苦しむ人がすごく多いんです
            ここまでの返信はその流れの話です

            • +2
  19. げんかくせいだいちょうきん・・・・・・・・・・

    • 評価
  20. コメ欄にシロビシン、シロシンビンなどの誤記が・・・w
    うつは苦しいよ。でも幻覚系はちょっとなあ。
    コーヒーのハイは気分いいんだけどね。

    • 評価
  21. 見出しのインパクトなかなかすげえ…画像もちょっとこわく感じるが人の役に立つ技術なら何よりだ。

    • +1
  22. これバイオハザード起こったら大変だな
    公共のプールとかも日本でも万一ってことあるし

    • 評価
  23. シロシビンには依存性はないのか。
    ならば薬剤として承認するかどうかはその正確な知見に基づいて判断するべきだ。
    何にしても一日も早い治療法の確立を。

    • +1
  24. まあ正直抗うつ薬も似たような仕組みで機能してるからなあ。
    こういう幻覚物質もセロトニン受容体ブロックしたりしてるだけだしそんな特別やばいものでもない。
    あるいは抗うつ薬がそもそもそれなりにやばいものなのかもしれないが。

    • +1
  25. もしかしてさ、やたら明るくて元気な人とか怒りっぽい人とか、感情が際立ってる人って腸内細菌が何か分泌してたりするかも…?

    • +3
  26. 合法(脱法)だった頃一月に一回キノコ食うだけで鬱とは無縁だった
    乱用なんかできないしひても意味が無い代物だし
    仕方が無いとは言えシャブとかと混同されちゃうのが悲しい

    • 評価
    1. >>52
      >乱用なんかできないしひても
      呂律がまわってないぞ

      • +5
  27. 天然。。ではない。。
    ロボトミー以来のヤバい発明だと思うんだけど。。
    天然ではないと言ったけど。実は天然にも隠れてたりして。
    精神異常の犯罪者の大腸菌調べたら。。なんつってさ。

    • +1
  28. 伊藤英明が昔マジックマッシュルームでやらかしたなぁ

    • 評価
  29. 代を重ねる毎に気にならなくなるもんだけど、誰の大腸菌使ったんだろうね
    (これと同じ感覚に陥るのが、ヒト由来の乳酸菌製剤)

    • +1
  30. 時々いる「シロシビンを体内の大腸菌に生産させてうつ病を治す」と勘違いしている人は、もう一度読み直しましょう

    • 評価
  31. ありふれた菌を品種改良してたら
    いつかバイオハザードが起きて
    大事件になるような気がするんだよな

    • 評価
  32. この薬がジャンキーとかギャングとかに悪用されずに、必要な人に届くといいなあ
    まあ主に自分よ

    • +1
  33. よくわからない。
    幻覚を見なくても、鬱が改善されるというなら問題ないけどさ。
    説明を読むと、幻覚作用のある物質なんだよね。
    研究するべきは量産の方法ではなくて、先に安全性の調査・研究では・・。
    シロシビンから幻覚成分を除いて、鬱に有用な成分だけを取り出す研究をしてほしいな。

    • -1
  34. これが合法時代にやってた経験から言うと「依存性はない」のは間違いない。
    違法に指定されてから一切やってないが特にそういった欲求はない。
    ただ鬱には必ずしも有効に効くとばかりは思えないんだよな。
    いわゆる「バッドトリップ」もするから。あれはキツい。

    • +2

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