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ネガティブ発言も時には有効。チームを勝利に導く監督がロッカールームでやっていることは?(米研究)

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(著) (著)

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 チームは劣勢なまま試合前半を終了し、ハーフタイムへ。ロッカールームに戻った選手たちに監督が何かを語りかけた。

 すると選手たちはみるみるうちに士気を取り戻し、後半戦で見事に逆転。栄光の勝利を手にする・・・そういったシーンは青春ものの映画やドラマではおなじみである。

 しかし実際のところ、ロッカールームのやり取りはそこまでチームの勝敗に影響するものなのだろうか?

監督のネガティブな発言が選手のパフォーマンスに影響

 『Journal of Applied Psychology』(6月13日付)に掲載された研究では、バスケットボールの試合でそんな名場面を実際に再現できるものかどうか確認している。

 その結果、監督のネガティブな発言が後半のチームのパフォーマンスに影響していることが判明した。

 だが、それは優しく励ますといい結果が出るという甘いものではなかった。むしろ、監督が怒っているほどに、チームは多く得点していたのだ。

 これは試合をリードしたままハーフタイムに入ったときにも当てはまる。

 だから、監督は「いいぞ、その調子だ!」というよりも、「たかが10点のリードがどうした? もっとしっかりやれるだろ!」と発破をかけたほうがいいようなのだ。

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録音記録を集めてロッカールームでの監督の感情表現を分析

 この研究では、北カルフォルニアで活動する50以上の高校・大学のバスケチームに、ロッカールームのやり取りを録音させてもらえないか協力を依頼。

 最終的に、23チームによる304試合の録音記録を集めることができた。

 こうして集められた録音データを元に、ハーフタイムのロッカールーム内で監督が示した感情をポジティブ(喜び、興奮、リラックス、インスパイア)からネガティブ(不快、怒り、不満、恐れ)の範囲で評価した。

 ちなみに研究を行なったカリフォルニア大学バークレー校のバリー・スタウ名誉教授によると、ロッカールームを一種の聖域と考えている監督が多いらしく、交渉は結構大変だったそうだ。

 また研究中、監督の1人は録音されると負けがこむジンクスがあるという理由から途中で研究から離脱している。

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監督のネガティブな感情と後半戦の得点増加に明確な関係性

 分析の結果、監督の感情表現にはふたつの基本的効果があることが明らかになった。

 ひとつはネガティブな感情と後半戦の得点増加には強く明確な関係があるということだ。つまり監督が怒ったり、不満をぶちまけたりすると、チームの後半でのパフォーマンスが上がるのだ。

 しかし、それにも限度があり、あまりにもネガティブすぎると逆効果になることもわかった。

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怒りすぎたり辛辣すぎたりすると選手のやる気は低下する結果に

 研究では、監督にあらかじめ用意された内容を発言してもらい、それを聞いて選手がどう思ったのか質問するという実験も行っている。

 こちらでも、確かにネガティブな発言には、士気を鼓舞する効果があることが確認された。

 ただし、それはかなり早く衰えることもわかった。やはり怒りすぎたり、辛辣すぎたりすると、逆に選手のやる気は失くなってしまうようだ。

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ネガティブな感情表現は士気を鼓舞するツールとして評価すべき

 心理学におけるリーダーシップに関する最近の研究では、ポジティブな話をした方が部下のパフォーマンスを引き出せるという主張が目立つ。

 しかし、少なくとも短期的にはネガティブな物言いも効果があると述べた研究も少ないながら存在するのだ。

 今回、スタウ名誉教授らは、ネガティブな感情表現は士気を鼓舞するツールとして過小評価されていると結論づけている。

 怒りや不満によって、部下が本来あるべきパフォーマンスを発揮していないことを示せば、それを向上させられる可能性があるということだ。ただし、それもやり過ぎれば逆効果となる。

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求められているのはやる気を出させるための厳しい”愛のムチ”

 つまり、求められているのは”愛のムチ”ということなのではないだろうか?

 心を鬼にして選手にキツい言葉をぶつけていいときもある。だが、それは感情に任せた単なるうっぷんばらしではなく、やる気を出させることを念頭に置いた上での、冷静かつ節度あるものでなければならない。

 なお、スタウ名誉教授によれば、これをビジネスに応用するには注意が必要だとのことだ。

 あまりにも長く悪い評価ばかりしていると、部下がやる気を失くなってしまう。キツい言葉でやる気を出させるのは、あくまで伸るか反るかという重要な場面のみにとどめておいた方が良さそうだ。

References:Berkeley haas / written by hiroching / edited by usagi

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この記事へのコメント 21件

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  1. 「ネガティヴな表現にも士気を鼓舞する効果がある
    とはいえやり過ぎは逆効果」

    それは知っていると言いたくなるぼんやりな感じ
    ネガティヴポジティブだけでは抽象的なので
    どんな言葉をどれくらいの強さで 言ってどうだったとか
    もう少し具体例があると良かったです

    • +5
  2. これって、「ネガティブ発言」がいわば、料理における「隠し味」の役割を果たしているという話だよね。

    要は、チームとコーチの間に信頼関係があって、普段はコーチがチームの選手に対してポジティブな働きかけをしているから、試合中のある程度のネガティブ発言がチームを発奮させて勝利につながる。こういう話になるわけで。

    逆を言えば、チームとコーチの間に信頼関係がなく、コーチが日常的にチームに対してネガティブに接していて、平気で選手を罵倒するような場合には試合中のネガティブ発言も、選手から「またか」ぐらいにしか思われないわけだし。

    しかし、こういう場合には、ほんのわずかでもコーチからポジティブ発言をかけることで、選手に火が付く場合もあるから、一概にはいえないと思うけど。

    • +8
  3. 「あきらめたら試合終了だよ」の一言でいい。

    • 評価
  4. スラムダンクの
    仙道と福ちゃんのソレ

    • 評価
  5. 「気を抜くなよ」って意味だよね、この場合は
    鼓舞しているのでネガティブかどうかは……どうなんだろう……?

    • +4
    1. ※6
      この話、ポジティブとかネガティブとか、あまり関係無い話のような気がする
      チームそのもの、チームの戦い方とか試合の現状において「そのチームに適切な言葉を選んだ時のみ」チームのパフォーマンスが維持、もしくは上昇する。

      あるチームがあって、ハーフタイム時に勝ち越してた場合、ポジティブに「いいぞ、がんがん行けよ!」、ネガティブに「こんなんで満足してるな、もっとリード取れ」と言われる状況があったとする。ポジティブが合うチームはポジティブ発言が合っていて、ネガティブが合うチームはネガティブ発言が合っているだけのような気がする。

      単純な話さ、褒められると伸びる子も居るし、発破掛けられると伸びる子も居るみたいにさ。

      • +5
      1. ※9
        それよね、良い指導者・教育者というのは相手に合った指導の出来る人の事だと思うわ。
        例えば「スクール☆ウォーズ」では熱血教師が不良ばかりのチームを導いていたけど、ああいうノリのままで普通のチームにいても疎んじられるだけで終わる。

        • +1
      2. ※9
        たまたまこのチームがそうだっただけというふうにしないために23チームによる304試合の録音記録を集めて総合的に効果を検証してるわけだから

        • +2
  6. あまり都合のいい話されてもおまえらはチカラを出してないと怒鳴られてもなあ
    飴と鞭というかミエミエなのも人馬鹿にしてるよな

    • +1
  7. うーん、でもユナイテッドのガム爺なんか
    ブチ切れることの方が普通だったけど
    何度もタイトル取ってるしね。
    何とも言えないと思うけど。

    爺切れてて怖いからとにかく後半は
    死ぬ気でやらないとね、って言う心理も働いて頑張ったとしか。

    • +1
  8. アメフトの試合で、ミスばかりしているQBがいた。監督はそのQBを
    サイドラインに呼び出して。何かを説教してから、一発殴った。その後
    そのQBは見違えるようなプレーをするようになってそのチームは
    大勝した。
    これは実話である。
    但し、記事が述べているように、これが有効のは短期的である。また
    監督が常習的このような行動をして恐怖によって選手を支配している
    と、数ヶ月とか数年すると選手たちは萎縮して、チームの実力は下が
    ってくる。

    • 評価
  9. どっかの赤い野球チームの監督はぶん殴っちゃうからなぁ

    • +1
  10. 安心しちゃって集中力落ちるし、注意しなくなるんだろうな
    ドーハみたいなアレ

    • 評価
  11. 練習中にずっと厳しいことだけ言われ続けたら自分のやり方が正しいのか間違ってるのかわからなくなりそうだけど、試合中は愛のムチのほうが緊張感保てていい。

    たかが10点のリードがどうした? (油断するな)
    もっとしっかりやれるだろ!(お前ならやれる)

    って意味だと思うしね。

    • +2
  12. >”愛のムチ”

    まさに、レースの後半で
    バチバチ鞭入れする感じなんだろうな。
    土俵に向かう関取が
    気合い入れに体を叩くのなんかもそうだけど、
    普段とは異なり、勝負に臨む興奮状態だと
    それぐらいの発破掛けが逆に気持ち良いんじゃないだろうか。

    ただし、叩きすぎて骨が折れたりするレベルだと逆効果、と。

    • +1
  13. 敵意を向けられた状態だと、アドレナリンを始めとした興奮物質が増えるから、
    身体的なパフォーマンスが上がるってのは分かる気がする。

    そしてそれが過剰だと、メンタルの低下が容易に起き、
    今度はパフォーマンスが下がるわけだ。

    • +1
  14. 若干のストレスは興奮度を増し、パフォーマンスをアップさせる
    点はリードしている、安心だ、などと気を抜かせればリラックスして凡Missが起きる
    当然ながら適度なストレスであって、強すぎたら怒りでプレーに集中出来なくなる
    最強のメンタルプレーヤーは激怒相当のアドレナリンを出しつつクレバーなプレーが出来る選手だ

    • +1
  15. 気を抜かせず落ち込ませず常に適切かつ適度な負荷をチームに与えられるのが良い監督ってことか

    • 評価
  16. うーん外人の思うポジティブネガティブと
    日本人の思うそれには結構差があると思うんだよな
    セリフを具体的に教えてほしい

    • 評価

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