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1950年にアメリカで発売された世界一危険なおもちゃ。A.Cギルバート社の「子供用原子力研究セット」

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(著) (編集)

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 グーグルで「世界一危険なおもちゃ」と検索すると、スクリーンには「The Gilbert U-238 Atomic Energy Lab」と出てくることだろう。

 これは、アメリカで1950年に発売された「子供用原子力研究セット」だ。A.C ギルバート(A.C Gilbert)というアメリカ人元アスリートの玩具開発者により発明されたこのおもちゃは、現在シカゴの科学産業博物館に展示されている。

 名前からして危険な匂いのするこのセットの中には、放射性物質ウランが入っており、このキットで遊ぶ子供たちが核分裂を体験できるようになっている。

 結果としては、あまり売れず数年後には発売停止になったが、どのようなものだったのか、危険性はなかったのかなど詳しく見ていこう。

The World’s Most Dangerous Toy | Object of Intrigue

子供用原子力研究セットの中身

 スーツケース型になっている長方形の赤い箱を開けると、まず目に飛び込んでくるのが蓋の内側に描かれている少年のイラストだ。

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 その絵は、まさにこのキットを体験している姿であり、箱の中身に視線を移すと、3つの放射線源とウラン鉱石4種の他、ベータアルファ(Pb-210)、ガンマ(Zn-65)、ショートアルファ (Po-210)が同梱されているのがわかる。

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 また、わかりやすく漫画で学べる原子力入門書やマニュアル、ガイガー計数管、検電器、レンズの付いたチューブ型スピンサリスコープ、エレクトロスコープ、その他アルファ粒子のモデルを作成できるゴム製の赤や緑の小さなボールもある。

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 更に、これらの放射性物質から生み出される放射線を観測するための「ウィルソン霧箱」という装置も入っている。

ウィルソンの霧箱を使って放射線を観測

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 箱の中に同梱されてあるウィルソンの霧箱は、チャールズ・ウィルソン氏が発明したもので、様々な粒子や放射線観測、宇宙線や原子核衝突の研究など、多岐にわたる用途で用いられてきた。

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 子供用の実験キットに同梱されているあたり、おもちゃと称するにはかなり本格的であるが、これを使う子供たちは実際にウィルソンの霧箱の中に霧を満たして放射性物質を置くと、そこから生み出される放射線の動きを観測することができるのだ。

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 また、スピンサリスコープを通してアルファ崩壊のきらめきを見ることができるだけでなく、エレクトロスコープを通しても、ベータ、アルファもしくはガンマなどのソースやウラン鉱石を使用して、電離放射線がどの程度のレベルかを観測することができるという。

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開発会社「危険性はない」と主張するも、発売停止に

 当時、このおもちゃを開発したA.Cギルバート社は、子供たちがこのキットで遊んでも危険性はないと主張していたが、実際にはかなり低いレベルではあるが、放射線は放出されていたとのことだ。

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 結局、このおもちゃの製造は1950年、1951年のみで、販売数は5000個以下に留まり、売れ行きが芳しくなかったことから間もなくして発売停止になったという。

 その原因は、子供が遊ぶには危険すぎるというよりも、当時の販売価格が50ドルと高額だったからだ。ちなみに当時の50ドルは、今日でいうと520ドル(約55,000円)ほどであり、子供のおもちゃにしては高すぎると思う人が多かったのだろう。

 そしておそらく、今このようなおもちゃが発売されたとしたら、クレーム殺到必至だろう。

 現在は、「世界で最も危険なおもちゃ」としてシカゴの科学産業博物館に展示されているが、これはまさにパンドラの箱のようなワクワク感を含んだ科学技術のブラックボックスのようなものだといえよう。ただし、そこには隠れたリスクがあるということを忘れてはならない。

References:Nag On The Lakeなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 92件

コメントを書く

  1. デーモンコア実験セットはないんですかね

    • +24
    1. ※1
      ・必ず保護者の方と一緒に遊ぶようお願いいたします
      ・半球同士は絶対にくっつけないようご注意ください
      ・万が一くっついて青い光を見てしまった時はあわてずにかかりつけ医に相談してください

      • +35
      1. ※9
        注意事項 マイナスドライバーは、必ず用意してください。

        • +19
      2. ※9
        かかりつけの医者「急性放射線障害…と…」

        • +18
      3. ※9
        6時間以内に脱毛が始まったら核分裂は成功です。

        • +9
  2. こんにちは、ぼく、デーモンコア君っていうんだ。

    • +12
      1. ※27
        デーモンコアってなーに?

        デーモンコア君は、ちょっとやんちゃな男の子。

        • +8
    1. >>2
      デーモンコア君ってなあに?

      デーモンコア君とは(以下略

      • 評価
      1. ※62
        ワシが教えよう。

        はかせー。

        デーモンコアとは(以下略。

        • 評価
    1. >>3
      実際に昔あった米国のラジウムブームが元ネタな物多いからねぇ

      レントゲン撮影クラスの線源が遮蔽なしで靴屋に置いてあったりしたらしいし

      • 評価
    2. >>3
      アメリカ映画で気軽に原子力が扱われる根源の一つを見られたよw

      • +1
    3. ※3
      パッケージの見た目と核物質入り玩具ってところで、真っ先に『爆発半径ボードゲーム』を思い出したわ。

      • +3
  3. わけわからん文章だな

    「世界で最も危険なおもちゃ」なのか?
    「危険性はない」のか?

    どっちなの?

    • -60
    1. >>4
      開発元が危険性はないって言ってるだけで、世間からは世界一危ないおもちゃって思われてるってことだろ

      • +15
    2. ※4
      その判断を自力で下せるよう、原子力の基本を学ぶグッズ。
      ということにしておこうか。

      • +1
    3. ※4
      開発会社「危険性はない」と主張
      開発会社「危険性はない」と主張
      開発会社「危険性はない」と主張

      現在は、「世界で最も危険なおもちゃ」としてシカゴの科学産業博物館に展示
      現在は、「世界で最も危険なおもちゃ」としてシカゴの科学産業博物館に展示
      現在は、「世界で最も危険なおもちゃ」としてシカゴの科学産業博物館に展示

      一文につき数回読む癖付けようか

      • +18
  4. まぁウラン238であれば確かに量によってはそんなに慌てるモノでもないけど
    (でなければウランガラスなど作られるはずもなく)
    ちょっと流石に勇み足だったのかなぁ。
    今の私なら逆に欲しいんだけど。

    • +11
  5. 当時の原子力グッズとしては

    X線靴透視装置(靴屋で靴の中の足を見れる)
    ラジウム水サーバー
    放射性精力パンツ
    ラジウム歯磨き粉
    ラジウム座薬

    などがありました。

    • +19
    1. ※6
      当時のラジウムという言葉のポジティブなブランド力が分かるよね。
      そして、未だに売られてるラジウム卵・・・

      • +4
  6. 高額な子供のおもちゃというと学研の電子ブロックを思い出す
    当時ほしかったが大人でも買うのが悩む値段
    そりゃ買うのは無理であり、俺の周りでも購入者いない

    • +8
    1. ※7
      うん、当時は買ってもらえなかったけど復刻版を入手出来たので満足してる

      • +4
    2. >>7

      おー、電子ブロック懐かしい
      子供の頃は裕福では、無かったけどどうしても欲しいってねだって買ってもらって、嬉しくて学校に持って行ったら影響されてクラスの男子が他にも5人ほど購入したなw

      そしてそれを使って学習発表までしたよ。
      男子回路の知識は全く付かなかったけど

      • 評価
  7. まぁこの頃のアメリカは万能核エネルギーバンザイな時代(そしてそれを皮肉ったのがFalloutシリーズ)で、目覚まし時計の針の蓄光顔料代わりに核物質塗ったり、果ては歯磨き粉にまで入ってたからなぁ。その背景考えりゃ、未来の科学者のための知育玩具としてこういうのが出るのも無理からぬことか、とは思う。
    流石に放射線研究の進んだ現代じゃトンデモでしかねーわな。
    結局、水銀を賢者の石と言って口にしてた時代とやってること変わらんのなぁ、人間って・・・。

    • +28
    1. >>10
      もしかしたらAIを始めとした論理的な構造物も、後々そういう立ち位置になるのかも知れないね。(ポストヒューマン等を否定する気は無い)

      • +2
    2. >>10
      だから目覚まし時計を分解すると核物質が手に入ったのか…

      • +4
  8. 只の霧箱と微弱線源のセットだね。一般家庭にある物でも再現できる。
    核分裂だの危険だの言うのは無教養か度し難い放射脳と恥じるべき。

    • -11
    1. >>13
      ベータとアルファは霧箱の厚さ次第で防げるが、ガンマはダメじゃなかったか?

      • +1
    1. >>14
      ワーオ!A.Cギルバート社限定の子供用原子力研究セットを見つけたね!

      • +2
  9. これって条約以前の『核拡散』じゃないのかね。しかも子供相手という隠れ蓑がてらの。
    5000ほども売れたのなら追跡してその後の放射能被曝状況を解析してもらいたいものです。
    もしも廃棄物になり何処かに棄捨されたら危険性は更に高まるのではと・・・・・それ程でも無いと言い切れない薄気味悪さある。

    • -22
    1. ※15
      ゴイアニア被曝事故ほど高レベルの放射線源なら問題だけど・・・

      • +7
    2. >>15
      ビビリ過ぎ
      天然ウランから精製してウランケーキにすると流石に毒性が出るけれどこのくらいならどうってことないよ
      ちなみに天然ウラン鉱石は未だに一般流通していて普通に手に入るよ、
      流石に何トンと購入して精製しようとすれば流石に怪しまれるけども…

      • +10
  10. 日本でも夜光塗料を使った昔の玩具などは放射性物質(ラジウム)を含んでいたな

    • +18
  11. ダメリカは放射性物質を化粧品の材料として使っていたりした時代があるからね。
    また時計の文字盤に関するラジウムガールの悲惨な末路はあまりにも有名。
    その被害原因を認めるまでの資本家の抵抗たるや、読んでいるだけで怒りが湧くよね。

    • +12
  12. 鉱石が出してるレベルなら大したことないっしょ
    ビビりすぎ

    • 評価
  13. 原子力がいいことずくめの技術だと信じられていた時代だからね。
    枯渇しないエネルギーで、車も家電も動かせて、どんな病気もイチコロにできるとみんな夢みてたんだよ。

    • +6
  14. ラジウム卵みたいなもんやろ
    日本は遊ぶどころか食っとるんやで

    • +4
  15. 思ったよりも危険性は無さそうで肩透かし食らったけど
    それでも子供が扱うものじゃないな

    • +4
  16. 思った以上に本格的なセットだった!
    ただ、これを子供が遊んで楽しいのかしら?

    • +6
    1. ※38
      核兵器開発養成ミッション、だと言いたかったんだが

      • 評価
  17. 当時実際に買ってまだ持ってるってご家庭はあるのかな。

    • +2
  18. 今の時代は危険過ぎるから絶対にウラン⚠️

    高校の頃担任に聞いた(綺麗な光る石を拾って段々手が溶けていった人 )の話が怖かったな
    実話とか聞いたが…
    あとその担任に聞いた(剣道の段持ちだか古流の剣の流派の方だか忘れたが自宅に侵入してきた強盗を真剣で袈裟懸け真っ二つにした話)も怖かったな これも実話らしい

    • -12
  19. そういえば、スパイダーマンのピーターパーカーが、スパイダーマンになるきっかけが、この手の実験器具を使っての、原子力実験だったんだよね。

    で、天井から降りてきたクモが偶然、放射線か何かを浴びて、さらに運悪くそのクモがピーターを噛んだことがすべての発端だった。

    まあ、この「スパイダーマンの誕生」のエピソードは、各時代や描き手によっていろんなバージョンがあるわけだけど。

    • 評価
  20. 日本の駄菓子屋で売ってた夜光ねんども大概だけどな

    • -2
  21. ラジソールというヤバイ飲み物も実在してたしFalloutを地で行ってたあの時代

    • +3
  22. Falloutなおもちゃ。Falloutに登場させてほしいくらい。
    バーチャル上で再現されないかな。

    • +1
  23. 「ワンダーテイメント博士のこどもけんきゅうしゃキット!」

    • +5
  24. デーモンコアごっこでもするのかと思った

    • +2
  25. この玩具で遊んでいた子供たちが後のX-MENである

    • -1
  26. 核開発が盛んだった時代だから子供の内から理解を深めてゆくゆくは開発者として~
    なんて目論見があったのかも

    • 評価
  27. fallout4でなんで分解オモチャから核物質取れんねんって笑ってたけど笑えねえなこれは

    • +1
  28. 本当の意味でこれより怖い、危ないおもちゃなんて腐るほどあるけど、結局印象って事だろ

    • +3
  29. クレームが来てもチーズとフルーツのお詫びセット送っておけば大丈夫

    • +2
  30. 世界一危険なオモチャはある意味誇張でしょ。危険な物質を使っていたり、構造的に大けがする玩具で騒ぎになったのはいくらでもある。これは自然の鉱石が入ってるだけだね。

    • +1
  31. 自分が小学生の頃、学研の科学の付録でラジウムキットみたいなのがあった。茶色のガラスの小瓶の中でぼんやり光るのを見てた記憶がある。小瓶の蓋をきつく締めたら内部圧力で小瓶の底が抜けてラジウムの液体が床にブチこぼれたけど、アレって実はヤバかったのかな・・・。

    • 評価
  32. 原子力工学のエンジニアは必要。おれは尊敬する。
    このようなおもちゃも、危険性さえなければ(コイツは危険だったようだが…)、正義。

    • 評価
  33. 日本だとこのぐらいのおもちゃに抵抗を示す人は少なそう
    こないだのチェルノの記事の時のコメ欄も大らかなものが多かった
    政府が安心安全というのって効果があるんだな

    • -1
  34. ラジウムブームの話、ゴーストガールの事件知ってから笑えない…
    放射性物質を塗る筆を舐めて整えるよう指示されてた女性たちが全員棺桶入りするまで裁判長期化しようとした会社側にゾッとしたよ
    その上、研究者の男性が一人しんだ途端にいきなり手の平返しってさあ…
    重度の放射線障害に苦しみながら裁判に向きあった当時の女性たちを尊敬するよ

    • +6
  35. ウラン鉱石にばっかり意識が行って「この程度なら危なくない」ってコメントしてる人が目立つけど、ポロニウム210が同梱されてるのは普通に怖いし危なくない?

    • +1
    1. ※81
      危険でない程度の量のポロニウムなのでは?
      水だって多量にあれば人間を死なせることもある危険物質だけど、スプーン一杯の水はほとんどの場合で危険とは言えない。何事も、量の問題は重要だよ。

      ところでポロニウムが同梱されてるって話はどこに書いてある?

      • +1
      1. ※92
        記事に書いてあるね
        アルファ線源となってるので、食べなきゃどうということもないかと
        天然の鉱石なんだしいいじゃない

        • 評価
  36. デーモンコア君「しょうがないな、明るくしてあげるよ」。

    • 評価
  37. 個人で原子炉を作った奴がいる国だし

    • 評価
  38. 高線量放射線の有害性は明白だが、低線量放射線に関しては、放射線による身体への影響とそれ以外による身体への影響とを峻別できない=本当にそれが放射線による障害なのかが明確に区別できない、という理由で科学的に有害性を立証できていないと聞いた。
    逆に言えば低線量放射線が人体に与える影響とはその程度のもの、とも言える。
    ラジウム塗料の入った瓶を、それと知らぬまま枕元に置いて数十年間寝起きを共にしてた人に特に何の健康被害も見られなかった話なんてのもあるしね。

    • 評価
  39. マイナスドライバーとデーモン・コアが入ってたら完璧だったな

    • 評価
  40. ポロニウムの発見者というか名付けたキュリー夫人のノートは現在でも高い放射線をもってるらしいけど・・・・

    • +2
  41. 多分、アメリカへ航空機に乗って移動するときに浴びる放射線量の方が多いと思う

    • +1
  42. 福島事故の件で日本中がガイガーカウンター持って街をうろうろしてたとき、
    日本中で「ン十年以上前からじつは床下に放射線源が!」みたいなニュースが相次いだからな。
    実際のところ、長期的な微弱放射線被曝に関しては、人体はかなり強いみたいだよな。

    • +1
  43. すんごいプレミアついてそう
    でも輸出入できないからどうしようもないか

    • 評価
  44. 放射線源とウラン鉱石がなきゃ、普通のキットとして忘れ去られたんだろうなぁ…

    • 評価
  45. これに関係なく放射線は微量なら大丈夫と勘違いする人がいるけど、低けりゃいいに越したことはないからね

    • 評価
  46. ほんとは六研のモデルガン(オリハルコン製)だけどね

    • 評価

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