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キャプテン・キッドもここで処刑されていた。イギリス・ロンドンにあった海賊たちの処刑場

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(著) (編集)

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image credit:Tarquin Binary/wikimedia

 イギリス・ロンドンは、かつては世界でも最大規模の貿易港だったこともあり、海賊とは切っても切れない場所だったことは驚くことではない。

 だがイギリスも、好戦的な彼らの放蕩なふるまいや、犯罪・略奪行為を野放しにしていたわけではない。15世紀になると海事裁判所は海賊を処刑場送りにすることを決議した。

 有罪となり、死刑を宣告されたら、ロンドン、テムズ川沖のワッピング地区にある海賊処刑場まで歩かされ、そこで死刑執行がなされる。

 この処刑場は約400年使用され、かのキャプテン・キッドもここで処刑された。

一列に並び、歩いて処刑場まで連行される海賊たち

 海賊行為の咎(とが)を受けた者は、海事裁判所での法廷審問までは、マーシャルシー監獄に収監される。

 有罪となれば、死刑を宣告され、監獄からロンドン橋を通って、ロンドン塔を抜け、ワッピング地区にある海賊処刑場へと歩かされる。

 この行進は、海軍法廷執行官(あるいは副官)が先導する。

 執行官らは銀のオールを持っているが、これは海軍の権限であることを示している。1796年のThe Gentleman’s Magazineはその様子を次のように記述している。

11時45分頃、大勢の群衆が見守る中、彼らは処刑された。処刑場に向かう道中は、馬車に乗った海軍法廷執行官に先導され、銀のオールを抱えた副官、馬にまたがった市の官吏ふたり、その他も同行した。

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image credit:Edward Ballinger/wikimedia

処刑の前に最期のビールが与えられる

 監獄から処刑場までの死出の旅の途中で、ザ・タークス・ヘッド・インというパブ(現在はカフェになっている)があり、死刑囚に処刑前の最期のビールを飲ませる許可を得ていた。

 死刑囚にとって、これは気持ちを多少でも穏やかにする助けになったかもしれない。

 おそらく、この最期のビールは、同行している司祭に対して、死刑囚たちに最後の告解を促すために飲ませたのではないだろうか。

 ビールを飲み終え、その時がやってくると、死刑囚たちは処刑場に連れてこられる。処刑場はそこから海軍の管轄になるロンドンを海とつなぐテムズ川沖、干潮線より下手にある。

苦しみを最大限にするため、短い縄で首つり処刑

 死に際の苦しみを最大限にするために、首を吊る縄は短いものが使われる。縄が短いと体が落下したときに首の骨が完全には折れず、長い時間をかけて窒息死することになるからだ。

 じわじわと首が絞まる間、死刑囚の手足は痙攣し、まるでダンスをしているように見えるため、この光景はマーシャルズ・ダンスと呼ばれた。

 絶命すると、遺体はそのまま放置され、3度ほど水に洗われるままにされる。

 悪名高い海賊は、タールを塗られ、檻に入れられてテムズの河口に吊り下げられ、犯罪者予備軍への見せしめとされる。

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image credit:Old engraving/wikimedia

キャプテン・キッドもここで処刑され数年間放置された

 こうした扱いを受けた、もっとも有名な海賊は、『宝島』が生まれるきっかけにもなったスコットランド生まれの私掠船、海賊船の船長。キャプテン・キッドだろう。

 1701年、キッドは海賊行為と殺人の罪で有罪になり、同じ年にニューゲート監獄から引っ立てられて処刑された。

 怖ろしいことに、最初のロープが切れてしまい、2度目に吊るされて絶命した。その遺体はタールを塗られて、鉄の檻に入れられ、テムズの川岸に20年以上もさらされたという。

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キャプテン・キッドの処刑風景 image credit:wikimedia

 1830年12月16日、海賊行為で有罪になったジョージ・デイヴィスとウィリアム・ワッツが処刑され、これがこの海賊処刑場での最後の処刑となった。

 この処刑場が実際にどこにあったのか、現在、正確な位置は諸説あってはっきりしない。

 もともとの絞首台は遥か昔になくなってしまっている(レプリカはザ・プロスペクト・オブ・ウィットビーというパブのそばにある)。

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ザ・プロスペクト・オブ・ウィットビー image credit:Tarquin Binary/wikimedia

 根拠はともかく、現在名乗りをあげている場所は、サン・ワーフ(建物のテムズ川側に大きなEの字が記されている)、ザ・プロスペクト・オブ・ウィットビー、キャプテン・キッドなどのパブだが、もっとも信憑性が高いのは、ザ・タウン・オブ・ラムズゲートというパブだ。

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ザ・タウン・オブ・ラムズゲート image credit:Jan.bannister/wikimedia

 ここの波打ち際は一見の価値がある。

 オーバーグラウンド駅からワッピング・ハイ・ストリートを進むと、ザ・タウン・オブ・ラムズゲートが見えて来る。付近に目をこらすと、すぐそばにワッピング・オールド・ステアズという古い階段へとつながる狭い通路がある。

 階段を降りると(満潮、ぬかるみ、砂、コケに注意)川のほとりに出られるようになっている。

Execution dock – London

References:Execution Dock, Wapping, London. Part of the Secret London series by Historic UK/ written by konohazuku / edited by parumo

References: :Execution Dock, Wapping, London. Part of the Secret London series by Historic UK

この記事へのコメント 21件

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  1. タールは腐敗防止のためかな
    死後とは言え20年も晒し者にされるなんてゾッとする

    • +13
  2. 歴史の積み重ねというのはすごいなぁ
    一度は行ってみたい

    • +7
  3. 同国船を襲っちゃったらねぇ、そりゃ晒されちゃいますよ。

    • +5
  4. 海賊🏴☠️達を
    某回転寿しチェーンの社長が
    更生させたというのは本当なのだろうか

    • +1
    1. ※5
      元々有名なマグロの産地だったから
      一から船や冷蔵庫を用意しマグロ漁の方法を教え
      ソマリア政府へ働きかけIOTCに加盟してそこから自分の会社がマグロを購入するって仕組みを作り上げた結果
      その地域の海賊被害が激減したとか

      • +4
  5. 抑止効果のない死刑なんて意味ないよなぁ
    我が国も結審即公開執行でいいんじゃねぇかなぁ
    科学捜査が及ばず、倫理、理性すらなかった過去はともかく、今後は

    • -12
    1. >>6
      それじゃ苦しみを与えられないじゃん
      執行がいつ訪れるか分からず待ってる状態の恐怖感ってのは相当なもんだぞ

      • +4
    2. >>6
      抑止はあるぞ、被害者遺族が復讐に走るという悲劇を抑えるほうのな

      取り敢えず死刑不要論者はてめえの大切な人を目の前で理不尽に奪われてからその言葉を吐け

      • -2
  6. 首吊りは大動脈洞圧迫するから首折らなくても7秒で死ねるって見たけどやっぱ首折らなきゃ苦しいのか

    • +2
    1. ※7
      7秒でも苦しそう…
      すんごく長く感じそうだなぁ…

      • +3
  7. こんな場面にもパブとビールがセットで出てくるあたり、さすが英国って感じがする。

    • +8
  8. なるほど、先の時代の敗北者どもをここで処刑したのか

    • 評価
  9. 時代によって海軍に召し上げられたり吊るし首になったり英国の海賊も大変だな

    • +8
  10. 歴史に名を馳せた海賊たちの処刑地にしては随分とショボイ環境だなあ・・・
    てっきり見せしめ用に街中の広場とかでやってるもんだと思ってた。
    海軍からすれば海賊なんてほんのゴミみたいなものだったんだろうか。
    有名・無名かかわりなく。

    • +1
  11. イギリス海軍の先祖は海賊船だからな、用済みになった海賊は処刑したんだよ。

    • +3
  12. キャプテンキッドは名前だけが一人歩きしてるイメージ

    • +2
  13. 某漫画はもう飽きてしまったけども、
    「海賊」ってなんでこうもワクワク感をかきたてられるんだろうな。
    実際一市民に過ぎない自分やご先祖たちからしたら恐怖の対象以外の何物でもないのに。実際の海賊はお宝探しとかじゃなくて、水と食料を主に盗んでたっていうロマンも何もないのが事実だっていうのに、単なる強盗なのに、なぜこんなにも惹かれるのか。

    • 評価

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