暑くて乾燥しているカリフォルニアでは山火事が起こりやすい。だが、山火事は街を避けて通ってはくれないので、住民たちの方が避難しなくてはならない。
ネルソン・ロードで始まった山火事でも同じことだった。
それでも、人間はお互いに助け合って避難することができるが、この山火事では、自力ではどうすることもできないたくさんの生命が危険に晒されたのである。
火の進路上に、アニマルシェルターがあったのだ。
大丈夫、動物たちはみな無事だ。シェルターのスタッフはもちろんのこと、ボランティアに近隣のシェルターからの救援隊、さらに警察も力を合わせて動物たちを避難させたのである。
その際に、警察官の一人が身につけていたボディカメラの映像が公開された。一匹でも多くの動物を助けようと奮闘する現場の様子が映し出されている。
空は一面煙で覆われ、すぐそこに炎も見えていた。
image credit: Vacaville Police Department/Facebook
猫をケージに入れていく。手荒い扱いだが、今は一刻を争うのだ。
image credit: Vacaville Police Department/Facebook
リードをつけて引き出した犬はパトカーの後部座席に。
image credit: Vacaville Police Department/Facebook
大きなケージは引きずって移動させたり、動物をそのまま抱きかかえての移動作業が大急ぎで行われる。ケージはトラックの荷台に積んでいく。シェルターには、ニシキヘビ1匹を含め67匹の動物がいたが、みな無事だ。ケガをした動物もいない。
山火事からの避難
ソラノ郡ヴァカヴィルのネルソン・ロード付近で始まった山火事は、鎮火するまでに2,162エーカー、約880万平米を焼いた。山火事の発生地点から5kmも離れていない位置にあるソラノのSPCA(動物虐待防止協会)のシェルターには、避難のための時間はほとんどなかったのである。
しかし、関係者の祈りが通じたのか、シェルターは幸いにも助かった。避難命令が出る前に連れ出しきれなかった数匹の猫も無事だったのだ。
image credit: Vacaville Police Department/Facebook
避難した動物たちは、それぞれ一時預かりの家に落ち着いた。ボディカメラを装着していたカーリー・ストーン警察官も、その晩は3匹の犬を預かったのである。「犬たちを預けておける場所がなかったんです。犬たちも私と一緒にいて満足そうだったので、シェルターに戻せるようになるまでの数時間、そのまま人々を避難させる任務を続けました」
カーリー・ストーン警察官とSPCAから避難した犬2匹
シェルターの現状
スタッフによる環境アセスメントの後、避難した動物たちはシェルターに戻った。しかし、シェルターで保護している動物の総数は減っている。避難の支援をしてくれた家に引き取られた動物たちがいるのだ。最終的には12〜15匹が引き取られていくだろうと予想される。
ストーン警察官も、犬を1匹引き取ろうと考えているそうだ。
しかし、シェルターは無傷ではない。燃えこそしなかったものの、煙と停電による物資の被害が大きく、フード以外の消耗品、特に、停電でダメージを受けた医薬品やワクチンが足りないのだそうである。
それでも、被害の中に動物たちの生命は含まれなかったのである。動物たちも落ち着いた生活を取り戻しているようだ。
もし援助をしたいとお考えなら、こちらからオンラインで寄付ができる。また、アマゾンのウィッシュリストも公開されている。
References: San Francisco Chronicle / ABC News / Sunny Skyz など / written by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
あれ?アマゾンの欲しいものリストに飛んだけど、動物関連じゃなく、人間が個人的に欲しそうなものしかなかった・・?
飛んだ先間違えたかな?
犬猫の餌関連ならなけなしの大枚はたいても惜しくはないけど、人間にはちょっと・・・
2. 匿名処理班
事情を知らない犬達にとっては
ドライブできるし引き取って貰えるしで
至れり尽くせりなトラブルだったのかも知れない
3. 匿名処理班
ワンニャンたちも「四の五の言ってる場合じゃねえ!」ていう人間の勢いに押されて全員大人し目な気がする。無事でよかったね。
4. 匿名処理班
グッジョブ!
5. 匿名処理班
動物愛護は賛成だけど、最近世界的にこの風潮が加速的に強まってる気がする。
極端な方向に進んで危険なことになってしまいそうで、不安だ。
6. 匿名処理班
矛盾ていうか欺瞞ていうか。山火事発生の根本的原因「地球温暖化」に真剣に取り組め、と言いたいね。勿論現場の方々は地球温暖化とはなんの関係もないんだけど。USAという括りで。
7. 匿名処理班
おそらく地顔なんだろうけど、後部座席のワンコのしょぼん顔が、
「連行されてるボク」みたいで可愛い。
カーリーさんも、こんな可愛い犯罪者ばっかりだったらなあって思ってるかも。
8. 匿名処理班
怖かったでしょうに。助かり良かった。アフターケアも万全に願いたい。
9. 匿名処理班
カリフォルニア在住黒人「犬のついででも構わないから俺も助けてくれ……ガクッ」
10. 匿名処理班
あー、これは、預かった犬に愛着が湧いちゃうやつだ
11. 匿名処理班
カリフォルニアの火事は毎回甚大な被害をもたらしていて
焼失面積も日本の感覚からはほど遠いのだが
こんなに毎回焼けてしまって大丈夫なのか
同じ人が何度も焼け出されて居たりしないのか
心配なのもそうだがここは住むことが出来る場所なのか疑問にも思う
12. 匿名処理班
※10
うんうん
吊り橋効果で愛が生まれるんだよね
13. 匿名処理班
多くが助かりとてもうれしい。
でもCAの火事の発端は、人の火の不始末が大きな率を占めてると
読んだよ。そこをなんとかすべきでは?
火を感知したら、当局が見張りドローンを消火まで滞空させるとか。
ちょっと味気ないBBQになるかもしれないけど。
14. 匿名処理班
※3
ビビリつつも人間の迫力に明らかに圧されてるよね
非常事態なことはわかってるんだろうね
何にせよみんな無事で良かった、人間のみなさんも
15. 匿名処理班
危険を顧みず動物達を救う姿にも感動したけど一時保護予定だった動物を引き取ったって後日談にも泣いた
僕にはとてもできない
16. 匿名処理班
ピックアップトラックって使えるねー!
17. 匿名処理班
続・あしながおじさんで火事になった孤児院から
緊急避難で子供を預かってくれたうち何件かで
子供がそのまま引き取られたってハピエンエピソードあったけど
まさか動物シェルターでそんな事が起きるなんて
現実が児童文学より優しい世界
18. 匿名処理班
蛇好きワイ、ニシキヘビも差別なく避難させてもらえたようで嬉しい
19. 匿名処理班
※18
蛇だからってハブられてはかわいそうだもんな
20. 匿名処理班
※1いや、動物のお世話には必要そうなものだと思うよ、使い捨ての雑巾も臭いの出ないごみ袋?も。足裏ケアはひょっとしたら人間用のほうが使いやすいのか、安いのかもしれない。
信じて寄付してみたら?
21. 匿名処理班
素晴らしい!そしてやはり海外のこういう動物レスキューへ羨ましいとも思う。
日本は遥かに遅れてるよ。
もっと官民一体となって推し進めて欲しい。
それでこそホントの先進国。
22. 匿名処理班
左のチワワンもなかなかシブい顔してるぜ
23. 匿名処理班
人間は100人以上亡くなってて数千人が行方不明なんだぜ?