メインコンテンツにスキップ

60秒で傷を完全にふさぐ。外科手術用接着剤が開発される(国際研究)

記事の本文にスキップ

80件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 救急医療の現場が一変するかもしれない。縫合しなくても皮膚や臓器の傷を塞ぐことができる外科手術用接着剤が開発されたのだ。

 この接着剤はメタクリロイル置換トロポエラスチン(MeTro)というハイブリッド弾性タンパク質を基礎としたもので、体外と体内のどちらの傷にも使用することができる。

縫合なしに傷口を60秒でふさぐ

 国際的な開発チームによると、文字通り命の救い主になる力を秘めており、傷をたった60秒でぴたっと塞いでくれる。しかも内臓や皮膚の自然な動きを邪魔することもない。

 現段階ではマウスの動脈・肺やブタの肺など、動物実験でしか試されていない。しかしさまざまな状況で試験され、従来のシーラントでは対応できない問題にも有効であることが確認されている。これまでのところは非常に有望であり、人間による治験へ向けて着々と準備が進められている。

MeTro – A breakthrough medical technology that could save lives

シリコンのような液体が傷口をもれなく接着

 研究に参加した米ノースイースタン大学のナシーム・アナビ(Nasim Annabi)博士によると、MeTroの利点は組織表面に付着するとゲル状に固まって垂れないことだという。

 塗りつけたら紫外線を照射して固める。それからさらに短光による架橋処理を用いて硬化させる。こうすることで患部に正確に使用した上で、組織表面の構造をしっかりとかみ合わせて接着させることができる。

 その使い勝手は、キッチンやお風呂場のタイルを貼る際に使用するシリコンシーラントにような感じだという。最初は液体のような状態で、傷口をその形状に合わせて埋めることができる。

この画像を大きなサイズで見る

 MeTroを用いた場合、治癒時間が従来の医療用ステープラーや縫合のそれに比べて半分に短縮するという利点もある。

 また手術に用いれば、施術をよりシンプルなものにできる。救急医療の現場ではスピードが命である。MeTroならば傷や肺の穴の処置に大きな威力を発揮することは間違いない。

この画像を大きなサイズで見る

 分解性酵素が混ざっているために、傷の種類に応じて持続時間を数時間から数ヶ月まで自在に変えることも可能だ。また分解したからといって体内に有害な物質を残すこともない。

 病院ではもちろんだが、戦場のような場所における怪我人の治療にも大活躍することだろう。首尾よく開発が進み一般に流通するようになれば、救急隊などの初期対応者にとって必須ツールになるだろうと研究チームは期待する。

via:sciencemag / nibib / ssciencedailyなど/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 80件

コメントを書く

  1. 瞬間接着剤も元々は野戦病院などで迅速に傷口をふさぐ、戦場医療を目的として開発されたんだよね(パーツ同士より指同士がくっつきやすいのも納得である)。

    私も指切ったりした時は、瞬着で傷口くっつけている。

    • +36
    1. ※1
      それ医療用じゃないから有害物質だらけだぞw

      • +5
      1. ※55
        シアノアクリレート系はシアノアクリレート100%だから医療用だろうが工業用だろうが同じものだったと思うが

        • 評価
  2. 止血用の瞬間接着剤は昔からあるけどそれとは違うんだね

    • +21
  3. まさかこれは例のナメクジ接着剤が実用化されたとかそういうあれかな

    • +12
  4. >分解したからといって体内に有害な物質を残すこともない。
    すごく重要
    民生用に普及したときに、粗製乱造されないことを願いつつほしい逸品だね

    • +62
      1. ※10
        そのは、「キズはきらいだよ」で返して欲しいな。

        • +4
  5. ホッケーで昔から使ってたじゃん、と思ったけどそれとは違うのか。

    • +1
  6. ずっと先の未来はips細胞みたいなのが接着剤になっていくんだろうなあ

    • +7
  7. これが完成すれば
    バイオシリーズの緊急スプレーが現実になるのか

    • +6
  8. 1枚目の傷跡、接着剤の透明度が高くて懐中電灯で照らしてクレバスみたいな肉の断面をじっくり見たいという衝動が…ウゴゴ

    • +4
  9. いや、紫外線硬化シーラントは日本じゃすでに歯医者で使ってるだろ。

    • -6
  10. スプレーにしたら救急スプレーになるやつだ

    • +3
  11. 米軍あたりはもうとっくに使ってたりしてそう

    • +11
  12. 手術や治療のハードルをさげることになるから途上国の命を救うことにもつながりそう。アイデアが革命的なことも加味したらノーベル賞級じゃね?

    • +7
  13. 縫合が難しい混み合った裂傷とかを、まとめて塗り込めて塞ぐこともできる、ということだろうか。

    • +7
  14. こんな物簡単に一般販売できないよ
    完全な殺菌できているか判らないのに傷を閉じれば後が大変
    と、ヤブ歯科医に抜髄後適当に殺菌して閉じられ5年後歯根から歯槽までごっそり抉る手術を
    受けた俺が断言

    • +45
    1. ※20
      なるほど、アフターケアは欠かせないって事だな。

      • +1
    2. ※20
      ではこれに強力な殺菌・消毒性を持たせた上で治癒促進効果を持たせれば完璧だな

      • 評価
  15. 医療用ホッチキスといい、この接着剤といい、医療用品の文房具化がとまらない!

    • +28
  16. 接着剤つけてラップ巻いて完了という時代がくるのかな

    • +6
  17. 戦場だとガムテープが必須だけど、この接着剤が
    あるとこの道具が必須アイテムになるかもしれん

    • +5
  18. え、みんな傷口くらい一瞬で塞げるんじゃないの?
    俺の友達は腕がもげても生やせるし君たち貧弱すぎじゃ

    • 評価
    1. ※25
      お前の友達はスパルタンかトレジャーーハンターか!?
      もしくはVaultの住人か?

      • +1
    2. ※25 プラナリア君は黙って宇宙に行っていたまえ

      • +10
    3. ※25
      君の友達、緑色のお肌で頭にターバンを巻いてないかな?
      ついでに言えば楽器のような名前?

      • +2
  19. 持続時間を変えられるってのがミソだね。
    止血程度の応急手当なら数時間で分解されるやつを使って医療機関へGO。
    その後、ちゃんと手当てして長期間用を使うとか。

    • +15
  20. でもそんなに瞬時に引っ付いてしまうとなると、失敗や悪用が怖いし市販はされないよね
    やっぱり理想は肌に吸収される傷口パッチだなぁ

    • 評価
    1. ※29
      その万能傷口パッチに至るブレイクスルーになる技術かもしれん。

      • +5
  21. こういうのって組織と組織が繋がるのを邪魔する「壁」になってしまわないの?

    • +7
  22. 応急手当てで止血可能な怪我の範囲が広がるのは、生存率向上としては良いね

    • +7
    1. ※31 そういえばTVで手術の映像見てたら、ぜんぜん血が出なくて
      不思議に思ってたら、切りながら止血できるのだそーだ。
      あのー女性としては、はるか昔に開発済の「服の上から心音が聞ける
      聴診器」、ぜんぜん現場で使われてないのが悲しい。

      • +10
  23. 効果的だけどめっちゃ痛い液体絆創膏の親玉みたいなもんか

    • +3
    1. ※34
      液体絆創膏て有機溶剤入ってるのかメッチャしみるよねえ
      子どもの頃は怪我よりむしろソッチのが恐怖

      • +4
      1. ※41
        液体絆創膏は傷が塞がる前に
        ペリっと剥がしたくなっちゃって駄目。

        • 評価
  24. 「撃たれた!衛生兵!!くそっ!!」
    「任せろ!OK、接着完了だ!」
    「くそったれ、神様は休憩時間もくれないのかよ!おい、あと一発撃ってくれ!」

    • +14
  25. おう、抗生薬とコレを、うちの組も常備しとかんといかんな
    今は瞬着で済ませとるけど

    • 評価
  26. 60秒で毛根が復活する
    お薬間はまだですか?(´・ω・`)

    • +9
  27. 歯医者さんでも口の中なんかカチカチやるよね
    あれは光硬化パテなのかね・・・w
    タミヤのとか・・・・w

    • +3
  28. 痛みは消えるのだろうか?
    60秒で消えたらそりゃすごいけど・・・

    • +1
  29. 魚屋さんやってたころは瞬間接着剤を人口かさぶたにして止血してたな

    • 評価
    1. ※47
      液体絆創膏 という神アイテムがあってだな・・

      まああんまり何センチもある傷とかには使えないけど

      • +1
      1. ※74
        コロスキンやサカムケアのような液状絆創膏のことを言ってるんだろうけど、
        あれはどちらかというとセメダインCを傷口に塗ってる感覚で乾くのも遅いし、
        はがれやすい。利便性、耐久性では瞬間接着剤とは比べ物にならない。

        • 評価
  30. 牡蠣かフジツボが岩にへばりつくたんぱく質の研究の話を以前カラパイアで紹介してたね
    あれかな?

    • +1
  31. 姉が解放骨折で入院してたときの話
    医者の診察の度に泣きわめくからなんだと思ってたら
    医者「ごめーん神経も縫ってたわ(テヘ)」
    こういうのが減るといいなあ

    • +5
  32. ちょっとした切り傷にアロンアルファを愛用してるけどこういうのもいいな。
    アロンアルファは水分に弱いからさ。

    • +1
  33. DARPAが似たようなもの開発してなかったっけ

    • 評価
  34. 縫い跡が残らないしいいな
    個人で使いたい
    市販してくれ

    • +1
  35. 理論によるCG紹介じゃなくて実際の映像で証明してくれよ

    • +1
  36. 血はどうなるんだろう
    血がじゃんじゃん出てるあいだはだめなんだろうな

    • +1
  37. 「これは実にすばらしい医療品だ。これならば片足を飛ばされても入院する必要もあるまい。さあ出撃だ!」

    • +3
  38. この科学世界の怪我に対する治癒能力はファンタジー世界の魔法に逆立ちしても敵わないなと思っていたけど、その認識も覆るかな?

    • +1
  39. 傷が治っても剥がさなくていいように吸収されるタイプの希望

    • +2
    1. ※65
      ミドル級の絶対王者さんですねこんにちわ

      • 評価
    2. ※65
      ああ!ムーミンに出てたギターを持っ…お休みなさい

      • 評価
  40. これと同じコンセプトの薬剤は、20年前ほどにも発売された
    丁度、オレが研修医の時

    でもその後、効果に疑問があるとかで無くなったんだよね
    これは改良版なのかな

    • +1
  41. もう30年以上前になるのかな?

    小学生のときプール入りたい一心で、怪我なんか瞬間接着剤で閉じてましたよ
    それこそ1秒もかからずくっつく

    うまい具合に、傷が治るにしたがって瞬間接着剤の部分が少しずつ押し出されていくんだよね

    • +2
  42. SFで良く見るやつだな
    密着するパッド型もこの先出て来るんかな

    • 評価
  43. 昔扁桃腺の切除術を受けた1週間後にうどんのネギにむせて傷口が裂けたことがある
    あの時これが有れば電気メスでのどを焼かれずしばらくメザシの香りを感じなくても済んだのか

    • 評価
  44. 昨日ちょうどアマゾンプライムで「レポゼッション・メン」と
    言う映画見たけど傷口塞ぐ方法がそのまんまだったよ

    • 評価
  45. 医療用のアロンアルファがあるので傷口の接着自体は珍しくない。
    体内の縫合を溶解糸で行い表面の傷口はキズパワーパッドを張っておく方がいいと感じる。
    紫外線を体に当てる時点で害がありそう。

    • 評価
  46. これら、戦場でも大活躍するね☝️💪💪💪💪

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。