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2011年の日本の津波が生態系を変えていた!?日本の海岸に生息していた生物が太平洋に大移動(米研究)

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(著) (編集)

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image credit:Oregon State University | Flickr
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 日本で発生した津波によって太平洋に前代未聞の副作用が観測されたようだ。

 新たな研究によって、2011年東北地方太平洋沖地震による津波で日本の海岸に生息する300種近い生物が太平洋を横断したことが判明した。中には日本からアメリカまで7,000キロ以上の距離を旅した生物もあったそうだ。

前代未聞、300種近くの生物大移動

 この前代未聞の移住は自然災害に起因するが、より現代的なプラスチックをはじめとする海のゴミ問題も一因となっている。

 津波に流されたゴミに乗ることで、日本の海岸に生息していた生物はハワイ、アラスカ、カリフォルニアなどの地域にまで到達。

 こんなことは記録史上前代未聞の現象であるという。

「海岸に生息するほとんどの生物がこれほどの長期間海で生きられるとは思ってもいませんでした」とスミソニアン環境研究センターのグレッグ・ルイス(Greg Ruiz)氏。

 「かつてはそんなチャンスなどなかったのですが、今日ではプラスチックが津波や嵐といった現象に組み合わさることで壮大なスケールのチャンスを作り出しています」

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image credit:Oregon State University | Flickr

津波と海のプラスチックゴミが合わさることで長期生存が可能に

 津波は2011年3月11日に東北地方を襲ったマグニチュード9.0の地震によって発生し、その波の高さは40.4メートルにも達した。津波は内陸部に甚大な被害をもたらしただけではなく、無数の瓦礫を海にさらっていった。

 アメリカの海岸で行われた調査からは、津波に流された箱やプラスチック製コップといった物体にへばりついた生物が発見されている。

 全体では2012年から2017年の間に16門に属する289種が確認された。

 人工物であるプラスチックは腐敗しないよう設計されているため、6年の船旅でもやすやすと耐える。

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image credit:Oregon State University | Flickr

 「海を漂うプラスチックや微細なプラスチック粒子による負荷はますます増大しており、生物や生態系に甚大な影響を与えていると考えられています。プラスチックなどの人工物に注意を払う際の新しい尺度と言えるでしょう」

 無脊椎動物の中で最も多く発見されたのはイガイなどの軟体動物で、蠕虫、ヒドロ虫、甲殻類、コケムシも発見された。

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image credit:John Chapman

 こうした種は通常なら海岸から遠く離れた場所では生きられない。しかしゴミがゆっくり(1、2ノット。商業船は通常20ノット以上)と流されたことで、十分な安定性が確保され生存や繁殖が可能になったと考えられている。

 今のところ、こうした種によってアメリカにコロニーが形成されている様子はないが、それも時間の問題かもしれない。現在、北アメリカ西海岸では3分の2近くの種がそれまで見られなかったものである。

海を漂うゴミの環境ダメージは深刻

 研究では最終的に634個の破片が調査され、数多くの種が発見されないままになっている可能性が高いと結論づけられた。

 太平洋横断の旅も驚くべきことであるが、研究チームは海を漂うゴミによる環境ダメージについても強く警鐘を鳴らしている。地震を止めることはできないだろうが、プラスチックゴミを減らすことはできるのだ。

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image credit:Oregon State University | Flickr

 また新たに上陸した生物が現地の環境や生態系にとって有益なのか、有害なのかはよく分からない。

 数年かけて大陸間を横断した海の冒険者たちに驚嘆せざるを得ない一方で、津波や海の生物の襲来による破壊に怯えざるをえないのが実情だ。

 海洋生物史上、いや歴史上最大となる予定外の天然の実験の1つになるかもしれない。研究は『Science』に掲載された。

References: Sciencemag.org / Oregonstate / Newsdesk.si.edu

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この記事へのコメント 45件

コメントを書く

  1. これは流れ着いた先では外来種の扱いになるのか?
    それとも自然現象で流れ着いたとみなされるのか?

    • +14
    1. ※1
      広義の外来種だよね、人の活動(プラッチック、塗装した船など)が無ければ移住しえない

      「ゴミを捨てない」かー、これも地域差があるから難しい。
      名古屋はうるさいくらい分別してるけど、大阪はみんな河に投げ込むよね。
      大阪湾見てごらん、あれは酷いよ

      • 評価
      1. ※12
        うるさく分別している街の方が不法投棄というか、いわゆるゴミのポイ捨て多いんだぞ

        • 評価
  2. ひょっとしたら有史以前にも津波でいろんな生き物の生息域がミックスされたりしたのか?なんてロマンを感じながら読んだんだけど
    プラスチックって言う人工物が絡んでたのね
    オナモミみたいだな

    • +11
  3. 流木や流れ藻の仕事を海洋ゴミが代替しているだけじゃなかろうか。南米のサルの祖先は西アフリカから流木に乗って流れ着いたというし。

    • +28
  4. 「わかめ」が世界中の海で生態系を壊し始めてるって話もあったな。想像以上に増えて、船の航行を妨害するため、指定外来生物にしている国もあるとか。

    「お前はどこのわかめじゃ?」わかめラーメン。

    • +7
    1. ※4
      世界中でせっせと食べる方向で何とか出来んものかねぇ
      ワカメ美味しいんだし

      • +2
      1. ※15
        ワカメを消化できるのって日本、韓国くらいだってテレビで言ってたな

        • -2
        1. ※27
          それはワカメじゃなくて海苔だと思った。
          だから欧米の人はSUSHIの海苔がそのまま出てきちゃうらしいね。

          • +2
      2. ※15  欧米の人の中には、「海藻だけはムリ」って人がいる。
        食べ物に思えないんだって。
        わからないでもない。

        • 評価
        1. ※29
          寿司が受け入れられるまで(受け入れられても)海苔単体だと食べ物に見えない人もいるみたいだしね

          • +2
    2. ※4
      その反面、ワカメが作るコロニーで小魚達が増えている、みたいな研究報告もあった気がする
      なんもないつるっぱげの海底よりは外来生物でもいいからなんかあった方が生態系が発達する、みたいな感じだったけど

      • +1
    3. ※4
      タラバガニもだよ ソ連時代に食料確保のために 大西洋にいないはずのタラバガニを放流したために 北欧の海底は今タラバガニに食い尽くされて砂漠化してる タラバは害ある外来生物として駆除の対象なんだ 最近は資源として輸出するようになったようですが 脚だけで カニみそは捨ててるもよう

      • +2
      1. ※41
        カニの通販屋だけどタラバのミソはうまくないからゆでる前に流しちゃうよ

        • +2
  5. 木の船もアメリカに流れ着いてなかったかい?

    • +10
    1. ※5
      いくつかある写真からプラ製品的なものを選んで載せているので小物ばかりの印象になりがちですが、リンク先には木の小舟、16メートルほどもありそうなはしけか浮き桟橋らしきもの、小林と書かれたブイ、北海道丸中の文字のついたスチロール箱などもありますよ。

      • +3
  6. 来るべき環境激変に備えて進化を促す地球の意思かもしれない

    • +1
  7. 熱帯地域等で地震が起これば日本に有害な生物がやってくる可能性があるってことやね

    • +6
  8. >地震を止めることはできないだろうが、プラスチックゴミを減らすことはできるのだ。

    そうはいっても今回の場合は海岸に不法投棄されたゴミではなくて、津波で内陸の人家から流されてきたモノだからなぁ。もちろん、不法投棄自体をなくすことには賛成だ。

    • +63
  9. プラスチックのない時代でも倒木や草木の破片に乗って移動したんだろうな

    • +14
  10. 生態系がシャッフルされただけのことを、環境ダメージなんて言うのは人間のエゴ
    変化した環境に合わせていくしかなかろう

    • +9
  11. こうやって別の地域に移住した生物が何十世代もかけてその地域に特化することにより生物の多様性は広がる。
    ただその中で競争に負けるもともとそこにいた在来生物も出てくるだろう。
    それが自然なのか人口なのかは何とも言い難いがそうもの含めて地球なんだと思うよ。

    • +4
  12. 今回はいくら海の不法投棄なくしても防げないことだしな

    • +10
  13. 今回の件はプラスチックという腐敗に強い物があって助長された側面が大きいだろうけれど、大きく何万年~何億年の範囲で見ればそういう例はかなりあったと思うけどね。
    うん、でもゴミを減らすというか海水に晒すなり土に埋めるなりすれば分解が促進されるような新しい素材(或いは古い素材の見直し)が必要だと思うよ。

    • +10
  14. これまでも流木等で同じような事例はあった可能性が高いが、問題はプラスチックゴミの量と途中で分解されない、沈まないあたりがまずいのではないかと
    少しでも紫外線分解性やバイオ分解性のプラ製品へ移行して欲しいですね

    • +4
  15. アメリカでも「ホヤ」を食べられるようになるのか?!

    • 評価
  16. 棄てられてたゴミより津波に浚われた日常用品が大半なんじゃないの?

    • +20
  17. 凄いな……
    今の時代なら外来種が~生態系が~って問題視されそうだけど、長い目で見たらこれが新たな生物の誕生や進化の一歩だと思うと凄いよ

    • +5
  18. プラスチックがない時代だって流木なんかは普通にあるわけで、普通に起こってたことじゃないの?
    椰子の実は海に浮かんで生息域を拡大するわけだし
    人間が気づいてなかっただけで頻繁に起こってることだと思うわ
    当地で新たな生態系の一分になるかどうかはそう簡単じゃないと思うけど
    確かにプラスチックは長持ちするけど、10年やそこらの話なら流木だって問題ないよ

    • +3
  19. 警笛だって? 人が保護したい自然は人にとって都合のいい自然ってだけ。

    • +7
  20. 生態系は永遠に不変な訳はないし
    変えないという(環境)破壊もあると思いますよ

    • +2
    1. ※26
      成り行きに逆らうこともまた自然への冒涜になりかねない、真理だねぇ。
      ただ、人間は抗う力を持ってしまったから、そのバランスは取って行かないとねぇ。

      • +1
  21. エントロピーは増大の方向に向かうのは物理の常識

    • -1
  22. バラスト水もそうだが、人口の名目で自然に介入する環境ビジネスは草
    種族の繁栄を人間が管理する事が正しいと言う宗教感も有るんだろうが…

    • 評価
  23. 陸上に置いて有ったモノであり、それが津波で海に流されたモノも多数有るんだけど… それは気の付け様が無いよね。
    普段使用するプラ製品も常日頃から津波に備えなさい、ってなったら日常生活にも影響が出るかも。
    そう言えば日本沿岸にも、かつては存在して無かった南米系の沿岸に住むウミケムシの仲間が発見された事が有りましたね。

    • +1
  24. 海藻類は宗教上の関係で「海の魚が触れた物」だから
    「不浄な物」とされてる国とか、そもそも海の生物を
    食用にする事を禁止してる国も有りますからね…

    • -1
  25. 某環境保護団体が「日本が悪い」って騒ぎ出しそうな予感。

    • +1
  26. 食える生き物は日本から食べ方を広めよう

    • 評価
  27. マイクロビーズのことを指していると思われる。

    駿河湾のタカアシガニはメキシコだったか太平洋の東端にも生息しているから、幼体の頃にこのような機会に流されたのでしょう。 
    脚が長いからと歩いて到達したわけではないと思う。

    • 評価
  28. これが彼らの、後の世に伝わるプラの箱舟である

    • +1

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