2_e15

 もうじきあなたの病気を治療するため、小さなロボットが体内に潜り込んで薬剤を投与するようになるかもしれない。

 世界で初めて、髪の毛の太さほどしかない極小のロボットがネズミの胃に抗生物質を送り届け、細菌感染を治療することに成功した。

 「動作それ自体が胃の中の細菌が集中している部分における抗生物質の滞留を改善します」と米カリフォルニア大学サンディエゴ校のジョセフ・ワン(Joseph Wang)博士。
スポンサードリンク

自律的に動く超小型のロボットが胃の内で患部を治療


 研究チームは5日間の実験で、胃に細菌感染を起こしたマウスに、超小型のロボットを用いて毎日1度抗生物質を投与した。

 その後の評価で、この治療法は従来の投薬法よりも効果的だったことが分かった。

 ロボットは体内を自律移動するマイクロモーターとなっており、球形のマグネシウムのコアで構成され、それを覆う複数層のコーティングはそれぞれ保護・治療・胃壁への付着といった機能を担っている。その大きさは、人間の髪の毛の太さほどしかないので飲み込むのも容易である。

 ロボットを飲み込むと、マグネシウムのコアが胃酸と反応することで水素の泡が発生し、これが動力として用いられる。またこの過程で胃の酸が弱まる。コアの抗生物質層は周囲の酸性度に反応するようできており、酸が弱まった時点で抗生物質が放出される。

0_e12

胃酸の抑制に効果


 胃酸を緩和しないことには、抗生物質とタンパク質を基礎とする薬剤は薬効を発揮する前に壊れてしまう。

 つまり、胃潰瘍などの細菌感染に投与される一般的な薬剤は、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬と一緒に服用しなければならない。しかしプロトンポンプ阻害薬を長期間使用すると、頭痛・下痢・疲労・不安神経症・うつといった副作用が発生することがある。そこでこの超小型ロボットの出番というわけである。

11_e0

 24時間後、ネズミの胃酸は通常レベルに戻った。またマイクロモーターはほとんどが生分解性の素材で作られているために、有害な残留物を残すことなく胃の中で分解した。

 今後はさらに大きな動物で実験し、最終的には人体での治験が試みられる。「まだまだ先は長いですが、非常に楽しみな航海です」とワン博士は話している。

via:nature / newscientistなど/ translated by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい
SFかよ!皮膚に置くだけで生体組織を修復。驚異のナノチップデバイス(米研究)


キメラ技術:世界初、人間の細胞が入ったブタの胎児を作ることに成功(米研究)


人間の脳細胞をマウスに注射。超知能マウスがついに誕生(米研究)


若返り、ガンなどに効果の高い薬が早ければ3年以内で市場に出る可能性(オーストラリア・米研究)


腸内細菌がうつ状態を改善させる。乳酸菌がうつに効果があることがマウス実験で明らかに(米研究)

この記事に関連するキーワード

キーワードから記事を探す

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

人気記事

最新週間ランキング

1位
4504 points
孤児になった子熊たちが大量のりんごを目の前に、猫のゴロゴロのような音をだす

孤児になった子熊たちが大量のりんごを目の前に、猫のゴロゴロのような音をだす

2020年10月21日
3364133233
2位
4500 points
野良犬のピットブル、迷子の子供を発見し自らボディーガード役となり親と再会するまで守り抜く(アメリカ)

野良犬のピットブル、迷子の子供を発見し自らボディーガード役となり親と再会するまで守り抜く(アメリカ)

2020年10月22日
914370237
3位
4449 points
雪積る日、猫をくわえ自分の犬小屋に運び寒さから守ろうとした犬

雪積る日、猫をくわえ自分の犬小屋に運び寒さから守ろうとした犬

2020年10月26日
2284171248
4位
4247 points
野良の子猫、犬の散歩をしていた人にロックオン。粘り強く後をついていき永遠の家を手に入れる(アメリカ)

野良の子猫、犬の散歩をしていた人にロックオン。粘り強く後をついていき永遠の家を手に入れる(アメリカ)

2020年10月25日
1334094119
5位
3940 points
ちっちゃかわっ!5匹のコツメカワウソの赤ちゃん生まれたよ(ニュージーランド・オークランド動物園)

ちっちゃかわっ!5匹のコツメカワウソの赤ちゃん生まれたよ(ニュージーランド・オークランド動物園)

2020年10月19日
もっと読む
スポンサードリンク

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 09:44
  • ID:O.U7xl6B0 #

あと20年、30年もしたら体内にこういうロボットを常駐させるのが当たり前となり、例えばガンなんかもごく初期の段階で発見してその場で治療するなんてこともできるようになってるかもしれない

2

2. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 09:47
  • ID:1NR4.2rK0 #

「ミクロの決死圏」みたいになってきた〜!!凄ーいw

3

3. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 10:08
  • ID:zwd39wbE0 #

ドラえもんかよ!

4

4. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 10:30
  • ID:stOMDJ4D0 #

ミニドラ…?

5

5. お祭り好きの電氣屋

  • 2017年08月19日 10:38
  • ID:0hlYOyRf0 #

ロボット(機械)と言うより「特殊機能性カプセル」という方が
正しいような気がする。
尚、カプセル型で飲み込んで腸内くまなく撮影する「カメラ」は
ほぼ実用化されている(ノリカ カメラ で検索)

6

6. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 10:43
  • ID:97nHGY8w0 #

ナノマシン治療が現実に!楽しみだ

7

7. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 10:50
  • ID:73WzBVvK0 #

※1
常駐ロボットハッキングとか、施術医療機関からアクセスコード含む個人情報流出とか、恐ろしい事件起きそう!

8

8.

  • 2017年08月19日 11:41
  • ID:Lhf1hZmx0 #
9

9. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 11:51
  • ID:8QtTULWO0 #

で、味は?

10

10. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 12:50
  • ID:3JEuaF5Q0 #

胃に到達したら胃壁に偶然ぶつかるまでおならで6分間噴進する竜角散の微粉末たち…てのを想像したのだけど髪の毛の太さってことはそれより全然おおきいのかな。可動部を持つ泳ぐ薬はロボットといわれてまあそうかなーと思うのですが、こういったタイプもロボットと呼ぶのかな。

11

11. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 13:05
  • ID:TFnHS.Aq0 #

素晴らしい、まだ健康な体のうちにこういう治療法が民間まで降りてきてほしいもんだ

12

12. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 13:17
  • ID:kLFONraC0 #

マイクロマシンの夢だっけ

13

13. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 14:10
  • ID:GJdcmhUB0 #

自分が老人になる前に医療がどんどん楽で痛くなくなっていってほしいな

14

14. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 14:11
  • ID:MVF0Xm.p0 #

オソマと一緒に流される超高性能ナノマシン

15

15. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 14:52
  • ID:7pJQGnHf0 #

ミクロの決死圏かぁ
ワクワクする

16

16. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 17:23
  • ID:DtAowHTJ0 #

こういう記事読むたびに、本当に今の医者(特に勤務医)は大変だなと思うわ。

17

17. 匿名処理班

  • 2017年08月19日 23:46
  • ID:5pccTC1o0 #

生物工学の分野よねこれ。すばらしい!はやく臨床応用してほしいものだ!

18

18. 匿名処理班

  • 2017年08月20日 17:02
  • ID:Q4irr5u10 #

天才てれびくんで20年位前そんなアニメやってたな

19

19. 匿名処理班

  • 2017年08月21日 11:07
  • ID:6fIdwtpu0 #

治すまでいかなくていいから、命の危険すらあるバリウムや不快感どころか鼻血止まらなくなる胃カメラをやらなくてすむようにしてくれ
しかも両方やらないと見逃す病気が多いとか本当に辛い。ついでに大腸カメラ。あれやった後痔になって大変なんだマジで

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク