メインコンテンツにスキップ

あり得るのか?物理学者が負の質量をもつ液体の生成に成功(米研究)

記事の本文にスキップ

90件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 質量が負(マイナス)である液体の生成に成功したと発表された。

 一体どういうことなのだろうか?

 物理的な物体としてはあり得ないような話だがつまりはこういうことだ。その液体を押すと押した向こうへ動く代わりに押された方へ加速するのである。この奇妙な振る舞いはブラックホールと中性子星の中で起きるとされているものだ。

 だが、ちょっと待ってほしい。そもそも負の質量などあり得るのだろうか?

物質にも負の質量は存在する?

 実はあくまで仮説ではあるが、電荷に正と負があるように、物質にも負の質量が存在するはずなのだ。

 理論的にはあるとされているが、物理法則を破らずに質量がマイナスな物体などというものが本当に存在するのかどうかは、現在も議論が続けられている。そしてその概念は我々凡人の頭脳ではなかなか理解することが難しい。

この画像を大きなサイズで見る

負の質量の性質とは?

 ニュートンの第2法則は、f = ma と記述される。すなわち「力」は物体の質量に加速を乗じたものと等しいということだ。

 この等式を加速は力を物体の質量で除したものに等しいと書き直し、質量をマイナスにすれば、加速はマイナスになる。テーブルの上のコップを押したら、手の方に押し返してくるような場面を想像してみてほしい。

 なんだかピンとこないからといって、それがあり得ないということにはならない。そして、これまでの理論研究からは、この宇宙に一般相対性理論を破らずにマイナスの質量が存在し得るという初期の証拠が提示されているのだ。

この画像を大きなサイズで見る

 さらに多くの物理学者が、マイナスの質量はダークエネルギー、ブラックホール、中性子星といった宇宙で発見された奇妙な現象に関連しているのではないかと考えている。

 だからこそ専門家は実験室でそれを再現しようとしていたのであり、いくつか初期の成功が得られてきた。

この画像を大きなサイズで見る

液体の原子を超低温に冷却、負の質量をもつ液体の生成に成功

 しかしこの度ワシントン州立大学の研究者は、液体の原子を超低温に冷却したことで、質量がマイナスであるかのような振る舞いが観測されたと発表した。

 宇宙で発生する奇妙な現象の研究に役立てられるかもしれないと主張している。

 この奇妙な液体を作るには、レーザーでルビジウム原子を絶対零度近くまで冷却し、ボース=アインシュタイン凝縮を作り出す。

 この状態では、粒子が非常にゆっくりと動き、量子力学の不思議な原理に従うようになる。つまり波のような振る舞いを見せ、位置を正確に特定できなくなる。

 また粒子の動きがシンクロし、超流体(摩擦によるエネルギー損失がない物質)が形成される。

 研究チームは、この超流体をレーザーで絶対零度付近に保ちつつ、100ミクロン未満しかない小さなボウル状の場に捕捉。超流体がここに捕らわれている限りは通常の質量があり、ボース=アインシュタイン凝縮が続いている限り、まったく普通であった。

 そこで超流体を脱出させようと試みた。第2のレーザーを用いて、原子を前後に蹴り出してそのスピンを変化させ、ボウルを突破させようとした。するとルビジウムはまるで質量がマイナスであるかのように振る舞い、高速でさっと飛び出したのだ。つまり押すとルビジウムが見えない壁にぶつかったかのように後ろ向きに加速したのだという。

この画像を大きなサイズで見る

 この現象が確かなものであり、マイナスの質量にまつわる数々の疑問を試すうえで利用できるものなのかどうかはまだ検証する必要がある。

 何よりもまず、他の研究チームによって結果が再現されなければならないのだから、大騒ぎするのはまだ早い。

 確かなことは、物理学はますます奇妙なものとなっており、次なる発見を楽しみにしていいということだ。

via:.upinewatlassciencealertrawstoryなど/ written hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 90件

コメントを書く

  1. そう見えるって言うだけで、本当のところは運動量がいったん対象に移行した後戻ってきた性で結果としてそう見えるってことなのじゃないのかなあ?

    • +13
  2. 宇宙航法用の燃料には使えそう
    普段の売り物にもよさそうに見えるが
    軍事レベルの核すら真っ青なこの質量物は
    危険すぎて個人レベルじゃ使えん

    • -1
    1. ※5
      ここでアップルシードねたを見るとは!
      …他所でもこんなコメントしたなあ。

      • 評価
  3. ありえんだろー、と思って海外ニュース検索してみたら・・・いやどうなんだこれは、マジなのか?

    • 評価
  4. 反質量なら重力に影響していわゆる反重力作用を生むはず
    それはどうだったんだろ

    • +1
    1. >>7
      反重力と負質量は関係ないよ。
      まず反重力は等価原理に反してるが、負質量は反してない。

      • 評価
  5. 記事は液体になってるけど、ボース=アインシュタイン凝集の実験に使うのは気体のルビジウムみたいですね。
    反質量の物体がどう動くかについては、水でいっぱいの密閉容器の中に泡を一つ浮かべた状態を考えるといいんじゃないかな。この泡は動きの上では反質量的なふるまいをするはず。上下方向に重力がかかれば、(水が下に引かれるせいで)泡は上に上る。容器全体を加速すれば、同じ理由で泡は前方へ移動する。
    本当に反質量になってるなら、期待が高まるなあ。

    • +4
  6. 要約するとキンキンに冷やせばUFO作れるってことでいいの?

    • +2
  7. 静止質量がマイナスというとタキオンが思い浮かぶけど、あれは常に光速を越えて運動してるんだよね?
    じゃあこれは別物か

    • +1
    1. ※11
      光速以下になれないんだっけ。負の質量になってるから、エネルギーをどんどん放出して、無限大の速度まで加速するみたい。

      • 評価
    2. ※11
      タキオンは質量が「虚数」ね。
      マイナスは通常物質の範囲で理論上存在を禁じられているわけではないから再現が可能では…と言うのがこの実験。

      • +4
      1. ※34
        まぁ、アジア人程度の知能ではその程度の理解が限界ですよね(笑

        • -13
  8. この研究で扱われてるのは実際の質量でなくeffective mass(有効質量)
    これは温度とか外的要因とかの影響を全部、質量という一つの数値にまとめたもので、
    その質量を持った物質「のように見える」だけ
    水の中の泡が上に浮かんでいく→泡が負の質量持っているように見える、みたいなもの

    見掛け上とはいえ、色々不思議な振る舞いをするから研究対象としてはとてもホット
    この研究は実際の質量が負かどうかとは(多分)全く別

    • +12
  9. 有効質量だからあり得るかどうかで言えばあり得る
    というか実用レベルで応用されてる
    ちなみに諸々の影響を受けた状態を温度の数値で表すこともあって、この場合負の温度もあり得る
    こっちはレーザー技術の基盤になってる

    • +4
  10. 永久機関になりそうに思えたけれど質量がマイナスの物質に仕事をさせることは出来ないか

    • 評価
  11. 熱力学的な負の温度なんてのも存在するんだろうか?

    • 評価
  12. レーザーを当てて冷やすっていうところがもうわからない

    • +6
    1. ※17
      ・温度が高い=原子がひゅんひゅん動いてる
      ・温度が低い=原子の動きが鈍い
      ・ひゅんひゅん動いてる原子に、ちょうどいいかんじの周波数のレーザーを当てると動きが鈍くなって、温度が低くなる
      という理屈らしい。

      • +7
  13. もし実在するなら空に向かって落ちるよね?
    そして宇宙区間の中で一番重力の影響を受けない場所に溜まるはず。
    理論的にそういう物質があると…?

    • 評価
    1. ※19
      意外かもしれないが、負の質量の物体は下に落ちる。
      重力加速度は正だからね。
      ・重力は質量に比例する
      →質量がマイナスなら重力もマイナス(反対方向)になる
      →質量がマイナスのものは、力とは反対方向に動く
      という感じになる。

      • +2
  14. この辺がミクロの世界ならではだな
    やはりこういう現象を見ているとビッグバンはあったんだと納得する

    • 評価
  15. 電気通して変化しないなら水銀の代わりにつかって反重力装置につかえんな

    • 評価
  16. 天井にアイスクリームを張り付ける実験に成功したんだね!

    • +2
  17. ある意味似た話をすると(実際の仕組みは全然違うが)、水中で木とか空気とか浮いていく、つまり上に向かって落ちていくだろう?それを質量が負と言いたければ言ってもいいけど、それは単なる言葉の遊びにすぎない。この論文もそれに近い話のようだ。

    • 評価
  18. 磁石みたいに、負に負だったら反発すんのかな

    • +1
  19. 反物質とは違うのか?
    まっさきに反物質を
    思い出した

    • +3
  20. よくわからんと書きに来たら…この米欄どうやらついていけてないのは私だけか。

    • 評価
  21. 反作用がなく摩擦が起きない。
    そんな物質がどうやって液体であることは観測できたわけ。

    • 評価
  22. いままで使ってた物理法則の計算公式にそろそろバグが発見されるんじゃないかな?

    • 評価
  23. 会社の健康診断前に10リットルぐらい飲んでおけばメタ簿診断受けなくてすむか?

    • +1
  24. 指で押したらめり込み続けるってことなんかな?

    • 評価
  25. なんかオイラの感覚だと負の質量より
    負の性質をもつ質量か負の力が働く質量って呼んだほうがしっくりくる
    負の質量っていうと無より軽い物質かと思っちゃう・・・

    • 評価
  26. 負の質量とか時間結晶とか物理学ってわけわかんねえな
    押しても押し返してくるってやりようによっては浮いたりすんのかな?
    こういう話SFチックで好きだわ

    • 評価
  27. 体温を絶対零度まで下げればマイナスキロまで痩せられるってことか?

    • 評価
    1. 米42
      電車とかで押せば押すほど密着してくる冷たいデブが出来上がる。

      • +8
  28. >つまりはこういうことだ。その液体を押すと押した向こうへ動く代わりに押された方へ加速するのである。

    ・・・つまりは?

    • 評価
  29. 一時的に計算上の負の振る舞いをするのが観測できたって話だよね
    取り出せるって話ではないし、重量とも関係ない

    • 評価
  30. いやいやいや実物のビデオはないの?

    • 評価
  31. もし再現できたとして、その条件が極めて厳密なものである必要があったなら、レーザーの共振による高波的な飛躍だと思われるなぁ。反重力はキャッチーだから使ったんだろうけど、まともな研究者ならこの段階で使うべきじゃないな。

    • 評価
  32. 物理的に正に対する負という概念が理解出来ないよー
    反発だとしたら一時的に溜め込んで噴出なのではと思うんだが
    だとしたら力の伝達が通常でないルートで伝わってるという事なんだろうか

    • 評価
  33. ↑これほどに知識を持ち合わせた人達が
    見てるんだな カラパイア って。

    パルモさん凄いね!

    因みに俺には何が何だかもう…

    • 評価
  34. 宙に浮く水滴が作れたかもしれない。
    勘違いかもしれない。

    • 評価
  35. つまり俺の腹の肉を押せば体重が減るのか!

    • -1
  36. >反物質とは違うのか?
    全く違う。

    反物質は普通に普通の質量を持ってる。

    • 評価
  37. ふうむ、私も内容を100%は理解していないかもだが…
    超低温を維持する事で、超伝導状態を維持できる物質って有るよね?
    でもこの物質は超低温を維持する事で、押した方向と反対の加速度を発生できる特性を維持できる性質を持つ…という風に理解したんだけど、違うのかな?多分この性質を利用すると、かなり便利な事が実現できる気がする。例えばエンジンの振動を取るとか、地震の振動を中和するとか、そういう事も可能になるんじゃないかな?(もちろん現状では、膨大な電力が必要だろうけど)逆に言うと現状でも電力の供給だけクリアできれば、カウンターウェイト的な装置が簡略化できる可能性が大きく出て来ると思う。スプリングや樹脂緩衝材に頼らない新しい緩衝材の研究が進むかも知れない。科学とか技術のブレイクスルーって、こういう事の積み重ねで進んで行くんだろうね。そういう訳で、20年後30年後が楽しみな技術だ。

    • 評価
  38. 負の質量だからといって光速は超えられないんだよね

    • 評価
    1. ※60
      いや、質量が負の物質は光速以下になれない

      • 評価
  39. 常時反質量なら大地に衝突したが最後、衝突の反作用力で地面側に力をかけ続けて地球を貫通するだろうな

    • 評価
  40. もうすぐ魔法が開発されるってことか!

    • 評価
  41. トンデモ理論かと思ったら、ちゃんとwikiも立てられてた。もちろん、ちんぷんかんぷんです。( ・´ー・`)どや

    • 評価
  42. そもそも無知な俺は質量という言葉の意味をなんとなくレベルでしか知らない

    • 評価
  43. もし本当なら、やばいだろ
    宇宙は無からできた説だと、負の宇宙で釣り合っているハズ
    それを、正の宇宙で作りだしたなら、釣り合う何かが消滅することになる

    • +1
  44. ホントのとこはどうなのか気になるな。
    他のとこでも再現成功するなら、詳しく調べられるから詳細わかるでしょう。

    筑波大学が「時間結晶」の常温観測成功というニュースも有りますし。先月の話ですが。

    • 評価
  45. 科学は不思議だ
    でもこれがもし発展すれば空中歩行も可能になるんじゃないかという淡い期待が生まれた

    • -1
  46. 「負の質量」という用語を用いたのは誤解を招くし適切でない言葉だと思う
    一般に想像される質量ではなくて「有効質量」が負だという話
    もっと単純に言うと止まったように「見えた」だけ

    • 評価
  47. 何を言ってるかまるで分からんが ロマン溢れる話だと言うことは理解できた
    で これが実用化されるとどうなるんだ?
    モノポールとか反物質エンジンとかSFみたいなものを作れたりするのか?

    • 評価
  48. 正の質量と反発する負の質量が存在するなら暗黒物質として存在するかもしれない

    同種の正物質物同士には引力がはたらく一方で、銀河周辺の負質量物との間には斥力がはたらいて銀河を凝集、形成する

    • -1
  49. もうダメだ、何やっても上手くいかない、つまらない、何でこんなことになったんだろう

    • +1
  50. 俺の財布に詰まってる物質やがな

    こないだ諭吉補充したのにもう空っぽ

    • -2
  51. マジかよ!質量を持った残像は実在してたのか・・・

    • 評価
  52. 押しドアは無駄にふんばってくれるし
    プールに飛び込んだ人は押し返されて空を舞うことになるってこと・・?
    負の質量の世界ってやばそう

    • -1
    1. ※82
      まず飛び込むとかそれ以前に重力に対して負の作用が働いて上に落ちるよ

      • 評価
  53. あ~そういう事ねぇ なーるへそー
    だからのねぇ~、ぷぷぷぷ 全然わからん

    • 評価
  54. 単に質量が負になったんじゃなく、何かしらの力が働いて押し出されたんじゃないの?
    反発力のような。

    • 評価
  55. 壁に当たって跳ね返る様
    この時点で負の動きでは無いな。押す力が押されてる訳じゃないなら別の法則、螺旋の動きには壁か出来るそれ故跳ね返っただけ

    • 評価
  56. 自由落下させると落ちずに上昇するのだろうか
    乗り物の中に質量マイナスの物質を満たせば
    乗り物そのものは地球の引力に引かれず反発して浮遊出来るということだな

    • 評価
  57. なんでこういう研究結果ってこれ以上発展しないの?対して話題にもならなかったし

    • 評価
  58. で……、それから2年以上も経過しているが、その後の展開はどうなっているのか?

    • 評価
  59. これが現実だとすると世界は一変するね。
    物質そのものが持ってる質量は基本的にとても少なくて、慣性質量の方がはるかに大きい。見た目で静止しているように見えても、実際には地球の自転や地球自体の移動によって我々の質量は作られている。つまり、逆にいうと慣性を制御すれば大抵のことが可能だ。
    時速百キロの車がコンマ数秒で止まることも逆に加速することも可能になる。
    ただ、この実験自体は何か、結果に対し恣意的な判断も働いてるように感じる。
    この実験方法だと物質の運動を極限まで抑制した結果、干渉した側の何らかのエネルギーに影響を受けた、という解釈も成り立つんじゃないかなあ。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。