この画像を大きなサイズで見る中世の筆記者は、自分の作品を守るために、死あるいはもっと最悪のものをちらつかせて脅したそうだ。
中世では、一冊の本を作るのに何年もかかった。筆記者は机の上に身をかがめて、自然光だけで作業をした。紙の本にとってキャンドルの炎は大敵だったため、使えなかったからだ。毎日何時間も間違えないように慎重に手書きで文字をつづることは、筆記者にとって、苦しい作業だった。
目から光が奪われ、背中は曲がり、内臓や肋骨はつぶれ、腎臓が痛んで、全身が虚弱になる。本の制作に最大の献身を捧げる一方で、筆記者や本の所有者たちは、本を守るという確固たる意思をもっていた。言葉という唯一の武器を使って、宝である本を盗んだり、破損しようとする者に苦しみと災いをもたらすよう、仰々しい呪いの言葉を本の最初と最後に書き入れたのだ。
もしこの書を盗んだり破いたりしたら、教会からの破門や恐ろしく悲惨な死など、知る限りの最悪の罰が与えられるということを記すことを、彼らは躊躇しなかった。悪魔の剣に切り刻まれ、両手を生贄として捧げさせられ、目をえぐり出され、最後には地獄と硫黄の業火に投げ込まれるという。
「こうした呪いの言葉は、本を守るための唯一の手段だったのです」と言うのは、『アナテマ 中世の書記者と本の呪いの歴史』の著者マーク・ドロージンだ。
「幸いなことに、これは人々が呪いを信じていた時代の話です。本のページを破ったら、苦しんで死ぬとなれば、わざわざそんなことはしたくないでしょう」
この画像を大きなサイズで見る中世の書には呪いの言葉で満ち溢れていた
漫画家でもあり、名刺デザイナーでもあるドロージンは、ゴシック文字の成人教育クラスをもっているが、中世のカリグラフィーに夢中になった。
処女作のための調査中に、本の呪いのことを知り、19世紀に書かれた歴史書の脚注に隠されている呪いの言葉をどんどん発掘した。彼の蔵書コレクションには、古代ギリシャやバビロンの蔵書からルネッサンスまで、呪いが書かれた本が加わるようになった。
歴史家たちにとって、呪いは珍しいものだが、ドロージンにとっては、本が中世の書記者や学者にとってどれほど貴重なものであったかを示す証拠だ。当時、最高のエリート機関であっても、蔵書数は数十冊程度だったのかもしれない。
呪いの言葉
破門の呪い─アナテマ(呪い)はシンプルだ。ドロージンは、即効性のあるこの究極の脅しが、簡単で端的な短い呪いの言葉で表されている例をたくさん発見した。例えば、
「この本を盗もうとする者がいたら、アナテマの剣がその者を殺しますように」という具合だ。
書記者が本気で呪いをかけたいと思っていたのなら、アナテマ─マラナタ(われらの主よ、きたりませの意)と脅しをかけるのかもしれない。これは破門の脅しをより強化したものだ。しかし、呪いはかなり入念に凝ってつくられた場合もある。
「脅しの効果を最大限にあげるには、肉体的な苦しみとはどんなものなのか、事細かに具体的に知らしめるのが一番いい。書く者が創造力豊かに書けば書くほど、その描写はより生き生きとしたものになり、本泥棒により恐ろしい死の恐怖を与えることになります」
「この本を盗もうとするものは何人たりとも死に追いやられる。釜揚げにされ、病気になって下がらぬ熱に悶え苦しみ、車輪に引き裂かれ、吊るされる。アーメン」
さらに細かく書かれたものもある。
「この本を持ち主から盗んだり、借りたのに返さなかったりしたら、その男の手の中で本がヘビに変わり、彼を引き裂くだろう。彼は中風になり、家族も全員呪い殺される。彼はあまりの痛みに息も絶え絶えで、情けを乞うて大声で泣きわめくが、死ぬまでその苦しみがやむことはない。本の紙魚が彼のはらわたを食らい、ついに彼は最終的な罰を受け、地獄の業火で永遠に焼き尽くされる」
この画像を大きなサイズで見るドロージンの著作には、このような呪いの言葉がいくつも掲載されている。刊行されていなかった第2版には少なくとも10あまりの呪いが追加されている。この本の中には、本の呪いが満載されたとじこみのアンティークファイルカードがついている。
ドロージンは呪いの言葉を収集しているときに、同じ言葉が繰り返されているのに気づいた。すべての書記者が独自の呪いを描く創造力があったわけではない。良質で強力な本の呪いを探しているなら、彼のこの本があらゆる状況に対応するだろう。手にとってみてはどうだろうか。たくさんの要素を扱っていて、紙魚に内臓を食い荒らされるといった脅しほどではないにしても、十分に役にたつだろう。
「この本を盗んだり、ないがしろにしたり、破ったりした者は何人たりとも、教会から破門され、呪われし者としての烙印を押されますように」
via:Protect Your Library the Medieval Way, With Horrifying Book Curses/ written konohazuku / edited by parumo
















貞子でーす。呪いを解きたかったらこの本を写本してくださーい。
(^^)v
それでもけっこうな数の本が盗まれたんですけどねw
特定の巻だけない、あるいは特定の巻だけ装丁が違う
古書なんていっぱいありますよw
今でも図書館から借りて返すのを忘れたと称する
盗難書が多いのと同じです。
ブックカースってやつかな
バッハはこれで失明したんだな
※4
ベートーベンじゃなかった?
※18
ベートーヴェンは聴覚を失ったんだぞ。
※18
失明したのはガリレオ・ガリレイ。原因は太陽を直接望遠鏡で見たりしたから。
あとメンデルも研究で細かい作業とかやり過ぎて失明したっけ。
中世で文字が読めるのは高学歴だけでしょ。
字が読めない貧乏人にとってはどうでもいい呪い。
この時代、一冊の本を書くにも写すにもエライ労力がかかったから、
盗難に神経質になるのも、なるほどにゃってやつだな。
装飾写本なら金泥やら高価な顔料やら使うし
※5
本は財産だから、売れるんじゃねーかな
足付くのも早そうだけど
印刷技術の発展の証拠なんだろうけど最近本が消費して当たり前的な扱いになってきていてすごく悲しい。
書物の歴史こそ文化の歴史なのに
ヨーロッパ中世の筆記者は修道院でローマ帝国崩壊で失われた知識をアラビア語、ギリシャ語の本を輸入してラテン語になおす翻訳者の役目もあったからその手間を考えたら、本が盗まれたり粗雑に扱われたらそら切れますわな
我夫となるものはさらにおぞましきものを見るだろう
隠していたエロ漫画が消えた時、一瞬だが周囲の人間全員が犯人に思えたよ。
「部屋に入ってきて勝手に盗んだな」って。
30秒後に無事見つかった。
でも「本を守るための呪い」って見出しで、なぜかこのことが頭に浮かんだ。
ものすごく面白い記事だったわw
なるほど当時の人にとっては本を書くのは魂を込める作業であったろうし、
なんとしても守りたかったのだろうね。
そしてその守るための方法が、著作家らしく文章によるもの、というのが素晴らしい。
書き手の想像力を試される局面だな
全然関係ないんだけどこの時代のこういう本の「装飾>>>文字」の感じが個人的にとても好き
古書、死の呪い、写本と来ると『薔薇の名前』を思い出す(呪い成分は薄いけど)
図書館の本にライン引いたり書き込みしたりしてあるのを見ると『呪われよ!』と思う気持ちも分かるよ・・・
黙示録の最後にあるやつも一種のブックカースなのかね?
本そのものというより本の中身を守るようなものだけど
ネクロノミコン「呪い無くてもへーき」
東アジア圏だと、この手の呪いってないんだよね。
墨と紙が、欧州に比べて劣化しにくい材質だから。
怖いのは、紙魚による食害だった。
だから逆に、日光に当てて消毒(虫干)してたぐらい。
欧州は、昔は羊皮紙に記入だったから、怖いのは湿気による紙の劣化。
だから室内で火を燃やし、湿度を下げた。
インクも、紫外線に当て続けると薄くなり消えていくから、直射日光は厳禁。
蝋燭も煤が出るから避けてた。
※17
紙の劣化もあるだろうけど、紙一枚のお値段も違うだろうからな
植物原料だと人手さえあれば手工業でも量産利くからなあ
和紙なんか書き損じ集めて漉き直して再生紙作れるし
羊皮紙は皮膚病や寄生虫による汚れのない皮選ばなきゃいけないから
肉食文化あっても、羊皮紙になる皮ってそう多くはなかっただろうし
1枚が高価だから書き手も「書き損じしてはならぬ!」みたいな
鬼気迫るものがあっただろうしな
修正した痕跡のある羊皮紙の書籍もあるから
さすがに全く書き損じしないって訳ではなかったろうけど
ある程度価値観を共有してる、そこそこ均質な集団でしか通用しない手だよね
通用してた時代が羨ましい
字が読めない泥棒には通じないから(´・_・`)
※20 プラシーボ効果で、言葉が通じない外国人や同じ国の人間であっても意識の無い状態での投薬なんかでは効果がないのと似てるかな?
ところで呪いというのは兄の口と書くわけだが
兄とは誰のことだろう
※21
新字体ではなく、元の字体(旧字体)で考えた方がいいと思うよ。
※21
呪って字の「兄」は祝の省略
兄は跪いて祈る人を表す字
今でいう 「orz」 みたいなもの
兄弟の兄は児に対しての字で成り立ちが違う
って見たよ(受け売り)
面白いな。写本がどんなものかは知ってたけど、実際に一冊を頭から終わりまで見たことがないと分からないこともあるもんなんだね。一冊ぐらい欲しいかな~。まあ中英語をカリグラフィとかで書かれてたら読めない自信あるけどねw
あと、記事の中でscribeの訳語が一定してないみたいだけど、昔から使われている訳語として「写字生」ってのがあるから、そっちの方が通りがいいと思うよ。
本はとても貴重で高価なもの。
「うちには本が10冊もある!」と自慢していた修道院もあったそうで
写字者ってのは今でいえばプログラマみたいだな、とちょっと思った。
江戸時代の人も本は借りたら写して自分のものにするんだけど、取られないようにとか、借りたら返すようにという断り書きのある本っていっぱいある。そういうのは世界共通なのかも。
電化製品説明書の注意書き読まずに死ぬ人がいる世の中だから
読めても読まずに死ぬ人いそう
聖書とかに書かれた、神の呪いで酷い目にあった罪人とかの例も、
こんな感じで想像力豊かに脅しとして書かれたんだろうなあ。
当時なら百年も経てば「実際にあった記録になる」から。
今の時代を当時の著者が見たら泣くほど羨ましがりそうだな
片手間で数秒のうちに数十行もの文章を書けて、しかも自由に編集可能で不特定多数に大した手間や時間をかけずに公開できる時代
まぁ、逆に情熱が失われそうでもあるが
当時の苦労を考えれば、盗まれたり破られたりするのを想像するだけで呪い殺したくなるのも仕方ない
映画とかで古い書物を大事そうに開けるシーンとかあるが、あれは本の内容だけじゃなくて、本自体が大事なものだから敬意を払ってるんだな
1440年頃の労働者の日当が4ペンス(3,000円くらい)の時
牛1頭=羊皮紙240枚=10シリング=9万円くらい
だったみたいだから、羊皮紙って高いんだな
今だとeBayで12×16(インチ?)250枚がUS $16.79だったわ
だいぶ安くはなってるけどそれでもコピー紙よりはるかに高いw
最近の図書館利用者のマナーが最悪と聞いたので、
図書館の入り口または利用者の目につく所へ
呪いの言葉を復活させたらいいんじゃないかな。
そんな本をどんどん焼いていったキリスト教徒とイスラム教徒。どっちの宗教も似たようなもんだ。
※34
呪い?の展示やってる大学図書館はあるよ。書き込みや線引きされたり、バラバラになった本を展示ケースに入れて、
「本を傷めないでください」
というキャプションつけて、入口入ってすぐのところに置いてる。でもあれを見て心が痛むのは、ふだんから本を読む人間だけ……
子供の頃に書いていた日記帳の1ページ目に、「この日記を勝手に読んだ人は不幸になる」と書いてた事を思い出した
※35
アジアでも焚書なんていくらでもしてますがな
いわゆる羊皮紙(羊と限らない)と同時進行で使われて、だんだん紙のほうが主流になるのだろうが
地域やなんやらで複雑なんだろうなー、畜産の盛んなところは変らないだろうし、後期はアジアからの紙の輸入も始まるし
イメージ的に魔道書や国家の重要書類は羊皮紙で書かれた気がしてた
根をつめる作業が肝臓を傷めつけるのは知っている。
ボロボロになりながら書いた本が簡単にコピペされたら
そら、呪うと思うわ。
そんな訳で気が付くと中世の人々はローマ人の作った水道橋を悪魔の仕業として恐れるほど
文明自体が退化したという閉塞状況に陥りました
だが大部分は焼き払われた模様
呪いなんて所詮無意味な自己満足よの
「この書物を盗むものに災いあれ。
毎日朝夕に左右の足の小指を家具にぶつけ、
食事のたびに口の内側をかみ、
毎回寝床に入る瞬間に抜けたまつげが目の中に入り、
目覚めのたびに足がつるようになれ」
って書いてあったらどうする?
まあ、考えてもみてくれ。
自分の黒歴史の書かれた日記が盗まれてネットにアップされたらどうだろう?呪いをかけたくなるのもわかる気がするよね(´-ω-)ウム
いっぽう、21世紀のT●TAYAの図書館では本の形をした箱、ダミー本を書架に置いた。