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人間から身を守るため、カモフラージュの技を習得した植物

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(著) (編集)

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収穫から身を守るため擬態能力を習得した植物 image by:Yang Niu
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 中国南西部、チベット高原の東を南北に走る横断山脈。ここには咳やタンに効く漢方薬として大昔から珍重されてきた薬草が自生している。

 その「梭砂貝母(学名 Fritillaria delavayi)」と呼ばれるユリ科バイモ属の植物は、人間の乱獲から逃れるために驚くべき特徴を取得したようだ。

 岩だらけの斜面に生えた緑の葉っぱは、見つけてくださいとばかりに目立ってしまう。しかし中国の研究グループが発見したのは、周囲に溶け込むような茶色や灰色に色を変えた梭砂貝母だった。

人間という捕食者から身を守るため変化した植物

 捕食者から身を守るためにこのようなカモフラージュを発達させた植物はたくさんある。だが梭砂貝母にとっての捕食者は我々人間である。

 「これまで研究してきた他のカモフラージュ植物と同じく、草食動物よってこの特徴を選択したのかと思いました。ですがそのような動物は見つかりませんでした。その対象は人間だったのです」と、昆明植物学研究所のYang Niu博士は説明する。

 研究グループは、地元住民に聞き込み、過去5年間において梭砂貝母が採取された地域を特定。するとたくさん採取されている地域ほど、色のバリエーションが多いことが判明した。

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image by:Yang Niu

 このことは梭砂貝母の変化に人間が影響を与えていたことを示唆している。

 梭砂貝母から漢方薬を1キロ作るには、3500個もの球根が必要になる。くわえて成長が非常にゆっくりとしていることもあり、梭砂貝母は乱獲されやすい。

人間対策としてのカモフラージュ

 その色が人間の目に本当にカモフラージュとして作用するのかどうかも確かめられている。

 被験者に色の異なる梭砂貝母が写された14枚写真を見せて植物を探してもらったところ、案の定、茶色や灰色のものほど発見に時間がかかった。

 「野生植物の色に人間が直接与えた大きな影響を目撃できるなんて驚きです。私たちは生存だけでなく、進化にまで影響しているのです」と、エクセター大学のマーティン・スティーブンズ教授はコメントする。

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image by:Yang Niu

人間は知らぬ間に植物の変化をうながしている

 人間から受けた影響で、似たような防衛機構を持つに至った植物は他にもある。

 たとえばキク科の「綿頭雪兎子(学名 Saussurea laniceps)」は、やはり漢方薬として昔から採取されてきたが、ここ数百年で小さくなっていることが明らかになっている。おそらく人間の目に目立たないようにするためだろう。

 またある説によると、単なる雑草だったのが、草刈りされてしまうことを避けるために、小麦に似た姿に変化することもあるそうだ

 この研究は『Current Biology』(11月20日付)に掲載された。

References:exeter / phys/ written by hiroching / edited by parumo

追記(2020/12/02)本文を一部修正して再送します。

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この記事へのコメント 39件

コメントを書く

  1. 植物と動物って人間が今まで考えてた程違いは無いんだっけ。
    結構動くし身を守ろうとしたり敵を攻撃したり、殺し合いさえするんだよな。
    精油が人間には単にいい香りだけど、植物がライバル蹴落とす為に作った化学物質と知ったときはびっくりした。

    • +1
  2. 人間だって動物なんだから、当然他の生き物に影響与えているわけで、全く驚くに値しないんだけど、こう感じるのは一般的ではないのか。
    家畜/作物の品種改良なんて、人に合わせた生物進化の典型だろうに。

    誤解のないように言っとくと、この報告は当然、むっちゃ面白い発見ですよ。

    • +1
    1. ※3 スティーブンズ教授が驚いてるのは進化の対応スピードでは?
      それに、なぜ人間がその色で見つけていることを知っていて、
      その色もっと地味に!ってどうやって伝えてるのかとか、
      驚きません!?

      • 評価
      1. ※22
        進化スピードは別に驚くほどのものではないかな。色の変化は、色素合成酵素があればいいので、単一の遺伝子の変異だけで実現可能。この植物で実際いくつの遺伝子に変異が起きたかはわからないけど。

        人の活動が生き物の外見を短時間で変化させた好例が「工業暗化」。50年代にイギリスなどでオオシモフリエダシャクの黒化型が、公害により増えたお話は有名。これも外見が短時間で変化した。
        実は工業暗化には続きがあって、排ガス規制のような方策で大気が清浄化した現在、野外の黒化型は大幅に減少している。この回復速度も実に早い。環境の変化に生物は短時間で適応可能であることを示す好例。

        • +2
      2. ※22
        >なぜ人間がその色で見つけていることを知っていて、
        ここが間違い。
        植物はそんなこと考えて色を変えていない。
        人間が目立つ色のを採りまくった結果、目立たない色のがだんだんと残っていった

        • +9
  3. ライ麦とかは有名だよね、もともと麦畑の雑草だった

    • +1
  4. >人間という捕食者から身を守るため進化した植物
    人間に見つかり易いものが淘汰せれた 植物の意思とは関係無い

    >野生植物の色に人間が直接与えた大きな影響を目撃できるなんて驚きです。私たちは生存だけ>でなく、進化にまで影響しているのです
    つ農作物、家畜、ペット

    本当に学者なんだろうか・・・

    • -10
    1. ※6
      野外で現在進行系で起きていることが発見された、ちゅうところが面白いんやで。その面白味がわからなきゃ学者なんかになれない。
      生物進化はおきた後じゃプロセスは見られないんやで。しかも目の前で起きていても気が付かなかったり。継続した観察と、現象を看破する洞察。そこがポイント。

      • +11
  5. 進化じゃなくて、選別されただけでしょ。

    • +2
    1. ※7
      進化イコール環境に合った変異の選別だから間違っていない。

      • +12
  6. 植物の生き残り戦略ってほんと興味深い。かと思えば花粉や種子を虫や野生動物や人に媒介される形で繁殖するタイプもいるし奥深い生き物だなあって思う

    • +5
  7. 意図せず新しい品種ができたって事だろうか

    • +1
  8. どう見ても、あの、スティック、に似てるキノコなんかも実は人間を意識して進化してたりするのかな

    • -2
    1. ※12
      ソレは無い
      傘が開く前の状態でたまたま息子スティックににてるとか、寄生キノコが本体の傘を変化させる結果たまたま似た形になる、ってだけ

      進化っていうのは、無差別的に変化した個体がたまたま環境に合致していた結果、その変化が同種の間に伝播していった結果、ソレまでの種とは違うものになったってだけ
      今回の件は”環境”=”人間による淘汰”だっただけに過ぎないけど、それが人為的選別による変化ではなく、採取圧による防衛という形だから学者からしても興味深いものに見えるんだろうと思う

      • 評価
  9. 家畜や農作物をあでげいる方がいますが、それらは人間に有益なものを選別しいてくことによる進化で、人為選択と呼ばれます。
    今回の報告は人間という捕食者から逃れるめたの進化なので自然選択の範囲内なのでしょう。
    当然、そのうよな例はきっと他にもあるでしょうが、実例として発見れさることは珍しい(大抵進化する前に絶滅する)のでこほれどの評価を受てけいるのだと思います。(current biologyはその分野ではかりな有名)
    とは言え、自分たちが乱獲したとこによる自然の変化を嬉々として報告する姿勢には少し違和感を感じざぜるを得ませんが…。

    • +5
    1. ※14
      人為選択は、自然選択の一種と考えるべき。極度に人に依存した進化。たまたま人に好まれる遺伝的変異を持っていたことから選抜されている。これは、自然選択が進行する条件(過剰繁殖、遺伝可能な変異の存在)と何ら変わりがない。

      人も生き物、動物の一種なんだからそれを他の生き物と分けて考えるのは、キリスト教的自然観(他の生き物の頂点に神が人をつくり給うた)の悪しき影響だと思う、っていうのは言いすぎか。キリスト教的文化圏以外でもおそらく同じような見方するね。

      • +3
      1. ※24
        そういう意味では全ての自然選択の範疇でしょうね。性選択や血縁選択もかしり。しかし人為選択は「目的をもった進化(のさせ方)」という意味では淘汰圧のかかり方が他とは異なるのでは?自然選択とは「目的のない進化」でしょうから。
        そういう意味でこの発見はヒトの関与した自然選択だということなのだと思います。

        • +2
  10. 元々色の個体差が激しくて目立つ色の個体ばかりを人間が採取したために地味な色の個体だけが生き残ったのでは?
    アフリカゾウも牙の短い個体ばかりになったのも牙の長い個体を人間が狩り尽くした結果と言われてるし。

    • +4
  11. 加減しないで根刮ぎ摘むから対抗策取られたんだろうね
    来年の為に間引く感覚で摘むとかしないんならこうなるわな

    • 評価
  12. 個体差がある中で見つかりにくいものが生き残る。という現象を繰り返しただけなのに、「身を守るために進化した」って言われるとなんかモヤっとする。

    • +2
  13. 麦畑の雑草起源の作物は多いのに田んぼの雑草起源の作物が少ないのは列に植えて雑草を取り除けるからなんだそうな

    • +1
  14. つまり、人間以外に目立った天敵がいないのか。

    • +1
  15. アフリカゾウなんかも
    牙が立派な個体は象牙目当ての密猟で狩られまくって、
    ここ数十年で顕著に平均長が短小化したり
    メスに至っては無牙の個体が増えたりしてるしね。

    • +7
  16. 家畜化や栽培に品種改良とはまた違って人の目に判断し難い色味のやつだけ生き延びて淘汰され一種の進化をした感じ?
    意外と生物の変化ってしやすいのね

    • +1
  17. 人間に見つかりにくい暗い色の花を咲かせる個体ばかりに
    なり、以後人間が採取を止めても明るい色の花を咲かせる
    個体は出てこなくなった、という所まで行けば進化。
    そうで無いなら単なる選択でしょうね。
    そもそも明るい色の花の元々の目的は花粉を媒介してくれる
    可能性のある生き物(大抵は虫)に対してのアピールなので、
    その利点を捨て去る事と人間に採取される圧力から逃れる事の
    どちらが生存に有利かは短期間では判りません。
    現時点で進化と判断するのは早計でしょう。

    • +3
  18. コメ欄に散見されるけど、専門分野で定義されている用語を自分で解釈して違うとか正しいとか、考えるべきとか、ひとりよがりな定義をするのはやめて、一回脳をフラットにしてその分野の入門書から読んだほうがいいよ。
    なんだか偉そうな上から目線っぽくて申し訳ない。

    • +1
  19. 毛色のちがう子供たちが幾つもうまれて、たまたま採捕者の好みじゃないのが残ったということかな。
    山菜でもありそうですね「年々質もカタも悪くなりよるわ」って。
    葉や芽を摘むやつよりも、全草を利用するのだと加速しそう。

    • +4
  20. 漢方薬需要はもはや害悪でしか無いな
    アフリカや他の地域に生息する絶滅危惧種いくつでも漢方薬需要のせいで乱獲されている例もあるし

    • +3
  21. 確かにこんな色の植物見ると、凡人はめずらしー!って
    舞い上がっちゃうよ。どーやって光合成してんの、とかね。
    フツーに黒龍とか銅葉のコルディリネとか売ってるのに。(笑)
    でも日本の高山植物の乱獲→絶滅と紙一重だよね。
    これは漢方目的だけど、お金目当てのプラントハンターも現れる
    ケースも多いだろう。コレクター熱ってほんと魔病だし。

    • +1
  22. 枯れてるだけかと思った

    これ茶色のも光合成して生きてんの?

    • +1
    1. ※37
      緑色(葉緑素)+紫(アントシアニン)で
      茶色に見えてるだけなので、普通に光合成しますよ。

      • +3
  23. 変化したんじゃなくて地味な奴が生き残ったんだと思う

    • +1
    1. ※38
      >地味な奴が生き残ったんだと思う
      それを「変化」っていう。
      もとの集団から性質が変わったわけで。

      勘違いしている人多いけど、進化するのは「集団」であり、なおかつ進化は1世代でもおきる。っていうか、進化の定義は、「集団の性質の、世代ごとの変化」。進化は毎世代おきている。

      目で見てわかるほどの変化はなかなか起きないけどね。

      • +2
  24. ある意味人として〇と言うか植物に〇われているというか○○にされているというか
    自慢にならないような・・・
    いやあれだよね、〇獄とか〇界の生態になりつつあると思えば良いのかな
    イメージでは砂みたいな植物を描くよね

    • -1
  25. うちの父は庭の草むしりを20年してきて、はじめは10センチくらいにならないと花をつけなかったハハコグサが最近は3センチくらいで花をつけるようになったと言っていた
    むしられる前に子孫を残そうと進化したんじゃないかとのこと

    • +3
  26. 多様性の中での残留
    乱獲が残る種の特化を促す

    • 評価

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