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日々習慣的に行っている一連の行動。結構複雑なのもあるけど、どうして習慣化できてるの?(米研究)

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(著) (編集)

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毎日の習慣は脳の働きによるもの / Pixabay
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 朝起きたらまず何をする?それぞれに決まった行動をしている場合が多いことだろう。YouTubeやSNSでは一時「モーニングルーティン(朝の習慣)」なる映像が流行したが、良きにしろ悪しきにしろ、どんな人にだって日々繰り返している習慣というものがある。

 普段何気なくやっているために何とも思わないかもしれないが、一連の複雑な行動を何気なくやれてしまうというのは結構すごいことだ。そのくせ、一度習慣になるとなかなか変えられないというのも妙なところだ。

 どうやら、そうした不思議な習慣には、脳の「線条体」という部分が関与しているらしい。

習慣化されると複雑な一連の動作を無意識にやれる

 歯を磨くところを想像してみよう。

 まず歯磨き粉と歯ブラシを手に取り、歯ブラシに歯磨き粉をつけ、歯をシャカシャカと磨き、口をゆすいで、歯ブラシを元に戻す。一口に歯磨きの習慣といっても、これだけの動作が連続している。

 しかし、私たちはその1つ1つの動作を意識するようなことはないだろう。一連の動作はセットとなって、ほとんど何も考えずともやってのけることができる。こうした動作のセットのことを「チャンキング(chunking)」という。

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iStock

一連の動作をまとめるサイン

 アメリカ・マサチューセッツ工科大学のグループは、このチャンキングの始まりと終わりのサインを告げるのが脳の「線条体」であることを突き止めている。

 何らかの習慣的な動作を始めるとき、まず線条体の神経細胞が発火する。そして一連の動作の終わりにも再び発火して、習慣的動作が終わったことを告げる。

 『Current Biology』(2018年2月19日付)に掲載された研究では、マウスに決まった順序で迷路を走る習慣を身につけさせ、これが習慣化されるまでの脳の変化を観察した。

 すると習慣ができ始めた最初のころは、走っている間ずっと線条体が活性化していることが分かったそうだ。しかし習慣化が進むにつれて、神経細胞の発火は徐々に習慣的行動の最初と最後にのみ集中的に発生するようになる。

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ヒト脳内での線条体の位置。赤色で示す領域が線条体 image by:LSDB / WIKI commons

脳をハッキングすれば習慣をコントロールできる

 こうして習慣的パターンが形成されてしまうと、それを変えることはなかなか厄介な作業になる。

 だが『Journal of Neuroscience』(2020年3月4日付)に掲載されたアメリカ・ダートマス大学の研究によれば、「背側線条体」という領域をハッキングすることで、習慣をコントロールすることもできるのだそうだ。

 こちらの研究でも、決まった順序で迷路を走るようにラットを習慣づけさせた。そうすることでラットは甘いエサを食べることができる。

 そのうえで「光遺伝学」という方法で背側線条体のスイッチを切り替えて、そのときのラットの行動を観察した。脳内に挿入した光ファイバーで青い光を照射すると脳細胞を活性化、反対に黄色い光を照射すると機能を停止させることができるのだ。

 これによって背側線条体の細胞を活性化させると、ラットはそれまで以上に熱心に、エサを手に入れることができなくても習慣的に迷路の中を走るようになったという。

 反対にこの領域を停止させると、そうした習慣は消えてしまった。迷路に入ってもエサが手に入らないと分かると、そこを走ることを拒むようになったのだ。

 なお、この研究では、新しい習慣が身についた瞬間、背側線条体で0.5秒だけ神経細胞活動のバーストが生じることも観察されている。このバーストは習慣が強化されるほどに増加するという。

習慣化するには何も考えずにただ繰り返せばよい

 さて、早起きであれ、マスクの着用であれ、良い習慣ならば身につけておくに越したことはないが、私たちはラットのように脳に光ファイバーを埋め込むわけにもいかない。

 好きこそものの上手なれという格言もあるが、何かを習慣化するにはその行動を意欲的に行わねばならないのだろうか?

 そんなことはない。何も考えずに、ただただ繰り返すだけでいい。

 行動を習慣化するには、そうしたいというやる気がなければいけないのか、それとも単純に繰り返せばいいだけなのか、昔から議論が交わされてきた。

 しかし米ブラウン大学などのグループが『Psychological Review』(2018年3月19日投稿)に掲載したデジタルラットを利用したモデル研究によれば、どうやらただ動作を反復するだけでよく、その行為に満足感といったものは必要ないのだそうだ。

 習慣とは過去の行動の産物なのであって、そのときの意欲とは関係なしにただやったという事実さえあればいいようだ。

 ただし、状況によっては最高の結果を出したいという熱意があると、さらに習慣化しやすいこともあるとのことだ。

References:Hacking your brain to change bad habits comes down to one psychological trick/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 15件

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  1. たまーに間違えるやん。ボディソープで頭洗ったり
    食洗機や洗濯機の洗剤を2回投入したり。
    オカンの手作り麺つゆを麦茶と間違えて一気飲みしたり。

    • +10
    1. ※1.洗顔クリームで歯を磨いたりな。あれ口ん中凄い気持ち悪くなる。

      • +2
    2. ※1
      アクションスリップというやつだね。
      習慣化してる行動の最中に、なにか注意を引く特別なことが挟まると、1パッケージになってる行動が分断されて、上手く進められなくなる。

      ちなみにこのスレの話題だったら、ハヤカワ書房(NF)から出版されてるチャールズ・デュビッグ『習慣の力』という本がおススメ。
      文庫本で1020円+税。

      • +5
  2. 最近、年のせいかルーティン化した行動をちょくちょくミスるようになってきた。
    歯を磨こうとして歯ブラシを手に取りつつ「後で髪を梳こう」って考えると、
    歯ブラシで髪を梳く動作をしてしまうとか。
    パンを焼いてバターを塗ろうとしつつ「あ、コーヒーもいれないと」と考えると
    パンにコーヒー粉を塗ってしまうとか。
    脳の老化がルーティン化した行動をどう阻害するのかも知りたい。誰か私を止めてw

    • +11
    1. ※2
      忙しかったり、ストレスが強かったり、寝不足だったりしてませんか?
      一過性のいろんな要素で、脳の働きが攪乱されることって結構ありますよ。

      • +1
  3. 俺はこの習慣化が苦手だ
    絶対習慣化に必要な脳の部位が足りてない
    タイムカードとか3割押し忘れる

    • +6
  4. 只の癖ってやつでござんす。御免なすって・・

    • +3
  5. 習慣にすると苦手な事も何とか熟せるんだよね
    掃除とか面倒な事ほど習慣にしようと敢えて時間と手順決めて暫く取り組む様にして、遣らないと気持ち悪いくらいにする
    勝手に「マクロ化する」と呼んでいた

    • +6
  6. その「ただ繰り返す」がいかに大変か。
    筋トレ続かないっす。

    • +7
    1. ※6
      なんか矛盾してるよね…
      何も考えずただ繰り返せるならもはやそれは習慣化してるのでは…

      • +1
  7. 武道とかの素振りやカタだよね
    仕事とかもパターンを当てはめてルーチンワーク化してると思う

    • +4
  8. 脳の「線条体」そこは雨が降るんですか?

    • 評価
  9. 丁度、某格闘ゲーマーが同じことを言ってたので思うところがある。とにかくゲームがうまくなるには何も考えず反復するんだという。一理あるかもしれない。

    • +1
  10. ギターを趣味でやるんだけど、毎日練習するを習慣化するためには、モチベーションに頼るなと言ってるYouTubeのギター講師が何人かいて、歯磨きのようにしないとなんか変な感じがするというところまで習慣化できれば、モチベーションに頼らずに済むと。
    3年以上かかってやっとそんな感じがしてきたよ。

    • +1
  11. 只管打坐。
    でも只管打坐の考え方が習慣化に良いと思うこと自体、只管打坐とは相容れないのかもしれない。だから習慣化は難しいのかも

    • +1

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