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プラネット・ナインの正体はブラックホールであるという仮説が提唱される

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(著) (編集)

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プラネット・ナインはブラックホールの可能性 image by:Artist’s conception. (M. Weiss)
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 海王星軌道の外側には、「エッジワース・カイパーベルト」という天体が密集した円盤状の領域がある。そこにある天体の軌道は、なぜだか同じ方向に膨らみ、楕円軌道を描いている。

 ここから想定されたのが、「プラネット・ナイン」という大型の天体だ。これが太陽系外縁を公転しているために、その重力によってカイパーベルト天体の軌道に規則性が生じたというのである。

 この仮説が提唱されたのは2014年のことだが、プラネット・ナインの発見は困難で、今のところ仮説上の存在にとどまっている。

 このほど、プラネット・ナインについて新しい仮説が提唱された。それはこの謎の天体が、じつは「原始ブラックホール」であるというものだ。

初期宇宙の密度のゆらぎによって誕生したブラックホール

 巨大な恒星が一生を終えると、自身から生じる重力によって崩壊し、ブラックホールと化す――。

 このよく話題になるもっとも一般的なブラックホールは、「恒星ブラックホール」と呼ばれるものだ。

 また銀河の中心に鎮座する、太陽の数十億倍もの質量を持つ「超大質量ブラックホール」もそれなりに馴染みがあるだろう。

 一方、あまり聞き慣れない「原始ブラックホール」はそうした怪物よりもずっと小さい。他のブラックホールとは違い、生みの親となる星は存在せず、ビッグバン直後に密度のゆらぎによって形成される――と考えられている(あくまで仮説上の存在だ)。

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iStock

原始ブラックホールを見つける方法

 じつはカイパーベルト天体の不思議な軌道の原因として、原始ブラックホールが提唱されたのは今回が初めてではない。新しいのは、ハーバード大学の研究者がそれを発見する方法を提唱している点だ。

 ――その方法とは、彗星などが飲み込まれる瞬間を観察することだ。

 アヴィ・ローブ教授とアミール・シラージ氏によれば、小さな天体がブラックホールに接近すると、引き寄せられて降着した星間媒質から発生した熱によって溶けてしまうのだという。

 溶けた天体は、ブラックホールによって潮汐破壊された後で、飲み込まれる。そのとき放射線が放たれ(潮汐破壊フレア)、暗いブラックホールを照らす。

 もしプラネット・ナインがブラックホールなのだとしたら、年に数度は「オールトの雲」(太陽系の外側を球状に包む天体群)から飛んできた小さな天体が飲み込まれ、潮汐破壊フレアを放つと考えられる。

 それを観測すれば、ブラックホールの存在を明らかにできるというわけだ。

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プラネット・ナイン(P9)と太陽系外縁天体の軌道。楕円軌道の方向に一定の規則性がある

image credit:Tomruen / wikimedia commons

超広角視野を誇るLSST

 しかし正確な位置が分からないのに、どうやって観測しようというのだろうか?

 そこで出番となるのが、チリに建設が予定されている「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)」だ。

 LSSTは、きわめて広い視野を誇り、南の空全体をたった3晩で観測することができる。そのため、超新星や地球近傍天体、あるいはブラックホールから放たれるフレアなど、短時間で変化する現象の観測に威力を発揮すると期待されている。

 普通の望遠鏡のように具体的な位置を指定しなくても自動でフレアを検出してくれるため、はっきりとした位置が分からないプラネット・ナインの捜索にはぴったりなのだ。

 「この方法なら、10万AU離れたオールトの雲の辺縁にある、惑星並みの質量を持つブラックホールを検出できるか、あるいはその存在を否定できるでしょう」と、シラージ氏は話す。

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チリ、パチョン山に建設中のLSST。正式名称は「ヴェラ・C・ルービン天文台」

image credit:wikimedia commons

太陽系にブラックホールが存在するという衝撃

 プラネット・ナインが原始ブラックホールであれば、それは太陽系にブラックホールがあったということにもなる。それは界隈に大きな衝撃をもたらすことだろう。

 「なぜそこにあるのか? どうやってその特性を獲得するにいたったのか? 太陽系の形成にも関与しているのか? 他にももっとあるのか? すぐにたくさんの疑問が浮かんできます」と、ローブ教授は話す。

 あるいは、光すら飲み込んでしまう怪物が意外と身近にあったことに恐怖するべきだろうか?

References:cfa.harvard / universetoday/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 25件

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  1. これに関しては観測の角度上の問題で「他の楕円軌道が極めて見つかりにくいだけで普通に同数ほど存在する」説があるんでそっち推したいんだよなぁ。
    「太陽系が天の川銀河の一員であるが故銀河中心方向から向こう側は見えない」のと似た理由で。

    • +4
    1. ※1
      その仮説ではプラネットナインは実在しない事になるけど、原子ブラックホール仮説よりも現実性が高いし、探査機を飛ばさなくても宇宙望遠鏡による観測で数十年以内には立証できそうだよね

      • 評価
    2. ※1だけど、原始ブラックホールの存在自体は割と信じて居るんだ。
      ただ、それが太陽が構成されてしばらくの間に太陽系に絡んでくる可能性はとてつもなく低く、観測の難易度に左右されていると考えた方がこの場合は自然だな、と思っての意見だった。

      • +1
  2. 魔王星ではなかったがもしブラックホールだったら現実はSF以上にSFだな

    • +5
  3. となるとブラックホールも地球や他惑星と同じく太陽に引きずられて移動してるということですか?

    • 評価
    1. ※4
      この説が正しければそうなるね。
      ※16
      この場合、質量的には太陽の方が遥かに大きいので、ブラックホールが太陽の周りを公転していることになる。

      • 評価
  4. BHかな?
    ビックバン時の奴は小さくて蒸発し終えたんじゃないかな。
    あとは太陽の連星がBH化してるとか…それだと大きすぎるか。

    他の可能性もあるから(暗黒矮星とかダークマター、ダークエネルギーとか理解してないけど)。

    • +1
  5. プラネット9って大きな岩石惑星説があってそれもロマンだと思っていたら今度はBH説浮上とは
    宇宙進出と言う点ではまだまだ幼い我ら人類なんだな

    • +1
  6. こんなご近所にブラックホールさんが居たなんて・・・リアルでさよならジュピターになりませんように。くわばらくわばら

    • 評価
  7. プラネット・ナイン! 戦隊ヒーローみたいやな

    • +1
  8. この話題になると魔王星ネタは定期的に出てくるが、魔王星の元ネタって知ってる人少ないんだろうなあ

    • -1
  9. 太陽より軽かったらホーキング放射で可視化されてないとおかしいし重かったら太陽系が今の形なのがおかしい、つまりありえない

    • +1
    1. ※12
      それに当てはまらないブラックホールがひとつだけあるんだ
      宇宙の誕生とほぼ同時に発生した原子ブラックホール
      実際に観測はされていないけどね

      • +1
  10. 「プラン9」を観て虚無のブラックホールに落ちたという話はたまに

    • 評価
  11. ネメシスじゃないか!
    日本語だと太陰かな?

    • 評価
  12. 太陽がブラックホールの周りを公転してるとなれば天体観測で分かるんじゃね?

    • 評価
  13. これ本当にあったらいいなと思う。多分見つかれば人類の文明進化を加速させると思う。

    • 評価
  14. 四次元殺法コンビの羽根生えていない方

    • 評価
  15. 「猫のゆりかご」思い出したけど、あれはアイス・ナインだ。

    • +1
  16. 今、もし太陽がブラックホールになったとしても、地球がそのブラックホールに引きずり込まれないって知ってた?
    星の引力は星の重さによるので、太陽がブラックホールになっても太陽の引力は変わらないから。

    • 評価
  17. 天王星軌道に移して人工降着円盤作らなきゃ(使命感)

    • 評価
  18. 冥王星「フフフ…我が真の姿を見てしまったか」

    • 評価

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