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第二次世界大戦中、3度の艦船沈没を生き抜いた奇跡の船乗り猫「不沈のサム」の物語

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 戦争にまつわる話の中には、奇跡的で奇妙な逸話が多く残されている。まるで霊的な何か、あるいは超常現象が起きたとしか思えないようなものもある。

 第二次世界大戦中、船乗りとして戦艦に同乗していた猫の話もその1つだ。この猫は、半年の間に3隻の軍艦に乗船することになるのだが、それら全て沈没したにもかかわらず、奇跡的に生き延び、伝説の猫となったと言われている。

 猫の名は、救助されるたびに名前が変えられ、最終的には不沈の「サム」と呼ばれるようになった。

黒白柄の猫、ドイツ戦艦の船乗り猫に

 サムの見た目はごく普通の黒白の猫である。しかし、彼は驚くような強運の持ち主だったようだ。彼の不思議な旅は、ドイツ海軍の戦艦ビスマルクから始まる。

 ビスマルク号は、ナチスドイツが建造した2隻の戦艦のうちの最初の船で、全長241メートル、重量4万1700トン、連合国側に恐れられた巨大戦艦だ。

 古くから猫は侵入してくるネズミを退治するため、また、「船の守り神」として人間と共に船に同乗する習わしがあった。また、船員の心を癒すマスコットの役割も果たしていた。

 サムは人間の思惑などなにも知らず、ビスマルク号船内でクルーたちと行動を共にし、彼らのの支えになる日々を送っていた。

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ドイツ海軍のビスマルク号

船が沈没、イギリス海軍に救出され、オスカーと名付けられる

 1941年5月27日、ビスマルクは連合軍と激戦の末、沈没。2200人の乗組員のうち、生き残ったのはわずか118人だった。

 このとき、イギリス海軍のトライバル級駆逐艦「コサック」の船員が、海面に漂流する船の残骸の木切れしがみついて波間に漂っていた一匹の猫を発見し救助する。船員はこの猫にオスカーと名前をつける。

 この名は、国際信号法における、船舶間の通信に使う四角い旗からとられた。赤と黄色が斜めに半々になっている「オスカー(O)」は、”海中への転落者あり”という意味なのだ。

 だが、オスカーの話はこれで終わりではなかった。

2度目の船も沈没したが生き伸びて「不沈のサム」に

 その後、オスカーは、駆逐艦コサックに乗り込むことになった。今度の仲間は、連合軍の英国海軍だ。

 数ヶ月の間、コサックは地中海や北大西洋で活躍したが、1941年10月24日、ドイツの潜水艦の魚雷を受けて爆発、159人が死亡した。瀕死のコサックはジブラルタル海峡へ曳航されたが、結局は沈没した。

 だがオスカーは生き延びた。2度の沈没を生き抜いたオスカーは、艦長から”不沈のサム”というニックネームをつけられた。さらに話は続く。

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英海軍の駆逐艦コサック image by:public domain

3度目に乗った船も沈没、また生き延びる

 サムは今度は、英国の空母アークロイヤルに乗船することになった。最初は順調だったが、この強運の猫をまたしても悲劇が襲うことになった。

 アークロイヤルは、何回も間一髪を切り抜けてきた強運な船だったが、その運も尽きたようだ。1941年11月14日、マルタ島からシブラルタル海峡に戻ろうとしていたとき、ドイツの潜水艦U-81の魚
雷攻撃を受けた。アークロイヤルは果敢にも持ちこたえていたが、損傷が激しく、力尽きて沈んだ。

 アークロイヤルの乗員とサムは駆逐艦ライトニングと駆逐艦リージョンに救助され、幸いなことに死者はなかった。もちろんサムも例の如く何かにしがみつき、波間に漂っているところを救助された。サムの様子は「非常に怒っていたけれど、無傷だった」と報告されている。

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イギリス海軍の航空母艦、アークロイヤル image by:public domain

 これでサムが乗った船はすべて沈没したこととなる。だがサムはすべてを生き延びた。ちなみにサムを救助した駆逐艦ライトニングと駆逐艦リージョンの2隻ものちに沈没した。

 戦火の激しい時期であり、ほとんどの戦艦が沈んだり沈められているわけで、サムがかかわったから沈んだというわけではないだろう。

 その後、サムは船乗りを引退し、ベルファストにある船員宿「船乗りの家(Home for Sailors)」で穏やかな余生を送った。1955年、戦争に翻弄されながらも生き抜いた人生を静かに閉じた。

Unsinkable Sam – Rodeo Clown

不沈のサムは本当に存在したのだろうか?

 「不沈のサム」の話は伝説になり、英国の船乗りの間でよくささやかれるようになったが、中にはこれは実話ではなくフィクションではないかと疑う者もいた。

 それぞれの沈没の公式記録の中に猫の話は一切出てこないし、海上での爆発など過酷な状況の中で猫が生き残ることなど奇跡である。

 ”不沈のサム”だとされる写真が2種類残っているが、のちにそれぞれ違う猫であることがわかり確証はないと言われている。

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 この話が本当か嘘かはさておいて、パステル画家ジョージナ・ショー・ベーカー(1860~1951年)の描いたサムの絵が、グリニッチ国立海洋博物館に残されているし、実話だと主張する人も多い。

 猫は9つの命を持つ(猫に九生有り)とも言われている。サムがそのうちの3つの命を使ってもまだ6つ残っている。猫ならばきっと生き残れるはずだ。生き残っていてほしい。当時の人々のそんな強い思いが「不沈のサム」の話を後世に語り継いでいるのかもしれない。

 なんとも不思議な話で、本当のことであって欲しいが、本当の話じゃなくても猫に勇気と希望をもらえる話である。

Head Over Keels – Unsinkable Sam

追記(2020/07/23)本文を一部修正して再送します。

References:Unsinkable Sam / mysteriousuniverse/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 40件

コメントを書く

    1. ※1
      本当にそうなのかは雪風 (駆逐艦)にのせてみればよかったんだ。

      映画「アンブレイカブル」(ブルースウィルス主演)は似た感じの話が発端ですね。
      運のいいネコもいるやもしれず。

      • 評価
  1. 外国の記事なのか翻訳なのか間違いが多いかな
    ビスマルクを沈めたのは「キングジョージ五世」と「ロドネー」
    「プリンス・オブ・ウェールズ」と「フッド」の攻撃は撃退された
    「コサック」は駆逐艦なので「ビスマルク」の十分の一以下の小さい艦船2000トンくらいかな
    軍艦で犬や猫を飼ってる話はよくあるね
    「ビスマルク」の大惨事を生き残っただけでも凄い

    • +5
  2. 「非常に怒っていたけれど無傷だった」
    が実に猫らしくてちょっと笑ってしまった

    • +41
  3. タイタニック事故の生存者一人でエディス・ラッセルは
    女性戦争記者として頑張り、自動車事故・別の沈没事故
    火事・洪水・竜巻・戦争に見舞われたが生き残った
    この人もすげえと思ったが、当時の人は何かしらの事故や
    災害に3つは体験している人いたし、仮にこの猫が仮想でも
    似たような人はいたと思う

    • +8
    1. ※5
      そういえばヘミングウェイも滅茶苦茶な死線をくぐってたな。
      最悪の災難は自分自身だったっていう・・・

      • 評価
    2. >>5
      従軍記者じゃなくて戦争記者か
      従軍してるわけではなく、戦争を主題とした記事を書く記者ですね

      • 評価
  4. 居てもおかしくないし、居たほうがいいじゃないか、不沈のサム

    • +18
  5. ポーランド軍に従軍した、熊のヴォイテク伍長の事についても、お願いします

    • +4
    1. ※7
      伍長のことはすでにカラパイアで記事になってますよ
      ttp://karapaia.com/archives/52254867.html

      伍長はとにかく、動物を軍船に乗せるって反対だなあ
      戦闘の巻き添えが怖い
      それにネコは塩分に弱いから海に投げ出されたら助けられても身体壊すよ

      • +2
  6. J.F.Kだったかな?アメリカ大統領になる前に戦争に出て九死に一生を経験したのは
    この『不沈のサム』ならネコ界の大統猫になれるくらいの強運を持ってそうだな

    • +2
    1. >>8
      (パパ)ブッシュ元大統領も軍人だった、彼は登場機を撃墜されて約四時間太平洋を漂流してアメリカ海軍の潜水艦に救助されている、有名どころでは、アイゼンハワー大統領も軍人だね、わずか5年3ヶ月で元帥に昇進している、連合国遠征軍最高司令官(英語:Supreme Commander, Allied Expeditionary Force、略称:SCAEF)、陸軍参謀総長、NATO軍最高司令官、第34代大統領を歴任しているが第二次世界大戦が始まる迄は、前線を希望しても却下されたりして出世とは縁の無い後方勤務ばかりの軍務を続けていたようだ、たぶん上官に嫌われていたのだろう、上官が気に入らない部下を干して嫌がらせをするというのはどこの世界にもあることだ

      太平洋戦争地域でJ.F.K.は、魚雷艇勤務
      パパブッシュは、太平洋戦争地域で攻撃機勤務、アイゼンハワーは、1940年1月迄フィリピン勤務をしていた

      • 評価
    2. ※8
      大統領神話は信じない
      当選するためならどんな神話だって作り上げるよ
      マスコミを抱き込む金があるかないか、でしかない

      • +1
      1. >>43
        JFKは魚雷艇の艇長で日本駆逐艦天霧とぶつかり艇は沈没、投げ出された部下の命を救うことに貢献したのは事実。事実が無ければプロパガンダの尾ひれは伸びない。

        • 評価
  7. 過酷な船乗りのお仕事、ホントにお疲れ様でした『サム』
    船の中では癒やし係として、すごく働いた事でしょう。
    ありがとうございます。

    • 評価
  8. > ビスマルクと同じくらいの収容力のある駆逐艦コサック
    この意味が理解できないので詳しい方の解説をお願いします

    • 評価
    1. >>12
      サムが不沈なのであり、乗ってた艦は除外されます。

      • +5
  9. 「これでわしゃ3度目だぞ。人生で3回も船が沈没するなんて、そんな猫あるかなぁ」
    「2度とテメーとはいっしょに乗らねえ」

    • +12
  10. 実話である確証はないんやね。
    兵隊ってのはしょっちゅう神話をつくるから、フィクションの可能性も高いとは思うけど、だとしたら、少し切ない話でもある。

    この猫の逸話が語られる裏にはきっと、生き延びることへの願望も込められてたはずだから。

    • +9
    1. >>14
      そして、猫はどの国の船に乗っても愛され生き延びることを望まれたという話
      人間は戦争をやめられなかったが、かわりに猫を皆で愛することにした。

      • +8
  11. 見方を変えれば住処にした船は全て撃沈されたことになるワン

    • +2
  12. 船員にとっては沈没を呼ぶ不吉な猫なのでは…?

    • +3
    1. ※19
      時は宇宙暦799年・帝国暦490年、バーミリオン星域会戦において、乗艦を3度撃沈されながらも指揮を執り続け、のちに鉄壁と称される…

      • 評価
  13. 猫だって自ら好き好んで乗ってた訳じゃなかろうにお陰で沈められたとかいう人間の勝手さよ

    • +22
  14. 海軍では撃沈された艦から生き延びた者のことを「彼は塩水を飲んだことがある」って表現するそうです、サムは「3回塩水を飲んでる本物の猛者」と言う事になりますね。

    • +9
  15. 本当だとすると、コナン並みに「奴の乗る船は沈む」ってなりそう

    • +3
  16. 猫は強運でも巡った境遇が不運じゃないか…

    • +2
  17. サムだったりオスカーだったりの○くろだったりする猫。

    • 評価
  18. 昔読んだ世界の奇談みたいな本に
    船が難破したけど乗組員全員救助されて、
    その船がまた難破したけどまた全員救助されて、
    それがまたまた難破してまたまた全員救助され…
    って具合に雪だるま式に増えていったけど、
    最終的に誰一人欠けることなく全員無事に帰還したって話があったなぁ

    • 評価
    1. ※31
      あったね
      他にも怖い話が色々のってた
      もしかしたら同じ本かも

      • 評価
  19. 板切れに乗って漂流してたなら沈没前に海に飛び込む必要あるが、東北の津波ネコみたいに海に散らばる浮遊物を八艘飛びしたんだろうな

    • 評価
  20. アンシンカブル・サムってめちゃくちゃつよそう

    • 評価
  21. 一度沈没を経験してるなら、もう一度沈没を経験する確率は低いだろう、という予測のもとにゲンを担いで猫を船に乗船させも沈没。
    二度沈没を経験しているなら、さすがに三度目は無いだろう、という予測のもとにゲンを担いで猫を船に乗船させも沈没。
    三度も沈没を経験するような猫は、沈没する船に乗るように運命づけられている可能性が高い? つまり、三度も稀な経験を繰り返す場合は四度目が起きる確率が高くなるということかもしれない? (意外と、三度やってもダメなものはダメって意味で「三度目の正直」という言葉ができた可能性もあるような気がするw)

    • 評価

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