メインコンテンツにスキップ

睡眠中、頭の中では起きているときの体験がリプレイされている(米研究)

記事の本文にスキップ

15件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
眠っている間に頭の中で起きていること / Pixabay
Advertisement

 眠っている間も、人間の脳は相変わらず活発なままで、損傷の修復やら免疫や気分の制御やらで大忙しだ。

 『Cell Reports』(5月5日付)に掲載された研究によると、脳は起きている間に経験したことを再現するのにも忙しいのだという。これは夢とはまた別のものだ。

 わざわざそんなことをする理由は、経験を整理し、古い記憶を上書きすることなく新しい記憶を長期的なものとして保存するためと考えられるそうだ。

Replay of Learned Neural Firing Sequences during
Rest in Human Motor Cortex
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124720305301

眠っている頭の中を覗き込む前代未聞の研究

 起きている間の体験の再現、研究チームが言う「オフライン・リプレイ(再生)」は、動物では昔から観察されてきたが、人間で観察されたのは初めてのことであるそうだ。前代未聞というのはこの点だ。

 じつはこの研究の被験者は、四肢まひの患者2名で、彼らは脳の信号を検出してコンピューターやロボットアームなどを操作できるようにする実験の参加者でもあった。そして、そのために大脳皮質の一部に電極を移植されていた。

 今回のような研究が可能になったのは、彼らの脳にあらかじめ電極が移植されていたからだ。その電極を利用すれば、彼らが起きている間と眠っている間に発火している神経細胞を検出することができた。

 そのような機会など滅多にないのだから、だからこそ前代未聞の研究だったのだ。

この画像を大きなサイズで見る
image by:Cell Reports

睡眠中、脳内では直前にプレイしたゲームが再生されていた

 ハーバード大学医科大学院をはじめとするチームによる今回の研究では、寝ている間のオフライン・リプレイを観察するために、被験者には眠る前後に「サイモン」という記憶ゲームをプレイしてもらった。

 サイモンのルールは簡単だ。4色のパネルがあり、それらが順番に光るので、光った順番を覚えて、その通りにパネルを押していく。ただ、被験者はまひのせいで腕が動かないので、脳波でカーソルを操作してプレイした。

 その結果、眠っている参加者の神経細胞は、ゲームをプレイしているときと同じようなパターンで発火することが観察されたのだ。

 これは、彼らが眠っている間にも、頭の中でゲームをプレイしていたことを示唆しているのだという。起きているときのプレイで生じた発火パターンが神経細胞レベルで再現されていたのである。

この画像を大きなサイズで見る
image by:Cell Reports

海馬が体験を撮影し、新皮質が記憶を保存

 研究チームの見解によれば、こうしたオフライン・リプレイは、1日の出来事を理解して、それを新しい記憶として保存する手助けをするためのものと考えられるのだそうだ。

 そして、このプロセスには「海馬」と「新皮質」という領域が関わっている可能性が高い。

 海馬は大脳皮質の下にある小さなタツノオトシゴのような見た目の領域で、記憶と密接な関わりがある。新皮質は、脳の表面のシワシワの部分で、感覚情報の処理・自発的動作の制御・意思決定を担っている。

 海馬はきわめて可塑性が高いところだ。つまり、シナプスの強さがサッと変化する。

 だが、新皮質の可塑性は海馬ほどではない。ということは、新しい記憶を素早く作るのは苦手ということだ。そのかわり、一度記憶として保存してしまえば、そう簡単には失わない。海馬のように、古い記憶が新しい記憶で書き換えられてしまうようなこともない。

この画像を大きなサイズで見る
Andreus/iStock

睡眠が認知パフォーマンスを上げている

 よって海馬は体験のスナップ写真を撮っているとも言えるかもしれない。何か出来事が生じると、サッと神経細胞の結合を強化してそれを記録する。記憶とは、そのあとで同じ神経細胞が再び活性化したときに感じられる体験だ。

 オフライン・リプレイでは、そうした記憶が徐々に新皮質に保存されていく。だが、ポイントは、新皮質にはすでにそれまで蓄積された記憶や知識が保存されており、新しい記憶はその中に組み込まれるという点だ。この場合、古い情報が新しい情報で上書きされて消えてしまうようなことはない。

 良い眠りが大切なのはそういうわけだ。試験や大切な面接がある日の前の晩、しっかりと睡眠をとっておけば認知パフォーマンスを発揮しやすくなる。

 勉強をした後や何かがうまくいった後に眠るのも、そこで学んだことを覚えておくのに役立つだろう。

References:Evidence that human brains replay our waking experiences while we sleep | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. 睡眠学習の大革命が起きるか!?
    これを活かして専用の教材用意したら3倍のスピードで学習できそう

    • +1
  2. 学生の時にテスト対策で徹夜して丸暗記するように勉強するよりも、内容を要約する様に軽く勉強して早めに寝たほうが点数が良かった経験がある

    • +4
  3. サイモン!懐かしい。
    うちにありましたよ。
    これ今でも売ってるのかな?

    • 評価
  4. 見たこと無い景色の時もあったな、近くに雷落ちたり洪水とか遭遇した事ある。
    でも漫画に在るような、非現実的な不思議空間みたいな夢は見たことないな

    • -5
    1. ※4
      なんで夢の話してんねん
      これは夢とはまた別の現象やぞ

      • +8
    2. ※4
      夢の内容は基本的に記憶に基づくけど使われる記憶は結構バラバラ。そこで脳は記憶と記憶の合間の映像を(できるだけ辻褄を合わせて)自動的に予測生成するから、それで現実では経験したことが無い場面も見られるということらしい。

      • +1
  5. 2度寝する前に過去に読んだことのある小説を数分読んで寝るとその内容に似た夢を見る事がよくあった。

    • 評価
  6. 随分アバウトなリプレイしてんだなw
    ああでもソレだけ人間の記憶が好い加減だっつう証拠にもなるのか

    • +1
  7. 昼間の仕事のあれこれを寝てる時突然思い出して目が覚めるんだけど
    そういう仕組みのせいなのかな
    安眠したい…

    • +4
  8. 仕事の勉強してから寝るとほぼ必ず夢の中でも勉強してるんだよなぁ。
    ここ数年で安眠できた割合10%くらいだわ…

    • +2
  9. 爪先ジャンプで月面歩行のような浮遊、走ってジャンプ一歩で200m、一足跳びで山の頂上へ~とかの空を飛ぶような夢を毎日見てるんですが、毎日地べた這いずり回ってる現実との違いが激し過ぎて夢から覚めたくありません(;´д`)

    • +1
  10. 史上最強の柔道家 木村政彦は睡眠中はイメージトレーニングをしていたというが

    • 評価
  11. 辛い経験をすると泣きっ面に蜂の可能性が…?
    ただし、逆だと更に幸せに?

    • 評価
  12. 転職したてのときとか仕事の内容が夢に出るけどそれかな
    仕事に慣れるともう見ない

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。