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月面基地の建築材料に宇宙飛行士の尿を利用した資材が検討されている(ノルウェー研究)

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(著) (編集)

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ESA, Foster and Partner
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 人類が月で暮らそうと思うのなら、まずはきちんと暮らせる家が必要だ。小さな着陸機でもほんの少しの間ならどうにかなるだろうが、長期滞在するつもりならもっと寛げる空間がなければならない。

 しかしながら、地球からそのための建材を月に送り届けようなど、コストがかかりすぎて、Amazonでも配達してくれないだろう。

 そこで宇宙開発の研究者は、現地調達の方向で検討を進めている。その1つとして、宇宙飛行士の尿を利用したセメント不要のコンクリートを作り出すことが考えられている。

新世代のコンクリートを作り出すのに必要な尿

 月面基地の構造材料には、セメントが不要な新世代コンクリート「ジオポリマー」が有力な候補の1つとして挙げられている。

 ジオポリマーを使うには、他に月面のレゴリス(表土)、月の氷から入手される水が必要になる。だが、それだけではダメだ。コンクリートに柔軟性を与えて、建物が壊れないようにする「可塑剤」も加えねばならない。

 おしっこに含まれる尿素は、水素結合を壊し、さまざまな水性混合物の粘度を下げる効果がある。つまり現地調達できる可塑剤として期待できるのだ。

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Pexels from Pixabay

月面基地にふさわしい構造材料とは?

 地球とはまるで環境が異なる月に基地を作るには、その特殊な状況に耐えられる材料が使われなければならない。

 たとえば、月の温度は日中の120度から夜間のマイナス130度まで大きく変化する。そのため、建材はこれほどの温度差に耐えつつ、内部の温度を一定に保てるものでなくてはならない。

 また大気のない月面には、大量の放射線が降り注ぐ。大気がないので、落下してくる隕石も燃え尽きることなく、月面まで降り注ぐ。

 大気で守られた地球には、毎日4万4000キロもの隕石が落ちてきていることを考えれば、月面基地はそうした爆撃に耐えられるくらい頑丈でなければならない。

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Lars_Nissen from Pixabay

3Dプリンターで造られた尿素配合シリンダー

 尿素はその性質がよく知られているし、人間のいるところならどこにでもある。

 そうしたわけで、エーストフォール・ユニバーシティ・カレッジ(ノルウェー)の研究グループは、3Dプリンターと模擬レゴリスと尿素可塑剤を使って、小さなシリンダー状の構造物を実際に造ってみることにした。

 また比較するために、ポリカルボン酸塩可塑剤やナフタレン可塑剤を利用したものや、一切可塑剤を利用しないものも造られた。

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Shima Pilehvar et al./ Journal of Cleaner Productio

尿素可塑剤の性能は?

 さらに、これらのシリンダーを強度試験にかけて、その耐久力が確認された。試験の内容は、月の気温の変動を再現した8回の凍結・融解サイクルや、負荷をかけて形状を維持できるか確かめるといったものだ。

 その結果、一番性能が良かったのは、尿素可塑剤とナフタレン可塑剤を利用したものだったとのこと(ただし、ナフタレン可塑剤入りのシリンダーは成型過程で少しだけヒビが入ってしまっていた)。

 これらを使ったシリンダーは十分な柔軟性を発揮して、歪まなかっただけでなく、製造直後に加えられた負荷にも、大きく形を崩すことなく見事耐えてみせたという。

 一方、ポリカルボン酸塩可塑剤入りと可塑剤未使用のシリンダーは、硬すぎて成型しにくく、小さな負荷を加えた際に、どうにか形状を維持することはできたものの、疲労による破損が生じてしまった。

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Shima Pilehvar et al./ Journal of Cleaner Productio

圧縮強度が増加するという新しい力

 凍結・融解サイクルのあとで、圧縮強度も計測してみたところ、尿素可塑剤入りのシリンダーは、圧縮強度がわずかに増加すらしたという。

 どうやら、尿にはこれまで誰も気づかなかった新しい力――ニョーパワーが秘められているようだ。

 この研究は『Journal of Cleaner Production』に掲載された。

References:phys / sciencealert./ written by hiroching / edited by parumo

追記:(2020/04/04)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. しょんべんも貴重な水分なのにMOTTAINAI!

    前田慶次も兵糧攻めにあった時、馬のしょんべんで渇きを癒したというのに・・・レッツ・インニョー・イン・ザ・ムーン

    • 評価
  2. 尿は凄いな、水再生で飲用水になるし、電気分解で酸素と水素にもなるし、尿素も使い道がとか
    ただ、粒が細かいレゴリスを溶かしてレンガ状にして、接着で用途使った方が尿素の量的に良いと思うけどね

    • 評価
  3. サンプルのシリンダーはうん っぽいですね
    実際、排泄物とかなんでも素材にして宇宙で生きるというのはロマン

    • +8
  4. あのすみません・・・・(・ω・)
    どう見ても精製したものが
    ウ〇コにしか
    見えないんですが

    • +12
  5. 皮のなめしから始まり洗剤やら爆薬まで時代の裏に
    暗躍する素材、今度は月面基地の素材かよ
    古今東西の人々も目が丸くなりそう

    • +3
  6. 火薬に成ったり肥料に成ったり人間の廃棄物も偶に役に立つモンだ
    宇宙に持ってく前に地球上でもちっと利用出来んもんかね
    海に垂れ流すの減らせるじゃん?

    • +3
  7. 塩化ナトリウムは問題にならないのだろうか

    • +3
  8. 月開発計画なんぞ、どこもやらなきゃただのションベンよ!

    • 評価
  9. 100年後は月も当たり前に行き来出きるようになってるんだろうな
    羨ましい

    • 評価
  10. ttp://karapaia.com/archives/52225491.html

    尿瓶捨てて帰るくらいなら有効活用出来た方がええわなww
    もし月の土地買ったとして自分の土地に尿瓶あったら嫌やし

    • 評価

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