TierImage/iStock
新しい研究によると、ペンギンの鳴き声のパターンは人間の言語と同じ法則なのだそうだ。フランス、リヨン大学とイタリア、トリノ大学の研究グループが『Biology Letters』(2月5日付)に掲載した研究によると、絶滅危惧種であるケープペンギンの歌は「ジップの法則」と「メンゼラスの法則」の2つの法則に従っていることが確認されたという。
言語は、なるべく効率的にコミュニケーションを取るように短縮化される傾向にあるが、霊長類以外でもこの法則に従っていることが確かめられた初めての事例であるとのことだ。
コミュニケーションを効率的にするため、言語は短縮化される
言語には、なるべく効率的にコミュニケーションを図れるよう簡略化される傾向があることが知られている。たとえば、よく使われる単語ほど短くなる傾向があり、これを「ジップの法則(Zipf’s law of abbreviation)」という。英語の例を挙げると、一番頻繁に使われる単語は「the」「to」「of」などで、できわめて簡潔だ。
また単語が長くなると、それを構成する要素は短くなるという傾向もある。こちらの傾向は「メンゼラスの法則(Menzerath-Altmann law)」と呼ばれる。
やはり英語の「strength」は、たった1つの音節で構成される単語だが、この場合、音節は非常に長くなることがある。だが、「parameterise」のような音節をたくさん持つ単語ほど、音節1つ1つの長さは、「pa ra me ter ise」のように短くなる。
Jeanine SmalによるPixabay
ペンギンの発声も人間の言語法則に従っていた
今回の研究グループは、2016〜2017年の繁殖シーズンに、イタリアの動物園で飼育されているケープペンギン28羽による「有頂天ディスプレイソング(Ecstatic display song)」を590本録音し、これらを解析した。ディスプレイソングは、主にオスが仲間に身元やなばわりを伝えたり、恋のお相手を獲得するために発するもの。その構成は3つの別個の音(音節)で構成されている。
ケープペンギンのディスプレイソング Ecstatic display song
解析の結果からは、ペンギンが一番多く発生する単語は一番短いこと(ジップの法則)、最長の単語はだんだん短くなる音節で構成されている(メンゼラスの法則)ことが判明した。
動物もコミュニケーションを効率的に進化させる
霊長類以外でもこの法則が発見されたのは初めてのことであるらしいが、トリノ大学のリビオ・ファヴァーロ博士によると、こうした法則は人間の言語に特有のものではなく、むしろ一般的なもので、他の動物でも数多く事例を見つけられるだろうという。単語が簡潔になる現象を「圧縮」といい、他にもモールス信号(頻出する語はトンかツーだけで表現される)のような文字コードにも見られる。
これはコミュニケーションをより効率的に行うための方法で、動物はなるべく楽に意思を伝達できるよう効率的な方法を進化させてきたということであるようだ。
日本でも若者は特に短縮言葉を使うが、これもコミュニケーションを効率的に行うためのものものだったんだね。すぐに死語にはなるけども。
References:sciencefocus/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
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4. 匿名処理班
だめだ、途中からびっくりチキンにしか見えなくて噴きだす
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7. 匿名処理班
なかなか興味深いね。
カラスが何言ってるかわかんないのだけど、回数が違ってそれをオウム返しに繰り返すヤツがいるのはわかるから、もしかすると回数とかニュアンスとかも法則性は同じようにあるかもね
8. 匿名処理班
現代社会では鬱という漢字はもう少し簡略化すべきかも
9. 匿名処理班
ピングーは実在していた!?!?
10. 匿名処理班
最近南極でコウテイペンギンが撮影してる人に近づいて、何回も同じ鳴き方して頭振って近寄って来てる動画見た。
他の動画見ると、あれはどうも仲間同士の挨拶だったみたいで、鳴き方も首の振り方も同じだった。
あら素敵、と思いつつ、こういう時どう返したらいいんだろうと悩んだ。
ちなみに動画では、撮影者が挨拶返さなかったら諦めてトボトボ戻って行った。
11.
12. 匿名処理班
ジップの法則、名前とリンク先が間違ってますね
正しくは「ジップの"簡潔さの"法則」
wikipediaでは「Brevity law」、日本語記事なし
13. 匿名処理班
ペンギンにも方言ってものが存在するんやろか?気になる
14. 匿名処理班
つまりピングー語はペンギン界隈のリアル言語だったと
15. 匿名処理班
>ジップの法則
「どさ」
「ゆさ」
16. 匿名処理班
ジップとメンゼラスの法則か、、、初めて知った。
つまりはコストパフォーマンスの向上であり、変異・複製・選択の条件が揃っている「言語」が進化する方向に働くなら収斂も当然だということか。
と思ったけど、コスパ向上の方向に進化するというよりは、元々がコスパが良いもので、だんだんと複雑化する方向に進化する、ということも考られるか、、、
17. 匿名処理班
ゲイのカップルペンギンが育児放棄された子供見つけて匿ってたよね
動物園の王様ペンギン見てたら近くによってきて見つめてくれたり、わたしが顔近づけて写真撮ろうとしたら向こうもこっち寄せてカメラ見てくれたりサービスしてくれた。知能指数が高いと思う。
18. 匿名処理班
>>10
ひらめいた
AIに鳴き声とその後の行動を何パターンも学習させれば、ペンギン語に限らずいろんな動物の翻訳機が作れる事に!
って、多分人間以上に言語や方言があって地域限定になっちゃうかな
19. 匿名処理班
素因数分解みたいに素音節分解みたいなのがあるのかな
20. 匿名処理班
早く、人間⇔ペンギン間・自動音声翻訳機を開発してくれ!
(今の技術が有れば可能だと思う。人間間では実現している)
後は、人間⇔イルカ間・自動音声翻訳機も頼む!
21. 匿名処理班
※13
有ると思うよ?確かクジラの例だったと記憶してるけれど、
同じ種類のクジラでも、歌の歌い方に地域差が有るという事だ
それと流行歌的に歌い方は毎年少しずつ違うとも言っていた
後は種類の違うイルカを一緒に飼育したら、他の種類のイルカの
鳴き真似をする様になって、意思疎通し始めた…との例も有った
ペンギンの事は良く知らんけれど、似た様な例は有ると思うよ?
22. 匿名処理班
某大手IT企業では、かなり昔から社内資料での末尾の長音「ー」
を省く伝統なんだよね。例)コンピューター→コンピュータ
グループ会社入れて5万人規模なんで、かなりの省エネになってる
と思う。思い付いた人エライ。
23. 匿名処理班
※20
ペンギン研究者の中にはペンギンの言葉を覚えて会話を楽しんでた人も居たようだよ
軽い挨拶とかその程度だけど、「ジェンツーペンギンには私のペンギン語が通じず「こいつはペンギンじゃなくて鳥だな」と思った」とか、なかなか面白い
24. 匿名処理班
※23
そのジェンツーペンギンにインタビューしてみたいな。
『え?あいつの話すペンギン後は訛りが酷くて理解できねぇ!』
とか言ったら爆笑ものだと思った(多分、そんな所だと思う)
25. 匿名処理班
>>18
他の動物はわからないけど、コウテイペンギンは翻訳可能なんじゃないかと思います。
26. 匿名処理班
昔、エサが少なくなる冬に家の近くの野鳥たちにパンとかあげてたけど、けっこう意思疎通できたよ。鳥共通の仕草サインは一番わかりやすい言葉だけど、おおげさな演技でも伝えようとしてきた。鳥たちが何言いたいかわかるようになったら、気持ちとか意思とか人間と変わらないってことがわかった。知性的でいいやつばかりだった。エサあげられなくなって何年もたつけど、今でもこっちの姿を見かけると声かけてくるよ。友達認定されてるんだね。
27. 匿名処理班
前からそうじゃないかってうたがってた
あいつら人間が着ぐるみ着てるんだよ
絶対にそうだ
28. 匿名処理班
※26
いいなー 鳥さんと友達になりたい
子ども時代に敵認定されたことがあるんだ
16歳でひっこすまで7年ぐらいずっと敵だった
ごめんなさいスズメさん
29. 匿名処理班
※18
バウリンガル・ニャウリンガル
30. 匿名処理班
ペンギンの鳴き声が言語とすると
あの「ギョーー」って一音節の長いのを連発してるのは
どういう意味の単語なんだろう
しりたいなーーーーーーーしりたいしりたい