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アシナガバチはお互いの顔を見分けられる。仲間とうまくやっていくため急速に顔の認識能力を進化させた(米研究)

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skeeze from Pixabay
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 人間から見たら、アシナガバチの顔はどれも同じにしか見えないかもしれない。それは昆虫も土曜で、ほとんどの虫は視覚で仲間を識別することができない。

 だが例外がいる。一部のハチはお互いの顔を見分けることができるのだ。最新の研究によると、ハチたちの仲間を認識する能力はわずか数千年のうちに急速に進化したという。

 そして驚いたことに、こうした突然の進化をうながした原因は、気候でもエサでも寄生虫でもなかった。社会性昆虫であるハチは、仲間との共同生活にうまく対処するために、お互いの顔を見分ける必要性があったというのだ。

仲間の顔を認識しているアシナガバチ

 たとえばポリステス・フスカタス(Polistes fuscatus)というアシナガバチもまた仲間の顔を視覚で識別することができる蜂の一種だ。

 この事実は彼らの顔にペイントで化粧を施すという2002年の研究から判明した。

 その研究では、P・ポリステスの顔にペイントして普段とは違う顔にしてしまうと、巣の仲間から攻撃的な行動を受けるようになることが観察された。だが、こうした攻撃はしばらく巣内で過ごしているうちに止む。

 このことは、その個体がペイントによってよそ者と認識されてしまったが、やがては再び仲間と認めてもらえたらしいことを示している。

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Hectonichus/wikimedia commons

顔の認識能力はわずか数千年のうちに進化

 こうした顔の認識能力は昆虫では非常に稀である。そこで米コーネル大学の研究グループは、P・フスカタスのゲノムを調べ、なぜこの珍しい能力を獲得できたのか解明してみることにした。

 この研究では、ポリステス・フスカタス(以下P・フスカタス)と、その近縁種だが顔識別能力のないポリステス・メトリカス(P. metricus)ならびにポリステス・ドルサリス(P. dorsalis)の2種を比較した。

 ここから明らかになったのが、P・フスカタスの遺伝子座には長期記憶の形成、キノコ体(昆虫の大脳の一部で、キノコのような形をしており、記憶処理の中枢としての役割がある)、視覚処理といった仲間の認識に関連する機能が存在しており、それらは過去数千年という進化の視点からはごく短期間のうちに生じたということだった。

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CC0 Public Domain

女王同士の権力争いが顔の識別能力を育む選択圧となった

 仲間の顔を認識できるハチは他にもいる。たとえば、ミツバチやトロピカルホバーワスプなどだが、こうした仲間にはいずれも、巣に複数の女王バチがいるという特徴がある。

 複数の女王バチの間には、1匹の女王を頂点とするヒエラルキーが形成されている。だがそれは不変ではなく、彼女らはときどき地位を巡って争うことがある。

 研究グループの考えでは、女王バチたちはお互いの地位を顔を見分けることで把握しているという。つまり、仲間との関係をうまく処理する必要性が、顔識別能力を進化させる選択圧だったのかもしれないのだ。

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Herseyden biraz../iStock

人間の言語能力も急速に発達した?

この研究は、認知の進化が自然選択によって形成されたメカニズムを示唆する、最近増えつつある科学的知見のひとつだ。

 こうした分野の研究からは、認知は徐々に発生するのではなく、突然変異によって急速に発達するらしいことが示唆されている。

 このことは、人間の言語のような認知能力もやはり、急速に発達した可能性をもほのめかしているのだそうだ。

 この研究は『PNAS』(1月24日付)に掲載された。

追記(2020/01/30)本文を一部修正して再送します。

References:news.cornell./ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 34件

コメントを書く

  1. 顔覚えられなくて苦労してる蜂もおるんやろかと思うと親近感湧くなぁ。

    • +23
    1. ※2
      私も一度や二度じゃ顔と名前一致しない。

      • +10
  2. 「うちの女王様が一番美人!」とか思ってるんだろうな

    • +11
  3. 普段は何もせずにいるアシナガが服を変えた途端ぶさっと刺された
    この経験でこいつら色の判断はできても顔の判断はしてないなと
    答えができたけど、その答えが間違ってないことによかったぜ

    • 評価
    1. ※4
      アシナガさんは見た目に反して普段はおとなしいけど、ちょっと気が荒くなる季節があるとかあったはず。
      そこにハマったんじゃないかな?

      • +8
    2. ※4

      もしや、4さんとこのアシナガさんが、
      ちょっとアホちゃんなのか?…(*ノωノ)痛そう

      うちのノウゼンカズラに毎日通っていたアシナガバチは
      個人を認識できてたと思う

      初日は警戒、2日目以降は何日も堂々と蜜を飲んでた
      服が違っても再度警戒することはなく、
      顔か毛とか体型で人を認識してると思ったよ

      肉食だけど餌探しの大人はエネルギー補給に蜜を飲むらしい
      ウチは階層高いからまわりに花は無く、
      ちょうどいい休憩場所になっていたようだよ

      越冬しないから、あの子にはもう会えないけど(´Д`)
      また別の虫さんがくるであろうと期待してる(*^-^*)

      • +2
  4. 別種や同種内でも形態の違う女王や雄を「視覚で」見分けてるということかな?? 
    仲間同士の個別の顔を覚えてるってわけではないよね??
    違わないよね顔!?
    新旧の女王は色の濃さで見分けできそうだけど

    • -2
    1. >>6
      顔を見分けているようだよ
      見分ける種は顔の斑紋に個体差があるようだよ
      個体ごとに序列があったりして、それを顔で判断しているんだってさ

      • +2
  5. オオスズメバチにホバリングで顔をガン見された事があるんだけど、あれも識別してたのかな。たとえば、攻撃的な表情をしているかとか。

    • +9
    1. ※7
      私も同じことあったわw
      開いてた窓から入ってきたらしいんだけど、視線を感じて顔を上げたら目の前30cmくらいのところにホバリング…。後退出来なかったからずるずる擦り移動で背後に回って脱出したけど、その間ずっとホバリング中のハチの視線を感じたよ。怖かった…。

      • +2
  6. 顔が違うより「異質」だったのでは?
    働きハチはかなり遺伝的に近く、顔の造作も差異は小さいのはず。
    それをフレディやエイリアン並みのメイクをした固体が来たらそりゃねー。

    当然、刺激のない溶剤を使った塗料は使ったろうが、ペイントの細やかさはどうだろう?
    小さな昆虫へのことだから大雑把になったのでは。

    • +1
    1. ※10
      遺伝的差異が小さい=顔が見分けられない、というのはおかしいと思う。
      人間でも、100%同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の顔を、近親者は見分けられる。
      同じ巣内のハチ同士なら、互いの顔の微妙な違いを分かるのは、不思議ではない。

      そもそも、同じ遺伝子を持っているとしても、発現のしかたが同じとは限らない。

      あと、マーカーの視覚以外への影響については、以前の論文の時点で検証しているはず。
      そうでなければ、以前の論文が通らない。

      • +1
      1. ※17
        人間は生き方や性格で顔が変わったりするけど蜂はどうなんだろう
        傷とかの外的要因はもちろんあるとして

        • 評価
      2. >>17
        見分けられない と言ったのは貴方の方ですよ。
        そんなことは書いてありません。

        差異が小さくても個体識別はしていることは事実です。
        ただそれは顔だけではないでしよう。
        我々は後ろ姿や体臭、いびきをヒントに人を見分けます。
        彼女等も飛び方やフェロモン、羽音、触角の動きをヒントにしてるのではないでしようかという主旨です。

        • +3
    2. ※10
      あなたの文章を読み違えていました。申し訳ありません。

      マーキングした顔をどう感じているか(ハチ以外の異質なものと感じているか)は、クオリアの問題である。
      そのため、ハチが人間の言葉を喋らない限り、分からないと思われる。

      科学的に分かっているのは、「顔のマーキングによって、仲間ではないと判断された=顔を見分けた」という事だけ。
      「昆虫は、視覚より嗅覚で、仲間かどうか判断することが多い。」という知識があると、この記事がより分かりやすくなると思う。

      • 評価
    3. ※10
      少し考えをまとめてみた。
       個体識別は主に顔で行っているかは疑問。
       この実験ではそれを証明できない。

      >個体がペイントによってよそ者と認識されてしまったが、やがては再び仲間と認めてもらえたらしいことを示している。

      じゃあ受け入れられるようになったのはなぜだろう?
      顔のペイントは落ちていない。

      我々でも夜の訪問者がジェイソンマスクで現れたら吃驚する。
      でも声などで「荻窪だなW」とわかる、あとは馬鹿騒ぎか。

      彼女らはおそらく『振動』が識別やコミュニケーション、伝達に大きな役割を果たしていると思う。
      (次は匂い・フェロモン。視覚はその次では?もちろん距離のある場合は視覚が重要)
      威嚇は羽音、あるいは顎をカチカチすることで行われているからだ(幼虫も何かあると身体をシンクロして身震いさせる)。
      それに幼虫時代は、ほぼ目が見えず明るさを感じるくらい、視覚は後発なのだから。

      もちろん異論は認めるよ。

      • +1
  7. 昆虫類は紫外線を頼りに見てるみたいな話あったやんか?人には見えないけど個体で異なる模様でもあるのかと思ったら化粧して顔変えるってなんやねん

    • 評価
  8. 人間よりはるかに嗅覚や聴覚が発達してる生き物でも、割と仲間は視覚優先で見分けてるってわかってきたね
    ちょっと見慣れない見た目だとハブるし、羊も牛も蜂ですら顔で相手を判別してる

    • +5
  9. ハチやアリは考え方によっては知的生命体ともいえる

    • +5
    1. ※16
      数多い団結力も強い、飛べるし毒も完備で
      アリの仲間のポテンシャルは図り知れん
      大きな虫やちょっとした爬虫類も
      蟻のいる道は避けているようだ、地位の高さが伺えると本に書いてあったわ

      • 評価
  10. 管理人さん、
    >キノコのような体
    という単語は、もしかしてmushroom bodyの訳でしょうか?
    もしそうなら、訳が間違っています。
    mushroom bodyとは「キノコ体」という固有名詞です。
    昆虫の大脳の一部で、キノコのような形をしており、記憶処理の中枢としての役割があります。

    • +8
  11. どっかの高校の研究で、スズメバチの単眼が副実像を認識しているのかもしれない、というものがあったけれど、このハチにも同様のことが確認されるだろうか。
    また、単に捕食者としても、その擬態の対象にハチが選ばれることが多い(…気がする)のは、ハチの視覚の発達ゆえなのか。
    自然界って不思議だなあ

    • +1
  12. ハチの顔の識別が出来るとか、人間よりも優秀なんじゃない?
    (慣れていないだけ…なのか?相当に高度だと思うが?)

    • 評価
  13. ペイントされて虐められる蜂さんを想像して、可哀想になったけど、元鞘に戻るっていうんだから人間より上等だよな

    • +3
  14. 顔なんかいちいち見てねーからな
    同じ人間に2~3回挨拶するなんてザラだわ

    • +1
  15. 「女王様、最近小ジワ増えてない?」とか噂話する不届者もいたりして

    • 評価
  16. 他の蜂は知らないけれど、アシナガバチは結構賢いよね。
    うちの箱庭みたいな庭に毎年のように巣を作りに来るんだけど、最初は洗濯干すのに威嚇されても、毎日「おはよう」「今日は暑いね」なんて声をかけていると、そのうちに巣に近づいても威嚇もされないし、ほぼ無反応になる。あ、でも羽化したての子は最初威嚇するんで「あ、こいつはおチビさんだな」って分かるけれど。
    アシナガバチの巣はかなり小さいからあまり邪魔にならないし、なにより「スズメバチが怖くて人間を頼ってる」と思うとちょっと愛着が湧く。(でも旦那が1ヶ月ぐらいしたら発見して撤去しちゃうけど)

    • +1
  17. ふと思ったんだが。
    巣の中って割りと暗いんじゃないかと思うんだけども、その中で顔の識別できるってことは暗視能力というか見え方が人間たちと違うんだろうか。
    目の構造全く違うから同じわけないんだろうけどどういう風に見えてるのかねえ。

    • +1
  18. 次は、安全チョッキの夜光反射材と花を見分けてくんナイかな
    夏が来るたびに
    『!!!??????!!!??!!!?????!!!』
    混乱し過ぎ、キミら

    • +1
  19. ごみ捨て場に巣を作ろうとしていたアシナガバチさんに
    「ここだと巣を作っても無駄だから、他で作ってね。」
    と、毎日声をかけていたら違う所に移動してくれた。

    クマンバチもカボチャ畑でうちとおかんに声をかけてきた近所のおっさんに威嚇しながら頭に体当たりしていた。

    ついでに、去年カボチャを作らなかったら蜂に猛抗議を受けていた母。
    蜂とはコミュニケーションとれるかもしれない。

    やっぱり、人間だけが他種族の言葉がわからないだけだと思う。顔の認識もね。

    • 評価

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