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南アフリカで、老舗の保険会社に遺族らが遺体を持ち込むという出来事が起こった。この遺族らは、亡くなった身内の葬儀のために死亡保険金請求をしていたにも関わらず、保険会社が支払いを渋り続けていたのだ。死者のためにきちんと葬儀を出してあげたいと願う遺族らの強硬手段によって、ビニール袋に包まれた遺体という「証拠」を目の当たりにした保険会社は、直ちに支払いを完済したという。
Corpse taken to Old Mutual office as proof of death
亡くなった身内の葬儀の費用に遺族らが保険金を請求
11月7日、南アフリカのクワドゥクザでシフィソ・ムチャーリ(Sifiso Mtshali)さんが、45歳の若さで死亡した。遺族らは、シフィソさんの葬儀費用のためにと11日にクワズール・ナタール州にある保険会社「オールド・ミューチュアル・サウス・アフリカ(Old Mutual SA)」を訪れ、シフィソさんの死亡書類を提出し、保険金3万ランド(約224000円)を請求した。
1845年に創立され、ヨハネスブルグに本拠地を持つこの保険会社は、南アフリカで最も老舗の保険会社とされており、銀行、投資、貯蓄の各部門も運営している大手の総合金融機関だ。
シフィソさんの死因が自然死であることは書類に記されてあり、当然手続きがスムーズにいくと遺族らは思っていた。ところが、予想していた日数で保険が出ることはなく、遺族らは葬儀の手配を進められないまま、苦痛の日々を過ごさねばならなかった。
image credit:White Man Confession/Twitter
遺族ら、身内の遺体を遺体袋に入れて保険会社に持ち込む
9日間の間、シフィソさんの遺族であるタンダーサ・ムチャーリ(Thandaza Mtshali)さんと、彼女のおばのントンベ・ムロンゴ(Ntombenhle Mhlongo)さんは、何回か保険会社の事務所に出向き、支払いがどうなっているのか尋ねた。しかしその度「審査中」「死亡が証明されるまでは支払えない」という答えしか返って来ず、大切な身内の葬儀ができないムロンゴさんたちは怒りを覚えた。
そこで、彼女らは強硬手段に出た。シフィソさんの亡骸が預けられてある遺体安置所スタッフと葬儀会社に話しをし、シフィソさんの遺体を青いビニール製の遺体袋に入れ、車で保険会社まで持ち込んだのだ。
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ムロンゴさんは、彼の身分証明書と死亡証明書を再度添え、書類と一緒に窓口のスタッフに突きつけた。するとスタッフは、直ちに手続きし、保険金の完済に同意。ムロンゴさんたちはようやくシフィソさんの死亡保険金を得ることができた。
シフィソさんの葬儀はその後すぐに執り行われ、亡骸は家の裏庭に埋められたという。
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「死亡を信じてもらえないなら実物で証明するしかなかった」
ムロンゴさんは、今回の1件をメディア取材で次のように語った。私たちは、決してお金持ちではありません。むしろ、貧乏人です。支払いを拒否され続けて心が折れました。保険金が出ないことには、葬儀費用がないということなのです。
完済まで48時間と言われたのに、9日間も待たされて、何度尋ねても審査中としか返ってこず、怒りが湧きました。
私たちは、ちゃんと葬儀をして彼を埋めてやりたいという思いしかありません。書類提出に不満なら、実物を見せればさすがに納得するのではと思い、遺体を持ち込みました。
そしたら、審査云々など一言も言わずにすぐに手続きをして支払いがなされたのです。
image credit:White Man Confession/Twitter
一方、オールド・ミューチュアル・サウス・アフリカのスポークスマンは、このような声明文を発表した。
当社は、今回の1件が起こってしまったことを後悔し、支払いが遅れた状況を苦痛に感じております。11日に申請がなされ、15日に支払われる前に、追加審査をしており遅れてしまいました。
通常、葬儀費用の請求の99%は、書類を受け取ってから8時間以内に支払われております。
ツイッターでも「非常に稀で残念なケース」と保険会社
保険金完済を渋る保険会社に業を煮やした遺族らが取った強硬手段の光景は、事務所にいた人により動画に収められた。ツィッターユーザー「White Man Confession」が11月19日にその動画を投稿し、「保険会社の傲慢さには反吐が出る。なんて恥知らずな。亡くなった人が安らかに眠れますように」とツイートすると、たちまち拡散し、大きな反響を呼んだ。
これを受けた保険会社側は、「これは非常に稀で残念なケースだ。辛い時期にいる遺族らには同情している。請求に応じて、保険金は支払われた。デリケートな問題のため、遺族と直接やりとりを続けていく所存」とツイッターで返信。[EXPOSE OLD MUTUAL] Family bring their dead family member after @OldMutualSA refused to pay their policy benefit. Old Mutual’s arrogance is stinking now. What a shame! May the soul of the poor person Rest In Peace. Plz Retweet. pic.twitter.com/Gk2QFQWkoM
— White Man Confession (@ConfessionWhite) November 19, 2019
しかし、遺族に苦痛を与えた保険会社に対しては、SNS上では次のような声が寄せられている。
・この遺族らにとって、ここまでしなければならなかったことは、トラウマ的苦痛でしかなかっただろう。References:Metroなど / written by Scarlet / edited by parumo
・この保険会社は、黒人の保険金請求は絶対に支払おうとはしない。過去数週間、自分は支払いを拒否するためにスクリーニングさせられたことがあるからね。
・遺族の気持ちを思うと、気の毒でならない。身内を亡くしたことだけでも辛いのに。
・うちの母親もこの保険会社に嫌な目に遭わされたわ。ポリシーが古いとかで、結局支払われたお金は払われるべき金額の2割程度だった。今でも怒りを感じているわ。
→・それは単なる支払いたくないだけの言い訳だよ。最低だな。
・保険会社は、大抵が掛け金だけさせて支払いを渋るってところが多いよ。
・それにしてもこの状況は、悲しすぎるの一言だよね…。
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コメント
1. 匿名処理班
コメントにあるように、人種の違いで支払いに差があるとしたら信じられないことだ。
2. 匿名処理班
日本だけだと思ったら世界共通の支払いの渋さなんだ
遺族の立場に沿った会社でないといつかしっぺ返しされるぜ
3. 匿名処理班
保険会社はどこも強欲で傲慢なのは変わらんのだなぁ
4. 匿名処理班
とんでもない不条理だねぇ
サム・ライミのおばかホラー映画で起こりそうな展開だよな・・・
5. 匿名処理班
死亡証明(物理)
6. 匿名処理班
有名な落語にソックリな話あったな
現代にこれを地でいく世界があるなんてなんだか考えさせられるよ
7. 匿名処理班
「カンカンノウ、きゅうれんす」的な……
人種で扱いが違うってのは南アの「老舗」企業だとさもありなんと納得しそうになる、本当かどうか確かめようがないから断定できないけど
8. 匿名処理班
え〜、一席お付き合いほどを
「おいっ、くず屋、保険会社行って保険金もうてこい」
「保険金は出されへんゆうとります」
「なに〜、死人(しびと)背たろうてカンカン踊り見せたるってゆうてこい」
お馴染みの「らくだ」の一席でございました。
9. 匿名処理班
※6
『らくだ』か?
10. 匿名処理班
こういうことがあるから保険屋っていまいち好きになれない
でも彼らも保険金詐欺と日々戦ってるんだろうし、しゃーない。
11. 匿名処理班
莫大な保険金なのかと思ったら、ほんの葬儀代くらいの金額じゃないか。
これ位すぐに支払ってあげなよ。
12. 匿名処理班
かんかんのうを踊らせないと
13. 匿名処理班
魔境の南アフリカにも人情は存在するんだな
14. 匿名処理班
9日も遺体安置しておいたら腐敗が凄そうだが
防腐処置でもして湿度の関係でドライなのかね
15. 匿名処理班
ガン保険なんかも、何かと理由をつけて払われないケースが多いらしいね。
16. 匿名処理班
死ぬのにも本人が手続きせにゃならんのか……
17. 匿名処理班
どこの世界も保険屋ってのは保険に入って貰う時は平身低頭
契約書にサインする時の万年筆のキャップすら
「私が外しましょう」とまるで家臣のように振舞うのに
いざ保険を払う時となると、まるで詐欺師でも見るかのような目で
「本当に嘘偽り無く神に誓って真実ですか?」と問い詰め
分厚い多くの書類を用意して、たっぷり時間をかけて
精根尽きる程に疲労した頃に初めて、渋々支払いに応じるからね
しかし払ってくれたら、まだ御の字
何割かは100の条件のうち99「しか」クリアできなかったと
支払いを拒否するからね
18. .
埋めるのは裏庭なんだなぁ
19. 匿名処理班
※4
事故でむち打ちした時、保険会社から電話で「本当に痛むんですか?」「まだ通院する必要あるのですか?」「体動きますよね?」とか何度も何度も威圧されて、アッタマきて、あぁ大手でもこんなもんかって思いましたね・・・
20. 匿名処理班
離婚して元夫から
子供達の養育費の支払いがされてない
電話も出ない、元夫の実家に連絡しても居ないって状態のシンママに
「相手の職場に子供連れて行って養育費払えって
大きい声で言ってやれば❓」って
アドバイスした事があったわ
21. 匿名処理班
傷みつつある愛する人の遺体を
女性ふたりで車に乗せて来た。
ほんとうに頑張った。素晴らしい親族。
これを機に改善されますよーに。
22. 匿名処理班
別に保険会社を擁護する訳ではないけど
そもそも死亡したのが本当に本人なのか死亡の原因は何なのか保険会社は調べる権利はある
先進国では想像もつかないが、医師も特に調べもせず遺族に言われるままに死亡診断書書くなんて後進国じゃよくあること
自殺他殺あるいはまったくの別人の可能性だってありえる
そもそも裏庭に埋めるだけの葬式に何日かかってるのか?
貧乏なのに保険料は払えてた?
保険に加入したのはいつ頃?
遺族側に偏った記事で人種問題バイアスかかってる気がする
23. 匿名処理班
稀なケース、とかどうでもいいんだよ
なぜ遅れたのか?
故意に遅らせていたのか?
ちゃんと説明しろよ
24. 匿名処理班
※14
本邦は湿度がバカ高いからあっという間だが
水が貴重なレベルで乾燥した土地だとまた違うかもな
※22
だったらだったで綿密な審査のためめっちゃ待たせると加入前に言え
迅速にお支払い!って売り込みで待たせるなら詐欺じゃねーかって突っ込まれてるんだよ
25. 匿名処理班
保険会社って万国共通クソなんだなぁ。
こういう条件で下りますって言っといて、いざ金払う段になったらゴネて払わない。
嘘ばっかつきやがる。
現在進行形で騙されててどうしようもない保険は通称、年金っつーんだけどさ。
26. 匿名処理班
>>22
最終的に埋葬されたのが裏庭なだけで、葬儀はきちんと執り行われたのでは?
そもそも、葬儀ができなかったのは葬儀代のための保険金が支払われなかったからだと記事に書いてあります。
最終的に保険会社が支払ったのであれば、支払い条件は当然満たしていたのだと思いますが。
貧乏だからこそ保険料を払ってでも葬儀代は保険金で払えるようにしたいという方は日本にも大勢いますよ。あなたこそ貧困層への差別意識で目が曇っているのでは?