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鳥の脳に記憶を植え付けて新しい歌を覚えさせることに成功。人間への応用にも期待(米研究)

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(著) (著)

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image credit:Pixabay
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 スズメ目カエデチョウ科のキンカチョウは、赤いくちばしと羽色の配色がチャーミングで、日本でもペットとして人気の高い鳥だ。

 そのリズミカルなさえずりも、押すと音がでるオモチャのようでとてもかわいらしいのだが、鳴き方は一般的に父鳥から学ぶという。

 今回、アメリカの研究グループは、キンカチョウの脳に偽の記憶を書き込むことで、新たなさえずりを覚えさせることに成功したという。

 この実験はもともと、音価(音の長さ)の情報をコードする鳥の脳の経路を発見することが狙いだった。

Video: Amazing discovery shows implanted memories teaching birds a song

光遺伝学的な手法でさえずりを覚えさせることに成功

 キンカチョウのさえずり方を覚える方法は独特だ。人間の幼児が耳で聞いたことを真似しながら言葉を学ぶように、キンカチョウも父親のさえずりを聴いてそれを真似することで歌を学習するのだ。

 アメリカ・テキサス大学サウスウェスタン・オドネル脳研究所(Southwestern O’Donnell Brain Institute)のトッド・ロバーツ氏ら研究チームは、光遺伝学的な手法で記憶を植え付けることでさえずりを身につけさせることに成功した。

 光で神経細胞の中にある感光性タンパク質に干渉すれば、神経細胞が発火するタイミングを操ることができる。これによって高次発声中枢に情報を送っている「Nif」という感覚運動野の活動を変えてしまうのだ。

 実験では光を一定のリズムで点滅させることで、点滅の長さに相当する音の長さの記憶をキンカチョウの脳に植え付けることに成功。

 それはちょうど父鳥が小鳥に歌の指導をしているようなものだった。

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いずれは父鳥がいなくても完全にさえずり方を学べる可能性

 今回対象となった高次発声中枢と「Nif」との連携は、鳥が歌をさえずるために不可欠である、と『Science』(10月4日付)で報告されている。

 鳥が歌を学習した後で両領域の連絡を断ち切ったとしても、その鳥は特に問題なく歌をさえずることができる。

 ところが歌を学ぶ前に断ち切ってしまうと、何度さえずりを聴かせようとも決して歌うようにはならないそうだ。

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image credit: youtube

 鳥が完全な歌をさえずるためには音価の記憶だけでは足りない。ほかにも音の高さといったメロディに関する部分も学習しなければならない。

 ロバーツ氏は、

今回テストした脳の2領域は、パズルの1ピースにすぎない。そうしたピースをひとつひとつ発見することで、いずれは父鳥がいなくても完全な歌のさえずり方を教えられるようになるだろう

とコメントしている。

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image credit: youtube

自閉症など言語学習が難しい人たちの治療への応用にも期待

 こうした鳥を用いた基礎研究は、究極的には人間が言語を覚えることを可能にしている脳回路を解明するためのものだそうだ。

 この研究により、会話からピアノまで、何かを真似るときのガイドとなる記憶(行動目標記憶)をコードする脳領域を初めて確認できたということになる。

 もちろん鳥のさえずりと人間の言語とでは、その複雑さの点で大きな隔たりがある。

 それでもこうした研究が進めば、言語学習に関連する遺伝子や神経細胞が特定され、やがては自閉症の患者など言語の学習に難のある人たちの治療に役立てられるのではと期待されている。

References Ut southwestern/ written by hiroching / edited by usagi

References: Ut southwestern

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この記事へのコメント 31件

コメントを書く

    1. >>2
      「世界の為に」で誰かが苦しむのとかは嫌だな。
      この技術は悪用される未来しか見えない。

      • +3
  1. うちの文鳥は私が口笛でホーホケキョと教えたんで、なんとなくウグイスっぽく鳴いて可愛い
    しかし脳みそいじられた小鳥はかわいそうだ(T-T)

    • +8
  2. これ人に応用したら、サブリミナルやセブン・サイクルの比じゃないね。

    • +5
  3. 鳥「イヤ‥…。ヤメテ!そんな歌覚え…たくな‥…イ…」
    鳥「スキスキ、コノ歌スキィィィィ」

    • +6
    1. >>9
      瞳孔が開ききって焦点の合っていない目で言うんですねわかります

      • +2
  4. タイムパトロールぼんの脳に情報送り込んで暗記させるとかいうのあったけどいずれ現実になりそうだね

    • +1
  5. 最終的には”学校”がいらなくなるな。脳にダウンロードすれば良いだけだ。
    とはいえ、お値段の方はお高いだろうが。

    • +3
  6. 昔ホムセンの生体コーナーにいたキンカチョウが一定のフレーズを鳴き交わすのを見て、きゃわいいなーと思って音程を真似したら、全キンカチョウがバッとこちらを振り返り、ぴゅぴー!!ぴっぴー!と大騒ぎになってしまったことがある。(怯えてるとかではないようだった)
    私は何を喋ったんだろうか。

    • +15
  7. そこは聖域にしといたほうがええんちゃうかなあ
    核関連技術並みにめんどくさくなる気がするんだけども

    • +1
  8. オス鳥は歌のバリエーションが多いとモテると聞いた。
    この被験体もモテるようになったのか気になる。

    • +3
  9. ある日友人の庭にこの鳥が飛んできて、
    オドロイタんだよね!
    野生化してるって可能性ある?
    東京のワカケホウセイみたく。

    • 評価
  10. 洗脳うんぬんってコメントが多いが、これ要は
    単に「今までは親の生声で手本を聞いて覚えるしか無かったけど、
    脳の該当部へそのリズムの光刺激を与えることでも代替できる」
    っていう、反復学習法のバリエーションだけの話じゃないの?

    洗脳うんぬん言うなら、親が子供に聞かせ続けても同じことだし。

    「記憶を植え付ける」というタイトルの単語チョイスに
    引きずられすぎだろう。

    • +1
    1. ※20
      お前だけこの記事のそのままの話をしていて、他の人は発展した先の技術の「可能性」の話をしている
      いわゆる文脈が読めてない

      • +1
    2. >>20
      光刺激で覚えられたのは感光性タンパク質を発現する遺伝子を埋め込まれているからだぞ
      人間の胚に遺伝子操作することを許容しなきゃ同じことはできない
      研究の意義は脳神経の作用機序を明らかにすることで光による学習方法の確立じゃない

      • +2
  11. 脳がどうやって記憶しているかの解明に一歩前進?

    • 評価
  12. 言語だけか?丁度色々勉強してる所だからやって欲しいな

    • 評価
  13. 妙だね、キンカチョウは自分じゃ抱卵育雛しないからジュウシマツに育てさせるっていうのが常識だった(俺が飼ってた頃は)。となるとジュウシマツの声を聞きながら育ったことになるけどキンカチョウの鳴き方がおかしいって話は聞いたことがない。教わらなくても生来知ってる地の声は影響受けないのかな。でも戦前のドイツにはカナリヤに歌い方を教えるためのレコードがあって、普通の音楽盤より高かったとか。地声と囀声は別扱いなのか? 謎だ。

    • 評価
  14. PreyってSFホラーゲーム思い出す。あっちはエイリアン由来の装置だったけど

    • 評価
  15. どんなに素晴らしい技術にも人間は必ず最悪の使い方を見出すと聞いた事がある。大事なのはその最悪の使い方をしない事の方だと思う。

    • +1
  16. これでどんなにきついノルマ課せられても笑顔でこなす社畜が作れる夢の技術

    • 評価

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