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第一次大戦時にヨーロッパ各国軍がこぞって使用していた木に偽装した監視塔

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(著) (編集)

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Imperial War Museum
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 偽装というのは、戦争のひとつの手段だ。特にそれが独創的だったのは、2つの世界大戦の間である。

 第一次大戦中、連合国、中央同盟国両軍とも、敵陣の動きを常に監視していたが、それはたやすいことではなかった。塹壕の上に少しでも頭を突き出そうものなら、すぐに撃たれてしまうからだ。

 そこで、フランス軍が最初に監視塔を木に見せかけるカモフラージュを始め、そのやり方をイギリス軍に教えた。のちに、ドイツ軍もそれを真似し始めるようになった。

 こうして木に偽装された監視塔が次々と作り出されていったのである。

木に偽装した監視塔の作り方

 前線は常に敵に監視されているため、いきなり新しい木を立てることはできなかった。忽然と新たな木が現れたら、すぐに敵の注意を引いて、攻撃されてしまうからだ。

 見せかけの木は、元々実際にあった木と置き換えなくてはならなかった。

 爆弾で吹っ飛ばされて枯れた木が塹壕のそばにあれば、理想的だった。そうした木は写真に撮られ、寸法を測って詳細にスケッチされ、徹底して調査された。

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木の詳細なスケッチ

image credit:Imperial War Museum
 そして設計図が作られ、外見はただの木そっくりだが、中が空洞になっているスチール製のレプリカが制作された。

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木でカモフラージュしたダミーの監視塔計画詳細図

image credit:Imperial War Museum

大砲の音で建設音をごまかしながら夜陰にまぎれて建設

 夜陰にまぎれて、大砲射撃の音でカモフラージュしながら、本物の木が倒され、フェイクな木の物見やぐらが同じ場所に立てられた。砲兵射撃の音は作業の音をかき消すためのものだった。

 木の根元は地中に埋められ、出入り口は見えないようにうまいこと隠されたが、航空写真で木に通じる塹壕が見つかってしまったら、敵にばれてしまうかもしれない。

 兵士ひとりが、地下から監視塔に入り込み、スチールのチューブ内に取りつけられた梯子を登って上部に向かう。

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監視兵が位置についた状態の塔の断面図モデル

image credit:Imperial War Museum
 てっぺん近くに取りつけられた座席に座って、いくつもあるのぞき穴から敵の位置を監視する。安全のために、穴から伸びた展望鏡を使い、塔の金属の壁の裏に隠れたまま、敵の目からは見えないようになっている。

 こうしたフェイクの監視塔作戦は、驚いたことにかなり成功し、敵にばれることはあまりなかったそうだ。

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監視塔としてのダミーの木の建造

image credit:Imperial War Museum

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カンバス地とスチールでできた監視塔、フランス、スシェ近く、1918年5月15日

image credit:Imperial War Museum

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監視塔の根元の出入り口、フランス、スシェ近く、1918年5月15日

image credit:Imperial War Museum

References: Amusing Planet / smithsonianmag/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 42件

コメントを書く

  1. WW2でも対空レーダー用のアンテナを木に
    偽装するのはイギリスにドイツ、日本も
    やってますね。そして、現在でも 携帯の基地局の
    アンテナを木に似せてるところありますよね。

    • +9
    1. >>1
      なんか当時は必死だったんだろうけどさ…
      ものすごく馬鹿なことを一生懸命やってるように見えるよね…

      • -3
      1. ※16
        いや、迷彩って、近目に見たら「アホじゃね?」って思えるような、画用紙サイズの大きな緑の楕円を束ねた 学芸会の大道具レベルな“葉っぱ”戦車カバーとか、ギャグ漫画っぽい木の枝をプスプス生け花状に刺したヘルメットとか、その程度の雑な作りでも、実際の現場では結構 絶大な効果を発揮するぞ。

        ※18
        砂漠の真ん中じゃあるまいに、
        野外でいちいち木がある度に砲弾で撃ち潰してたら
        とても物資が足りなくね?
        写真に写る範囲でも、すぐ近くに本物の木もあるようだし。

        • +1
      2. >>16
        戦争の本質を言い当ててるようにもとれる文章だね…

        • +7
      3. ※16
        当事者以外には滑稽に見えたりするもんよ
        神風がバカ爆弾と笑われたのと似てる

        • 評価
          1. ※40
            勿論それは知ってるんだけど、コメ弾かれちゃったからそこだけワード変えたんだ…

            • 評価
  2. チャップリンが枯れ木に化ける「担え銃」ってここからヒントを取ってたのかな

    • +5
  3. かなりでかいね。
    今は衛星写真があるけど、それでもこの手の者は有効。
    ただ「怪しいな」とドローンが確かめに来たらアウトかも。

    • +1
  4. CoDとかFPSでよくある銃に変なペイントするの現実じゃサバゲーくらいでしか見ないけど、WW1ではほんとに銃自体にケバい迷彩塗装してたり試行錯誤してたんだよね

    • 評価
  5. 俺も、職場で《観葉植物の鉢植え型偽装外殻》でも被って居ようかなぁ・・・

    • +5
  6. 俺が小学生時代に木の役やってたのもしかしたら誰にも正体気づかれてなかったのかもな

    • +16
  7. 「私は木」って言って木に擬態して、キツツキに死ぬほど連打されてたヒグマがいたね。あっ、色は真っ白なんですけどね。

    • +2
    1. ※7
      まさかここで『かってにシロクマ』ネタを見るとは思わなんだ

      • 評価
  8. 外観はどうやって仕上げてたんだろうか、職人でもいたのかね

    • +3
  9. あの木を目標に砲撃せよ!!とかされなかったのかな?
    平地でやたら目立つから着弾目標にうってつけじゃないかと勘ぐっちゃう

    • +3
    1. >>9
      そこまで精確に照準はつけられないと思う
      第一世界大戦時の野砲は、動画があるけど撃つたびに大きく動きまくるのでせ
      精密射撃は無理じゃないかと思う
      あっち方向に何発撃ち込めレベルの射撃精度だから、あんなに砲弾を撃ち込んで平野を耕しているんじゃないかな
      正確な照準ができれば適切に陣地だけを砲撃したりできてるはず

      • +3
      1. ※13残念。駐退機が大戦前に使用された火砲には装備されていたので、1発撃つごとに砲車がゴロゴロ後退することはないです。

        大戦初期は、後方からの重砲の砲火の後、歩兵の突撃。双方ががっちりと防備してしまうと、従来の砲撃の後突撃では、攻撃近しと悟られるので、近接支援として歩兵と共に進めみ、敵の機関銃陣地を撃破する軽量化した機関銃や水平・曲射が可能な歩兵砲が、使われました。

        地形の起伏が少ない戦線では、敵の塹壕の形状や兵達の移動を監視・観察は重要でこの手の構築物が必然的に登場。白兵戦の方法も従来の銃に銃剣を着剣でしたが、塹壕のくぼみでの格闘では、銃が長さがネックになり、銃身の短い騎兵銃に(欠点は反動がきつくなる。命中率が歩兵銃に比べると低下)。長い銃剣も短く頑丈に、より決定打を与えるため暇なときに作った棍棒等も使われてました。

        • -4
        1. >>29
          あのさぁ、Youtubeに動画像あるから見てから言えばw
          駐退機の意味も知らなそうなコメントだなww

          • +2
          1. ※31Youtube?。私はウィーンの軍事博物館で75ミリ砲の空砲を3斉射を。5メーターの距離から写真撮影してましたが?。発砲の度に感じる衝撃波を浴びながら。耳栓をしておけばよかったと後悔。

            発砲の度に砲身は後ろに下がり排筒し、装填発砲をしてたが、砲車はその場にとどまってましたが?。

            私はYoutubeより実物をなでくり回し、機械油のする空間で堪能する方が好きだね。そういう博物館は日本にないのは残念でならない。

            • -5
          2. ※32
            なーんか動くか動かないか意地張って色々ひけらかしてるけど、その空砲って大戦時の実弾と同じ衝撃があんのかね。どうでもいい部分だけどね。
            WW2になっても重砲って面火力による制圧が主だったはずだから、どの道木を狙ったりはしないはずだしできないと思う

            • +1
          3. >>33ネットは便利ですが、物にこもる人の念(無念さ、怨念、生への執念)は行ってみなければ感じられない。ましてや戦争と平和を考えるならば。

            ウィーンの軍事博物館の野砲の3連射は9月23日にやっているので是非。富士の火力演習では出来ない衝撃波を感じながらの撮影はオツなもの。その日は市の中心で陸空のアトラクションや出し物も楽しめます。

            • -1
      2. これは知らなかった。興味深い。

        ※13
        全面耕されて平たくなったフィールドだからこそ、こういう特徴的な立ち木のような何かは目標になりかねなかったとは思うよ。
        「あの木を吹き飛ばせ」じゃなくて「あの木の周辺を吹き飛ばせ」って意味で。

        もっとも、そうならないように場所は慎重に選ばれたのだろうけど。
        高さがあるから最前線から少し離れてても使えそうだし。

        いや、そもそもさ。
        跳ねようが跳ねまいが、地下の陣地だけを適切に精確に吹き飛ばせる大砲なんてほぼないに等しいでしょ、今も昔も。 
        今は終末誘導できる砲弾があるから事情は違ってきてるんだろうけど、それでも最近の戦争の記録を見ると、砲火力は結局物量ぶち込んでナンボなとこあるっぽいし。

        って、ちょっと色々気になったから突っ込んでおく。

        • +1
      3. ※13
        WW1で駐退機が付いて無い砲使ってる軍なんか無いやろうと思って動画調べたらありましたね…(驚き)予算が無かったのかな…?
        海軍の6インチ Mark VIIを野砲に転用したやつの動画があったけど駐退機の発明は偉大やなって思った(坂作ってもとの位置に戻るようにはしてたけど)。当時の駐退機の普及率とか調べたら面白そうかも?

        • +2
  10. わざわざボロボロの木に向かって撃とうとは思わないもんなぁ
    それにしても隠れているとは言えほとんど無防備でこわい
    今でも風船のハリボテ兵器とかあるよね

    • +6
  11. 精密に作れば衛星写真あってもそう簡単にはバレんだろうな

    • 評価
  12. 1916年8月25日の日付付きスケッチがなんとも苦しい現場の雰囲気を伝えている

    • 評価
  13. サムネの写真のは顔に見える。わざとじゃないだろうけど

    • 評価
  14. でもまあ大きな会戦が有れば、流れ弾に当たって中の監視要員がタヒ亡…も有ったと思う。小競り合い時の監視程度だったら安全だったろうけどね。それにしても「夜の内に何か出現した?」とバレる要因にならなかったのかね?多分、「夜の内の砲撃で掘り返されたのだろう」…なんて思われたのだろう(それが設置する側の狙いだったはず)。

    • 評価
    1. >>15 記事中にある通り、もともと立ってた木の精巧なレプリカな監視塔をつくって、夜陰と陽動砲撃に紛れて交換している。翌朝になっても、西部戦線異常なし、だ。

      • +5
  15. そういう手があるって知ってたら木なんて真っ先に潰しそうだけど案外潰されないモンなんだな

    • 評価
  16. 敵「この木の下で野営しよう」
    ぼく「えぇ…」

    • +7
  17. 大砲の照準はザックリ言って街で土建屋さんがやってる測量と似たようなもの

    だから「あの木が◯メートルの高さと仮定して、光学照準器で◯メモリに見える…って事は距離が◯メートルだな」
    ってな感じで距離の目安に使われかねない
    (で◯メートルと仮定して撃った後に目標の前に落ちるか後ろに落ちるかで距離の推測が正しかったかを検証し修正する)

    だから建てる場所は相当選んでいたのでは?
    そしてもう一つ、その着弾位置の確認に使うのもこの監視塔は有効と思われます
    撃った弾が前に落ちてるか後ろに落ちているか、高いところからしっかりと確認して舞台に伝えるのは大変重要な任務です

    • 評価
  18. 手口がばれた後は戦場にポツンと立ってる木はとりあえず砲撃されそう。

    • 評価
  19. まあ監視塔より敵の目眩撃ちする
    大砲ぶっ潰すのが先だろうな

    • 評価
  20. 第一次世界大戦は大砲の見本市と言えるくらい大々的に使われた戦争だから
    一口に砲と言っても色々あるしなー
    撃つたびゴロゴロする粗野な砲もあったし、どっしり構えて最新の駐退機備えた大砲の王様みたいなのも両方使われたよ
    特定の機種について論じるならともかく「第一次大戦の大砲が動くか動かないか」なんて変な議論だ
    「犬ってのは白くて四本足の動物だよ」「いや私が見た犬は黒かったから黒い動物だと思う」みたいな感じ

    • +6
  21. 地下の通路や砦に繋がっているんじゃなくてワンマン監視所みたいなものなのか・・・

    • 評価
  22. 人知れず、戦後もずっと残ってたりしたのかな。
    気が付かないよな、普通。

    • 評価

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