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史上初。生きて泳ぐ珍しい深海イカの撮影に成功

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(著) (編集)

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 先月初め、南太平洋を潜行していた深海探査船ノーチラス号がなんとも珍しいイカと遭遇し、その動きをカメラでとらえた。

 一風変わった長い「尾」が特徴のこのイカは、10年ほど前に種として登録されたが、これまで生きて泳ぐ個体の記録がなかったため生態は謎に包まれていた。

 ヒレのような組織がついた尾を使い、しなやかに動く奇妙なイカ。研究者も興味津々のレア映像がこちらだ。

Sinuous Asperoteuthis Mangoldae Squid Filmed Alive for First Time | Nautilus Live

生きてる姿はこれが初めて。個性的なイカと遭遇

 2019年7月5日、アメリカ太平洋離島海洋国定記念物内のジャーヴィス海山付近を潜行していたノーチラス号の無人潜水機が、かなり個性的なイカと遭遇した。

 チームによると、このイカは水深930mで逆さになって泳いでいたという。

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 パッと見はヒレの先に何かをくっつけたまま泳ぐ細長いイカに思えたが、よく見るとその「何か」はイカの体の一部だった。

 チームはその部位を「尾」と呼び、貴重な姿をじっくり観察。そのやたらと長い尾によって体長が2倍に見えることにも気づいた。

 なんとも奇妙なこのイカはAsperoteuthis mangoldaeといい、2007年に種として登録されたものの、このように生きている姿が記録されるのは史上初だ。

長い尾と変わった「ヒレ」を持つ深海イカ

 Asperoteuthis mangoldaeの和名は不明だが、系統としては開眼目(開眼亜目)ユウレイイカ科シチクイカ属の1種で深海に生息する。

 このイカの特徴は長い尾と異様な触手だ。特に目を引く尾は、棒や筒のような構造で補強されており、両側に薄い膜状の組織がついている。

 そのひらひらした部分は「二次ヒレ」と呼ばれることもあるが、動画内のイカのそれはヒレの機能を果たしていないようだった。

擬態用?普通のヒレとは異なる組織

 一般的なイカのヒレは、このイカにもある「一次ヒレ」と同じように波打ち、水中を進んだり進行方向を変えるために使われる。

 だが、このイカの尾のヒレ状組織にはごくわずかな筋肉しかついておらず、その機能ははっきりとはわかっていない。だが、この尾で体を長く見せることもできるらしい。

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 これまでイカのこうした部位は、他の生物をまねる擬態に使われると考えられてきた。

 ただ、この新種のイカの尾は特に大きいため、こんなに巨大な尾をつけたままどう泳いでいるのか?という疑問も浮上していた。

長い尾をうまく使い一気に進むイカ

 その泳法は今回の動画で明らかになった。当初、カメラがとらえたイカの尾のヒレっぽい組織は完全に広がっていた。

 しばらくすると、このイカはまず腕を前に出して素早く前方に泳ぎつつ、尾の周りの組織をくしゃっと畳む。

 それからコースを逆にして後方に素早く泳ぐ。この泳ぎ方はイカたちの典型的な高速泳法だ。

 その間にくしゃくしゃだった組織が伸び、棒状の構造に密着する。その様子は帆船のブーム(帆を支える支柱)に巻き付く帆に似ている。

 またこのイカは、とっさに泳いで逃げる時に体色を変えて墨を吐く。その時の尾は短めになっていて水の抵抗を抑えているようだ。

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 つまりこのイカの場合、まず尾の部分をくしゃっと潰してからジェット噴射のように前進する動きが「複雑な脱出作戦の第一段階」にあたるようだ。

光が届かない深海でも擬態は必要?

 また、前述したようにこのイカの長い尾は擬態に役立つとも考えられている。

 例えばカツオノエボシに代表されるクダクラゲ目など、刺胞があるクラゲの外見をまねるのに使われるかもしれない。

 しかし、このイカを発見したNOAAの科学者マイケル・ヴェッキオーネは、こんな疑問を抱いている。

このイカはほとんど光が届かない深海に生息している。なのに姿を変える必要なんてあるんだろうか?

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 暗い海にいるイカにとって外見の変化は重要な生存戦略になりうるのか否か。

 史上初の映像から新たな疑問が生じるAsperoteuthis mangoldae。謎だらけの深海イカの生態研究は今後もしばらく続きそうだ。

References:nautilusliveなど /written by D/ edited by parumo

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この記事へのコメント 27件

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  1. 見た感じ
    海エラの捕食器に似てると思った
    プランクトンやオキアミをこれで食べてるんじゃないのかなー?

    • +1
  2. そのうち、人間のように見える体で、頭部に触手のついた三角帽子のようなもののついた、新種のイカも見つかるのではなイカ。

    • +2
  3. >このイカはほとんど光が届かない深海に生息している。

    一匹だけしか見つかっていないのに早計すぎる

    • -11
  4. お腹にあまり餅米を詰められなさそうだな

    • +3
  5. 尾の部分はちゃんと茎と枝?があるね
     
    スルメにすると美味そう

    • +1
  6. 案外シーラカンスみたいにかなり古い生物なのかもね。

    • +3
  7. <====<コ:彡 AAで描くとこんな感じか。 水平維持のためバランサーとか、外敵に襲われたときに自切するとか? ちなみにユウレイイカは美味しくないらしい。 生でも茹でてもかなりしょっぱいとか。

    • +9
    1. ※9
      というか、深海を遊泳するタイプの生物は浮力を調整する関係で体組織に塩化アンモニウムを含んでいるからにがしょっぱい味がして食用には向かないらしいよ?
      ダイオウイカなんかもそうみたい

      • 評価
  8. これでマリンスノーをキャッチするのかなとも思ったけど、わざわざ口の反対側に作らないよなぁ

    • 評価
  9. 深海魚に多い大口で吸い込み型の捕食から逃れやすい可能性

    • +2
  10. こういうのを探す潜水艇の乗員は無人偵の操作員は、こんなに小さな動物探すのに気の遠くなるような時間と変わらない深海の底を見つめ続けるのか

    • +3
    1. ※14 生体反応を見つける道具は持ってないのかしら?

      • 評価
    2. ※14
      おそらくコツがあるんでしょう。
      視界のどこかに焦点を定めず、ぼんやり全体を眺めるように観察する。何か少しでも、ちらっとした動きがあると割と簡単に見つかります。バードウォッチングのテクニックですが。

      • 評価
  11. >姿を変える必要なんてあるんだろうか?

     まあいいじゃなイカ

    • 評価
  12. 今までに捕獲されたイカはイカのなかでも下等なイカ。
    捕獲を逃れ、生き続けているイカはエリートイカと言える。
    そんなエリートイカ同士がこのまま交配し続けたら人類を脅かす存在になるだろう

    • 評価
  13. 生きて泳ぐって当たり前じゃないかと思ってしまったわ

    • 評価
  14. なんと優雅な…
    もしかしてあのヒラヒラは危ない時に囮に出来るんじゃないか? あの部分を食わせてる間に自分は逃げ延びたりして…

    • +1
  15. ムラサキダコのひらひらみたいに敵から逃れるための囮みたいなものでは?
    と思ったけどあっちは足側に付いてたな
    このイカはなんでそっちなんだ…

    • 評価
  16. 墨吐くところで思わず “wow!” って声でたわ。
    家にいながらこんな映像が見られる幸せ!

    • 評価
  17. 見ると進行方向が逆向きなんだね
    これで、ひねり動作ができるんだよ
    軌道を読まれないで高速に翻れるよね
    ただ、見る限り前後運動(笑)しかしてないけど・・・

    • 評価

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