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魔術からチーズ泥棒まで、200年間の犯罪を浮き彫りにした裁判記録文書(イギリス)

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(著) (編集)

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Image by Pexels from Pixabay
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 ケンブリッジ大学の文書館員たちが、イングランド東部イーリー島における巡回裁判記録の目録を作っている。

 そこには、悲劇的なものからちょっと滑稽なものまで、さまざまな犯罪の記録が網羅されている。

 ウィズビーチの水路に自分の産んだ新生児を沈めたセシリア・サミュエルや、3個のチーズを盗んで罪に問われたウィリアム・スターンズの事件など、イングランド東部イーリー島地区で起こった200年分の犯罪の記録が初めてまとめられたのだ。

16世紀から18世紀に行われていた裁判記録

 1557年から1775年の間に起こった、さまざまな犯罪の裁判記録をとりまとめているのは、ケンブリッジ大学図書館の文書館員たち。

 魔術行為や殺人、白昼強盗から偽造、住居侵入から放浪に至るさまざまな事件があった。先にあげたセシリア・サミュエルは、新生児殺しで絞首刑になり、チーズ泥棒だとされたウィリアム・スターンズは無罪となったことがここからわかる。

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image credit:Cambridge University Library

 この巡回裁判記録の270近い文書や巻物の中からは、いろいろなケースが出てくる。マーガレット・コッテは、悪意ある悪魔にそそのかされて、魔術を使ってマーシャ・ジョンソンを呪い殺したとされたが、1577年に無罪になった。

このプロジェクトによって、記録に名前があがってきた人たちの背景から、その肉声が聞こえてくるような気がするのです。

記録にある人たちの多くは、ずっと昔に亡くなり、忘れ去られていました。記録が残っていない人たちにとっても、今、ほんのわずかでも伝えられる話が垣間見えるということなのです(文書館員のシャン・コリンズ)

 供述書、釈放、陪審員名簿、審問、審査などの裁判手続き書類を網羅したこうした管轄区の記録は、ケンブリッジ大学図書館によると特に豊富だという。

 これは、イーリーの司教が1836年まで、イングランドとウェールズの残りの地域など、ケンブリッジシア州の広大な範囲に対して財政的にも司法的にもかなりの特権を与えられていたからだ。

 王国の管轄区に対してこのような支配権をもっていたのは、ほかにはダラムだけだった。つまり、この裁判記録が並はずれて広い範囲のものだったことを意味している。

 ケンブリッジ大学図書館とケンブリッジシア家族史学会の協力のもと、記録の編纂は2020年9月までに完成する予定だ。

 完成の暁には、オンラインで情報を利用できるようにしたいという家族史学会からの4万ポンドの寄付のおかげでもある。

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image credit:Cambridge University Library

興味深い裁判記録の判例

 先のセシリア・サミュエルの事件の場合、彼女が告発されたのは、神をまともに見ることなく、悪魔の誘惑にかられて男児を手にかけたせいだとしている。彼女が男児を無残にも殺めたウィズビーチの水路は、セシリア・ダイクと呼ばれたという。

 1642年、ニュートンのジョアンナ・ティルニーという女性が、泣き止まないという理由で自分の生後18週目の赤ん坊の喉をかき切った。赤ん坊の遺体と使ったナイフのそばにたたずんでいるのを近所の者が見つけた。

 なぜ、子供を殺したのかと問われて、ジョアンナはひと言、静かになるからとだけ言っが、後でこの告白を撤回した。このような記録は、不穏だが興味深く、この時代の日生活を理解する助けになるという意味でも、その価値は計り知れない。

 すべての犯罪が、深刻で悲惨なものとして記録されているわけではない。1564年にはこんな記録もある。ロンドン出身のビール醸造者ラルフ・カーターが、20シリング相当の梳毛織物の布を15ヤード盗んだというもの。

1580年11月20日には、セットフォードの自作農のジョン・ウェブが、ウィリアム・テイラーから名誉棄損の申し立てを受けている。記録によると、ウィリアムの妻、ジョアン・テイラーが、ウェブから”あんたの夫はならず者の泥棒だ。夜、俺の物をこそこそと盗んだ”と言われたという。

イーリーの巡回裁判は、1972年まで続いたが、その後、刑事裁判所にとって替わられた。こうした裁判記録が残された時代には、庶民の大多数にとって巡回裁判を選択するしかなかった。その記録は、当時の日常生活やコミュニティについての豊かな情報そのものなのだ、とコリンズは言う。

References:From witchcraft to cheese theft: archive sheds light on 200 years of crim/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 10件

コメントを書く

  1. そのチーズ、盗み食いしたのワイかもしれん

    • 評価
    1. ※1
      多分それ別件やで。
      俺、当時あそこでバイトしてたんだけど、「おつみまセット」の配達途中に腹減ったんや・・・
      だから「一つくらい食べても・・・バレへんか」思って食べたら、
      配達先の人に「チーズが無いやん!チーズが食べたかったの!」って言われてその後店長にバレたんや・・・

      • -2
  2. 子豚を食い殺した親豚を裁判にかけて死刑に処したって話があった気がするけど、その辺のいわゆる動物裁判の方は記録って残ってるだろうか

    • +1
  3. 巻物に重しとして乗せられてる白い紐みたいなのが気になって

    • +4
    1. ※5
      重りだね。たぶん絹で巻かれてる。
      金属の重りを古文書に直接のせると紙を傷める恐れがあるから、やわらかいもので覆うのです。
      何を重りにつかってるのかはわからない。鎖みたいな?
      あっちの古文書に詳しい人はおらんか。

      ちなみに日本では文鎮を和紙で包んだものを使ったりします。
      展覧会とかで見られるよ。

      ところでワイは最近、日本の裁判所記録が破棄されていたと聞いて咽び泣いた。

      ホントに・・・・・・・ホントにさ・・・・・・・・
      頼むよ。頼むよホント。公文書は大事にしようよ。
      歴史は国の宝なんや。
      公文書もないのに、これから先、どんな歴史を書くつもりなんや・・・・

      • +8
  4. 当時はチーズ泥棒は重罪だったそうな
    そう、焼きたてホヤホヤのピザを強奪するくらいの!

    • +1
    1. ※6
      実際は洒落じゃ済まないレベルだけどね。当時の
      刑罰は見せしめも兼ねているので、すさまじい酷
      刑で、盗みで手の切断、強盗ならもれなく吊るし
      首ってレベル。

      さらに地方だと、巡回裁判が来るまで容疑者は
      地下牢に繋がれるんだけど、かかる費用は全部
      容疑者持ち。牢内の環境も最悪で、裁判までに
      監獄熱(発疹チフスのこと)なんかの病気で
      死ぬ人もいっぱいいた

      • +1
  5. 字がかっこいい。フォントでほしいし書けるようになりたい。

    • +1

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