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親はオス2匹。母親のいないミツバチが発見される。ハチの雌雄モザイクの不思議(オーストラリア研究)

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(著) (編集)

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 父親は2匹いるけど母親はいない。そんなメスのミツバチが発見された。自然界で観察された初めてのケースである。

 ほとんどの生物は、同じ種でも個体に性別という区別が存在するが、1つの個体の中にオスの特徴とメスの特徴を持つ部分が混在しているものも存在する。

 これは雌雄モザイクと呼ばれているが、ミツバチの場合1~2%の確率で雌雄モザイクが存在している。

ハチの性別を決める半倍数性決定システム

 ハチやアリのメスは、両親それぞれから染色体を1セット受け継いだ受精卵から生まれ、オスの場合は未受精卵から生まれる。

 したがってミツバチの場合、メス(女王バチ、働きバチ)は32本の染色体を持つが、オスはその半分の16本しかない。

 人間のように性別が性染色体によって決まるのではなく、このように染色体の数によって決まる方法のことを、半倍数性決定システムという。

 この半倍数性決定システムのために、ハチ類の仲間には、メスのクローンやオスのクローンといったさまざまな生物学的現象が生じる。

 雌雄モザイクもこれによるものだ。ハチの仲間にはオスとメス両方の特徴を併せ持った個体が存在するのである。

 ちなみにオスとメスの生殖器を兼ね備える雌雄同体とは異なる。

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 ミツバチの雌雄モザイクは一般に、二倍体接合子(受精卵)と2番目の精子から発生した一倍体のオス組織の組み合わせから生じる。

 生存に必要な最低限のゲノムを何セット持つかを倍数性という。たとえば一倍体は1セット(16本)なので、ミツバチではオスになる。

 これはミツバチが多精受精であるために生じる。つまり、卵子に複数の精子が入り込み、最初の細胞集合と接合して細胞分裂を開始できるために起きる。

雌雄モザイクのハチの検査から判明したこと

 しかしミツバチの雌雄モザイクを作り出す原因は何だろうか? 突然変異によって誕生する可能性もあるが、その仕組みや理由はまだよく分かっていない。

これがオーストラリア・シドニー大学のサラ・アーミドー氏らが今回の研究で究明しようとした疑問だ。

 研究対象としたのは、以前別の研究者が集めた雌雄モザイクのミツバチである。それはメスの体にメスよりずっと大きいオスの目という、両性の特徴を併せ持つ奇妙な個体だった。

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雌雄モザイクのハチ。メスの小さな体にオスの大きな目を持つ

image credit:Aamidor & Ronai, 2018,
 研究チームは、単一の巣で誕生した雌雄モザイクと推定されるハチ11匹を解剖し、その性別を特定するために各組織の形態を調査。

 さらに母親と父親を特定するために、マイクロサテライト(DNAの塩基配列の中で、同じ配列が繰り返されている部分)を利用した遺伝学的手法で分析を行った。

 その結果、これらの奇妙な個体には、オスの器官とメスの器官がランダムに混ざっていることが判明。

 5匹には普通の卵巣があり、さらに3匹にはメスの働きバチというよりは、女王バチのような大きな卵巣があった。

 残り3匹はオスの精巣を持っていたが、うち2匹は部分的なもので、完全に正常なオスの生殖器を持つ雌雄モザイクは1匹だけだった。

父親が2匹で、母親はいないハチ

 遺伝子解析では、雌雄モザイクのハチ11匹中9匹には、父親が2匹あるいは3匹いることが判明した(中には父親3匹、母親1匹という4匹の親がいる個体もあった)。

 以下の画像は11匹の雌雄モザイクバチのオス・メス構成と遺伝子構成を表したものだ。

 赤がメスで、青はオスの組織を表す。また雲のような吹き出しは各ハチの性腺で、精子マークは父親(計14匹)、王冠マークは母親を表す(父親と母親の個体は色で表される)。

 驚いたことにメス(卵巣を持つ個体)の1匹は、父親が2匹で、母親がいなかった。こうしたミツバチが確認されたのは初めてのことで、精子同士が結合して誕生した場合にしかありえない現象であるという。

 この発見は、ハチの生殖が非常に柔軟であることや、コロニーレベルでまったく新しい社会構造が存在する可能性を浮き彫りにする。

 また性別を持つ動物のゲノムが融合するという、じつに珍しいまだよく分かっていない現象の理解を広げるきっかけとなるだろう。

雌雄モザイクはハチにとってメリットがあるのか?

 はたしてこの不思議な雌雄モザイクという現象には、ミツバチにとって進化上の利点があるのだろうか?

 アーミドー氏は、これについて「それはない」と話す。彼女によれば、雌雄モザイクは遺伝子の間違いと考えられているのだそうだ。

 1つの巣の中で大量に雌雄モザイクが発見された場合、それは女王バチが変異を有していると推測される。

 だが、ハチの親戚であるアリの場合は、雌雄モザイクから進化上のメリットを得ているかもしれない。これによって、二形性の働きアリの進化を促している可能性が示唆されているからだ。

 しかしミツバチの場合、働きバチは1種類しかいないために、こうしたことはあり得ない。

 ちなみに雌雄モザイクは、ほかにも蝶などの昆虫、甲殻類、鳥で確認されている。しかし、その引き金となる遺伝子変異が特定されたことはない。

 「既知の事例以外にも、まだ未知の、想像すらされていないような珍しい社会システムが存在する可能性は高い」とアーミドー氏らは記している。

 まだまだ生物界は不思議と謎に満ち溢れているようだ。

 この論文は『The royal society』に掲載された。

References:newscientist/ written by hiroching / edited by parumo

VS

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この記事へのコメント 25件

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  1. 確か巣で作られ育てられるものと自然にできる女王がいて
    なぜか巣で育てられるものだけが女王になれる権利ある
    素人的には意味わからんが巣がクマーなど巣ごとハチの
    コロニーが消滅し、純粋女王まで消滅など危機的状況時に
    自然にできる野良女王が別の場所に巣を移動しすべてを
    代行する役割があるのかもしれない

    • +6
    1. ※4
      オスの遺伝子二人分で二倍体になるから母親がいなくてもメスの特徴が出るということだね。
      遺伝子が受け継がれてないだけで卵細胞は使ってるのではという気がするけど。
      ハチの世界は不思議だなぁ。

      • +4
    2. ※4
      モザイクとは複数の異なる遺伝子を持った細胞群が、ひとつの個体に入り交じることだよ。今回は母系由来の遺伝子を持たず、オス2匹由来の遺伝子群によるモザイクってことでしょう。だから母親はいない(まぁ卵の細胞質は母のものだから完全ではないかもだが)

      • +1
      1. ※6
        体細胞 DNA は父親由来で、ミトコンドリア DNA は母親由来って感じ?
        遺伝子って一言で言われても、今回のような場合は分けて考えたほうがいいような……

        • 評価
    3. ※4
      イラストの一番下のハチは、オス2匹分の遺伝子しか引き継いでないぞ。卵から生まれたはずだけど、なぜか卵(卵子)の遺伝子は引き継がなかったみたい。この遺伝の柔軟さ自体が生存性を高める利点なんだろうか。

      • +2
  2. >雲のような吹き出しは~(父親と母親の個体は色で表される)。

    上記の部分、吹き出しがこの個体の性腺の状態を表すことはわかるけど、
    下2行の意味がよくわからない。
    誰か噛み砕いて説明お願いします。

    • 評価
    1. ※9
      何の意味があるのかよくわからない絵だね。
      どの個体の遺伝子を引き継いでいるかを色で示しているっぽいけど無駄に分かりにくい。
      たぶん研究段階で個体を混同せずに議論するためのただの便宜上の挿絵じゃないかな。

      • 評価
  3. みんな友達 仲間だけれど
    母さん ほしかろ こいしかろ

    • +1
  4. 『みなしごハッチ』のオチがこういうやつだったら、ぜひ見てみたい。

    • +4
  5. 遺伝子と特徴もさることながら、実生活において働くのか養われるのかも知りたい。

    • +1
  6. 生物のふしぎ系の話って結構好きなんだけど、これは繰り返して読んでもいまいち理解できない…

    アリやハチの生態ってほんと興味深いよね
    そのまま人間に置き換えるだけでもいくらでも小説やアニメや映画が作れそう
    っていうかそれっぽいのあるもんね

    • +5
    1. >>18
      エイリアンて
      蜂や蟻に似ていると思う

      • +1
  7. 蜂の場合には、精〇と卵○の組み合わせでなくとも、精〇同士が結合して子孫を残す事も可能なのね?凄く不思議な気分だ。人間の場合でも、Y染色体に乗っている遺伝子情報が
    減って来ていて、数百万年後には男は居なくなるはず…とか聞いた事が有る。でも人間の男が居なくなったら、女はつまらん人生だとか思うかも知れない…なんて事も考えてしまう。

    • -1
  8. ミツバチ消えたって一時期騒がれたけど、帰ってきたん?

    • 評価
    1. ※22消えたというよりも、何故かミツバチが激減しているので、
      このままではハチミツの安定供給の持続が難しくなるかも?
      というニュースだった覚えが有る。
      蜂蜜業者も必死でミツバチを増やそうとしているだろうから…

      • +1
    2. ※22
      今もミツバチが帰って来なくなる事象は続いているらしい。
      ネオニコチノイド系農薬の影響と言われていて、養蜂業者が周囲と掛け合ってそれ系の農薬散布をやめてもらったらその事象は起こらなくなったと話していた。

      けれど研究では農薬の影響は否定されているらしい。実際ミツバチを育てている人の経験はもっと重く見るべきだと思うな。

      • +3
  9. 一匹しかいない女王が死んじゃったら全滅なのか?と思ってた ら ある日ぽとりと女王が底板に落ちていた。
     子供達(働き蜂)に落ち着きがなくなくなり、これが崩壊というやつなのかと思ってたら数日後にちゃんと新女王が出てきて時期外れの交尾飛行が始まり、何事もなかったのかの様に世代交代していたことがあった。
     巣に二匹の女王が存在すると殺し合いになるので、確実に死後に次が産まれないとならない。ということは旧女王は自分が死ぬ日を知っていて準備をしていた事になる。
     女王は複数のオスの遺伝子を死ぬまで体内に保存できる様だし、滅私の姿勢(自己犠牲で群れを守るとか、自分の役目を果たすのを)を見るにつけ、一匹づつの生き物というより遺伝子の乗り物的な感じを受けました。
     なのでエラーも含め可能性と多様性がいつでも群れ全体に散らばっていることは大事なのかなあと、薄ぼんやり思うのです。

    • +1
  10. ロイヤルゼリーで育った幼虫だけが女王蜂になる…というのが小さい頃の絵本の知識なのだが……。あり?
    女王蜂と働き蜂って卵は同じでないの……? 後で調べるか………

    • +1

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