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ワニを神として崇拝。ワニと人が仲良く暮らす西アフリカの村

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(著) (編集)

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 地球上には動物を神と崇め奉る歴史がある。例えばヒンドゥー教は、その穏やかな性格ゆえにウシを大切にする。古代エジプトでは猫が女神バステトと結び付けられ崇拝対象となった。

 ワニも例外ではない。エジプト神話に登場するワニの神セベクは、ワニを神格化したものだ。

 そして現在もなお、ワニを崇拝している地域が西アフリカに存在する。ブルキナファソの首都ワガドゥグから30キロほどのところにあるバズーレの村には、モシ族の戦士の末裔が住んでおり、ニシアフリカワニを崇拝している。

沼地に住む150頭のワニと共に暮らす村人たち

 バズーレは陸地に囲まれた場所にあるが沼地がある。そこにいるのは、150頭ものニシアフリカワニたちだ。

 ワニは恐ろしい生き物だという認識があるが、村人たちはなんの問題もなく彼らと隣り合わせで生活している。ワニにエサをやり、ワニに近づいて遊び、彼らの上に乗ったり、そばにはべったりしている。

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ワニが村の危機を救った

 どうしてこのようなことになったのだろう?

 15世紀からの地元の言い伝えでは、ワニが村の危機を救ったのだという。深刻な干ばつで苦しんでいたとき、モシの人々はワニに導かれるようにして、未知の沼を発見した。そのおかげで生き延びることができただけでなく、バズーレの村ができたというのだ。

 村人たちはワニにとても感謝して、今では彼らを大切にしてそばで一緒に暮らすようになった。死んだら人間と同じように葬式をして埋葬した。

 また、毎年クーム・ラクレという祭りを行い、ワニに敬意を示した。

 ワニはバスーレの守り神であるだけでなく、特にこの祭りの間は、願いをかなえてくれる予言者でもあるのだ。

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ワニに襲われて死亡したという事故は70年以上一度も起こっていない

 ワニを崇めると、本当にご利益があるようだ。70年以上、ワニに襲撃されて死んだという例はただの一件もないという。

 沼地ではワニのそばで女性たちが洗濯をしたり、近くで植物を摘んだりするのはごく当たり前のことだし、子どもたちも水辺で普通に遊んでいる。

 ワニに噛まれたら、それは先祖からのお仕置きであって、神聖なワニの攻撃ではないとみなされる。

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ワニを見に観光客も訪れる

 当然のことながら、この奇妙な関係は多くの注目を集めている。人間とワニの珍しい絆をひと目見ようと、長年、大勢の観光客が村に押し寄せている。

 訪問者たちは、チキンを購入して、それを水の中からワニを誘い出すおとりにしたり、ワニと一緒にポーズをとることもできるし、勇気があるなら、地元の子どもたちの真似をしてワニの背中に乗ることもできる。

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 村は観光業で生計をたてているが、近年残念なことに、聖戦を掲げる連中の暴挙が観光客の足を遠のかせている。

 バズーレの村が直面している問題はそれだけではない。地球温暖化の影響で年間降水量が減り、聖なるワニの棲み処である沼が干上がってしまう危険にさらされている。

 だが伝説が本当だとするなら、そうなったらまたワニがモシ族を新たな水源へと導いてくれるかもしれない。

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ワニは怪物か?救世主か?

 哲学的な考え方では、客観的で決定的な真実というものはなく、わたしたちが真実だと思っているものは、単にものの見方の問題だという。

 ワニを是が非でも避けるべき恐ろしい殺人マシンだと考える人も大勢いる中、モシの人々はワニと真の絆を結んできて、死んだらきちんと葬式をするほどの間柄になっている。

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 こうした珍しい関係から、私たちがまわりの世界とどのように相互に関係するかは、育った文化や環境の結果によるということがよくわかる。

 一方にとっては怪物でも、もう一方にとっては救世主になりえるのだ。

Faces of Africa – Guardians of the Sacred Crocodiles

written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 49件

コメントを書く

  1. >聖戦を掲げる連中の暴挙が観光客の足を遠のかせている
    やっぱ聖戦の名を借りたテロリストってクソだわ

    • +49
  2. ワニの居るところに水あり、水のあるところにワニあり

    • +7
  3. 日本はオオカミを信仰してる地域もあるけど結局滅ぼしちゃったもんな

    • +12
    1. ※5
      チームプレイで子供が襲われちゃたまらんからな。仕方ないね。

      • 評価
    1. ※6
      何代も一緒に暮らしてきて穏やかな性質に変わったんだろうかね
      自分もどんなアリゲーターやカイマンよりも優しい目をしておる・・・と思ったw

      • +1
  4. 長きに渡って餌付けされ
    幼体の頃から飼育状態にあるから
    結果的に人を襲わないって感じ?

    • +13
  5. ワニは身勝手な理由で相手の命を無駄に
    奪うようなエネルギーの無駄遣いを
    絶対にしないから人間の方がよっぽど
    身勝手な殺戮マシンだよ。
    そのあとおなかがすいて食べたご飯も
    残して捨てるのは身勝手な人間だけ。

    • +1
    1. ※8
      必要以上に食べない、殺しても食べきれなければ残すのは
      食べ残しを狙う生き物を活かす自然のルールだからそこだけ訂正な

      人間だけしかやらないのは
      食べもしないのに遊びのために延々殺し続けること

      • -2
      1. ※21
        遊びではないけれども、軍曹は G を狩って食べる前でも別の G が来るとそれまでの獲物を放り出して狩を始めるの。
        本能なんだね。
        次々と殺戮をするのは人間だけじゃない。

        おそらくシャチなどはなぶるようにアシカの子供を殺すとかおそらく遊びで殺すこともあるね。知能の高い生物の原罪かも……

        • +7
    2. ※8 ※21
      遊びで他の生き物を殺すのは、猫なんかもやらない?

      特に飼い猫は、人間から快適な餌を与えられるから
      虫だの小動物だのを獲っても
      食うでもなく持て余していじったりしてるだけで、
      でも狩猟本能は満たしたいのか、またしては狩ったり…。

      • +11
  6. ワニに噛まれたら、それは先祖からのお仕置きであって、神聖なワニの攻撃ではないとみなされる

    いや、噛まれてるやん

    • +34
  7. 崇拝するものがいつも物理的に傍にいる暮らしってどんなものなんだろう
    不思議で魅力的だなあ

    • +8
  8. 村一帯のワニは、長いこと人と過ごしててるせいで人間=敵ではないって認識になってるのかな?
    子供も遊んだりしてるみたいだし、ナカマ意識持ってる?

    • +14
  9. ワニとの距離感が絶妙なんだろう
    素晴らしい村

    • +15
  10. 心があったまる話だなぁ
    ワニもこの人たちは自分に危害を加えない人たちだってわかってるのかな
    それにしても子供が背中に乗ってものほほんとしてるのはすごいわ、本当に仲良しなんだね

    • +6
  11. 爬虫類の目って、基本感情無い感じで怖いんだけど、
    説明読んだあとの先入観かもしれないが、確かに穏やかな目をしてる気がするw

    • +13
    1. ※15
      どんなに仲の良い動物であっても、適切な距離を保つのは大切なこと。
      人と暮らすことに慣れたペットの犬猫だって、人を噛むことがある。
      まして、半野生のワニなら、距離を取ることがより重要だろう。

      ※23
      背中に乗ることがバチ当たりだという考えじゃないんだろう、ここの人達は。
      動画を見る限りでは、長時間乗ってはいないから、ワニの負担も軽いと思われる。

      • +5
  12. 絆があれば、餌やりに長い竿は必要ないんじゃ・・・

    • +2
    1. ※16
      ワニさんだってミスすることはある

      • +2
  13. 日本でも奈良の鹿が神の使いとして大事にされていて、観光客に人気になっているけど、それに近い感じかな?
    ワニはとても怖い捕食者で、危険で、あまり心が通じ合えなさそうっていうイメージがあるけど、それは自分がワニを良く知らないからなのかな
    こんな風に野生動物と共存できるのはいいね

    • +16
  14. ワニを神として扱っているから、気軽に近づかないし敬意を持って接してる結果、
    危険じゃない距離感を保てているんだと思う。
    レジャー気分で山や川にいく奴等は、自然に敬意を払わないから、
    簡単に野生動物を駆除しようとする。
    自然と向き合う気が無いのなら、自然に踏み込まなきゃいいのにね。

    • +16
  15. 写真のワニは全部ナイルワニですね。

    ニシアフリカワニ(ニシアフリカコビトワニ?)ではないです。

    • +1
    1. ※20
      ムツゴロウさんか、ナウシカっぽいけど、
      何十年とワニの餌やりやってるアメリカのワニ園の飼育員は、「コイツら、何十年と餌あげてるのに、俺が後ろをみせると、襲おうとするからな」と現実を知ってる。
      大脳が発達してないハ虫類に、崇高な行動を期待してもムダよ。

      20年ぐらい前に、所さんのダーツの旅で、アフリカの似たような場所に行ってたな。

      現地に行くと「お前、韓国人か?」と黒人に険しい顔で聞かれて、「日本人だよ」と答えると、一転して友好的になり現地人が沢山集まって来て、
      「日本人、シャーマンに占ってもらえ!」と勧められ、何故かその村の商店でコーラと鶏肉を買わされる。
      すると、シャーマンが現れ、そのコーラを飲みながら、鶏肉は池に投げ入れワニが食べる。
      そして、よく分からないお告げを受けて、コーラは何の為?とシャーマンに尋ねると、「俺が飲みたかっただけ」と言われてロケ終わり。
      スタジオはそのシャーマンの貢ぎ物のコーラで笑ってた。

      • -6
  16. 2000年後ワニに導かれてモシ族は銀河をわたる

    • +9
  17. 日本にもワニが生きてた時代があったのだ

    • +1
  18. ワニを神として崇拝するのなら
    背中の上に乗るな

    • -6
  19. >70年以上、ワニに襲撃されて死んだという例はただの一件もないという。
    >ワニに噛まれたら、それは先祖からのお仕置きであって、神聖なワニの攻撃ではないとみなされる。

    死者が出てても「お仕置きされた」で済まされ数に入れられてないとか・・

    • +12
  20. どうか無知な観光客が神様に失礼なことをしませんように。

    • +7
  21. ポケモンのワニノコて、もしかしてコの地の出身か?

    • -1
  22. 『年をとった鰐』を思い出した。youtube でアートなアニメが見られるのでおススメ

    • 評価
  23. たしかこういう動物崇拝なんかはアフリカでは珍しくないよな。トーテムだっけ?各部族ごとに崇拝する動物が違うから、結果野生動物の絶滅が免れてるみたいな?

    • +7
  24. アリゲーター系とクロコダイル系で獰猛さが違って、顔のまるいアリゲーターは襲ってこないけど、三角顔のクロコダイルは凶暴だって昔アメリカのドキュメンタリー番組で見た。あてにならない知識だった。

    • 評価
    1. ※34
      まあある程度は当てはまるが、カイマン類とかはアリゲーターだけど気が荒いからなあ

      • +1
  25. 神話でもそうだけど、キリスト教じゃ悪魔扱いでも余所の神話じゃ神様してるってパターンが結構ある。

    • +4
  26. アホな観光客が無謀なことをして怒らせて、噛み殺されるのは勝手だけれど、その観光客側の人間たちから報復を受けないことを心から祈るわ。

    • +2
  27. >村は観光業で生計をたてているが、近年残念なことに、聖戦を掲げる連中の暴挙が観光客の足を遠のかせている。
    どこの世界でもネ.ト.ウ.ヨみたいな連中は他人に迷惑かける事を何とも思わないんだなぁ

    • -6
  28. YouTubeの「Breakfast for Alligators」もオススメ!

    • 評価
  29. これとは逆にアイアイは不吉な生き物として絶滅寸前にまで追い込まれたからやっぱり動物は崇拝するに限るね

    • +3
  30. 体にカミソリで切り込みを入れて皮膚を盛り上げ、ワニの体にするのはこの辺の風習だっけ。間違ってたらごめんなさい。

    • 評価
  31. 知床のヒグマみたいに互いに無関心貫いてるから共存出来ているのかと思ったら、想像以上に密に接していて驚いた。この付近のワニは世代を重ねて人間は敵ではないと認識しているのだろうか

    • +1
  32. 例えば飼い猫が相手であっても機嫌の悪い時に無遠慮に接すれば爪牙を突き立てて怒られる
    逆に野生のワニが相手でも十分に相手の気性を理解し、
    適切に接すればそれは心の通じる隣人と変わらないという事なんだろう。

    • +1
  33. 神としての崇拝も殺人マシンという嫌悪も本質的には同じイメージの押し付け。

    ワニはワニでしかない、腹が見たされ生まれてきてからずっと餌をくれる相手として人間と共生してきたから襲わなくなっただけ。
    餌が無くなったり、温厚でない気性の個体やその時の気分でいつ死者や怪我人が出ても不思議ではない。

    一方でワニは好き好んで人を襲うわけではない。
    満たされている限りあえて好んで人間を襲うような事態はそうそう怒らないとも言えるし、そもそもワニが人を襲いに行くのではなく、人がワニのいる場所に近づいて食われる場合が殆ど。

    動物への神性視も危険視も個人的には称賛する気にはなれない。

    • -2

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