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なぜアメリカや日本ではフットボールではなくサッカーと呼ぶのか?

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(著) (編集)

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 現在ワールドカップが開幕中だ。4年に1度開かれるこの大会は様々なドラマが誕生し、世界中が悲喜こもごもの感情に包まれる。

 国際サッカー連盟(FIFA)によると、加盟国・地域のうち、約9割が「サッカー」ではなく「フットボール」と呼ぶそうだ。

 ヨーロッパや南米など、世界の大半においてこの競技はフットボール(あるいはそのバリエーション)で呼ばれる。ところが、アメリカ、日本、カナダなどではサッカーと呼ばれる。なぜこのような食い違いが生じたのだろうか?

フットボールという球技のはじまり

 ミシガン大学のステファン・シマンスキー教授によれば、フットボールという球技の発端は1800年代初頭のイギリスで始まったという。

 この時期、中世の”一般人”が遊んでいたゲームに基づき、フットボールに似たスポーツがいくつかの国の名門学校でレクリエーションとして採用されるようになった。

 学校やクラブ同士で競う際に一貫性を持たせるため、1848年にケンブリッジの学生によって一連の標準ルールが考案された。このルールはさらに1863年にフットボール協会に採用されることで、確固たる地位を得た。

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ラグビーの誕生で従来のフットボールがアサッカー➡サッカーに

 間もなく、この競技は分裂を始める。1871年にラグビーフットボール連合が設立されるのだが、ここでは選手にボールを手に持って走ることを許す1830年代のルールが採用された。

 これは「ラグビーフットボール」と知られるようになり、現在のフットボール(サッカー)である「アソシエーション・フットボール(association football:協会式フットボール)」という足のみを使った伝統的なものとは別個の競技となる。

 そしてラグビーフットボールがラガーと愛称で呼ばれるようになったように、協会式フットボールは「アサッカー(assoccer)」と呼ばれるようになった。これがさらに省略されたものが「サッカー(soccer)」だ。

 語尾に「er」をつけるのは当時の流行のようなもので、「アサッカー(assoccer)」というぎこちない変形はそれゆえのことである。

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アメリカンフットボールの誕生

 記録に残るものでアメリカで行われた初のフットボールの試合は、1869年にラトガース大学とプリンストン大学との間で行われた。

 これは協会式とラグビー式の両方を参考にしたユニークなルールを採用していた。この新しいスポーツはアメリカではフットボールと呼ばれるようになったが、それ以外の国では「グリディロンフットボール」や「アメリカンフットボール」と呼ばれた。

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 一方、イギリスではラグビーフットボールはラグビーとなり、協会式フットボールは単にフットボールという名称で広まった。

 つまり大西洋を挟んで二つのフットボールが存在したということであり、どちら側も態度を変えようとはしなかった。そしてアメリカ側はイギリスのフットボールを愛称であるサッカーと呼ぶようになった。

サッカーの名称自体はイギリス発祥

 今日の混乱にもかかわらず、イギリスでは20世紀に入ってからもサッカーは口語的な呼び名であった。第二次世界大戦後にはサッカーの呼び名が流行したが、1970年代、80年代の頃に廃れたらしい。

 より最近のイギリスでは、その名はメディアがアメリカのメジャーリーグサッカーに言及する際など、厳密にアメリカの文脈で使用されることがほとんどだ。

 そしてアメリカ、カナダ、オーストラリアなど、現在サッカーという名称が広まっている国のほとんどには、別のフットボールが存在する。

 サッカーとはアメリカ主義を意味するもので、生粋のファンがそれを聞くとはらわたが煮え繰り返る思いがするかもしれないが、名称自体はイギリス発祥なのだ。

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ではなぜ日本はサッカーなのか?諸説あり

 日本におけるサッカーのはじまりは、1873年にイギリスの海軍がリクリエーションとして持ち込んだことがきっかけだと日本サッカー協会は伝えている。

 前出にあるように、その時期、既にイギリスではラグビーが誕生しており、サッカーは、アソシエーション・フットボール(協会式フットボール)からアサッカー、さらに短縮されサッカーと呼ばれていた時代だ。

 その為、伝統ある大学では今でもサッカー部を「ア式蹴球(アはアソシエーション:協会のこと)」と呼ぶという。

 故に、「アソシエーション・フットボール」の短縮形のサッカーとしてそのままずっと使用されているという見方もあるし、日本の戦後の英語教育はアメリカ英語だったので、アメリカで使用されていたサッカーがそのまま日本に定着したという見方もある。

 日本サッカー協会でも正確なことはわからないそうだ。

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References:umich.edu / mentalfloss / nikkei/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 50件

コメントを書く

  1. >>日本サッカー協会でも正確なことはわからないそうだ。
    そっかー

    • +43
  2. アメフト好きからすると、サッカーはサッカーで、アメフトの方をフットボールと呼びたい気持ちがある。原始的なフットボールは、ラグビーやアメフトの方に似てるしね。

    • 評価
  3. フランスのお祭りで行われていたやつが
    源流という説もあるな。

    • +1
  4. >アサッカー(assoccer)
    あたしゃねぇ!!

    • +4
    1. この話題、こないだチコちゃんで取り上げてたんだっけ。

      ※4
      いよっ!元祖チラリズム!

      • 評価
  5. 日本にはラグビーの方が早く伝わった。
    だから日本最初のクラブである慶応大学ラグビー部の正式名称は「蹴球部」である。

    • +5
  6. もう今更フットボールには戻れんです
    ソレに日本の外来語は渡って来た時期が何となく推察出来るから安易に変えて欲しくないな
    少数派でも良いじゃない

    • +6
  7. なるべくフットボールを使おうとしているが、咄嗟にだとサッカーと言ってしまうw
    サッカーだと外国人に通じず、フットボールだと日本人に通じない。

    • +8
  8. この前イギリス人がサッカーと言ってた南アメリカの某国の人に、フットボールね!と言い直しを要求してたが

    • +1
  9. 単語だけでいうと、英語圏ではサッカーというとsucker(舐める行為、もしくは人)とスポーツのsoccerの発音がかなり近いので、言うのを憚れるのでfootballときいたことがあります。アメリカは記事にもあるようにアメリカンフットボールがあるので、混同しないようにあえてサッカーと呼ぶとのことらしいです、ちなみにフランス人にfootballといっても通じず、サッカーで通じました。

    • -2
    1. ※10
      suckは舐めるじゃなくて吸う。
      suckerという言葉を使うのがはばかられるなんてことあるのかな?
      吸盤とか吸引ポンプのことを普通にsuckerって言うし。

      • 評価
      1. ※15
        騙されやすい人のこともサッカーっていうからそれかね?
        めでてーなおまえらww て具合になっちゃうから

        • +1
      2. ※15
        失礼しました 吸うが正解だな。 

        • +1
      3. ※15
        手元の辞書でsuckerを引いたところ最初に出てきたのが「吸う人・物」で
        次が「乳児」。確かにこれも「吸う人」に当たる(何とは言わない)
        本物の赤ん坊はともかく、それ以外の人に言うとどうなるかは自明やね

        あと他のモノを吸う人というニュアンスを含む場合もある(やはり人体の一部。何とは言わない)
        海外で不用意に使うとガチの暴行に発展する恐れもあるので注意されたし

        • +2
        1. ※28
          少しそれるがゴルフでフックボール打つ人の事を日本ではフッカーって呼ぶ場合があるけど
          普通にやめた方がいいと思う

          • +5
          1. ※38
            そもそもそっちの意味の「フッカー」は、南北戦争の北軍の将軍の名前が由来らしいので、そこまで神経質になることもないんじゃないかなあとも

            • 評価
        2. ※28
          レッチリの suck my kiss のことですね?

          • -1
  10. また伝統ヒャッホゥのイギリスと俺様一番のアメリカの構図か・・・w

    • 評価
  11. どちらにしろ結局イギリスみたいなもんじゃん。皮肉。

    • +1
  12. >日本サッカー協会でも正確なことはわからないそうだ。

    おい、そのオチで良いのかと?
    まあ、言い切ってしまうと、何かと問題が出て来るんだろうな

    • +3
  13. スポーツにも分派があるんだな
    日本には蹴鞠がある

    • +3
  14. アメリカ住んでたけど普通にサッカーのことフットボールって言ってたぞ。それも学校の教授が。

    • +2
  15. 文字数の問題でマスコミがサッカー呼びのまま→一般人もそれに準じてそう

    フットボール日本代表ベルギーに惜敗
    サッカー日本代表ベルギーに惜敗

    見出しにおいてこの2文字の差は多分大きい

    バスケやアメフトのように、日本語的略称としてフトボと言ってもいいだろうけど、それを定着させるよりサッカーを使い続ける方が楽なんでは?

    • 評価
    1. ※36
      ラグビーは地名。
      競技としてのラグビーが、ラグビーという地名にある学校(ラグビー校)で始まったから、そういう名前になったモヨウ。
      もし、そこがカラパイアという地名だったら、今はそういう名前になっているかも。
      で、アメリカンフットボールをアメラグと呼ぶ人がいますが、アメリカンラグビーという方面からの呼び名ですね。

      • +2
    2. ※36
      競技が生まれたパブリックスクールの名前。ラグビー校で行われていたフットボールの試合の最中にボールを持って走り出した選手がいたことからラグビー・フットボールが誕生したという話がある。

      • +2
  16. 名前を変えるだけで人気が出るスポーツがほかにもありそう

    • +1
  17. 起源が切り落とした人の頭がボールっていうんだからやべーよ

    • 評価
  18. イギリス英語ではフットボール、アメリカ英語ではサッカーでしょう、そうでしょう?

    • 評価
  19. 日韓Wカップの時なんだけど、すれ違ったイングランドサポーター(しかも強面)にいきなり肩を掴まれ「日本ではサッカーと言うらしいが、サッカーじゃないぞ!フットボールだ!よ-く覚えておけ!」とお説教された。分かりましたと答えたら「よーし良い子だ」と頭撫でられた(私当時30)事を思い出したわ。

    • +2
  20. 日本でも蹴球は定着しなかった。籠球・排球・鎧球もしかり。
    なぜか卓球と野球だけ日本語。

    • +1
    1. ※45
      庭球も一応通じるスポーツかも(imeの変換候補にも入ってるし)
      ちな、ラグビーは闘球

      • 評価
    2. ※45
      あと水球もある。
      こちらは水球知ってても英語名(ウォーターポロ)は知らない人が多いっていうレベル。

      • +1
  21. 日本サッカー協会の英語名はJapan Football Association (JFA)
    外からじゃ日本がサッカーって言葉使っているって分からないだろ

    近藤さんはsack
    クォーターバック サックもquarterback sack

    • 評価
  22. サッカーのほうが言いやすいしサッカーのほうがいいな

    • 評価
  23. アメリカのドラマでフットボールをサッカーとアメフトでやってる時期が違うみたいな会話があってめっちゃタイムリーな記事

    • 評価
  24. 手で持って走ったらそれもうフットボールじゃないじゃーん

    • 評価
  25. サッカーの呼び名がなかったら
    サッカー関係の名曲?がなくなって悲しいな

    • 評価
  26. ちなみにスーパーマーケットの館内放送で「サッカー応援お願いします」と業務連絡が流れた時の「サッカー」はレジで品物を袋詰めする人のことね。綴りは「sacker」(sackは袋に入れるという意味)。

    • 評価
    1. ※56
      スーパーの袋詰めに使う台をサッカ台とか呼ぶけど、あれ英語由来なんだ…
      と思ってググってみたら、英語からの「サッカー台」という説と、もともと日本語の「作荷(さっか)台」という言葉があるという説があってはっきりしないらしい

      • 評価
  27. そもそも、なんでフットボールの愛称が「アサッカー」になったのかってところからなんだけど…(;´д`)

    • 評価
  28. いいんだよ
    日本語が「サッカー」で英語が「football」で米語が「soccer」ってことで

    • 評価
  29. 漫湖公園だって変な意味は無いけど言うの憚られるでしょ。そういうこと

    • 評価
  30. 以前日本語が海外で微妙に意味がずれた使い方されてる酷い!!ってスレが盛り上がってたが
    こういうときは「もう定着してんだからいいじゃん」っていう寛容さを自分だけじゃなく外にも向ければいいのに

    • 評価

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