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コロンブスが書いた手紙が盗まれ、偽物にすり替わっていた。無事に本物が戻るも謎が残る

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(著) (編集)

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 大航海時代、キリスト教世界の白人として初めてアメリカ大陸に到達したとして有名となったクリストファー・コロンブス。誰でもできそうなことでも、最初に行うことは難しいことの例えとして逸話に残る「コロンブスの卵」の話を聞いたことがあるだろう。

 バチカン図書館には、1493年に新大陸の発見を知らせるためにコロンブスの書いた手紙が展示されていたが、これが何者かに盗まれ偽物とすり替わっていたという。

 本物はアメリカで発見され、無事バチカンに戻されたというのだが、犯人はまだわかっていない。

いつのまにか盗まれ、偽物とすり替えられていたコロンブスの手紙

 1921年、バチカン図書館は驚くべき書類を獲得した。1493年にクリストファー・コロンブスが書いた手紙の正本で、スペイン君主国に宛てて、カリブ海の島々の第一印象が綴られていた。

 それから90年後、アメリカ政府当局が図書館に接触してきて、驚くような知らせをもたらした。バチカンが所蔵している手紙は盗まれ、非常に良くできた偽物と知り替えられているらしいというのだ。

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アメリカで発見された本物のコロンブスの手紙

image credit:U.S. Immigration and Customs Enforcement

いつ誰が?謎多き盗難事件

 オリジナルの手紙は最終的に、ジョージア州アトランタで見つかり、先週バチカンに返却された。だが、この奇妙な事件には、まだ解けない謎がまとわりついている。

 いつ、だれによって手紙が盗まれたのか、いまだにわからないのだ。バチカンでのこの窃盗が、ほかのふたつの図書館で起こった似たような事件となんらかの関係があるかどうかも、はっきりしない

 およそ1200万ドルの価値があるという、8ページにわたる手紙は、コロンブスがフェルディナンド王とイザベラ女王宛てにスペイン語で書いたものだ。

 コロンブスは彼の地のことを次のように描写している。

数えきれないほど多様な種類の木々でいっぱいの土地、木はとても背が高く、あたかも天に届かんばかりです。現地の人々は、わたしや船や乗組員が天からやってきたと固く信じています

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クリストファー・コロンブスの手紙のラテン語版の印刷物。これはスイスのバーゼルで印刷職人のヤコブ・ウォルフ(Jakob Wolff)が作成したもの

image credit:wdl

バチカンの正本が偽物であるとの情報を受け、アメリカ当局が捜査

 国王夫妻宛てのコロンブスの手紙はラテン語に翻訳されて、欧州中に広まった。今日では80あまりのコピーが現存しているのが知られている。

 バチカンのものは、1493年にローマで複製されたもので、数世紀のち、収集家のジョヴァンニ・フランチェスコ・デ・ロッシの遺言によって、バチカン図書館に寄贈された。手紙はなにも書いていない白い紙で束ねられ、分厚く見えるようにされていた。

 2011年、アメリカ国土安全保障調査は、バチカンの正本を見て偽物だと疑った、希少本や写本の専門家から情報を受けた。

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バチカン図書館のシスティーナホール

image credit:wikipedia

本物は、アトランタに住む収集家が所有していたことが判明

 その後の長年にわたる調査で、米政府当局はオリジナルの手紙は、アトランタに住む収集家が所有していることをつきとめることができた。

 米司法省によると、この収集家ロバート・デヴィッド・パーソンズは、2004年にニューヨークの業者の”善意”で、この手紙を87万5000ドル(およそ9600万円)で購入したという。

 2017年、専門家がパーソンズの手紙と、バチカン所蔵の正本を比較してみた。その結果、パーソンズの持っているものが本物で、バチカンのほうは非常に巧妙に作られた偽物だと断定した。

 だが、誰がすり替えを行い、どのようにやったのだろうか? 

製本屋が怪しい

 まだはっきりした結論は出ていないが、バチカン図書館の印刷本部長のティモシー・ヤンズは、製本屋の仕業ではないかと言っている。

「製本のために本を外部へ発注することはあります」ヤンズは言う。「これを読んでいた研究者であった可能性は低いと思います。図書室では、たぶんこんなことはできないでしょうから」

 近年、バチカン図書館はセキュリティ面で大規模な改善を行ったため、ヤンズは今日では、こうした盗みをうまいことやってのけられるとは思えないという。

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クリストファー・コロンブス image credit:wikipedia

ヨーロッパの二つの図書館で同様の被害が

 だが、この事件は謎が残る。少なくともヨーロッパのほかの二つの図書館が似たような盗難にあっているのだ。

 今月始め、米政府当局は、バルセロナのカタルーニャ図書館にコロンブスの手紙のコピーを返却したが、この図書館にも、オリジナルの手紙のかなり精巧な偽物が所蔵されていたことが判明した。

 2016年にも、米国議会図書館が持っていたまた別のコピーを、フィレンツェのリッカルディアーナ図書館に返したが、ここでもまた、偽物とすり替えられていたという。

 バチカンが所蔵していた偽物は、初期の印刷物の触覚効果を再現するステレオタイプと呼ばれる技術で作られていたという。

 この技術は、19世紀から20世紀の間によく使われた手法なので、捜査官たちは大昔に起こった犯罪を扱うことになる可能性がある。

 バチカンの文書館員であり、司書であるジャン=ルイ・ブリュージ大司教は、これはまさに事件だが、誰が偽物を作ったのかは決してわからないだろうと言っている。

追記(2018/07/06)文章を訂正して再送します

References:smithsonianmag/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 25件

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  1. >バチカンの文書館員であり、司書であるジャン=ルイ・ブリュージ大司教は、これはまさに事件だが、誰が偽物を作ったのかは決してわからないだろうと言っている。

    安いフィクションなら犯人確定

    • +23
  2. パルモたん、
    「いつのまにか」が
    「いぬのまにか」に、、、

    • +2
  3. 言葉のあら探しになりますが
    アメリカ大陸の発見ではなく到達ですよね
    それと白人としての到達ならヴァイキングが10世紀末に到達してる

    • +2
  4. 2つとも偽物というオチが100年後くらいにつくわけだ

    • 評価
  5. コロンブス「偽物とわからんとはこのバカチンが~!」

    • +9
  6. いぬのまにか、知り替えられてた

    パルモ姐さん、お疲れですな。

    • +2
  7. コロンブスは殺戮を繰り返した
    コレは事実

    何万人ものネイティブインディアンが殺され拷問された

    過酷な労働にも従事させた

    • +10
    1. ※13
      コロンブスの職業は「探検家」ではなく「奴隷商人」だもんね。
      アメリカ原住民の人たちを、少ない銃器で言うことを聞かせて
      家畜として家族もばらばらに売りさばいた。
      こういうことを教科書に載せるべきなんだけどな。

      • +11
  8. 実はもう当の贋作家自身でさえどれが本物なのか判らなくなっていた…
    というエピソードがルパン三世にあったなぁ。

    • +1
    1. ※14
      偽札と同じで本物と全く同じには作らないらしいけどね

      • +1
  9. 寄付されたものだと調べもせず所有しちゃうこともあるってテレビでやってたな。
    金銭が動いたとしても、その後改めて調べるなんてのは面倒だからやらないんかな?
    贋作が本物として展示されてるなんて殆ど全ての場所でおこってることなんだろうなぁ。

    • +5
  10. また1つ、トムハンクス主演の映画が出来そうだな

    • +5
  11. 実は両方贋作で本物は闇の結社が保有してる

    • +1
  12. ナショナル・トレジャーみたいな話しですね。

    • 評価
  13. 被害届けも無いのにアメリカ政府が動いたのはなんでだろーね?

    • +4
  14. この人とかコンキスタドールとか、この手の侵略者の遺品群って悪い意味で物凄い禍々しいオーラがある気がする。血塗られた感じというか。

    一つ所持しただけでホラー映画が始まる勢いで呪われてそうw

    • 評価
  15. こういう歴史的な史料とか美術品を盗んで販売するって人類の歴史への冒涜だと思うよ。プロの手によってしっかり保存されてたものをダメージがありかねない環境に持ってかれる訳だし、そのまま行方知らずになって歴史の闇に消えたかもしれない。

    どんなに手にいれたくとも、素晴らしい贋作があるのならその贋作で我慢しとけばいいのに。

    • 評価
  16. ニセ物も大切に保管しとこう。時が経てばそれも価値ある遺物。

    • +3
  17. 登場人物がナショナルトレジャーで自動再生されるw

    • +1
  18. ジェバンニが一晩でやってくれたのでしょう。
    てか、本物のつきとめるのもすごくない?
    GPSがついてたわけでもなし。このあたりの物語をくわしく知りたい。

    • +1

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