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全ては美しさの為。ヨーロッパの貴族階級の女性がつけていた割とホラーな仮面「ダヴェントリー・マスク」

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(著) (編集)

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 いつの時代でも女性は美しくありたいと願うものなのである。そしてそれは紫外線との闘いなのである。16世紀、ヨーロッパの女性たちは日焼けを避けるために不気味な仮面をつけていた。

 これは、しゃべることができないし、見た目的にはホラーであった。

日焼けした肌は貧しさの象徴とされていた時代

 16世紀ヨーロッパの上流階級の上品なレディたちにとって、顔が日焼けするということは恥じるべきことだった。

 真っ黒に日焼けしているのは、屋外労働をしている証拠で、貧しい階級だという認識があったのだ。

そこで、絶対に日焼けしないために、この時代のレディたちは、ヴィザードと言われる仮面をつけて顔全体をカバーしていた。

貴族の男性とマスクをつけた妻(1581年)

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 しかし、この仮面をつけると、しゃべることができず、まるで邪悪なカルト集団の一員のように見えた。

 仮面のつくりはごく単純なのだが、トラウマになりそうな印象がある。現在ではほんの数点しか残っていないが、幸いなことにほぼ無傷の”ダヴェントリー・マスク”のおかげで、その構造がはっきりとわかる。

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 この仮面は、ノーサンプトンシアのダヴェントリーの町の近く、16世紀の石造りの建物の壁に埋もれていた。

 外側は紙の層の上に黒いビロードが貼られ、内側にはシルクが施されていた。鼻の部分はちゃんと高く作られていて、目や口のための穴も開けてあり、顔全体を丸く覆うようになっている。

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 仮面と一緒に、小さなガラスのビーズが発見されていて、これは仮面の内側の口の穴のあたりのついていた紐にとりつけられていたものと思われる。

 このビーズ(ボタンのこともあった)は、仮面を顔に固定しておくためのものだった。頭にかけた紐が見えてしまうのはみっともないので、歯でこのビーズの紐を噛んで、仮面が落ちないようにしていたのだ。

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 しゃべるときは、仮面をはずさなくてはならなかったため、基本的に黙っていることが多くなった。エリザベス朝時代には、このような仮面が流行のピークを迎えた。沈黙がレディのキャラクターに謎めいた魅力をプラスすると見られていたのだ。

ダヴェントリー・マスクは最新のファッションアイテムだった

 こうした仮面のことが出てくるもっとも古い文献は、16世紀のウィリアム・ハリソンの『イングランド誌』だ。

 仮面をつけるトレンドは、フランスから始まってイングランドにもたらされたと著者は書いている。ブームが始まると、富裕層や社会活動をしている人たちの間で、最新のファッションアイテムとして取り入れられた。

 現在も残っている 仮面の中には、人間というより人形のためのアクセサリーとして作られたものもある。人気があったので、子供のおもちゃにも取り入れられたわけだ。無表情な黒い仮面の生来の不気味さも、すべての人に無意味だったわけではないようだ。

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男性には不気味がられていた

 1583年、クリスチャンの論客、フィリップ・スタッブスは『悪癖の解剖学』というパンフレットを出版した。その中の”売春の悪と罰について”という章の中でスタッブスはこれら仮面の恐怖についてこう書いている。

遠乗りしたりするときに、彼女たちはビロードを貼った日よけで顔を覆った。これは、目のところに穴が開いていて、ものが見えるようになっている。

こうした習慣を知らない男性が仮面をつけたこんな姿を見たら、怪物か悪魔に会ったと思うだろう。顔は見えないのに、ガラスの入ったふたつの大きな穴があいていて、そこから目がこちらを見ているのだから

 不安を煽るような不気味さと沈黙の効果で、仮面は少なくとも17世紀ごろまでは流行っていたが、次第に歴史の中から廃れていった。

 18世紀後半の絵画の中で似たような仮面が見られるのでその当時まではあったのだろう。もし現代にこんな仮面をつけて外出している女性に出くわしたら、間違いなくぎょっとするだろう。

 とは言え、現代の女性も、家の中ではいろんなキャラクターのヒアルロン酸のシートマスクをつけてギョっとさせてるわけだけどもね。

via:When High-Class Ladies Wore Masks That Made It Impossible to Speak/ written konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 60件

コメントを書く

  1. 仮面の軍勢(ヴァイザード)と何か関係が?

    • -9
  2. 目から入った紫外線も日焼けの原因になるという。

    • +17
  3. 現代でも夏になると中国の海水浴場でマスク被ったおば様たちがw
    ファッションは巡る

    • +22
  4. ジョナサンのママンがなんで石仮面かったのか分かった

    • +30
  5. もし現代にこんな仮面をつけて外出している女性に出くわしたら、間違いなくぎょっとするだろう…って、昔も今も変わりゃせん。
    ヒアルロン酸のシートマスクは知らんが、巨大なサンバイザーを溶接面みたいにかぶって自転車に乗ってる女の人いるじゃん。
    初めて見たときは何事かと思ったぞ。

    • +31
    1. ※5
      職場近辺には溶接面バイザー+レトロな事務員風アームカバー+黒い日傘という地獄の貴婦人のような装いの人々が大量発生する
      マジで見てるこっちが暑苦しい

      • 評価
      1. ※30
        若い人のサンバイザー+日傘+アームカバーは美白の為だろうけど、おばちゃんのそれは美白のソレじゃないんだよね。
        照り返しで目が痛いほど眩しいし、日差しの強さが全身焼かれるくらい辛いの。
        じゃあ帽子被れよと思うかもしれないけど、帽子は蒸れて汗ダラダラになるから苦手って人も多いんだよ。
        アームカバーにしたって、日焼け止め塗れば済む話じゃんと思うかもしれないけど、日焼け止めで肌がかぶれるから仕方なく使ってる人も多いよ。
        あと、半袖+アームカバーだと、適度に通気が良いから、上に長袖1枚羽織るより涼しいんだよね。

        • +29
      2. ※30
        日光アレルギーの人もいると思う。重度ではなかったが同僚にもいたし、身内にも一人いる。二人とも40代あたりから突然発症したと言っていたな。まぁ珍しい病気じゃないよ。

        • +3
  6. 鼻に穴が空いてないから呼吸は大変そうだね

    • +11
  7. 顔が見えないからこそ隠された顔はどんな風か想像させたり、黒いマスクが対比効果を出して肌をより白く見せたり。もちろん防寒の意味もあった。高貴な証ではあるが身元を隠すマスクはお忍びや、許されない関係の恋人の相瀬にも使われた。口元のパールやらビーズを咥えると声色を変えたり喋らないようにもできたから。

    っていうふうに国内の資料で見たけど、当時の一部文化の中ではとても便利なアイテムだったって認識だったな。海外の資料も読んでみたいな。

    • +29
    1. ※9白い肌色との対比でつけぼくろを思い出しました。つけぼくろは16世紀後半〜18世紀とのことですから、この仮面より少し後の流行ですね。時期によっては仮面を取ったらつけぼくろとこんにちは、もあったのかな?

      しっかしこの仮面、日焼け防止・天然痘痕隠し・身バレ防止・その上にお忍び中声色変えたりもできたのなら、それは男性達から評判悪くとも、便利過ぎて当時の貴婦人には愛用される訳だ!

      ちょっとだけ平安時代の檜扇も思い出しますね。顔を隠すことで神秘性と身分の高さ、慎みの美徳を表現する、ってあたりが。
      そういえば関係ないのかもしれないけれど、ロミオとジュリエットの乳母も気取って扇を持っていたっけ。

      • +5
    2. 見てるかわかんないけど※9です。

      ※40
      当時の公衆衛生では「水で病が感染する=入浴を避けるのが常識。つまり白いということ=清潔」だったので白い衣服や白いレースが持て囃され、手首に黒いリボン巻いて対比効果狙ったりってファッション文化がパリ社交界の若者達の中でありました。批判もありましたが、男性にも好評ではあったんですよ。

      付けぼくろも同じ考えから生まれた物なので、仮面を外したら、、ってのは十分ありえます。

      確かに檜扇を彷彿とさせられますね!
      日本の服飾史には明るくないですが、興味が出てきました。ありがとうございます。

      • +4
      1. ※50※40です。東西で色白と覆面性を高貴の証として追及したのは面白いですよね。服装の色合いなら、流行りの中にある宗教感や染色の歴史からの色彩史も掘ってみると面白いと思います。

        • +3
  8. ブルカとかの方がよっぽどスマートだと思うなあ。
    あと日本の壺装束みたいな。

    • +15
  9. 今のドイツやフランスはこんがり小麦色の健康的な色に焼くのがトレンド。
    時代って面白いなー。

    • +29
  10. 幸いにというか、現代の基礎化学がもたらすバイオテック化粧品のお陰で
    現代女性はフードを付けたりお化けに変身する必要は無くなってる

    • -1
  11. 仮面狩りしたくなる

    仮面は強者の証しってネプチューンマンも言ってた!

    • +4
  12. 固定の仕方が大変だなあ
    リボンやらビーズやらあしらえば富の見せ方としてもオシャレになりそうなのに
    よく分からん所で見栄を張るもんだ

    • +22
  13. 日焼けのためのマスクってのは分かるんだけど口でくわえて固定って、もっと何とかならなかったのか。

    • +29
    1. ※15
      「おしゃべりな女だ」という罪で公開処刑で辱めを受けるくらいだから
      沈黙を強制できることも重視されたんじゃないだろうか

      • +9
      1. ※37
        おしゃべり女(がみがみ女)はイギリスの刑罰で、その条件が
        隣人と見境無く喧嘩をおこして騒ぎ立てる、だからただのおしゃべりな女性は刑罰の対象にはならないよ(あと、この刑自体どこからどこまでが本当にあった話かあやふやな所もある)

        • +3
  14. あまりにも日に当たらないとビタミンD欠乏になるんじゃなかったっけ。当時の人はどうしてたんだろう

    • +9
    1. ※16
      この頃の貴族階級は日に当たらないせいでくる病にかかる確率が平民より高かったらしいね。
      貴族の子供が極端に病弱になる原因になってる。

      • +24
    2. ※16※20さんのおっしゃる通り、当時の欧州支配階級のご遺体にはくる病の病変からくる骨の変形、低身長などがよく見られますよ。まだビタミンの概念ない時代ですし。
      長く欧州の貴人、特に貴婦人は屋内で多くの使用人に仕えられて暮らし、自身は父夫息子ヘ仕え、言葉少なに穏やかに家庭維持に尽くすのが理想とされてました。
      個人的に日本でも平安や江戸時代中期以降なら同じように支配階級のくる病多発があったのではないかと疑っているのですが、ご遺体の置かれた環境が違うのでご遺体からの証明は難しいかな……。

      しっかし、東西で平時の理想とされた完璧に家屋敷を采配するのに発する言葉は少なく、ってどうやったら可能にできるんだろう???筆談?識字できなかったらハンドサイン?めんどくさそう。

      • +13
  15. もうちょっと洒落っ気があってもいいと思うのだけど
    いくら美容のためとはいえこんなもの本気でつけてたんだろうか
    なんの飾りもないのは不自然なような

    • +8
  16. どう考えてもさ
    ムスリム女性のブルカとかニカブのほうがオシャレじゃねーか?
    そういう発展はしなかったのね…

    • +29
  17. 口で咥えて仮面を被る下りで思い出したのが
    笑点でお馴染みの林家木久扇氏が下積み時代に
    先代が怪談物を演じる際に幽霊役として出演したが
    その時着用していた仮面が口で咥えて被るタイプで
    代々使用されてきた年季の入った仮面のせいなのか咥えると
    ヨーグルトの様な酸っぱくてドロドロした口触りだったと
    当時の思い出を語っていたのを思い出した。

    • +10
  18. 昔は屋外労働で日焼け →貧乏
    今は労働は屋内 バカンスで日焼け→金持ち(少なくとも貧乏じゃない)

    • +17
  19. あーこれいいね
    汗っかきで日焼け止めだとぬかるみ状態だから、洗濯物とかゴミ出しくらいの時にはお面型の日よけが欲しいと思ってたんだ

    • +6
  20. なぜ仮面が建物の壁に埋もれていたんだよ、なんか怖いな

    • +12
  21. 英語の先生に教わったけど、アメリカ人の女性は日焼けやシミ、ソバカスはむしろ勲章なんだそうな。
    なんでも、日焼けやシミ、ソバカスが多い=若い頃、外で友達やボーイフレンドの遊んでイケイケだった。っていう、壮年の女性にとってこれはリア充としての勲章なんだそうな。
    逆に青白いと十代二十代の頃はイケてない青春生活を送ってた芋女で肌が全く汚れてないのは逆にダサいらしい。

    あと、紫外線や太陽を極端に嫌う若い子に忠告するけど、太陽光って生きていくうえで、かなり重要な要素。というか必須。人間って太陽の光浴びないと免疫力が落ちてドンドン不健康になるぞ。具体的には性格が陰鬱になる(鬱病の最大の薬は太陽光と運動)し、太陽光からエネルギーが受け取れないから白髪が無茶苦茶増える。 日光を浴びないと、肌は美白じゃなくて死人のような土気色の肌色になるだけで白くならんぞ。
    白髪になりたくなかったら(増やしたくなかったら)、毎日一定時間以上日光を浴びろ。
    嘘だと思うなら美容院に「今まで切ってきたお客さんでインドアな人と活発な人、同年代ならどっちが白髪多かったですか?」って訊いてみろ。 
    太陽光なくして心身ともに健康体なんてあり得ない。古代人が太陽を主神にしたがるもの至極当然。この地上で太陽の恵み以上にありがたいモノなんてない。マスクを被って太陽光を遮断するなんて生物として太陽への最大の侮辱。

    • -24
      1. ※35
        太陽神・松岡修造の口調で喋っていると思うんだ
        ほら、もっと暑く(熱く)なっただろう?

        • +6
    1. ※26
      少なくとも、白髪の件はインチキだな。
      うちの母は運動なんか全くしないが75になっても白髪は殆ど無い。
      それに対し冬になると毎土日をボードに費やしている知り合いは30で殆ど白髪。
      自分は運動という程のものはしないが年齢相応なので、体質だろうと思う。

      • +5
  22. 江戸時代から続く寄席でやる怪談に、お面を被って出て来るオバケ役が居るんだけど
    そのお面も、耳紐が無くて口で噛んで保持する方法だった。能面にも咥える面があったと思う。「耳に掛けなければ噛んで保持しよう」ってのは洋の東西を問わずに同じなんだな
    顔の構造を考えれば、それに行き着くのは当然なんだけど、不思議な物でもある

    • +10
  23. ずっと口で咥えてたのなら表情筋鍛えられてフェイスラインもたるまないし一石二鳥だなこれ

    • +9
  24. くだらねぇわほんと、貴族の見栄の張り合いには反吐がでる。今のセレブどもは逆に日焼けがステータスときたもんだ。くだらなすぎる。
    真の美しさは労働者階級の中にある汗と笑顔だろうが。

    • -22
  25. うちの嫁もさっさとこの仮面を外して紅かなぁ。。
    (慰める奴は もう い な い…。)

    • 評価
  26. うん、若い頃は私もわらってたさ
    でもね、年を重ねるにつれ装備が増えて最終的に『あれが正解!』ってなるんだよ…

    • +15
  27. この画面、日焼け防止・慎み強化対策の他に、当時大流行したペストが怖かったのもあったりして。
    当時は悪い空気や臭いを吸い込むことでペストは発生し、人にうつると考えられていたから、この仮面でガッチリ口を閉じておけて鼻の穴もカバーできて、多少安心できたのかも。(だがこの仮面自体が汗と垢と化粧と臭ってきそうだ……洗えないだろうし、どうしてたんだろ?)

    • +2
  28. まぁなんだかんだ焼かないのが一番だよ
    シワとりや美白にもお金がかかるんで
    サンバイザーはまだ使ってないけど曇りでも日傘は手放せないわ

    • +10
  29. よくよく発想の転換!とか、斜め上の発想とか、構想の方向性を180°変えてみるとか言うが、
    その言い表し方で表現すれば、美への追及が360°に一回りしておかしな方向へ行った感じだな。

    で、だ。360°廻ったら一周して元通りレベルになって終わりだってのはまあたまに云うが、
    現実には360°も回転するのに使った労力はかなりデカくのし掛かるから、実は360°廻るとその疲労度で元の状態よりも逆に悪くなって終いだよなァ…

    • -2
  30. こう言う拷問器具あったよね…
    今のヨーロッパだと日焼けした肌こそ良いみたいな考えがあった気がする。

    • 評価
  31. 今も昔も実はそんなに感覚は変わらないのかもね

    • +2
  32. 日光で日焼けするって知識が当時からあったんだーって驚いた
    ナメてましたごめんなさい

    • +1
  33. 北欧の貴族はこんなのいらんからもっとお天道様を拝みたいと
    思ってたのかな

    • 評価
    1. ※49北欧貴族は大陸のヨーロッパ文化に憧れていたと本で読んだよ。自分が読んだのはこの仮面より前の時代の話だから、時代によっても違うんだろうけど。

      • 評価
  34. そんなに流行っていたのに黒一色なのか。それが良かったのかな。
    刺繍とかで柄を入れそうなものだが。

    • +2
  35. ゴルフ場のキャディーが使う顔全体を覆う巨大なサンバイザーを付けたおばさんが買い物していた。

    • 評価

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