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 知識にはパワーである。先人の知識がたくさん詰まっている場所といえば図書館だろう。図書館には「想像力」があふれ、多くの「秘密」や「謎」が隠されている。残念なことに、時とともに失われた文献や書籍もあるが、今でも残っているものは、大切に保存されている。

 そして世界には実に多くのミステリアスな図書館が存在していたのだ。今回は、その一部を紹介しよう。
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10. バチカンの秘密の教皇庁図書館


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image credit:tukro.org

 世界一謎めいている図書館といえば、17世紀にバチカン図書館から独立した、教皇庁の秘密文書保管所、バチカン教皇庁図書館だろう。

 設立は1612年で、保管所は1881年まで公開されることがなかった。1881年にレオ13世が公開を許可したが、それでも、キリスト教研究者のみに限定していた。

 それから徐々に規制は緩くなっていったが、ジャーナリスト、学生、素人の歴史研究者たちの立ち入りは厳しく制限されていた。バチカンの厳しい基準をパスした公認の学者だけが入ることができる図書館。その者たちでさえ、入場は一日に3回と決められていた。

 2012年、バチカンは100点の文書の複写の出版を認めた。保管所には80キロにわたる棚があるというのだから、まだまだ多くの謎が眠っているはずだ。

 公開された文書にはマーティン・ルーサーを破門したレオ10世の大勅書、ガリレオの異端審問の記録、クレメンス7世にあてられたヘンリー8世とキャサリン・オブ・アラゴンの離婚を認めるよう嘆願する手紙、スペインとポルトガルを分けた教皇子午線に関する文書などもある。


9. イワン雷帝の失われた図書館


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image credit:Ancient Origins

 伝説となっている図書館といえば、イワン雷帝の蔵書が眠っていた図書館かもしれない。1472年、イワン雷帝の祖父であるイワン3世の2度目の妻となった、ソフィア(ゾエ・パラエオロガ)がモスクワに輿入れする際、自分の本のコレクション(コンスタンチノープル図書館のほとんどの本とアレクサンドリア図書館にあった写本と噂されている)を持ってきた。これが図書館の始まりと言われている。

 その後イワン雷帝自身も生涯をかけて蔵書を追加していった。イワン雷帝の蔵書には、ロシア、ギリシャ、ラテン、ヘブライ、エジプト、中国の古代から現代にかけての作品があった。蔵書はクレムリンの地下に収められていた。

 また当時の書士には、すべての作品をロシア語に訳すという使命があった。何人かは、イワン雷帝が黒魔法のパワーを手に入れる可能性があると拒んだほどだ。ところがイワン雷帝がこの世を去ると、こつ然と蔵書も消えた。火事で焼かれたという説もあるし、まだ存在するがイワン雷帝の呪いがかかっているという説もある。


8. 秘密の通路と消えた本


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image credit:Mattana

 モン・サントディールの古代のアルザスの修道院は、秘密の通路と謎に包まれた消えた本の事件で有名になった。2000年、修道院にあった古代の写本のいくつかが消え始めた。

 時には、1冊。そして、時には12冊。鍵はすでに3回も変えられ、窓は塞がれた。しかし、貴重な本は消え続けた。

 2年にわたる捜査が行われたが、事件への手掛かりは何もつかめなかった。そんな中、憲兵が偶然本棚に寄りかり、秘密の部屋の存在を知ることとなった。

 職員が部屋にカメラを取り付け監視を始めた。その夜、部屋に現れたのは、元教授だったスタニスラス・ゴッス。ゴッスは、修道院には年長の修道士が若い修道士を監視するための秘密の部屋があったという雑誌の記事から通路の位置を特定した。警察は同氏のアパートから盗まれた1,100冊の本を回収した。


7. ヘルクラネウムの失われた図書館


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image credit:Erik Anderson

 紀元前79年、ベズビオ山の噴火によりヘルクラネウムは何層にも重なる分厚い火山灰の下に埋もれた。1752年、考古学者たちが古代都市ヘルクラネウムの発掘中に見つけたのは、最古のローマの図書館だった。

 ヘルクラネウムの邸宅「パピルス荘」にはパピルスの巻物文書1,800冊が残されていた。しかし、残された巻物は噴火により炭化しており、ほぼ解読できないの状態だった。

 当初、デジタル写真、顕微鏡、そしてX線撮影技術が使用されたが、結果は満足のいくものではなかったが。ローマ人は炭ベースのインクを使用しており、(肉眼では)炭化した巻物も文字もほぼ同じ(黒一色の)状態で解読はほぼ不可能だったからだ。しかし、その後、文字のインクはパピルスの繊維に染み込んでおらず、特殊な器具を使えば「文字が鮮明に読める状態」であることが判明した。


6. ヒムラーの魔女の図書館


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image credit:BrunoDelzant

 研究者たちが最近、かつてナチ親衛隊チーフの、ハインリヒ・ルイトポルト・ヒムラーに属していたという13,000冊にのぼるオカルトと魔術についての本を発見した。蔵書はチェコ共和国のプラハの国立図書館で発見された。

 ヒムラーのコレクションがあった倉庫には1950年代以降アクセスできなかった。ほとんどの本は第二次世界大戦中に収集されており、その中にはとても貴重なものもあるという。

 1935年から1944年にかけて、ナチスは様々なオカルトに関する書籍を集め、「H」と呼ばれる特別なセクションで保管していた。「H」というのは、ドイツ語で魔女を意味するHexeからきている。ナチスはヨーロッパ最大の魔女裁判に関するコレクションを作るため、260の図書館から強制的に本を没収していた。ヒムラーはオカルトに取り憑かれ、古代のマスターがナチスを世界のリーダーに導くと信じていた。


5. セルシウスの失われた図書館


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image credit:Benh LIEU SONG

 古代世界で一番謎めいていたのが、セルシウスの図書館だ。これは、114年に父に敬意を示すため、ティベリウス・ユリウス・アクイラがトルコのエーフェスに建てたとされる図書館である。

 12,000冊の蔵書を誇り、当時アレクサンドリア(アレクサンドレイア)、ペルガモン(ベルガマ)の図書館と並んで世界の三大図書館と評されていた。しかし、262年に図書館が破壊されると、残るものは何もなかった。

 ゴート人がその神聖な学び場を焼いたという説もある。また、地震で図書館が崩れたという説もある。何の記録も残っていないが、図書館の豪華な建築から、宝が保存されていたという説もある。記念碑の正面の構造には、人格化した見識、知識、知性、美徳の像が見られる。


4. アッシュールバニパルの図書館


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image credit: Fae

 1850年代に古代ニネベを発掘中、考古学者たちが現存する世界最古の王室の図書館を発見した。アッシュールバニパルの図書館には、30,000にも及ぶ粘土版の文書記録などが保存されていた。

 文書記録は、王室の記録、年代記、神話、宗教文書、契約書、王室による許可書、法令、手紙、行政文書などがあった。アッシュールバニパルの図書館は古代世界のなかでも最大規模だった。王の個人的図書館には、薬学、詩、地理学、科学、魔術などの写本や文献が含まれていた。

 アッシュールバニパルは、紀元前668年から627年まで新アッシリア王国時代のアッシリアを治めた王。アッシリア史上最後の偉大な征服者で領地をペルシャ、バビロン、シリア、エジプトまで拡大した。彼が残した図書館は、古代オリエントの研究にも大きく貢献した。


3. シルクロード ユダヤ人の図書館


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image credit:haaretz.com

 アフガニスタンの洞窟で発見された古代図書館では、ヘブライ語、アラム文字、ペルシャ語、ユダヤ系アラビア語、ユダヤ系ペルシャ語で書かれた1,000冊ほどの写本が発見された。このコレクションはかつてシルクロード沿いに住んでいたユダヤ系の家族のものだった。

 詩、個人的な手紙、商業記録、法律文書などが含まれおり、当時のアフガニスタンのユダヤコミュニティーの生活、仕事、家族構成などの解明に役立った。

 これらの蔵書は2013年にイスラエルのアンティーク商人、レニー・ウォルフェがアフガン調査の一環で古代図書館に寄った際に獲得した。

 そこには、エジプトで発見された300,000冊のユダヤ写本の書庫に関する謎めいた文献があった。なぜ、この洞窟が約1,000年前に埋められたのかは未だに謎である。


2. 洞窟の中の秘密の図書館


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image credit:Charles Nouette

 1900年、莫高窟の洞窟で見つかった秘密の図書館。道士、王円籙(おうえんろく、籙は竹冠に録)が床の砂を払った時に、隠された秘密の扉を見つけた。

 中には小さな洞窟があり、そこには何千という唐代以前の貴重な資料や絵が保存されていた。どうやら、この洞窟は、9世紀に建てられた仏教僧侶のためのものだった。専門家たちは、11世紀に洞窟図書館が封印されたと信じている。

 王円籙はその発見を地方官に報告したが、地方官はまったく興味を示さなかった。文書の価値が認められたのはその後何年も経ってからだった。

 1907年、ハンガリー人の研究家が文書の多くを買い取った。翌年、フランス人の考古学者、ポール・ペリオがやってきて、価値の高いものを買い取り、パリに持ち帰った。莫高窟は1961年に中華人民共和国の全国重点文物保護単位に、1987年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。


1. ジョン・ディーの失われた図書館


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image credit:hyperallergic.com

 1580年代、ジョン・ディーはイギリス一大きな図書館を作ろうと本を集めていた。学者であり、魔術師であり、エリザベス女王1世の占星術師であった彼は、当時のヨーロッパとしては最大の4000冊の私設図書館を作った。

 しかし、ジョン・ディーが1583年に大陸に旅した時に、彼の図書館は襲われ、貴重な文献などが破壊されてしまった。幸運にも、ジョン・ディーは、地理学、錬金術、自然史、愛についてなど多用な範囲の主題を含む自分のコレクションをカタログにしていた。

 彼の蔵書の100冊は、今でも大英図書館に保存されている。彼のコレクションは科学や魔術をふくんでいることから、この2つは必ずしも明確に区別できることではないことが分かる。16世紀、数学への興味はオカルトをかじっているとみられていた。

 ディーのコレクションには、彼が本の余白に書き込んだ大量のメモもあった。そのメモには、重要な一節に関する見解や、錬金術の黙想、占星図、伝記的情報さえあった。

via:10 Mysterious Libraries/ translated melondeau / edited by parumo

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 21:12
  • ID:fSyVzBwR0 #

アルザスの修道院の本が戻って良かった
災害は残念だけど、人為的に書籍が失われるのは悲しすぎる

2

2. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 21:17
  • ID:OFwTHhNn0 #

あああもうたまらん知的好奇心が加速する

3

3. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 21:53
  • ID:NzSogKri0 #

アレクサンドリアの大図書館は有名すぎるからあえて挙げなかったのかな

4

4. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 21:55
  • ID:fawEMjzz0 #

「人格化した見識、知識、知性、美徳の像」
2〜3世紀頃に概念の擬人化が行われていたとは・・・。

5

5. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 21:58
  • ID:ocF.KQXf0 #

めっちゃ金持ちだったら俺様図書館を建てたいと夢見てるのは自分だけじゃないはず
漫画ばっかりになるのは確実だけど

6

6. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 22:02
  • ID:qNwUMPcS0 #

アフリカの果て

7

7. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 22:13
  • ID:k42w5bbV0 #

え?マーティン・ルーサーを破門???
って思ったら一般的にマルチン・ルターと言われてる方の人ね

8

8. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 22:23
  • ID:wo8Kwh4K0 #

蔵書の数が沢山有るのを聞くとワクワクするけど、全部読めないよね、勿体ないなぁ。
バチカンには織田信長が渡した安土城の画が有るのかな?他のも貴重な文書ばかりだから 俺が押入れで探し物をする用な事は出来ないだろうね。
莫高窟は戦乱を避けて隠したって説を何処かで読んだけど、どっちなんだろう、

9

9. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 23:08
  • ID:E.CTriqU0 #

なにが書いてあるのかが知りたいのー
莫高窟の本は金に眼がくらんで売ってんじゃねーよ。

10

10. 匿名処理班

  • 2017年01月04日 23:29
  • ID:K7Hr74.20 #

10000冊程度で図書館と名乗れちゃうってところで
中世以前、どれだけ本が貴重で
知識の収集が大きなイニシアチブとなったかわかるね
現代だと個人で10000冊の蔵書とかザラだからなー(床さんの耐久力と相談だけど)

11

11.

  • 2017年01月05日 00:57
  • ID:iFdVuZYG0 #
12

12. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 03:14
  • ID:8P4FZTkx0 #

稀覯本を手元に置きたいという気持ちはわかるけど、財力のない個人がそれやったら絶対にいかん。
とはいえ、どこに価値を置くかで本の値打ちも違ってくるんでむずかしいよなあ。

13

13. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 04:05
  • ID:mGmQNGuF0 #

憲兵が偶然本棚に寄りかかって見つけるとかどこの映画だ
その憲兵は意図せず一生分の運を使い果たした感じだな

14

14. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 05:26
  • ID:Z9.r0YGU0 #

古代の図書はどういうことが書かれているのか純粋に興味があるな。なくなってしまったものはそれはそれでロマンだけ残る。

15

15. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 08:34
  • ID:4DWA9Gal0 #

稀覯本、失われた図書館などが好きなら、赤城毅 著 『書物狩人』シリーズをオススメします。内容は世界情勢に影響を与える稀覯本を入手する者たち書物狩人の物語です。本や資料が持つ力について考えさせられる事もある面白い読み物です。

16

16. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 10:06
  • ID:XgyupdYk0 #

自分もアレクサンドリアがないのが不思議に見える

17

17. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 14:48
  • ID:twimWFBx0 #

表紙に人の顔があって何でも質問に答えてくれる本が何処かにあったかもしれない

18

18. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 17:54
  • ID:t.apEXPd0 #

近代以前の人々にとって本とは貴重で特別な存在だったと思うな。文化的な遺伝子でもあるし過去の神秘的な知恵の書でもある。本を守るために命を賭けたこともあったんじゃないかね。

19

19. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 21:17
  • ID:I5Tke3au0 #

真の知識人、見識人であるならば図書館や書物の重要性を知り、破壊して回るなんてことはできないはずなのに、現実は…。悲しいことですね。
過去の戦争や侵略により奪われてしまった書物も、もし現存すれば現代の科学技術で研究され、当時の謎の解明に迫れたかもしれないと思うと、重ね重ね残念です。

20

20. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 23:22
  • ID:X4hOJ.kt0 #

※8 莫高窟は井上靖の小説「敦煌」に出てくる話だね

21

21. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 17:45
  • ID:lav7MQTe0 #

アカシックレコードは図書館ってことでいいの?

22

22. 匿名処理班

  • 2017年01月08日 01:16
  • ID:2n3gKSpZ0 #

インデックスさんですね…分かります

23

23.

  • 2017年01月08日 20:35
  • ID:VAw3TfCA0 #
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