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水中に広がるスモールワールド、2015年国際水草レイアウトコンテストの受賞作品

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(著)

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 これは、アジアの最新スポーツと言えよう。競技者は水と魚と水草を組み合わせて、本当にこんな世界があるのかと思わせるアクアリウムを造るスキルを競う。

 アクアリウム造園の世界はもう趣味の域を越えている。この分野の草分け的な存在と言われ、野生動物カメラマンでアクアリストだった天野尚(あまのたかし)は90年代に、水草や魚で水中世界を創造するアクアリム造園スキルを競わせ、一人前のプロを育てるアイデアを立ち上げた。南米、ボルネオ、西アフリカ、故郷日本の原生林を歩き回って写真を撮った。彼の水中王国の美は、日本の侘び寂び(仏陀の気高い教えから発生した、はかなく、不完全なことを許容し愛しむ考え)の哲学と、石をアレンジした禅寺の庭の伝統的な原理を伝えている。

 競争者たちは、現実の自然からインスピレーションを得て、水草を使ってミニチュアの水中楽園を作る。苔を空に浮かぶ島に見立てたり、年季の入った樹皮を空に向かってそびえたつ南国の木に変え、小魚の群れを無限に続く空へ向かって泳がせる。それはそれは、とてもシュールな世界ができあがる。

 国際水草レイアウトコンテストという競技スポーツには、想像以上に複雑な得点ルールがある。6つの別々の基準について、複雑に絡み合った100ものポイントから評価される。魚のための自然な生息地が作られているか、レイアウトが長期保存に耐えられるか、自然な雰囲気に仕上がっているか、全体の構成、水草のバランスなどから判断される。

 さらに、このゲームを巡る厳しい法則がある。これまでの主題や過去の優勝者のアイデアを盗んだりしたら、ポイントが減点される。水中で長く生きられない植物をを使うことは禁止されていて、審査員は、上位出品者の作品の構成、明暗のバランス、技術的な技の難易度を細かく評価したものを提出する。

 2015年8月にこの世を去った天野は、生前にポルトガルのリスボン海洋水族館で、長さ40メートルという世界最大の自然アクアリウムを造った。今日、彼の会社アクアデザインアマノが、国際水草レイアウトコンテストを主催し続けている。

 2015年の大会は先週開かれ、英国から9人、アメリカから13人、日本から661人を含むトータル2545人が参加し、まずは写真選考された。これは、いかに本物だと信じさせられるかを競うバーチャルな競技会なのだ。入賞した7人の作品を紹介しよう。

7位:ミステリアスワールド Yong Liu(中国)

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アニメ作品とも思われそうな魔法のような森の演出が特に評価を受けた。

6位:狩場 ジョシュ・シム(マレーシア)

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 不気味なタイトルのエントリー作品のひとつ。下草が深く生い茂る森の奥に連れて行かれるような気がする。

5位:輪廻 Yi Ye(中国)

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 輪廻とは、魂の転生に関する哲学用語。死後、魂がほかの人間や動物の体へと移り替わることで、ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』の主題を思い起こさせる。

4位:奥深い自然 パウロ・パチェコ(ブラジル)

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 アジア以外の国からの唯一の受賞者で、森をテーマにしなかった唯一の作品。これはむしろ、水平線に向かう明るく岩の多い谷を思わせる。

3位:軌跡をたどる Yufan Yang(中国)

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長い年月のたった、うっそうとした木々の間の小道を思わせる。

2位:神秘の土地 ボーウェン・ファン(中国)

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“たった一本のバオバブでも、処置が遅れると、もう根絶することはできない。星全体をふさいでしまう。その根で、星に穴をあけてしまう。そして、もし星がとても小さくて、バオバブの数があまりにも多いときには、星を破裂させてしまうんだ・・・・子供たちよ、バオバブに気をつけなさい!”とアントワーヌ・サン=テグジュペリは『星の王子さま』の中でこう書いている。(三野博司訳 論創社)ほかの作品のようにひとつの遠景に吸い込まれていくのではなく、このアクアリウムは、バオバブのようなそびえたつ大木に支配されている。この作品と「輪廻」はもっとも抽象的でモダンだ。

1位:憧れ 福田隆義(日本)

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via:amuse・written konohazuku

 今年の最優秀者は、上から吊るされて、下への向かうような動きを全体に配置して、水中にありえないほどの重量感を醸し出した。憂鬱という解釈かもしれない。タイトルは、安らかに眠れというメッセージをこめた、天野尚への敬意としてふさわしいように思われる。

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この記事へのコメント 48件

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  1. こういうのに憧れてアクアリウム趣味にしてるけどコケとの戦いに終始してる
    もう魚が住みやすくて楽しい環境であればいいやw

    • 評価
  2. 水槽もすごいんだけど
    説明文の「侘び寂びの定義:仏陀の気高い教えから発生した、はかなく、不完全なことを許容し愛しむ考え」が、すごく適切と思った。
    なかなかわびさびを説明するのは難しいのに、この説明はすっきり分かりやすい。

    • 評価
  3. この前日本の第一人者の人が死んじゃったんだよなあ

    • 評価
    1. ※5
      よう同士
      こういう写真見て憧れて始めたけど、今ではすっかり水草より魚メインです
      水草難しすぎるんじゃ~

      • +5
    2. ※5 アクアリウム知らないけどコケも育てたらダメなの?コケ綺麗だと思うケド

      • -1
  4. 天野さんの作り出した水槽の世界がたくさんの芸術を生み出している。
    今更ながら天野さんに敬意を。
    なんだか、のんびりとすみだ水族館に行きたくなった。

    • +21
  5. どれもすごいけど、一人を除いてみんな森ってところに、デザインの行き詰まりを感じる。
    もっと、変な作品が入っているほうが楽しいと思う。

    • +6
    1. ※9
      ちょっと前まではラピュタみたいなのとかあって、ネイチャーじゃなくてジオラマだろって言われてたよ。今回はむしろ原点回帰って感じじゃないかな。

      • +1
  6. 天野さん亡くなってたんか
    ADAの製品は今も憧れ

    • +1
  7. ええいデカイ画像!!でかい画像はないのか!?

    • +18
  8. ジオラマ沈めて苔が付くと味がでて良さそう。

    • +1
  9. アートじゃなくてスポーツなんだ?と思ったけど、明確な採点基準があるコンテストに勝利することを目的に作られるなら確かにスポーツだな

    • +6
  10. 福田さんのやついいなぁ、絵画みたい。
    それとパルモさん、コメント欄消さないで!
    人の感想を見るの好きなんです

    • +2
  11. この前、マツコの知らない世界でも紹介されていたような。こんな美しい世界を作るのは常人には無理だよなあ。

    • 評価
  12. ここまで壮大スケールじゃなくて、子供の虫籠サイズで、
    ・オオカナダモ
    ・メダカ
    ・ヌマエビ
    この3つさえ入ってたら、自分の中で創造力働かせて、広大な水中を想像しながらいつまでも眺めていられると思うわ。
    特にヌマエビを充分繁殖できるくらいの広さ(水質&水温)の水槽なら最高だな。
    メダカは、外で発泡スチロールに土とオオカナダモ入ときゃ勝手に増える。

    • +4
    1. ※26
      アクアリウムで生えて嫌われるコケってのは、通称「黒ヒゲ」と呼ばれる憎いアンチクショウの事をさす場合が多い
      文字通り黒くて見た目も悪いし、有効な生物兵器(コケを食う生体)が限られてる上、人力でも中々取れない

      • +4
  13. 7位見たらMH3の渓谷だかの木蔓の吊り橋を思い出した
    こういうのシミュレーションできるゲーム出来んの何年後かな?と
    管理出来ないであろう自分は思うのであった

    • +1
  14. うちもこの手の水槽に憧れて始めた
    眺めてるだけなら癒されるし魚やエビもかわいいけど
    絶えることのないトラブルや稚魚の世話に
    追われるうちにレイアウトする気力など失くしてしまった

    • +5
  15. パソコンのディスクトップでアクアリウムを再現して、
    レイアウト&水槽内が次第に成長繁殖できるソフトとかありそう。

    • 評価
  16. 高解像度が画像がほしい・・・
    こんなちっちゃい画像じゃ凄さがよくわからないよ・・・

    • 評価
    1. 天野さん今年亡くなっていたのか…
      すごくきれいだけれど、生体を可愛がりたい派としては、水草水槽との両立がとてもむずかしい…
      ※32
      この出品作品は見れませんが、ADAのNAギャラリーが新潟にあるのでそこで鑑賞出来ますよー。

      • 評価
  17. 綺麗なんだけど写真が小さいからか見た目同じように見えちゃう
    大きいのないのかな

    • +1
  18. すごくキレイでずっと眺めていられるけど、お金も手間もかかるんだよね
    10年前にうちでは水槽を撤去しようと考えていたが、生き残ったお魚さんがなかなか長生きしてくれるので、最後の1匹の状態で今に至る。
    狙った訳ではないが、廃墟のような姿の水槽にナマズが1匹というマニア向けにw

    • +4
  19. なんで山中をレイアウトする大会になってんの?
    そういうコンセプトで作品募集してんの?

    • 評価
  20. パルモさん、いつもいつも面白い記事をありがとうです。

    • +2
  21. 「マツコの知らない世界」でも紹介されてました。

    • +4
  22. 水景を再現するレイアウトは好きだけど、山や森などの遠景写真を水槽で再現するのは個人的には好みじゃないから、上位陣って凄いけど好きになれないんだよ
    後は作成から完成までのスパンの写真も見たいって思う

    • 評価
    1. ※40
      別に山中を表現しなくても問題無いが、審査基準に
      「構図と水草の配植」と「自然感の演出」が有るから
      どうしても森・山・谷がメインになりがちだね
      奥行きや高低差を表現するには一番だから

      • +2
  23. もともと水中のもんなんだし別に陸上を再現しようとしなくていんじゃないの?と思うんだけどねー
    つくった後のメンテナンス考えたら気が遠くなるし
    一カ月で腐海に変えてしまう自信あるわ

    • +1
  24. おお、日本なのか
    てか中国もすごいな。どれもすごいが。
    こういうの見てるとこの中の魚になりたいと思うわ

    • +3
  25. 奥行きのために真ん中に白い砂利の道を作るデザインがなんだか苦手だから1位の方の凄く好き!

    • +2
  26. >安らかに眠れというメッセージをこめた、
    >天野尚への敬意としてふさわしいように思われる。
    うわーADAの人亡くなってたんだ
    一つも買えた事無いけどRIP

    • +4
  27. いつも思うのだが、このコンテストの参加者って
    みんな自分の作品を会場に持ってくるのかな?
    水槽ってむちゃくちゃ重くないの?

    • 評価
  28. これ大好きなんだけど、なんだかだんだんどれも代わり映えしないように見えてきちゃって…。
    そういう意味ではブラジルの人のが変化があって好きだ。

    • +1

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