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巨大トカゲからラブカまでホルマリン標本が何でもそろう。ロンドンの自然史博物館の舞台裏

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(著)

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 博物館には日頃見ることのできない様々なものが陳列されており、いつだってワクワクの連続だ。だがその舞台裏には、一般の人が見ることのできない垂涎ものの標本が密かに所蔵されている。

 イギリスのロンドン・サウスケンジントンにあるロンドン自然史博物館は世界有数の巨大な博物館で、8000万もの標本があるが、そのうち2000万以上は一般の人の目にふれない裏の部屋に保存されているのだ。

 ここは、ホルマリン浸けの瓶が並ぶスピリット・ルーム

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 中央の水槽の中には、アーチーと名づけられたダイオウイカがいる。それ以外にも、さまざまな生き物の標本が瓶詰されている。数百年以上前のものもあれば、到着したばかりのものもある。

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 不気味で、見るも恐ろしい深海魚、古代からいるようなサメ、コモドオオトカゲ、マンタ、大型のトカゲ、巨大タコ、カモノハシやハリモグラなどの単孔類、哺乳類など、あらゆる生物がいる。サルまでがホルマリン漬けになっている。

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 標本が大きすぎてガラス瓶に入らないときは、中央にある金属の水槽に入れられる。これは巨大なフタつきの風呂のようなもので、工業用変性アルコールが入っていて、標本はここで何十年も保管される。

 標本の数は増え続けている。もし、なにか奇妙な生き物が浜に打ち上げられたら、博物館はぜひ知りたがるだろう。

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 この部屋は、TVドラマ『サイレント・ウィットネス』や、デイヴィッド・アッテンボローのさまざまなプロジェクトなどの撮影に使われてきた。

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 映画『ブルー・ベルベット』の出演女優イザベラ・ロッセリーニは、元ヴェルベット・アンダーグラウンドのミュージシャン、ジョン・ケイルと共にここを訪れたことがある。ジョンが出したアルバムの中に、ここで台に横たわる彼の写真がジャケットになっているものがある。

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 女王陛下もここに来たことがある。不快な表情をしている写真がいくつかあり、あとどれぐらいこの標本の列が続くのだろうかと思っているのは明らかだった。

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 標本はスピリッツ(工業用アルコール)の中で保存されている。部屋は可燃性蒸気が、巨大な古い博物館の本堂にもれないよう通気口に流れるように設計されている。標本の中には、ダイオウイカのアーチーのように、大きすぎてアルコール水槽とともに運び出して展示できないものもある。

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 ほとんどは研究用の収蔵品で、死んだ生物の図書館といっていい。研究のために常に研究者たちが水槽から標本を引っ張り出している。

 Speedo社のデザイナーがやってきて、サメの皮膚の詳細を観察し、オリンピックのために、水力学的に速く泳げるスイムスーツの開発に役立てた。

 飛行機事故で海から回収された犠牲者の遺体を解剖した科学者がここにやってきて、遺体を食べていた水中の犯人の正体を見つけ出したこともある。そのほかにも、建築家、エンジニア、アーティスト、歴史家など、さまざまな人たちがさまざまな目的でここに出入りする。

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 魚の学芸員のジェームズ・マクレーン(右)と、軟体動物の学芸員のジョン・アブレット(左)はここで何年も働いている。彼らがこの部屋の水槽の中にいるいくつかの標本を見せてくれた。

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 深海魚ラブカ

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 深海に行けばいくほど、奇妙な生物と遭遇する。このラブカの標本は1961年のもので、ここにある標本のほとんどが100年を超えているものであることを考えると、まだかなり若い。

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 マンボウの子ども

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 まだ小さいが、3メートルにもなることがある。

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 標本の全身を防腐剤の中に浸けられない場合は、体の中を防腐しなくてはならない。注射するか、体を切開して防腐剤を中に入れる。このマンボウを切開したとき、3メートルのサナダムシが体内にいた。引っ張っても引っ張っても、途切れることなく続き、気味が悪かったという。宿主である魚が奇妙なだけでなく、その体内に研究者が知りたがりそうな未知の寄生虫がいる場合もある。

 アンコウの仲間

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 まるで海藻が生えた古いゴミのようなふりをして海底にじっとしる。皮膚にひらひらとはためくフタのようなものがついていて、ほかの魚がつられて寄ってくると、大きな口を開けて飲み込んでしまうというわけだ。舌にも歯がついている。

 魚を丸呑みしてパンパンに膨れた魚

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 この毛の生えたアンコウをCTスキャンにかけたら、腹の中のものが見えた。ほかの魚が丸ごと折り畳まれて入っていたという。

 アンコウの一種

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 サメの口の骨

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 相手に噛みついて穴をあけるのが目的だが、その対象はマグロ、ほかのサメ、ときにはクジラになることもある。この歯でしっかり噛みつき、えぐって、フルーツくり抜き器のように自らぐるぐる回転しながら倒す。

 昼間は深海に潜んでいて、夜になると水面近くに上がってきて、漁船のライトに向かって泳いでくる。そこにはほかの魚の群れが集まっているからだ。

 チャールズ・ダーウィンの収集物

 ドア近くの棚には、チャールズ・ダーウィンが、1830年代にビーグル号の航海で収集した標本の数々が収納されている。

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 これは、歴史上もっとも重要な研究旅行だった。ダーウィンは、南米へのこの旅でさまざまな発見をし、それが進化論へとつながった。

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 ダーウィンのペットだったタコ

 ダーウィンの収集品の中に、彼のペットになったタコがいる。

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 彼はこれをカボヴェルデ諸島で見つけた。岩の間の水たまりをちょこまか動き回っているのを観察していたと日記に書いている。ビーグル号の船長フィッツロイは、ダーウィンはまるでタコをプレゼントされて、クリスマスの朝にはしゃぐ子供のようだったと言った。ダーウィンはこれを水槽に入れて生きたまま船に乗せて連れ帰り、結局、最後にここにたどり着くことになった。

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 このタコは、ほかの標本と同じように解剖して調べるために、半分にスライスされている

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 ダーウィンの収集品のほとんどには、黄色いフタがついている。これは、基準標本であることを意味している。科学者によって集められた最初の標本で、その種全体を解明するのに使われる特別なものだからだ。

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 ダーウィンは当時、自分が集めたものについての知識はなかった。ただ集めてホルマリン浸けにしただけだ。後にレオナルド・ジェニンズがそれらを特定して、一冊の本にまとめたのだ。

 魚よりも感情的に人間に訴えてくる、毛の生えた哺乳類のホルマリン浸けを見ると、なぜ、科学のために生物を殺さなくてはならないのかという疑問が浮かんでくる。

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 真の意味で動物を助けるためには、彼らを理解する必要があるからだとマクレーンは言う。理解するためには、彼らをよく観察し、その生態をよく知らなくてはならない。そのためには、一体以上の死んだ動物が必要なのだ。なにより、彼らはここでは永遠に生きているのだから。

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via:buzzfeed・written konohazuku
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この記事へのコメント 17件

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  1. もっと鮮度を保って保存する安価な技術が開発されないものか…

    • +18
  2. 永遠に見ていられそう。ホルマリン漬けの不気味な静けさが好きなんだ

    • +6
  3. ホルマリン漬けや標本は見てるといろいろ想像出来て好きなので
    ハンズで透明標本を買って勉強部屋に飾ってます

    • 評価
  4. クッキーカッターシャークだね。
    クッキーの生地を丸く抜いたみたいな噛み痕を、相手に残すやつ。

    • 評価
  5. タコプレゼントされてはしゃぐダーウィン可愛い

    • +2
    1. ※6
      日本だと『ダルマザメ』の名前で知られてる深海棲の鮫の仲間だね。見た目はその名の通り丸っこくて可愛い感じなんだけど、食欲旺盛と言うか結構獰猛で、自分よりも何倍も大きな魚やクジラにも噛み付いて、英語名の「クッキーカッター」の名の示す通りにきれいな円形の傷跡を残す事で知られてる珍しいサメ。
      >ttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cookiecutter_damage.jpg
      因みに魚やクジラだけでなく、何とトドにも食い付いて傷跡を残した事が観察されている。凄いね!

      • +5
  6. ブリーフ&トランクス

    ホルマリン漬けの君
    は好き

    • +12
  7. 理科室で見た標本の生生しいことよ
    人間の都合でとっつかまえて標本とか人間に例えると色々考えるね。

    • -3
  8. 色が抜けない技術は無いのかな‥ ホルマリンはそれが残念。。

    • +2
  9. こういう「舞台裏」を観ることができる記事は興味深いね
    ところでグロ好きには有名な、フィラデルフィアにあるムター博物館の
    舞台裏も見たい気が…いや、やっぱいいや

    • +1
  10. 狭い熱帯魚屋に言ったときでも同じこと思うんだけど「俺が今ここに居る瞬間でだけは絶ッッッ対に地震来ないでくれ!」って思うわ。
    ホルマリン漬けの倉庫なんて地震が起きたとき絶対にその場に居たくない場所ナンバー1でしょ

    • +4
  11. ぐるぐるの歯列やアレな感じの魚ばかり見てうええな気分を中和してくれたイケメン二人ありがとう。

    • 評価
  12. この博物館は表の展示物もめっちゃ面白いで。

    • +2
  13. 「遺体を食べていた水中の犯人の正体」は何やったん?

    • +2

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